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文章を一部添削。
「ありがとうございましたー」
4月末日の学校帰り、立ち寄っていたコンビニを後にした途端、先程買ったばかりのグミを袋の中から取り出したあかりは、様々な果物の写真がプリントされたパッケージを開けて一粒頬張った。
美味しそうな表情を浮かべてグミを味わうあかりを眺めていると──
「ん? キーちゃんも欲しいの?」
そうあかりが聞いてきた。
「要ら……」
ない。と言葉を続けようとしたが、あかりは俺が喋るため口を開いた瞬間を狙って、ポイッ、と口の中へグレープ味のグミを放り込んできた。
「美味しい?」
「まあまあ」
「そっか。で、別にグミが食べたいわけじゃないんでしょ?」
「分かってたなら食わすなよ」
「ゴメンゴメン、で、なんで私を見てたの?」
「あかりを見てたわけじゃなく、グミを見てたんだ」
「グミ?」
「ああ、それを見てるとこの前の理科を思い出してな」
「この前の理科……? ああ! あれか! 着色料を取り出す実験と偽って私達にお菓子を持ってこさせて、その実験が終了したと同時に私達からお菓子を奪った日の事だね」
「正確にはその翌日の事なんだが……さっきの偽ってとか奪ってとか他に言い方無かったのか」
「だって本当の事じゃん。地球を壊す生物が給料で生活するな……で、翌日の事って言うとはぐれ殺せんせー事件?」
その言葉に俺は頷く。
はぐれ殺せんせー事件とは、奥田が殺せんせーを毒殺するところから始まる。
始まると言っても別に奥田が殺せんせーに毒を飲ませたワケじゃなく、奥田が『毒です。飲んでください』と殺せんせーに言ったところ、殺せんせー自らが毒を飲んだのだが……まあ、この辺はどうでも良いから割愛する。
要するに毒を自作した奥田の腕を見込んで、殺せんせーは奥田に理論上1番効果のある毒を作ってこいと宿題を出した。
で、それを作った奥田は殺せんせーに渡して飲んでもらったのだが、実はその毒は殺せんせーの細胞を活性化させて流動性を増す薬だったため、殺せんせーの身体は液状に溶けてしまったのだ。スピードはそのままでな。
つまり、その状態の殺せんせーを俺達はドラクエシリーズに登場するモンスター・はぐれメタルから名前の一部を取ってはぐれ殺せんせーと称したのだ。
「あれは……大変だったね」
その時を思い出したあかりは苦笑いを浮かべる。
「今でこそ殺せんせーの身体は元に戻ってるが、正直殺せんせーがずっとあのままだとしたらどうしてた?」
「奥田さんをボコってた。ただでさえハードモードなのに更に難易度を上げるなって話だよ」
確かにその通りだな。
殺せないから殺せんせーなのに難易度が上がるのはヤメて欲しい。
「それよりキーちゃん。さっきコンビニで缶コーヒーとレジ横の保温庫に入ってたチキンしか買ってなかったけど、もしかしてサイフの中にお金無いの?」
「いや、この前の休日に姉さんの会社から迷子の猫探しの依頼を受けたから5万はあるぞ」
「そうなんだ……って、あれ? 猫探しで5万も貰えるの?」
「迷子になった猫が三毛猫のオスだからな」
「ああ、そういうこと。三毛猫のオスって数が少ないからね。自然と依頼料も高額になっちゃうんだ。でも、キーちゃんがそんな依頼を受けてたなんて私知らないよ」
「そりゃそうだ。何しろお前は倉橋と矢田の2人とスイーツ店巡りしてたからな」
「あの日か。そりゃ知らなくて当然だ。てかキーちゃん、スイーツじゃなくてスウィーツね。英語の綴りだって……」
そんなあかりの言葉聞きながら、俺は迷子の猫を探してた日の事を思い出す。
あかりが出掛けた後、俺も猫を探すために椚ハイムを出て椚ヶ丘市内を歩いていた時、偶然速水と会って一緒に猫を探す事になったんだよな。
ちなみにその事はあかりに話していない。何しろ昔から俺が女子と居るとなぜかあかりのヤツ不機嫌になるし。
そんな事を考えてると──
「ちょっとキーちゃん。折角英語を教えてるのにちゃんと聞いてるの」
「聞いてるって」
「じゃあスウィーツの綴りを言ってみてよ」
「S・W・E・E・T・S……だろ?」
「む、正解。分かってるなら次からは気を付けてよね」
「分かったよ」
とは言ったものの正直スウィーツでもスイーツでも、意味が伝わればどっちでも良いと思うが。
そう考えながら、帰り着いた椚ハイムの共有玄関をテンキーに暗証番号を入力して開け、豪奢なエントランスに入り、最上階直通のエレベーターに乗って20階まで昇る。
エレベーターが20階に着くと、俺とあかりは2001号室に向かった。
そしてその玄関の鍵を開け、扉を開いた瞬間。
「キ・ン・ジーっ!」
俺達を出迎えたのは、外着用の黒いキャミソールにレース生地でセクシーな黒いショーツ姿で、満面の笑みを浮かべて両腕を広げた──
「ね、姉さんッ⁉」
4月の頭に武偵庁からの依頼でイギリスに向かった、スラブ系金髪碧眼の美女・遠山イリーナだった。
扉を開けた俺を姉さんはその豊満な胸に抱き寄せると……
「ああ、1ヶ月ぶりのキンジ……私の可愛い弟……」
そう言いながら何度も何度も俺の頭を撫でてくる。
一方、頭を撫でられてる俺の顔面には、姉さんの原子力空母級のたわわな胸が密着してる。そのお陰でイランイランの花のようなエキゾチックで甘い芳醇な香りが俺の鼻腔をくすぐる。
なんて良いニオイなんだ、姉さんは。
あかり、速水、矢田の3人も良いニオイなんだが、姉さんの熟れた感じの甘い香りにはまだ敵わない。
その芳醇な香りと豊満な胸の感触に俺は──ドクッ!
体の中心・中央にヒステリア性の血流が集まってくる。
その時──ビキビキィ!
心臓の脈動と共に体の芯に集まっていた血流が、そんな不穏な音を聞き取った瞬間ピタッと一瞬だけ止まる。
性的興奮を契機に発現するヒステリアモードは、電気のスイッチみたいにオン・オフがカチッと切り替わるものでなく、じわじわと心身が変化してくるものであり、その変化の途中に何らかの横槍が入ると、『メザ・ヒステリア(命名・俺)』というヒステリアモードが甘くかかった『
で、その甘ヒス状態の俺は姉さんと示し合わせたように、バッ、と同時に離れた瞬間。
「何やってんだゴルァーッ‼」
決して女の子が上げちゃいけないタイプの声を巻き舌気味に発したあかりは、額と首筋に『K』と『I』の字形の血管を浮かび上がらせた状態で、先程まで俺と姉さんが密着していた場所に向かって──ブオンッ‼
拳が巻き起こす風で前髪が揺れるほどのアッパーを放ってきた。
(あっぶねぇッ‼)
あのアッパー、骨を砕きかねん勢いだったぞ。
そんなアッパーを俺と共に躱した姉さんは、不貞腐れたような表情であかりに言った。
「ちょっと、姉弟のスキンシップの邪魔をしないでくれる? って、あら? 髪の色染めちゃったの? あかり」
「わざとらしく話を逸らすな⁉」
「気になったから聞いただけじゃないの。で、なんでスキンシップの邪魔をしたのよ」
「当たり前でしょ。いくら姉弟とはいえ異性なんだから過度な接触はダメ!」
「別に良いじゃない。
「ウソつけ! そんなにベタベタしてたのリナ姉だけじゃん! それもキーちゃん限定で!」
そうなのだ。
昔から姉さんは俺に対してだけスキンシップが激しかったのである。
言葉が通じなかった頃からハグは日常的にされてたし、言葉を覚えて意思の疎通が図れるようになってからは、「キンジが大きくなったら私がお嫁さんになってあげる」とか言い出して、言葉が通じなかった頃以上にベタベタしてきた。
学校が休みの日なんかどこに行くにも常に一緒で1日中俺を抱き締めてたし、学校がある日は帰宅早々抱き着かれてたなぁ。
その頃の事を思い出していると、あかりが姉さんに物申した。
「てかリナ姉! いつまでもショーツを見せてないでスカートかなんか穿いてよ⁉」
「えー、別に良いじゃない。キンジには見られても平気だし」
「リナ姉は良くてもキーちゃんが困るの!」
姉さんの言葉に吠えたあかりはカバンに手を突っ込んで、マットブラックのベレッタ90-Towを取り出すと姉さんに向けた。
その瞬間──
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ⁉」
明らかに防御力の低い姉さんは慌てた感じで寝室に飛び込んだが、すぐに顔を覗かせると口を開いた。
「言うのが遅れたけど、ただいま」
その言葉に怒気を霧散させて頭を抱えたあかりと、呆れた感じで頭を左右に振った俺は口を開く。
「本当に言うのが遅いよ。姉さん」
「全くね」
「悪かったわね。で、私はさっきただいまって言ったんだけど……その返事は?」
姉さんの言葉に溜息を漏らしながら答える。
「「おかえり」」
俺とあかりが同時に言うと姉さんは笑顔を浮かべて、覗かせていた顔を引っ込めた。その様子にもう一度俺達は溜息を漏らした。
一旦、自室に向かった俺はブレザーを脱いだワイシャツ姿で、最近全く撃ってないマットシルバーのベレッタM92Fの整備を、リビングのソファに腰掛けてしていると、リビング・ダイニングの扉を開けて2人の女が入ってきた。
もちろん附属中の防弾セーラー服を着たあかりと、先程の恰好にショートパンツを穿いただけの姉さんだ。
相変わらず姉さんの恰好は露出が激しい、だがあれくらいは我慢しよう。
その姉さんはキッチンへ向かったが、あかりはコンビニで買ったパックのいちごオレを手に俺の左隣へと腰掛けてきた。
「……なぁ、なんでわざわざ
「どこに座ろうが私の勝手でしょ」
「まあ、そうなんだが……それにしても最近よく着てるな。附属中のセーラー服」
「動きやすい上に可愛いから最近私服にしてるんだ。それにキーちゃんはこの恰好の私の方が見慣れてるでしょ?」
「……まあな」
あかりから視線を逸らして答えた俺は、分解したベレッタの部品を一つ一つ状態を確かめながら点検していると、俺の右隣に冷蔵庫から取り出した缶ビールを手に姉さんが腰掛けた。
それに対して俺は何も言わない。
もう一度論破されるのがオチだからな。
そう思いながらベレッタの整備を続けていると、いちごオレを開けていたあかりが、缶ビールをカシュッと鳴らして開けた姉さんに問い掛けた。
「そういえばリナ姉が日本に居るってことは任務は達成出来たの?」
「当然でしょ。どんな事件だったかは守秘義務があって詳しくは言えないけどね」
そう答えた姉さんはビールを一口煽ると、思い出したようにピンク色の唇を開いた。
「あ、そうそう。忘れる前に言っとくけど明日から私も英語教師として椚ヶ丘中学校に通うからね」
「そうか」
「ふーん」
素っ気ない態度で答えた俺とあかりだが、数秒経って言葉の意味を理解した途端、慌てて姉さんに視線を向ける。
「姉さん! さっき何て言ったんだ⁉」
「だから明日から私も椚ヶ丘中学に通うって言ったのよ」
「なんでリナ姉が椚ヶ丘中に通うの⁉」
「それはね。今日の昼頃日本に帰国した私が武偵庁に任務達成のメールを送信すると、新しい依頼を受けて貰いたいから武偵庁に来るようにって返信が届いたから、行ってみると椚ヶ丘中学3年E組の担任を務める……」
「殺せんせー、もとい、超破壊生物の暗殺依頼を頼まれたわけか」
「ええ」
武偵庁がなぜ姉さんに依頼したのか分かる。
そんなもしもを考えていた俺がふと気付けば、姉さんの顔を見ながら自然と口を衝いて言葉が出てきた。
「姉さんが本当に俺の姉さんで良かったよ」
言った瞬間気付いた。
何、俺は恥ずかしい事を口走ってんだ!
慌てて言い訳しようとして姉さんに視線を向けると、当の姉さんは感激した様子で
「私もキンジが弟で本当に良かったわ!」
そう言って両腕を広げた姉さんは再び俺を抱き締めようとしてきたが……
「させるか!」
叫んだあかりは姉さんが広げた両腕の手を掴むと、手押し相撲のような体勢で姉さんを押し退けていく。
あかりに押し退けられた姉さんは当然俺に抱き着けなかったため、不貞腐れたような表情で頬を、ぷく、と膨らませた。
「
「さっき抱き着いてたからダメ! ていうか英語教師として学校に来るって言ってたけど、リナ姉って教員免許持ってたっけ?」
「武偵教育士の資格なら持ってるわよ」
武偵教育士とは
「リナ姉、椚ヶ丘中学は一般校だから、その資格を持ってても意味無いよ」
「その意味の無い資格でも、無いよりかは有る方がいくらかマシでしょ?」
「確かにそうだけど……」
姉さんの言葉にあかりは一応納得した様子だ。
「そんなわけで明日からよろしくね! それはそうと3年E組の生徒の事とか
「調べて無いのかよ」
「簡単な資料なら武偵庁から貰ったけど、この資料じゃ細かい部分は分からないのよ」
「そういう事だったら教えても良いけど……」
そう言ってあかりは窓に視線を向けると、夕陽に染まって暮れ始めた街を眺めながら言葉を続ける。
「まずは夕飯を食べる方が先かな」
それから久しぶりに姉さんの手料理を食べた俺とあかりは、夜が更けるまでE組の事を分かる範囲で教えたのである。
アンケート結果を発表。
問①のE組の生徒に実銃を持たせるかですが、全員じゃなく一部の生徒にだけ持たせます。(奥田とか持ってても撃てないしね)
問②のイリーナをヒロイン入りさせるかですが、将来的には分かりませんが現時点ではヒロイン入り決定!
問③の18禁小説は、作者の気分次第。
問④のヒロイン要望ですが、11弾や12弾を読めば分かりますが岡野をヒロインするか悩んでおります。