と思ってたら、一日でお気に入り20って!!?
ありがとうございます!!
美嘉の出身地を間違ってた!!!埼玉に修正しました!!!
『今日はなんと!いま世界中で大人気の正体不明アイドル・SENKAさんに来てもらっています!!ファンの一人である私が今回、SENKAファンの代表として!今まで隠されてきたその正体を暴くきっかけになれればと思っています。』
『あはははは、どうぞお手柔らかに』
『さてさてさてさてさてさてさてさて!!時間は有限、早速ですが質問に入りたいと思いますっ』
それは、今日のレッスンが終わって、久しぶりにお姉ちゃんと帰ろうと思って、お姉ちゃんのお仕事が終わるまでの暇つぶしとしてみりあちゃんと一緒にソファーに座ってテレビをつけた時のことだった。
そこには大人の魅力を出し過ぎず押さえつけ過ぎない、なんか完璧に女の魅力を引き出している、たぶんテレビのアナウンサーさんがいて、その隣にメチャクチャかわいいライオンの仮面を被った、さらさらした白い長髪の、少し汚れてるロングコートを着た若い女の人?がいた。
なんだろう、服は汚れてるのに、綺麗な白い長髪がそれを補って、どこか儚げで幻想的?って感じで目を奪われた。仮面なんて被ってることを忘れるくらいに。
「あっ!SENKAだ!」
「知ってるの?みりあちゃん」
「えっ!?莉嘉ちゃん知らないの!?」
みりあちゃんがすごく驚いた顔をしてる、そんなに有名な人なのかな?
なんかお面付けてるけど。
「今すごい人気のアイドルなんだよ!」
「ん~~、やっぱわかんない」
「ずっと海外の紛争地帯?で活動しててね、つい最近日本に来たんだよ!」
「紛争地帯!?アイドルが!?どういうこと!?」
紛争地帯ってあれだよね、戦争が起こってるんだよね?
何してるのこの人っ。こわくないのっ!
驚きすぎて思ったよりも声が出てたみたいで、「どうしたの?」「レッスン終わりに、子供は元気だね......」といった声がする。
大声を出してしまったことに「ごめんごめん」と謝りつつ私の視線はテレビに向いていた。
不思議と、どうしても、その人から視線を外すことができなかった。
『まず、挨拶をした時から気になっていたのですが、すごく流暢な日本語ですね。独学で勉強されたのですか?』
『あー、そうですね。独学と言えば独学ですけど、勉強したというよりかは、
『思い出した?』
『えぇ、僕は元々、
『えっ!?』
「「「「「えっ!?」」」」」
うわっびっくりした~
いつの間にかソファーの周りを囲むように他のシンデレラプロジェクトのみんなが立っていて一斉に声を上げた。
「も~、びっくりしたじゃんか!」
そう怒ってもみんな食い入るようにテレビを見ている。
どうやら、みんなにアタシの声は全く持って届いていないみたい。
これ以上はなんだか言うだけ無駄なような気がしたのでおとなしくすることにする。
まったくもう。しょうがないんだから☆
『に、日本人だったんですか!?』
『はい、日本生まれの埼玉育ちですよ』
へぇ~、アタシと同じだ~。
『埼玉と言えば、今人気絶頂中の城ケ崎美嘉さんの出身地でもありますね。どこか運命的な何かを感じます!』
『......そう、ですね。』
今の間は何だろう。
『ではでは、まだまだ質問があるのでじゃんじゃん聞いていきましょう。SENKAさんの声、というか、体型や身長もそうですけど、とても中性的でファンの間ではSENKA七不思議の一つとして今もなお『僕っ娘派VS男の娘派』による壮絶な議論が水面下で行われていますが、実際は、どうなのでしょうか』
うわー、ずばっと聞いちゃうんだこのアナウンサーさん。勇気あるなー。
確かに声は中性的で判断できないし、体型はすらっとして胸が出ている訳でもない。身長だってアナウンサーさんよりも低い。
『とりあえず僕の七不思議っていうのがすごく気になりますけど、後で調べておくとして。僕の性別は、男ですよ。』
『ほほう!なるほど男の娘、ということですね。』
『?なんだか気になる表現ですけど、正真正銘男の子ですよ』
『~~~~っ!!』
なんで急に悶え始めてるんだろ、アナウンサーさん。
そんなに男の子ってわかってうれしかったのかな?
『大丈夫ですか?』
『だ、大丈夫です。それよりも質問を続けましょう』
この人プロだなー。
SENKAさん、じゃなくてSENKAくん、たぶん仮面の下で苦笑してるよ。
『こほん。では次の質問ですけど、ズバリッおいくつなんですか?』
『ぴちぴちの17歳です』
ズバッと聞かれてスパッと答えた。
『ほうっ!』
『年はどうしてもこの身長の所為でいつも少なく見られちゃうんですよ。』
『私の身長が167なのですが、私よりも低いですもんね』
『ぐっ』
あ、気にしてるんだ。
『あー、フィジカルに関してはここまでにしておきましょうか?』
『お願いします』
意外と繊細?
『ではでは!SENKAさんがSENKAくんだということが分かったことですし、そういった方面での質問に!』
『え?』
『好みの女の子のタイプは?』
『え、えーと...』
おおぉ!気になる気になる!
ファンではないけど男の子の恋バナなんて聞いたことないからすごい興味ある!!
『ん~、そうですねぇ。人生楽しく生きている人、ですかね』
『ほほほう!!他にはどういった人が?』
『いえ、これだけですかね』
『おや、意外と少ないんですね』
確かに。もう少しあるのかと思ってた。
『そうですか?見た目とかは別に興味ないからですかね』
『ふむ。異性を外見でもなく内面でもなく生き方で好きになる、と。なかなか珍しいですね。これまでに恋をされた経験は?』
『あります....よ?』
『??曖昧なお返事ですね...』
『僕、異性というものをあまり意識しないので』
『女性とは下心なくお付き合いができるというわけですねっ!私そういう人好きですっ。あっ、重要なことに気が向きすぎて他のことを聞きそびれてしまうところでした』
『??』
『誕生日はいつですか?』
『11月の12日です』
お姉ちゃんとおんなじだ。
『利き手はどちらですか?』
『両利きですけど、主に左を使います。』
アタシたち姉妹も左利き。お兄ちゃんは右だった。
『血液型は?』
『B型です。』
流石に血液型まではかぶらないかぁ。
『スリーサイズは?』
『あぁ、そういえば測ったことないですね。すみません、わかりません』
『ちっ』
『??』
男のアイドルの人ってスリーサイズとか測らないんだ!?
ていうか、今アナウンサーの人舌打ちしたよね?そんなに知りたかったのかな?
『趣味はなんですか?』
『おしゃべりと余計なおせっかいです』
おばあちゃんみたい...
『特技は?』
『一度やった事は完璧にできること、ですかね。』
すごっ!!
そこから、ある程度質問できて満足したのか、質問が少し変わった。
『いつも仮面に付けているそのライオンのシールは何ですか?』
『昔、家族からくすねたシールを、お守り代わりに付けてるんです』
あ、かわいい!!!欲しい!!
『今日、その仮面をつけてきたのは何か理由があってですか?』
『これといって特にないです。勘を頼りに掴んだのがこれだったんです。』
そう!ずっと気になってたのそれ!!
そっちの仮面も欲しい!!どこに売ってるのっ!
『今まで紛争地帯で活躍していましたが、何故今回この日本に来日されたんですか?』
『実は、僕の後釜を探しているんです』
『!?』
あとがま?SENKAくんの?
『それは、もしかして、アイドルを...辞める、ということでしょうか?』
『.....はい。』
やめちゃうんだ。この人。
『アイドルって言うのは、ファンの皆さんに夢を届けるのがお仕事です。だからこそファンの皆さんの応援に応え続けなければいけません。........けれど、僕はもう、ファンの皆さんに、夢を届けることが出来なくなります』
後半につれてSENKAくんの声が弱くなって震え始めた。
『それは、何故ですか?』
質問をするアナウンサーさんの目も真剣味を帯びている。
『子供の頃からの、夢でした。『この世界の全てを目に焼きつける』そんなバカげてると言われる夢を追って、十年前、七歳の時に、日本を飛び出しました。そこからの生活は日本とは比べ物にならないくらいに過酷でした。お金もない。家もない。言葉もわからない。日に日に痩せていって、そこでは乞食の真似事をして命を繋いでいました。けれど、そんな生活が僕にとっては、堪らなく充実していました。生きている。それを強く感じられたから。』
『............。』
周りのみんなも集中して続きを待っている。
『日本を飛び出してから、2年と3か月くらいたった頃ですかね。初めて、戦争を体験しました。そこはいつも人が死んでいました。共に過ごした友人が。幸せだった両親が。自分を思ってくれる兄弟が。支えあった姉妹が。......隣にいた、恋人が。死んでいきました。鳴りやむことのない銃弾に、鼓膜を震わせる爆発音、鼻を刺激する腐った死体の臭い。 そこでは、それが日常で、それが平常でした』
..................。
『そして、戦争を体験してからの僕は、世界を回る際には必ず、紛争地帯に赴きました。そこでは、いつも誰かが死にます。けれど、その現状に、生きることを諦めない人がいました。死んでいった人たちの思いを胸に抱いて、絶望した人たちに、夢を届けていました。まるで、日本でいうところの、アイドルみたいに。そんな人たちを見て、僕は彼女たちのファンになりました。そこから、なにか自分にも手伝えることはないかと試行錯誤して、行き着いた答えが後の新しい夢になった『アイドル』でした。』
『アイドル』に憧れてなった『アイドル』。彼に夢を与えた『アイドル』はどんな人なんだろう。
『.........話が脱線し過ぎましたね。すみません』
『いえ、貴重なお話をありがとうございます。』
正体不明アイドルの過去、そしてアイドルとなった理由、今まで隠してきたそれを聞けたんだから、それは確かに、貴重だよね。
『僕が今回、アイドルを辞める理由は、至極単純ですよ。もう、身体が言うことをきかなくなって来てるんです。』
『っ!?』
言うことを、きかない?
『身体的不調、それだけじゃないんです。僕の舌はもう味を感じなくなって、視力も落ちて、聴覚だって、聞くことに集中しないと聞き取れない程に弱くなりました。』
『それは、病気で、ですか?』
『いいえ、寿命です。』
『っ!!?そんなっ!まだ17歳じゃないですか!どう考えたって早すぎます!』
『負担ばかり、掛けてきましたからね』
そう言って、さらさらした白髪を指で撫でる。
『あと、今回日本に帰国した理由の一つに観光もあります』
『観光?』
『夢を追いかけてた頃や、お仕事で南極から北極、果ての果てまで世界を見て回った僕ですけど、唯一この日本だけは、未だに見て回ったことがないんです。だから、三か月後に渋谷で開くライブまでには日本全国を半分くらい見て回ろうかなと思ってます。先ずは北海道からですね』
『なんで、そんなに平然としていられるんですか?死ぬのが...怖くないんですか?』
『怖いですよ。怖くないわけがない。薄れていく五感に、言うことを聞かなくなっていく身体。死、というものをこれでもかというくらいにいつも感じさせられる。けどね、僕を応援してくれるファンたちに、そんなとこは見せられないんですよ。怖くても苦しくても泣きたくても
『家族の方は、いったいどうされるんですか?十年間も音沙汰なかった我が子のこんな現実...受け入れるなんて、親からすれば不可能ですよ。』
『.....................。旅に出てから十年間、一度も連絡したことはありません。帰る理由を作りたくなかったので。......嫌われて、勘当される覚悟はできてるつもりです。姉の誕生日を台無しにして、妹との約束を破って、今更受け入れてもらおうとは思ってません。自業自得ですけどね』
『会われるつもりは、ないんですか?』
『はい。ありません』
キュッとコートの袖を掴むSENKAは、世界一のアイドルというより、一人の少年にしか、見えなかった。
本当の意味で最後になるかもしれない観光が産まれ育った国になる
ねぇ、神様、彼SENKAが何か悪いことをしたんですか?
なんでこんな罰を彼に与えるんですか?
気づけば、インタビューどころか番組自体も終わって周りにいたみんなは既に帰っていたようで、隣にいたのはみりあちゃんじゃなくて、お姉ちゃんだった。
「帰ろっか、莉嘉」
「......うん。」
『僕はやると決めたことは死ぬまでやり続ける』
昔、お兄ちゃんが言っていた言葉と、昔無くしたお気に入りのプレミアライオンデコシールが頭の隅をよぎった気がした。