君には世界がどう見える?   作:抹茶スフレ

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青森入る前にちょっとした小話。


小話01。

 

 

 

 

 共感覚のおねえさんに別れを告げず、夜が明ける前にあの場を立ち去った僕は、どうしてもレンタルバイク屋さんの夫婦に一言御礼を言っておきたいと思い、目的地に向けてバイクを走らせた。

 こんな立派なバイクを無償で頂いておきながらちゃんとした御礼を返さないのは、人としてやってはいけないことだ。

 

 

 夜遅く、ていうかもう朝みたいなもんだけど、できれば直接御礼を言いたい。

 ......けどやっぱり起こすのは悪いし、せめて書置きとかを残そうかな。

 

 

 御礼の品でも置いていこうとも思ったけど、そもそもこの時間帯に開いてる店なんてコンビニくらいしかない。

 

 

 そんなこんなでレンタルバイク屋さんに着いた僕は、バイクを下りて、店に向かう。

 最終的に御礼の品として、今出せるものから選んだのは、僕が実際に使ったことのある仮面。売ればそこそこの値段が付くと思う。元々の仮面本来の価値もかなり高値が付くだろうけど、なによりこの仮面を僕がつけていた、という事に気付くファンたちが更に値段を上げてくれるはずだ。

 昔、ある慈善団体に懇願されて譲った仮面が強盗に盗まれたときなんて、裏市場のオークションの競りに出され、本来600万円の仮面の価値が二億円にまで跳ね上がっていたものだから、あの時の驚きは今でも頭から離れない。

 その仮面はちゃんと僕が競り落として今は厳重警備の美術館に保管されている。

 

 

 閑話休題。

 

 

 昨日、別れ際に感じたあの違和感。

 あぁ、そうか。あの時あの夫婦が泣いていたのは気の所為でもなんでもなかったんだ......

 

 

 取り合えず、こんな大恩を受けておきながら御礼を返さないなんていう選択肢は僕にはない。かといってあの夫婦のことは何も知らない。

 しょうがない、()()()()に頼んでみようかな。

 と言っても僕は連絡手段がない。

 ま、勘を頼りに動き回れば、見つかるかな。

 

 

 僕は酷く、いや、寧ろ酷過ぎるくらいに勘が良い。今までこの勘のおかげで助けられてきた。今回も勘に頼ろう。ただでさえ今の僕は目が見えにくくて音が聞こえずらい。ここまで来れたのも、共感覚のおねえさんに気付けたのも、その後の会話も、全部勘で答えていた。

 

 

 とにかく。

 勘でバイクまで戻り、勘でバイクを操作して、勘で走らせる。

 次の目的地は、青森かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千嘉が去ったレンタルバイク屋のシャッターに、一枚の紙が、張り付けられていた。

 

 

 

 

 

『諸事情により、本日をもって営業停止となりました。』

 

 

 

 

 

 闇金によって借金が膨れ上がった夫婦が、揃って夜逃げしたことに近所の住人が気付いたのは、それから少し経った頃のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公が頼った『市原さん』いったい誰なんでしょうね~~。

『小池の団栗』さん、☆3、及び初評価ありがとうございます!
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