暗殺教室~君のために義を貫く~   作:緋色の焔

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原作の話なのにオリジナル要素が強い。

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分かりにくかったので戦闘描写を改訂。


11弾 体育の時間・ナイフ編

 ある晴れた日の昼休みの事だ。

 雲1つ無くどこまでも澄み切った青空の下、5時限目に体育があるため昼食後に体操着へと着替えた俺は、杉野と共に校庭へ出てキャッチボールをしている。

 そんな俺達を渚やあかりなど数人の生徒が体操着姿で眺めていた。

 

「よーし、そろそろ肩も温まってきたから座ってくれ」

「おう」

 

 その言葉に頷き膝を曲げて座った俺は、焦げ茶色のキャッチャーミットを嵌めた左手を前に出して構えると、左足を上げて投球フォームに入っていた杉野は前方に踏み込みながら右腕を鞭のようにしならせて白球を投げ込んできた。

 右から左へと大きな弧を描きながら飛んでくるボールを、俺は後ろへ逸らさないように何とかミットで捕球する。

 一方、大きく変化する杉野のボールを見ていた皆は「おお!」と興奮したような声を上げていた。

 

「相変わらずスゴい曲がるな。お前の変化球」

 

 捕球したボールを投げ返しながら杉野に声を掛けてやれば、杉野は嬉しそうに笑いながら球をキャッチする。

 

「だろ! まあ、殺せんせーが居なかったら変化球を投げようなんて思わなかったけどな」

 

 数日前、元野球部の杉野は対先生弾を埋め込んだ野球ボールを投げて殺せんせーを暗殺しようとしたが、結局は球が遅く失敗してしまい落ち込んでいた杉野に対して、「筋肉の配列が悪くどれだけ努力しても速球は投げられませんが、肘や手首は柔らかいので鍛えてみてはどうでしょう」と触手で筋肉配列を調べた殺せんせーが伝えたのである。

 その言葉を切っ掛けに杉野は数日前から変化球の練習を始めたのだ。

 

「そういや杉野、野球は続けるって話だったけど、どこで続けるつもりなんだ?」

「ああそれか。実は来月のGW(ゴールデンウィーク)に市のクラブチームの入団テストを受けようと思ってるんだよ。その入団テストに俺が受かるように変化球の練習しようと思うんだが、練習に付き合ってくれるか?」

「ああ、別に構わないぞ」

 

 何しろお前は俺の数少ない友達の1人だからな。

 それに俺が転校した時に素っ気ない態度しか取れないのに、お前は何度も話し掛けてくれた借りもある。

 そして遠山家の家訓には『借りは忘れるな、貸しは忘れろ』ってあるから、あの時受けた借りを今返さないでいつ返せと言うんだ。

 

「じゃあ遠山、次の球行くぞ」

「よし来い」

 

 そんなワケでしばらく杉野の練習に付き合っていると、「バッターがいた方が実戦的で練習にはちょうど良いだろ?」と練習を見ていた前原がバットを持って言ったため、岡島や木村など数人の男子がバッターとして杉野の変化球を打とうとしていたが、鋭く変化する球の前では手も足も出なかったのか全員空振りしていた。

 

「これじゃ練習にならねーよ」

 

 空振りばかりする皆に対して杉野がそう言ったため、次は俺がバッターやろうかと提案してみたところ快く承諾してきた。

 ミットを外して立ち上がると渚が手を伸ばしてきたから、ミットを渚に渡すと俺はバットを持って杉野の前に構えた。

 そんな俺に向かって──

 

「他の皆が三振しててもキンジ君なら打てるよ」

「ファイトだよ! 遠山君!」

「三振ばかり見るの飽きたからいい加減打っちゃってよ。遠山」

「かっ飛ばせー! 遠山」

「いけいけ、とーくん! おせおせ、とーくん!」

 

 あかり、矢田、速水、岡野、倉橋が声援を送ってきた。

 

(試合じゃないのに声援を送られても困るのだが……)

 

 そう思いながら取り敢えず初球は見送る。

 内角低めか、良いボールだな。と思ったのも束の間。

 

「うわっ⁉」

 

 渚が杉野の変化球を受け損ねて後ろへ逸らしていた。

 ああ、やっぱり慣れてない人間だと杉野の変化球を受けるのはキツいか。

 そんな事を思っていると渚が後ろへ逸らしたボールを拾って戻ってきた。

 

「初めてこの位置で杉野の変化球見たけど、あんなに曲がるんだね」

「お陰で受ける方も大変だよ」

「うん。今ならその言葉よく分かるよ」

 

 渚とそんな会話をしながら杉野が2球目を投げてきた。

 狙いは……外角低め!

 それを読んだ俺はバットを振った。

 カキーン! 

 良い当たりをしてたからヒットかと思ったが、俺が打ったボールはファウル方向へと転がっていった。その様子にあかり達は「ああ……」と落胆していたが、男子は「おお!」と興奮していた。

 そんな皆の反応に対して変化球を打たれた杉野本人は、少し嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 

「さすがだなッ、遠山!」

「次はヒットを打ってやるよ」

「そこはホームランって言う場所だろ!」

「あまり自分のバッティングに自信を持ってないからヒットで良いんだよ」

 

 そう答えながらバットを構えると、杉野は今日一番のボールを投げようとした瞬間。

 

「ねぇ皆、盛り上がってるけど何をしてるの?」

 

 そう言って神崎がやって来た。

 その神崎の声を聞いた杉野は「あ!」と言ったため、目を向けると先程の杉野からは考えられないほどの大暴投。

 

「おぉい! 何やってんだお前は⁉」

「わ、悪い」

 

 謝罪する杉野の声を聞きながらボールの行方を目で追うと──パリーン!

 教員室の窓を割って中に入っていった。

 

「「「…………」」」

 

 波紋1つ無い水面のような静寂が辺りを包んでいると、昔のマンガに登場するカミナリ親父のような恰好をした殺せんせーが、赤い顔で窓を開けて叫んだ。

 

「コラー! 旧校舎(ウチ)の窓をボールで割ったのは誰だ!」

 

 殺せんせーの言葉に俺達は一斉に杉野を指差す。

 するとそれを見た殺せんせー改め殺オヤジは一瞬で外に出てくると、杉野の前に移動した。

 

「また君か! 今度という今度は親に言い付けてやる!」

「またって何だ⁉ またって⁉ そもそも学校の窓を割ったのは今日が初めてだぞ!」

 

 そう言った杉野の言葉に殺オヤジは口調と恰好を殺せんせーに戻し、再び杉野に対して口を開いた。

 

「その言い方だと他の家の窓は割った事があるみたいに聞こえるのですが……」

「小学生の時に2回ぐらいな。で、何だよ。窓を割った事ならゴメン。手が滑ったんだ」

「ああ、誤るなら別に良いんです。割った窓も先生が直すので心配しないでください。それからこれは返しますが、今後はこのような事が無いように」

 

 そう言って殺せんせーはボールを返しながら、杉野の耳許でボソボソと何かを呟いた。

 その瞬間、杉野は顔を赤くして殺せんせーを睨み付け──

 

「絶対それまでに殺してやる!」

 

 と、叫んだ。

 対する殺せんせーは顔を緑のシマシマに染めて杉野に視線を向けて。

 

「ヌルフフフ、殺せると良いですねぇ」

 

 そう言った。

 そのタイミングで──キーンコーン──昼休み終了のベルが鳴り響いたため、俺達は殺せんせーに道具を預けるとグラウンドに向かった。

 数分待っていると濃紺のスーツを着た男がやって来た。

 その男は俺達を見渡して欠席者がいない事を確認すると口を開く。

 

「昨日も伝えたと思うが改めて伝えよう。本日より君達の体育の授業しを受け持つ事になった烏間だ。よろしく頼む」

 

 そうなのだ。昨日からこの男──烏間改め烏間先生がE組の体育教師と副担任を務める事になったのである。

 理由は殺せんせーの監視、それと生徒達の暗殺技術指導と精神面のサポートだ。そんな理由でE組の副担任と体育教師を務める事になった烏間先生だが表向きはE組の担任になっているらしい。

 殺せんせーを担任として表に出すワケにはいかないからな。当の本人は世界中の空を超音速巡行で好き勝手に飛び回っているが。

 ちなみに烏間先生がE組の教師になったという旨を伝えにきた時の殺せんせーは、女子が花壇に植えて大切に育てた花をダメにしたお詫びとして、身動き出来ないように縄で縛られた状態で木に吊らさせるという『ハンディキャップ暗殺大会』を開催していた。

 もちろん殺せんせーは殺れなかったが、代わりに幾つかの弱点が判明したから良しとしよう。

 

「さて、早速授業を始めようと思うが、参考までに今までの体育の授業は何をしていたのか聞いても良いか?」

「数人は遠山に射撃を教わってましたが、ほとんどは体を動かしながら遊んでました」

 

 磯貝はバツか悪そうに烏間先生に言ったが、尋ねた本人は予想出来ていたのか遊んでいた理由に関しては問わず。

 

「遠山君、教えていたのは射撃だけか?」

「はい」

「そうか。ならば俺はナイフの振り方を教えよう。君達もナイフの用意をしてくれ」

 

 そう言った烏間先生は動きやすいようにジャケットを脱ぐと、白いワイシャツの袖を捲り上げて対先生ナイフを手に持った。

 

「ナイフには順手と逆手の2通りの持ち方があるが、今回は基本の順手に持ってくれ」

 

 烏間先生の指示通りに俺達はナイフを順手で握る。

 

「次は振り方を教えるが先に伝えておく事がある。これから君達に教えるのは軍人や自衛官が使うナイフ術だ。つまり()()()()()()()()を覚えるワケだが、決して人には使わないと約束してくれ」

「「「はい」」」

 

 殺人がどれだけ重罪か理解してる皆は間髪入れずに頷いた。

 

「良い返事だ。それではこれよりナイフ術を教える。まずは……」

 

 そう言って烏間先生はナイフ術の基礎から俺達に教えていく。

 

 

 

 そうして10分ほど烏間先生にナイフ術を教わった後、俺達は目の前に人間がいると想定した上で、その人間の首や脇の下など人体の急所を狙ってナイフを振っていた。

 

「「「イチ、ニイ、サン……」」」

 

 掛け声と共にナイフを振っていると、間延びするような殺せんせーの言葉が聞こえてきた。

 

「晴れた午後の運動場に響く掛け声、平和ですねぇ……生徒の武器(エモノ)が無ければですが」

 

 そんな事を言った殺せんせーの隣には烏間先生がいる。

 

「どんな体勢でもバランスを崩さず、八方向からナイフを正しく振れるように心掛けろ!」

 

 烏間先生が指導する声を聞きながら、左足を軸に右足を引いて体の向きを45度変えると、再び掛け声に合わせてナイフを振っていく。

 そうしながら皆がナイフを振る様子を眺めていると、めぼしい生徒が数人いる事に気付いた。

 まずは岡野ひなた、彼女は射撃があまり芳しくなかったのに、ナイフは思い切りがよく大胆な動きで振るえているため近接戦に優れている事が窺える。元体操部だという事を考慮すれば、将来的にはトリッキーな動きで相手を翻弄しながらナイフで仕留めるタイプになりそうだ。

 次に速水凛香、射撃が上手かったのは以前から知っていたが、ナイフの方も大胆に振るえているため戦闘能力その物が高そうだ。今は銃とナイフの扱いを覚えようとている段階だが、これに護身術程度の徒手格闘でも身に付けてしまえばE組切っての仕事人になるぞ。

 他にも磯貝や前原、杉野、片岡などがいるものの頭1つ抜けているのは岡野と速水の2人だけだ。

 そんな事を思いながら他にもめぼしい生徒はいないかと見渡していると、別の意味で目立ってる生徒がいた。矢田桃花である。

 なぜ彼女が目立ってるのか、それは彼女がナイフを振る度にたわわに実った2つの果実が、ふくよかな双丘が! 大きなおっぱいが‼ ゆさっ、ぷるんっ、ぽよんっ、弾けるように揺れているからだ

 ああ、なんて弾力があって柔らかそうな膨らみであろうか……って、違う! 何で俺は矢田の胸が揺れる光景をじっと見てるんだよ! ヒスるだろうが!

 慌てて俺は視線を逸らすとあかりを見付けた。彼女は矢田と違ってどれだけナイフを振ろうが地盤がしっかりしてるため何も起きていない。そもそも揺れる物が無……って、いかん!

 これ以上考えるとあかりに睨まれてしまう。

 そのため俺は視線を何も無い虚空に向けて淡々とナイフを振り続ける事にした。

 そうしてしばらくナイフを振っていると──

 

「そういや烏間先生、暗殺対象(ターゲット)が見てる前で訓練なんかして意味があるんスか?」

 

 すぐ近くで訓練中の俺達を見学している殺せんせーを見ながら、前原が烏間先生に問い掛けた。

 

「意味はある。なぜなら勉強も暗殺と同じで、基礎は身に付けるほど役に立つからだ」

「「「……?」」」

 

 俺は理解出来たが、周りの皆は理解出来なかったのか、頭に疑問符を浮かべていた。

 その様子に烏間先生は少し考えると口を開いた。

 

「……ふむ、そうだな。遠山君、磯貝君、前原君の3人は前に出てきてくれ」

 

 さすがに俺もこの言葉には疑問符を浮かべながら、磯貝達と共に前へ歩いていくと烏間先生が言った。

 

「遠山君は武偵だ。そして武偵にはナイフ術の心得もある。ゆえに磯貝君と前原君の2人は遠山君にナイフを当ててみてくれ」

 

(ああ、そういう事か)

 

 烏間先生が何を伝えようとしてるのかそれが分かった俺は、ナイフをしまって2人のナイフを捌く準備をしたが、当の2人は烏間先生の言葉に戸惑っていた。

 

「え、俺達2人がかりで攻撃しても良いんですか?」

「ああ、構わないな? 遠山君」

「はい。仮に対先生(その)ナイフに当たっても怪我しないし、そもそも当てられるとは思ってない」

 

 俺の言葉に2人は少しムッとした表情になる。

 

「そういう事だ。もし(かす)りでもすれば今日の授業は終わりで良い」

 

 烏間先生の言葉と同時に2人は互いに距離を取るとナイフを構える、俺はそんな2人から少しだけ移動するとナイフの間合いから外れた。

 その瞬間、磯貝は間合いを詰めるように俺の顔に目掛けてナイフを突き刺してきた。それを視線で読んでいた俺は最小限の動きだけで左に躱した。

 

「え……?」

 

 俺はナイフを避けられて呆けている磯貝を一瞥して口を開く。

 

「どうした? 殺す気で来ないと当たらないぞ」

 

 そう言ってやると前原は勢いよく俺の左肩に狙ってナイフを繰り出してきた。

 それに対して俺は左足を引いて躱すと、呆けていた磯貝が右足を刺そうとしてたため、俺は右手で磯貝の手を弾いた。

 視線を前原に戻すと、俺が磯貝を処理してる間に、前原は肘を曲げるようにして俺の顔面を横薙ぎにしてきた。

 それを俺は左手で前原がナイフを持つ右手を下から、バシッ! と上に叩き上げてやれば、顔面を横薙ぎするハズだったナイフは俺の頭上を通過していった。

 立て続けにナイフを捌かれた2人は俺から距離を取った。

 前原は俺の前方、磯貝は俺の後方、奇しくも2人は俺を前後で挟むように立っている。

 

「クソッ、俺達の攻撃を(ことごと)く捌きやがって!」

「落ち着け前原、まだ当たらないと決まったワケじゃない!」

 

 背後の磯貝はそう言いながら何やら前原に指示してると思った瞬間、いきなり前原が俺に目掛けて駆け出してきた、それと同時に背後の磯貝からも駆ける足音が聞こえてきた。

 そのため俺は素早く2人の距離を確かめると同時に、俺の体のどこを狙って攻撃してくるかも目線で確認する。狙いは俺の肩──前方の前原は左肩で後方の磯貝が右肩だ。それを確認した俺は攻撃が当たるギリギリまで引き付ける。

 そのまま攻撃を引き付けた俺はそろそろ当たるという瞬間、左足を軸に左旋回を始めた。すると肩を狙って繰り出してきたナイフは俺の体が真横を向いたことで、攻撃は肩に当たらず背中を通過していった。

 ナイフを躱した俺は旋回を続けながら、右手で前原を左手で磯貝を弾くと、クルリッ、ダンスのターンのように360度回り切った。

 傍目には左旋回した俺が2人の攻撃を捌きながら、その場で1回転したように見えるだろう。

 前後に分かれた同時攻撃も捌かれた事で2人は口を開けて呆然としている。

 そんな磯貝達と俺を見ていた烏間先生は静止の声を発した。

 

「それまで! 分かったか皆、多少の心得があれば素人のナイフくらい容易に捌ける。遠山君に当てられないようではマッハ20を誇る超生物に当てられるワケがない。それに見てみろ。今の攻防の間にヤツは砂場にバッキンガム宮殿を造った上に、着替えて淹れた紅茶を楽しんでいる」

 

 言われて砂場の殺せんせーに視線を向ければ、ニヤニヤ笑いながら純英国風スーツ姿で紅茶を飲んでいた。

 うわッ、腹立つッ!

 殺せんせーの様子に激しくイラついていると、烏間先生は呆けている磯貝と前原の肩を、軽く叩いて意識を戻しながら口を開く。

 

「良いか。クラス全員が遠山君、延いては俺にナイフを当てられるようになれば、確実に暗殺の成功率は上がる」

 

 そりゃそうだ。

 公安0課と並んでこの国最強の武装検事にナイフを当てられれば、殺せんせーを殺せる確率は格段に上がる。

 

「ナイフや射撃・狙撃など、暗殺に必要な様々な技術(スキル)の基礎を体育の時間を使って俺が教えてやろう」

 

 俺達を見渡していた烏間先生がそう語った瞬間、5時限目終了のベルが鳴り響いた。

 

「それでは今日の体育はこれまで、6時限目に間に合うように解散してくれ」

 

 こうして烏間先生初の体育の授業が終わったのである。

 そんな中、俺は磯貝と前原に声を掛けた。

 

「2人共、忘れ物だ」

「「忘れ物?」」

 

 怪訝な表情で振り返った2人に俺は()()()を差し出した。

 それを見た2人は驚いて自身の体を触り、ナイフが無い事に気付くと驚きの声を上げる。

 

「いつの間に盗ったんだ? 全然気付かなかったぞ」

「さっきの攻防の最後、俺の前後から同時攻撃してきただろ? あの時だ」

「あの時かよ⁉」

「ああ」

 

 そう、先程の攻防の最後に俺は遠山家の伝承技『ヰ筒取(いづつど)り』と『旋風(つむじ)』を使った。

 元々は他流が使っていた眼球や内臓を素手で抉り取る『鳶穿(とびうが)ち』というエグい技を、ご先祖様がパクって敵の携行武器をスリ取るように劣化・改変したのが『ヰ筒取り』という技だ。

 対して『旋風』の方は戦国時代に考案された伝承技で、元々は敵将が刀で斬りかかってきたのを旋回して躱したあとで斬るというカウンター技だ。

 要するに俺は『旋風』の動きで2人の攻撃を躱したあと、カウンターで『ヰ筒取り』を使用してナイフをスリ取ったワケだ。

 

「遠山、1つ聞いて良いか?」

「何だよ」

「最後って忍術か何かを使ったのか?」

「武偵は多くを語らない。つまり企業秘密だ」

 

 そう磯貝に言った俺は着替えるために教室へと戻る事にした。

 

 

 




戦闘描写が難しい。
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