面白いと心の片隅で三ミリくらい思ってくれれば幸いです
ホントは一話全部書こうと思ったけど長くなりそうなので仕方なくカットしました
人生というものは退屈だ
毎日寝て、起きて、朝ごはん食べて、学校行って、帰って、風呂入って寝る、というありきたりな繰り返し
学生だからこんなもんかもしれないが、これが社会人になればもっと複雑になっていくだろう
だからもしかしたら、心のどこかで、こうなることを望んでいたのかもしれない
◇◇◇
ツツジ台
これといって特徴もなく、どこでのあるようなごく普通の町(主観含む
そこに住まう少年、
このジャンクショップ絢はそのジャンクショップのみならず、奥の方にはカウンター式の喫茶店もプラスで営んでおり、そこではお茶や軽食なんかも楽しめてしまうのだ
…まぁ、今はそっちの方を利用する気はないのだが
時刻はもう夕刻すぎに当たるが、学校も終わり自由な時間を謳歌し始めている時間帯だ
紅衣甲斐はこういうジャンクショップを巡るのが好きだ
たまにレアなものが流れていたりするから、こういうのがやめられない
そんな訳で今回もなにか流れていないか探そうとしてて、ふと妙なものが目にとまった
それは持ち手を中心にわっかみたいなのがついた、変なアイテムだった
形状だけ見ればウルトラマンオーブに登場したオーブリングに似ているのだが、妙に古いような感じがする
近くに備えてあるカードケースも手に取って、中を見てみる
確かに中にカードはあるが、全部色がなくなんか画用紙みたいだ
手に触った感触はプラスチックなのに、どうなっているんだろ
「何買うか決まった?」
奥の方の部屋から歩いてくるのは、この店の娘、宝多立花である
通っている高校の同級生であり、自分はここのジャンクショップの常連で、仲はそこそこだと思っている
「これになりそう。っていうかこれどっから流れてきたの?」
「んー? 私に言われてもわかんないし。…っていうかなにこれ、玩具?」
「見た感じはそうだよね。上手く治ればデラックス玩具みたいな感じになるよ多分」
「ふーん。私はそういうのよくわかんないけど、特撮好きには堪らない感じ?」
「堪らないね。こういうの集めるの趣味なんだよねぇ…」
立花とそう何気ない会話をしている最中、そういえば気になったことを思い出した
それは知人の響裕太のことである
今日も普通にジャンクを巡りにここに来たら何故かここの前で倒れていたのだということを彼女から聞いた
そんな訳で彼も心配なので起きるのを待つついでに商品を見て回っていたのだが
「そだ。裕太は起きた?」
「まだ。こっちにはちょっと様子見に来ただけだし、また響くんの様子見に戻るよ」
「わかった。俺はまだこっちにいるよ」
「りょーかい」
そういくつか言葉を交わして、立花がまた戻っていく
そして商品売り場には甲斐一人
―――正確にはカウンターのとこで突っ伏して寝ている立花の母親がいるのだが、この際それはノーカウントで
ちなみに今店は閉まっており、新たな客が来ることはない
今ここに甲斐がいるのは知人だからということで特別に中にいるのだ
裕太が心配なのもまた事実ではあるし
そういえば今持ってるこのオーブリング(仮)の値段を聞いていなかった
まぁそれはあとで聞けば問題ないだろうと結論づけて、改めて商品を見る
…裕太が起きてくるまでどうしようか
せっかく今手に仮といえどオーブリングがあることだし、ガイさんよろしくポージングでも決めてみようか
そう思って一度リングを左手に持ち直し、少し両手を右側の顔近くに持ってって両腕をクロスさせて、そのまま開くようにリングを持った左手を自分の正面に突き出して―――
直後、ポワン、と、リングの部分が輝きだした
「―――え?」
ジャンク品じゃなかったのこれ? とか電池入ってたっけ? とか考える間もなく、リングの光は甲斐の胸へと吸い込まれるように消えていく
光が消えた瞬間、何かが弾けるようにドクン! と身体が震えるような感覚がした
「おっぅふ!?」
あまりの衝撃に、甲斐はその場で足を滑らせ、転んでしまった
商品を傷つけないように、咄嗟に軽く体を動かし通路の方へと倒れこむ
そして自分が転ぶ音が聞こえたのだろう、再び奥の方から足音が近づいてくる
「ちょ、ちょっと大丈夫!?」
立花の声が近づいてくる
大丈夫、ということをアピールするようにとりあえず倒れながらも手を振って無事だということを伝えながら、ゆっくりと起き上がる
「ご、ごめんごめん。ちょっと、足がもつれちゃって…」
「怪我とかは…なさそうだね。よかった。…あ、そだ」
「? なんかあったの?」
「なんかあったよ。裕太くんが起きたの、今は顔を洗ってると思うけど」
「マジで? そいつは、よかった…」
なんだかんだ三十分くらい寝たまんまだったから、彼の意識が戻ったのは素直に嬉しい
しかしさっきリングが光ったのは一体何だったのだろう
その光が自分の胸元に飛んできたのも謎だし、正直意味がわからん
普通なら気味が悪くなり購入を止めるかも知れないが―――不思議と甲斐は止める気など起きなかった
とりあえず、一万くらいあれば足りるだろうか
と、一人思考しているとまた奥から一人誰か歩いてくる
特徴的な赤い髪をしたその男は紛れもなく、裕太裕太その人だ
彼は売り場の一角にある大きめで古いパソコンをじぃっと見やる
彼が見つめているパソコンはデスクトップタイプのもので、ぶっちゃけ今の時代だとそこそこな古めなタイプのパソコンだ
しかしそれが逆にジャンクショップらしくもあり、甲斐は好感を持っている
買うかどうかは別なのだけど
「…どうしたの?」
いつまでもパソコンの前にいる裕太が気になったのか、立花がひとつ声をかける
すると裕太は困惑しながらも、すっとパソコンの画面を指差し
「いや…あれに呼ばれて」
指さした先にいるのは、何も写ってないパソコンの画面である
写っているのは、そのくらい画面に反射している立花と裕太、そして少し離れた位置にいる甲斐だけだ
「…だれ?」
「グリッドマン…」
「何も映ってないじゃん」
「いやいや…え? 俺にしか、見えない…?」
小さく呟く裕太に、甲斐は内心ドキドキしつつ、冷や汗を書いていた
何故か
それはその画面に青い変なヒト? の姿が甲斐の目にも見えているからだ
っていうかなんなのだアレは
コンボイ? オプティマスプライム?
なんか喋っているみたいではあるが、流石に声までは聞こえない
しかしここで裕太に同調してしまったらいよいよヤベーイ奴であるので、彼には犠牲になってもらうことにした
許せ裕太と心の中で謝りながら、二人の会話は続いていく
「いや、グリッドマンが使命を思い出せって、さ」
「しめい? え、何の話?」
「っていうかここもどこ…」
「ウチの店」
「誰の?」
「私の!」
「だから、誰なのって」
「だ、れって…誰の」
「君の」
「―――」
会話の内容が読めない
え、裕太どうしちゃったのだろう
「…あのさぁ、ふざけてんの?」
「ま、真面目に! 真面目にホントに、何にも思い出せなくって…」
「なんだそりゃあ。記憶喪失ってやつ?」
まさかとは思うが、仮に考えられるのならそれしかない
流石にマジで記憶喪失だとは考えられないが―――
「そう! それ!」
言葉を発した甲斐に向かって視線を向けて、それだ、と言わんばかりに手と手をぽんと叩く裕太
正直内心マジでか、と思いながら、甲斐は立花と思わず視線を合わせる
「君たちー」
不意に、後ろの方から声をかけられる
三人が視線を向けると、起きたのか首の後ろあたりをかきながら、立花の母親がこちらに視線を向けていた
「ちょっとうるさいよ、君たち」
立花母の一声で、一旦クールダウンすることになる
とりあえず立花のお母さんが出してくれたコーヒーを飲みながら、そうだと思い出した品を立花のお母さんに見せて
「そだ、忘れないうちにこれ、買います」
「あら。いつもいつもありがとね甲斐くん」
「いくらになります? 一万もあれば…」
「そんな高いものでもないからぁ。三千円で十分よ…っと、あら、お釣り切らしてた。ゴメン立花、ちょっとお金持ってきてくれる?」
「えー? 仕方ないなぁ」
そう言って立花が一度席を離れ、奥の方へと消えていく
何かを考え込んでいるような裕太に向かって、甲斐は声をかけた
「あーっと、裕太?」
「え!? あ、はいっ、なんでしょう…?」
「おいおい、敬語はやめてくれ。一応お前とは同級生なんだし、タメ口で構わないぜ」
「…。ありがとう。えっと…」
「俺の名前は紅衣甲斐。お前と同じ学校だ。ま、記憶喪失がホントかどうかはともかくとして…改めて友達になろうぜ」
そう言って甲斐は裕太に向かって右手を差し出す
古来から友好関係を示す手っ取り早い方法、握手である
彼の手が甲斐の手を握り返ししっかりと握手を交わす
しかしこうやって彼の状態を見てると本当に記憶喪失なのかと疑わしくなってくる
見た目はいつもと変わらないのに
「お金持ってきたよー。はい、お釣り」
「おっと、ありがと立花さん」
戻ってきた立花からお金を受け取り、代わりにこっちもお金を渡す
立花が席に座ったタイミングで、皿を拭いていた立花のお母さんが口を開いた
「あ、そだ立花。一応病院連れてってあげたら?」
「えぇ!? わたし!?」
「あったりまえじゃない。記憶喪失ってことは、頭打ってるかもってことでしょ?」
そう言ってちらりと裕太の方へと立花のお母さんは視線を向ける
先ほど自己紹介したときは問題なさそうではあったが、なんだかもっかい頭を彼は抱えていた
「調子悪そうだね?」
「いや、なんかさっきから幻聴や幻覚もずっと響いてて…」
本当に大丈夫なのだろうか
◇
ジャンクショップ絢を出て、そのお店の前で一度待つ
裕太は己の荷物である赤いカバンを背にかけて、ついでにこのまま直帰コースだ
「…なんだか霧濃くない?」
「? そう?」
裕太の言葉に立花が返す
彼が指摘して初めて気がついたのだが、確かになんか霧が濃い気がする
…立花には見えてないのだろうか
そこでまた、裕太が大きく声を上げた
「ちょ!? か、怪獣いる!」
「…はぁ? どこに?」
「霧の向こう! ほらあそこ!!」
裕太がびしっと指をさした方向に―――確かにデッカイ何かが見える
え、なに、俺どうしちゃったの? 実は自覚がないだけで自分も何か病気にかかってるとかなのだろうか
そう思わずにはいられないくらい自分の目が信じられない
ふと今もカバンの中に入っているオーブリングを見やる
光が何か意味があるのだろうか
「…早く行かないと、病院閉まっちゃうよ」
しかしやはり立花には見えていないみたいで、はぁ、と大きなため息をつくと踵を返して歩き出していった
◇
「…ねぇ、記憶喪失ってことはさ、今日のこと、何にも覚えてないってこと?」
「…うん」
「―――。そっか。…でも、もしそれが〝ふり〟だったら、最悪だかんね」
「…え? 何か、あったの…?」
「…―――」
先を歩く二人の会話が聞こえてくる
見えないところできっと何かがあったのだろう
それを聞くのは流石に憚られたので、甲斐は黙って二人の後ろを歩いていく
そんなこんなで、井ノ上病院とやらに到着し、裕太が出て来るのを甲斐は立花と一緒に外で待っていた
途中で見かけた自販機で各々が飲み物を購入し、それを飲みながら下らない雑談でもしていると、病院の入口がういーんと開いて、そこから裕太がてくてくと歩いて戻ってきた
甲斐は缶ラムネを飲み干すと裕太に向かって
「どうだった?」
「いや、なんかよくわかんなかったけど、いずれ元に戻るだろうって」
「…なんじゃそりゃ。っていうか保険証とかあったのか?」
「…なにそれ」
「おうふ。…マジでか」
これはいよいよ記憶喪失が現実味を帯びてきた
っていうか保険証のことすらもわからなくなっているのは流石に致命的ではなかろうか
「…ともかく、今日はもう解散、かな」
「ん。そだね」
「う、うん。二人共色々ありがとう。…それじゃ」
そう言って裕太は踵を返して歩き出そうとしたところで、ぎぎ、と固まった
たっぷり時間をかけておおよそ十秒、またもやぎぎぎ、とこっちを振り向きながら裕太は呟く
「―――俺んち、わからない」
『―――はぁ?』
流石にそれには立花と二人して変な声を同時に上げた
◇◇◇
とりあえず彼が記憶を失う前に何度か遊びに行っていた甲斐が彼を家に送り届けることとなった
送る前に立花も交えてコンビニで適当に何かを買って軽く小腹を満たしつつ、そこで短いながらも改めて自己紹介し直しと相成った
もっとも甲斐と裕太はジャンクショップで名前を交わしているので、実質立花一人だったが、この際気にしない方向で
明日の彼の登校の送り迎えを同じクラスの内海に連絡を取り、事情を話す
まぁ当然ながら半信半疑ではあったが結局明日裕太を迎えには来てくれるみたいだから、この際それはいいとしよう
裕太をマンションに送る道すがら、なんだか刀みたいなのを構えた変なオッサンみたいのがいた
ものっそいこちらの方―――正確には裕太の方? を凝視している
触らぬ神に祟りなし、というので甲斐は一切気にすることなくそのまま道を突き進み、彼のマンションへ裕太を送り届けると、明日のことを内海に任せて今日のところは甲斐も帰路へとついた
◇
「いや…別に身体は疲れてないけど、えらい疲れたな…」
家に戻って一人、紅衣甲斐は呟く
今日一日でなんだか酷く疲弊した気がする
とりあえず今日は風呂にでも入ってラムネ飲んでとっとと寝よう
そう気持ちを切り替えると風呂へと入るべく上着を脱ぎながら席を立った
個人的にこんなドッと疲れた時には銭湯にでも行ってゆっくり風呂に使ってその後でキンキンに冷えたラムネでもいただきたいのだが、今日は出かける気力もないのでそれはなしにする
紅衣甲斐は一人暮らしである
といっても完全に一人暮らし、というわけでもなく単純に両親が共働きで両方とも出張して家を外しているだけなのだ
裕太の方も同じように両親が出張中らしく、自由でいいなーみたいなことを内海に言われていたことは記憶に新しい
まぁ確かに、結構自由な時間も多いので一人暮らしも悪くはない、のかもしれない
とは言っても炊事洗濯その他諸々、やるべきことも多いので完全に自由、というわけでもないので半分半分、といったところか
「…うん?」
携帯に目を通すと、一件の着信が入ったという通知に目がいった
タップして操作すると、相手が〝小日向さん〟という文字列
そういえば近々、流れ星を見に行こうなんて約束してた気がする
電話してきた時間帯はガッツリ風呂に入っている時間帯だ
とりあえず操作してリダイアル
するとやくツーコールのち、電話から彼女の声が聞こえた
<あ。やっと繋がった。なんでさっき電話出なかったの?>
「風呂入ってたんだよ。…防水でも風呂場に携帯持って行きたくない主義でさ」
<あー…じゃあ仕方ないか。でも、約束忘れないでよね>
「覚えてるよ。響と一緒に展望台、だろ?」
<わかってればいいの。それじゃあ、また明日学校で>
嬉しそうにそう行ってくる小日向の言葉を聞きながら甲斐は通話を切った
今しがた電話の相手の小日向未来と話に出た響こと立花響は紅衣甲斐の幼馴染だ
とは言っても家が近いとかでもなく、たまたま小学生の時に苛められてた響とそれを守ろうとした小日向を助けたのが最初の縁だ
そこから少しづつ遊ぶようになり、今ではあんな約束もちょくちょくするような仲となっている
「…ふぁ…あ…」
思考に耽ってると、眠気が甲斐を襲ってきた
これ以上は起きてないでとっとと寝るか、と甲斐は適当に菓子パンを胃に放り込んで歯を磨いたあと、ベッドへと転がり込んだ
机の上に置いてあるオーブリングがポワンと再び輝いたのに、気づかないままに
・この世界では
ウルトラマンシリーズが放送されてるっぽいのでそこらはみんな知ってる感じで
しかしフュージョンファイトとかは稼働してないのでフュージョンファイト限定のフュージョンアップは知りません
そういうことにしといて(懇願
・最後に出てきたシンフォギアキャラクター
ぶっちゃけヒロインに困ったからです
立花は裕太だしアカネはサイコパスだし問川は死ぬしなみことはっすはなんか違うし、ということでウチの別作品の原作からキャラクターだけ引っ張ってきました
一応あと二人だけ追加予定です
そして響と未来は殺します