思いのほか好評? っぽいのが嬉しいと同時にプレッシャーですわ(;゚Д゚)ガクガクブルブル
本編のグリッドマンはもうめっちゃ佳境でバンバン謎が解かれてってますが、僕はのんびりやってきます
ではどうぞなのだな(突然のタマモキャット
朝起きた甲斐は言いようのない違和感を感じていた
何となくテレビをつけてみる
流れているのは朝特有の目覚まし的な番組や、子供向けのシャキーンする番組だとかが放送されている
チャンネルをいくつか変えても、ごく普通に情報番組ばっかりだ
「…どうして昨日のことが報道されてないんだ」
昨日は変身が終わって調と切歌からキツイ二発をもらい二人に謝り倒したあとひとまず今日は解散ということになり家へと戻った
その時点では大きく報道とかニュースとかにもなっていたが、それが今朝になるとぱったりとなくなっている
携帯で調べても、そういった情報は綺麗さっぱり無くなっていた
一体何がどうなっているのか
気にはなったが自分の頭では考えてもわからないと結論づけて適当に朝食を摂ると登校の準備をして家を出た
◇
「おはようなのデス」
「おはようございます」
登校して数分、後ろから駆け足できた切歌と調と合流する
彼女らの歩行スピードに合わせるように甲斐は速度を少し落とし、歩く速さを同じにしながら甲斐も彼女らに挨拶を返した
「おはよう、昨日は眠れたか?」
「…正直な所、情報多くてパンクしそーデス…」
「今も頭の中ぐわんぐわんしてるよ」
切歌が目を細めにしながら昨日のことを思い返し、調が空を見上げながらそんなことを呟く
まぁそれは仕方ないと甲斐は思う
誰だってそーなる、たぶん、自分もそーなる
「そもそもなんで甲斐さんがあんなふうに変身したのかが未だ理解できていないデス、いつあんな光パワー手に入れたデスか」
「俺もよくわかんない。ジャンクショップで買ったらなんか光の輪っかがポワンって出てきて俺に張り付いたと思ったら、なってた」
「…え。光の力ってジャンクに流れてるの。っていうか買えるの?」
「あぁ。三千円だった」
「それ、売ればかなりお金になると思うデスよ?」
「売れれば、な」
もっとも売るつもりなど全くないが
っていうかあこんな話なんか誰も信じないだろう
ジャンクショップで光の力が三千円で売ってたんだけど質問ある? なんて掲示板立てても〝嘘乙〟の一言でバッサリされるのがオチだ
「…しっかし、なんだ? 今日は未来と響見ないな。もう先行ってんのかな」
「言われてみれば、今日見てないデスね」
「また人助けしてる可能性もあるかも」
どれも有り得るかもしれないから困ったものだ
そんな考えもそこそこにして、三人はそのまままた雑談をしながら歩き始めた
◇
そして到着するツツジ台高校
ここも確かに昨日炎に包まれて崩壊していたと思うのだが、議論なんてしても無駄だと判断した甲斐はそれを心の中にしまい、歩く足を止めなかった
「それじゃー甲斐さん、またなのデース」
「ちょこちょこそっちに行くね」
下駄箱のところで切歌と調の二人と別れると、甲斐も自分のクラスに向かって歩き出す
適当に横を通る他のクラスの知人に挨拶しながら、甲斐も自分のクラスの教室の扉に手をかけて、教室へと入っていった
クラスの友人たちに軽く挨拶を交わしながらいつもの席に座ると妙な違和感を感じた
(…あれ?)
全体的に教室を見回す
どういうことだろう、昨日に比べて何個か机が少ない気がする
それに目の前…たしか、目の前の席は、響だったはずなのだけど、違う女生徒が座って、友人と駄弁っている
本人がいないから来るまでの間、座って友人と駄弁っているんだろうか
◇
「…なぁ裕太」
「え、なに、今度はどしたの? 内海」
教室にて
ちょっと前クラスの知人に昨日怪獣が出たことを聞いてみるも見事に空振り
内海や立花も調べてくれてはいるが、やはり何も情報は出てこず、裕太たちグリッドマン同盟(仮)は理由は知らないが記憶が自分たち以外リセットされていることを知る
どうしたもんかとなんとなく天井を見ていたら、ガラリと扉を開けて紅衣甲斐が教室に入ってきた
彼はいつもと同じように適当に挨拶しながら自分の席へと向かっていく
不意に彼もクラス全体を見渡すような仕草をしていたが、どうしたんだろ、というタイミングで内海が話しかけてきたのだ
彼は声を抑えながら
「いや、話変わんだけど、昨日お前、ウルトラマンオーブとちょっと話したよな」
「え? う、うん。いきなり出てきてまた敵かなって思ったけど、こっちを助けてくれたから」
「あぁうん、それはいいんだ。俺も好きだし、オーブ。けど今は違うそうじゃなくって、お前昨日、あのオーブ見て、甲斐って名前言わなかったか?」
「あぁ、言ったけど…何か問題あったっけ?」
そう聞くと内海はちらっと甲斐の方へと視線を向けながら
「いや、テレビの中ならな、オーブに変身してる人はクレナイ・ガイって人なんだが…もちろんそれはフィクション。現実には存在しない人だ。だからもしお前が言ってた甲斐ってのがアイツなら…」
「! 甲斐が、そのなんとかオーブってことなの!?」
「なんとかじゃないウルトラマンだ! ウルトラマンオーブ! …おっほん、ともかくその可能性が高いってわけだ。なんとか、時間見つけて甲斐と話してみたいところだけど…もし違ってたら気まずいしなー…」
うーんと唸る内海を尻目に、裕太はなんとなく甲斐へと視線を向ける
彼は誰かを探しているみたいに缶ラムネを飲みながら周囲へと視線を向けていた
◇
おかしい
ホームルーム五分前になっても響と未来が来る気配がない
響が人助けしてるなら先に未来だけでも登校しているはずだ
今も眠ってる? そんなはずはない、未来が寝過ごすなんて考えられないし…
いい加減考えても埓があかないと判断した思い切って甲斐は目の前の人に聞いてみることにした
「なぁ、響と未来なんだけど…アイツらくるの遅くないか?」
言葉を聞いた女生徒は一瞬ポカンとした顔を見せる
その後で近くの友人と一緒に耐え切れないと吹き出して笑い声を上げたのだった
…何か変なことを聞いたのだろうか
「もー、甲斐くん朝から変なこと言わないでよー」
「へ、変なことって…クラスメイトの立花響に小日向未来だぞ? この時間までいないってことは―――」
しかし彼女から返ってきた返答は、想像を遥かに凌駕する一言だった
「えー? 何言ってんの甲斐くん」
「…え?」
「
空気が、凍る
今、目の前の子はなんて言ったのだろうか
「じょ、冗談よせよ…だって、昨日までいたじゃんか。その席に座って…」
「もー! 甲斐くんそんなギャグ言える人だっけ? ここはずっと私の席だよー」
目の前の女が何言ってるかわからない
だっておかしいじゃないか、昨日まで確かにここにいたはずなのに、なんで今日になって皆がみんな忘れているのだろう
「…俺が…おかしい…?」
自問自答する
だけど頭の中でなんて答えなど出るはずもない
そもそも、自分には鮮明に思い出せるのに
昨日のやり取りも、流れ星を見ようって約束も思い出せるのに、俺がおかしいっていうのか
「―――そんなわけねぇだろッ!!」
確認せずにはいられなかった
甲斐は机から立ち上がりカバンだけを持って教室から出よう足を進める
ぶっ壊す勢いでかなり力強く扉を開けるとそのまま廊下を全力で駆け出していった
家の場所は覚えてる、そうだ、何かあったに違いない、そうに違いないんだ
そう心に言い聞かせて甲斐は廊下を駆け抜けた
◇
月読調は親友でもある暁切歌と教室に入ったとき、なんだか言いようのない違和感を覚えた
とりあえず近くのクラスメイトに挨拶をしながら調は自分の席へと歩いていく
その間少し耳に集中してクラスメイトたちがどんな雑談をしているのか聞いてみた
昨日見た番組、バラエティ、あるいはドラマ
単純に昨日発売したゲームの話…あるいは、某狩りするゲームはどこまで進んだか
どんな俳優が好きか、あるいは少し先に上映が決まっている映画の話
「切ちゃん、やっぱりおかしいよ」
「? どうしたデスか? 調」
「昨日あんなことがあったんだよ? なのに話題が一切あがってないなんておかしいよ」
そう調に言われて、改めて切歌もクラスメイトの話に少し意識を集中してみた
たっぷり時間を使っておおよそ十五秒くらい、切歌は頷きながら
「…確かに、みんな昨日のことなんかなかったみたいに話してるデスね…」
「ね? やっぱりおかしいよ。それに…なんか机の数ちょっとだけ減ってる気がするし…」
「えぇ!?」
調に言われて思わず切歌はクラスを見渡しひぃふぅみぃと小さい声を出して数えだした
やがて数え終えるとガタっと椅子に座り直して
「…ホントーデス! 少なくなってるデス…!」
「昨日はいたと思うんだけど…ちょっと聞いてくる」
「うえぇ!? マジデスか!?」
切歌の声を耳に入れながら、少し近くで話しているグループに向かって歩き出していった
切歌はそんな調を不安そうな面持ちで見つめながら彼女が戻ってくるのを待つ
やがて雑談を終え戻ってくると彼女は神妙そうな表情をして椅子に座ると
「…いないことになってる」
「なんデスかそれ、ちょっと笑えねーデスよ…」
最初からいないことになっているとはどういうことだ
「…切ちゃん、あんまり口にしたくないけど、もしかして…いなくなった人って…」
「昨日の怪獣出現による被害者ってわけデスか。…じゃあなんで私たちはおぼえてるんデス…?」
「流石にそれは…」
と調が顎に手を当てたその刹那、遠くのクラスの方からバガンっ! と勢いよく扉が開ける音が聞こえた
なんだ? と思わず首だけをそっちの方を向くと、今度はそっちの方から誰かが走っていく足音がした
教室の思わず切歌がクラスのドアを開けて走っていった方向を見てみると、見覚えのある背中が見えた
曲がり角を曲がる彼の横顔は、何か不安そうな表情を浮かべている
「…甲斐さん?」
「どうしたの? 切ちゃん」
「今ここを走ってたの、甲斐さんだったデス」
「甲斐さんが?」
「うん。…なんかちらっと顔見えたのデスけど…すごく焦ってたような…」
「焦ってた…?」
そう言って一度調は考える
焦ってた、ということは彼のクラスで何かがあった、ということなのだろうか
そういえば今日は響と未来の姿を見ていないが…それと何か関係がある…いや、待て
もしかしたら…〝そう〟いうことなのでは?
「…追いかけよう切ちゃん」
「調…」
「なんだかよくわかんないけど…今ここで甲斐さんを追いかけないと、後悔する気がする…!」
◇
何も考えず、ただ真っ直ぐ、全力で走った
赤信号とかも完全に無視し、ただ未来と響の家に向かってただ走り続けた
人ごみも半ば強引に突っ切って無我夢中にただ走る
嘘だ、そんなことある訳が無い
頭の中でそう何回も繰り返しながらひた走る
確か響と未来は家が隣同士で、自分も何回か行ったことがある
場所は大丈夫、そうだ、風邪かなんかで来れないだけだ、だからきっと大丈夫…!!
そう何度も言い聞かせ、甲斐はようやくたどり着いた
「な、なんだ…家あんじゃん…」
目の前にあるのが響の家で、その隣の家が未来の家だ
息を整えて、まず目前にある響の家のインターホンを一度押す
ピンポーン、というありきたりな音が鳴り、甲斐は少し待つ
………
しかしいくら待っても家からこちらに向かってくる足音がなる気配がない
不安に思った甲斐はドアノブに手を伸ばす
「…開いてる…?」
恐る恐るといった感じで甲斐は扉を開ける
中に入り、キョロキョロと見回す
どういうわけか、人の気配が感じられない
嫌な予感が加速する
「…響? 響ぃっ!!」
名前を叫びながら、彼女の姿を探す
だけど響の姿はおろか、響のご両親の姿すら見つけることは叶わなかった
◇
未来の家にも行ったが、結果は変わらなかった
〝誰もいない〟
どこをどう探しても、まるで最初からいなかったみたいに気配すらなかった
放心しながら甲斐は壁の塀に背中を預けながらゆっくりと腰を下ろす
背中が多少汚れているが、気にしてなんぞいられるか
「…」
正直、頭の片隅ではなんとなく来ても無駄なんじゃないかということはわかっていた
学校に来たとき、クラスの机の数が減っていたと気づいた際に、嫌な予感はしてたんだ
ただ無意識に空を眺めながら空の方を見ていると、こちらに向かって近づいてくる足音が遠くから聞こえてきた
ちらりとそちらに視線を向けると、切歌と調の姿が見えた
甲斐は少しだけ驚きながら、立ち上がり彼女たちの方へと歩み寄る
「二人共…なんで、ここに…」
「あんな表情で廊下を全力ダッシュしたら、気にならない方がおかしいってんデス…ぜぇ…はぁ…」
「…やっぱり、響さんと未来さんがいないのが、原因なんだよね」
いきなりグサリと確信のつく言葉を調がついてくる
調は基本的に冷静で、妙に鋭い所がある
甲斐は思わず調から顔をそらした
「実は、私のクラスでもいなくなった生徒がいるの」
「…そっち、でも?」
「うん…甲斐さん、きっと聞きたくないだろうけど、我慢して。多分だけど、いなくなっちゃった人は―――」
「―――あぁ、わかってる…! わかってるよ…! だけど、俺は認めたくなかった!!」
どうにか涙を堪え、甲斐は調に言葉を発する
「…甲斐さん…」
「この目で見るまで信じたくなかった! ありえない、そんなハズない、きっと生きてる大丈夫って! アイツらが死んだなんて俺は認めたくなかった…! だけど、だけどアイツらの家に来て、どこにもいなくって! クラスの奴も最初からアイツらがいないって! でも俺は覚えてんだよ!! 笑った顔も、泣いてる顔も、一緒に流れ星見に行こうって約束したときの笑顔もさぁ!! なのに…なのにどこにもいないんだよ…! そうしてやっと思い知った…あぁ、やっぱり、いないんだって…!!」
思わず叫んだ彼の慟哭に、切歌と調は息を呑む
何か言葉を探し、励まそうと試みるが―――言葉なんて出て来るわけない
今の彼に何を言ってもそれは意味のないものだ
だから調は、言葉ではなく、行動で示すことにする
不意をつくように、調は優しく彼の身体を抱きしめた
もっとも体格のおかげで、抱きしめるのでなく、抱きつくような形になってしまっているのだが
「…調…?」
「…いいんだよ甲斐さん、泣いてもいいんだよ…!」
「…っ」
調に指摘され、甲斐はビクリと反応する
すると背中にもきゅ、と誰かが抱きつく感触がした
誰かはなんとなくわかる、それは暁切歌だ
「そうデスよ甲斐さん。…きっと甲斐さんは、無理して泣こうとしてないんデスよね?」
「でもいいんだよ…辛い時や、悲しい時は泣いていいんだよ…! 私たちに響さんたちの代わりなんてできないけど…受け止めることは出来るから!」
「―――ふ、二人共…」
「みんなは覚えてないかもしれない、だけど、私たちは覚えてるデス…」
「一人で背負おうなんてしないで…私たちも一緒だから…!!」
二人の言葉に、甲斐は何かを言おうと口を開く
だが上手く言葉が出てこない…同時にこみ上げる何かが彼の両目から流れて頬を伝う
それは流すまいと我慢してた涙だ
一度感情が決壊したら、我慢など出来なかった
甲斐は目の前の調を抱きしめ返し、その背に少しだけ強く己の両手を回すと、静かに涙を流す
声を押し殺して泣く彼の頭を調は優しく撫でて、切歌はその背中を強くぎゅっと抱きしめた
切歌と調は、ただ彼が落ち着くまで、ずっと彼を支え続けた
そんな三人を、空にある太陽が静かに照らしていた―――
響と未来は家族絡みで出かけてるときグールギラスに踏まれたか火球に巻き込まれて死にました
ウチの別作品では元気に活躍してますが、こっちでは死んでいただきました
是非もないネ(無慈悲
あと文字に点のルビ振るやつ最高にめんどくさかったのでたぶん今後やりません