音葉さん、音楽用語使ってません。
キャラの特徴が上手く書けませんでした。
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今私は、迷っています。
今日は何故か、ふと夜中の森林浴とはどんなものなのか気になってしまい、その衝動を抑えられず森に来たのはいいんですが、その森の少し開けた場所の落ち葉の上に長い白髪の少女が寝転がっていました。
それだけならまだよかったのですが、こんな時間にこんな場所にいることを不審に思い、観察し始めてから二十分は経過しているのに、先程からピクリとも動かないのです。暗くてよく見えませんが...まさか、死んでいるのでしょうか?
どうしましょう。私の頭はパンク寸前です。
いつもは静かな時は何も見えないはずの音が、今は何故か急かすように奏でられているのです。わけがわかりません。
「やっぱり、こういう所で見る星ってさ、綺麗だよね。
そう思わない?おねえさん。」
!!?
「!?どう...して。」
混乱していた私は、自分から少女に歩み寄っていることに気づけませんでした。
しかも、なんでしょう。彼の声は、グチャグチャで、めちゃくちゃで、今まで見たどんな不協和音よりも気持ち悪く感じます。まるで死んだ『音』を聞かされているよう。
「後ろから視線を感じたから、耳をすませていたらお姉さんの『音』が聞こえただけですよ。」
違う。そうじゃない...。そんなことを聞いているんじゃない。
そんなことを聞きたいんじゃない。
「...ずっと動かなかったので、死んでいるのかと...思いました...。」
これも違う。
「あー、変な心配掛けましたね。すみません。僕は見ての通り生きてますから安心してください。」
!?
体を起こし微笑みを向ける少女に、少女の声に、そして容姿に恐怖を覚えた。
先程までの気持ちの悪い声は一瞬で消え去り、今は視界を埋め尽くさんばかりに輝きが広がり、夏の涼やかな風を浴びているかのように透き通った爽快な気分になる。
...それが、怖かった。
しかも、それに追い打ちをかけるかのように、満月に照らされた少女の瞳は、酷く歪だった。
左目は振り返った際の顔の角度によって影が差し見えなかったが、唯一確認することのできた右目は、三等分され、それぞれが紅・蒼・鬱金。
「貴方は...なんですか...っ。」
どうにかして絞り出せた問いかけ。これだ、これを聞きたかった。
今までの人生の中でこんな不気味な声は初めてだった。そんな歪な目も初めてだ。
知りたい、この少女のことを。何故か不思議とそう、強く思った。
「僕はしがない旅人ですよ」
どうやら少女はこの北海道をスタートに、沖縄まで南下していき、出身地でもある埼玉をゴールにした日本四十七都道府県巡りの旅をしているらしいです。
まず。その見た目で日本人という事に驚かされました。
事故とストレスでそうなってしまったらしく、少女自身醜いと思っているようです。
予想だにしない少女との出会いでしたが、もうこれ以上目の前の少女といるのが怖くなってしまい、帰宅しようとしたところ。
「少し、話しませんか?」
何故だかその提案を断ることはできず、私は自然と少女の隣に腰を下ろしました。
「ありがとう。」
「...いえ。」
「やっぱり日本語で話せる相手がいると落ち着くよ。ずっと外国語ばかりだと精神的に疲れちゃうからさ」
「...帰国子女なのですか?」
「いや、違うよ。ちょっと数日前まで十年間ほど世界中を一人で旅してたんだよ」
「一人で...!?...十年前とは?...見た限りでは中学一年生の様ですが...」
「あははは、まぁそう見えるよね。こう見えても僕、16だよ?あと2か月で17になるんだー。旅に出たのは7歳の誕生日の時、つまり9年と10か月の間海外にいたわけ」
「...それでも若すぎる、と思いますが。...怖くはなかったんですか?...7歳なんて、まだまだご家族に甘えているような歳なのに。小学一年生ですよ?」
少女の口調は変わり、少女の思いもよらない経歴にいつもより口が動く。
「そりゃぁ怖かったよ。日本よりも遥かに危険に満ち満ちていて、誘拐されたり、売り飛ばされたり、死にかけたり、そんなこんなで十年間一度も連絡なんてできない生活と言っていいのかもわからない日々が続いて、家族にもいっぱい心配かけてるよ。」
「...なら...」
「でもさ?諦められなかったんだ。どうしても。諦めたくなかった。成し遂げたかった。それがみんなとの約束だったから。それが僕の生き甲斐だから。それが...夢だったから」
「...夢のために、そこまで......」
「『この世界の全てを目に焼き付ける』それが僕の夢だった。当たり前だけど7歳っていう若さでのそれはあまりにも無謀でさ。移動なんて歩きが殆どで、歩き疲れても休める場所なんて殆どなくて、子供一人で泊まれるような宿なんて皆無。野宿をすれば警官に捕まりそうになったり、肉食獣に襲われて病気に罹ったり。直すお金なんてないから自力でどうにかしないといけない。あの時は本当に子どもの自己治癒能力の高さに感謝したよ。」
「...助けてもらおう、とは思わなかったんですか?」
「確かにそれも一理あるよ。けど、家族という庇護下から去った僕が、誰かに庇護してもらおうだなんて虫が良すぎると思った。それに、助けてください、と近づいた相手が善人とは限らないんだよ。まぁ、僕は勘が良いからそういうのには敏感だったけど。」
「どうして、そこまでして夢を追い続けられたのですか?」
「さっきも言ったけど、約束でもあり、生き甲斐でもあるんだよ。昔にさ、今思えばほんの一瞬の様な短い間だけど、一緒に過ごした仲間たちがいたんだ。全員個性的な奴らばっかりでさ、馴れ合う事なんてできないもんだとおもってたら、一人の仲間があっという間に皆をまとめ上げちゃったんだ。もちろん僕も例外なく僕も巻き込まれた。その時だったよ。大切な親友二人と出会ったのは。一人は地上に縛られていながら病的なくらいに空に恋をして、いつも空を見上げて首を痛めてたよ。もう一人は、他人のために自分を切り捨て続けた大馬鹿野郎でさ、僕に夢を託して別れたんだ。『俺には見れない世界の話を聞かせてくれ、そしていつか、案内してくれ』って、それっきり二人とは会ってないんだ」
「凄まじい、人生ですね...。」
「そう?こんなしんみりした話よりもさ、おねえさんの話を聞かせてよ」
「私の...?」
「うん。なんでこんな夜遅くにこんな森に来たのか、とかさ」
「今日はいつもの様に、ピアノの練習を終えて眠るつもりでした...。けれど、その時、森に呼ばれたんです...
。」
「森に?」
「はい...。」
本当のことです。森から来た風から、そういう音が見えたんです。
この少女も、他の人たちと同じ様に、私をおかしいと言うのでしょうか?
「おねえさん...」
ああ、この人もなんですね。大丈夫、言われ慣れました。
「まるでエルフみたいだね」
「よく言われま...え?」
「え、こういうたとえってよく言われるの?」
「いえ、そうではなくどうしてそう思ったのかと」
「ん?いやさ、共感覚を持ってるっていっても、そこまで的確に読み取れる人なんて世界におねえさん含めて片手の指で数え切れる程度しかいないよ?世界中を旅した僕が言うんだから間違いない」
「おかしいとは、思わないのですか...?」
「おもわない。」
即答です。
「そういうこと。言われ続けてきたの?」
「はい...。しょうがないんです。私は他の人たちとは違いますから...。」
「.........。」
「...?」
「こういうの自分の悪い癖だって分かってるけど、やめる気ないから言わせてもらうよ」
「...??」
「おねえさんのそれは、共感覚を理由に他人から逃げてるだけの、最低な行為だよ。別に逃げることが悪いとは言ってる訳じゃない。誰しも逃げたくなる時は必ずある。けどね、そのことに、その程度のことに、自分を理由に使うな。それはおねえさん自身を否定する行為だ。僕が今まで見てきた人の中でおねえさんと同じことをした人たちは、ほとんど皆が他人との関わりを断絶して、苦しんでた。」
「.........。」
「実はさ。僕も共感覚を持ってるんだ。」
「!?」
この少女も、私と同じ?
「おねえさんは全てのものが『音』として見えるみたいだけど。僕はさ、人の『感情』が五感に刺激を与えてくるんだよ」
人の、感情が?
「さっき言った他人との関わりを断絶した人たちの感情はさ、真っ黒でぐちゃぐちゃで、吐き気を誘う異臭がして、不協和音を響かせて、今まで食べてきたなによりもまずくて、肌を気持ち悪く撫で上げてきた。おねえさんがしょうがない、そう言った時久しぶりに体験したよ、それ。」
私は、逃げていたのでしょうか...
理解されなかったから、理解しようとしなかったのでしょうか?
けれど。たとえ、そうだとしても...
「たとえそうだとしても、貴方に言われる覚えは...ありません。私は自分の共感覚を受け入れていますし、他人にどう思われようと関係ありません...」
「そりゃそうだ、僕はおねえさんのことなんて、何も知らない。受け入れているならどう仕様もない。開き直ってるならどうにもできない」
「だったら...。」
「けど、けどね。逃げ続けた人たちの末路を、僕は知っている。彼らが死んでいった時のことを、僕は知っている。彼らが最後に遺した感情を、僕は体験してる。耐えがたいほどの苦痛を、僕は覚えてる。」
そう言って私を見据える目の前の少女。
月に照らされたその顔、閉ざされた瞳から雫が零れ落ちる。
「!?」
「あぁ、全くもう、ほんと面倒だなこれ。思い出す度にこうじゃ、身体が幾つあっても足りないよ」
「何故、私にそこまで関わろうとするんですか...」
今日が初対面で、何の関係もないあなたは、なんで私にそこまで関わろうとするんですか?
私の問いに、涙を拭って答えた少女の言葉に、私は困惑しました。
「...『迷える子羊の斜め後ろでバレない様に地図を広げろ』」
「.........は?」
「迷ってる奴に必要なのは、導いてくれる存在でも、道を教えてくれる誰かでも、先を示す光でもない、寧ろそういうのは子羊にとって成長の妨げにしかならない。」
「そう、でしょうか」
迷っている人を導くことも、道を教えることも、先を示す光だって、その人にとっての助けになるはずです。
妨げなんて、なるわけがありません。
「そう、なんだよ。お馬鹿さん。」
「!?...滅茶苦茶な自論を掲げるあなたに言われたくありません。」
「おねえさんはさ、これまでの人生、誰の命令通りに生きてきたの?」
「命令?」
何を言っているんでしょう。これまでの自分の人生、誰かに命令され続けた覚えはありません。
「さしずめ、『音楽さえ出来ればそれでいい』とか言われたことあるんじゃないの?それはさ、つまり導いてもらって、道を教えてもらって、先を示してもらってるんだよ。」
「それがなんですか...。別にいいじゃないですか」
「いいや駄目だ。」
「何が駄目だって言うんですか!!?」
我慢できず、大声で叫んでしまいました。
「それの所為で、おねえさんの才能が埋もれていくからだよ」
「私の...才能?」
「僕の裏面を覗ける程の共感覚に、聞いているだけで癒される凛とした透き通る声。目を引き付ける容姿に独特の雰囲気。もったいないんだよ。その才能が輝いていないだなんて。」
才能が、輝いていない?
この少女はいったい私に何を伝えたいんでしょう。まるでわかりません。
「おねえさん、もっと輝きたい、って思わない?」
もっと、輝ける?
「もっと、人と関わりたいと、思わない?」
私をおかしいと笑ったあの人たちと?
「おねえさんを笑わない人たちと、だよ」
私を笑わない?
「おねえさんを受け入れてくれる人たちと、輝きたくない?」
そんな、そんな場所があるなら、私は、私...は
「私は、
」
結局、答えなんて出ず、気づけば、日の出とともに、少女はいなくなっていた。
あの少女は、迷える
地図だけ見せて、去って行った。
その地図をじっくり見ることなんてできなかった。思い出そうとしても、ちらっと見た地図を鮮明に思い出すことなんて、私にはできない。
彼が言っていた、私の頭にこびりついたあの言葉
『迷える子羊に地図を見せろ』
それを思い出すと、自分で探せ、そう言われているかのように思った。
最近美嘉の出身地を間違えていることが発覚!!
凄く恥ずかしかったです。
次は青森、誰にしようかな。