年下好きな早苗さんに義弟ができる話   作:かくてる

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一応早苗さんは私服です。

上半身
ベージュのニットワンピース、深緑のジャケットを肩にかける。
下半身
黒タイツ、白色のロングスカート。

白色のベレー帽


完全に私の性癖ですわ。
まぁ今は浴衣だけどね


12話 温泉

「っはぁ! 食べたぁ……」

 

 豪華なご飯を食べた私達は満足そうに腹を叩く。ここは料理すらも絶品だ。

 

「ほんとに、贅沢な旅館だね……」

「ほんとだよ……さて、梁くん?」

 

 ニヤリと口角を上げる。梁くんはあからさまに嫌な予感がしたような顔をした。

 

「ここってぇ、混浴温泉もあるらしいよ?」

「じゃあ姉さん、僕は男湯に入ってくるよ。また部屋でね」

「ちょちょちょ!」

 

 梁くんは何事も無かったかのようにこの部屋をあとにしようとしていた。私はそれを慌てて止める。

 せっかく混浴温泉宿に来たんだ。一緒に入りたいに決まってる。

 

「何? まさか一緒に入りたいなんて言わないでよね」

「ぐっ…………い、いいでしょ別に! 姉弟水入らずで……」

「…………じゃあ、変なことしない?」

「しません! 絶対に」

 

 ………………絶対は嘘かな。

 

「じゃあ、早く行こ、姉さん」

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

「広いなぁ……」

「しかも貸切だね。まぁ、今の時間帯はそうか」

 

 言い忘れていたが、今は午後11時。ご飯と雑談に花を咲かせすぎていつの間にかこんな時間になっていた。

 

「ふっふーん……」

「……えっ、ちょっと姉さん!? まだ脱がないでよ!」

「え、どうして?」

 

 私は早くお風呂に入りたい一心で私服を脱いでしまった。浴衣だから脱ぎやすいのだ。

 

「ど、どうしてって……」

 

 答えも出さないまま梁くんは後ろを向いて脱ぎ始めてしまった。「変なの」と呟きながら下着も脱ぎ、全裸になったところでタオルを巻いた。

 

「よしっ」

「姉さん。終わった?」

「終わったよー。もう、そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない」

 

 梁くんは私が着替え終わるまでずっと壁と睨めっこしていたらしい。

 

「いやいや、流石にまずいでしょ……これだから混浴は嫌なんだよ……」

「んもー! 早く行く!」

 

 ブツブツと文句を言う梁くんの腕を引っ張り、無理やり風呂に入れる。

 

「うわわっ…………もう……」

 

 こんな事をされても梁くんが怒らないのは、きっと梁くんも楽しんでいるからだ。さっきから満更でもなさそうな顔を浮かべているのはきっとそういうことだろう。

 

「……梁くん、背中流してあげようか」

「いや、いいです」

「そんなスッパリ断らなくても……」

 

 梁くんとお風呂に入ることなんてまず無かった。風呂掃除などで時々一緒になることはあるが、裸の付き合いはした事が無かった。

 

「んもー! 流させてよ!」

「…………わかったよ……じゃあお願い」

「えへへ……仕方ないなぁ……」

「姉さんからお願いしたのに……」

 

 梁くんの背中に回り、シャワーを流す。梁くんがいつも愛用しているボディタオルにソープを垂らし、泡立てながら、梁くんの背中を眺める。

 

「梁くん、やっぱり筋肉質だね」

「最近は霊夢さんとの修行が厳しくなってきたからね。基礎体力づくりから始めてるから」

「へぇー……」

「ひっ!? ね、姉さん!」

 

 私は人差し指で背骨をツーッと撫でる。やはり、筋肉質であるが、それよりも質感がスベスベだ。女の子なら誰しもが憧れるようなそんな綺麗な肌の持ち主だ。

 

「あ、ごめん。あまりにも触りたくなっちゃって」

「い、意味わかんない」

「はいはい! じゃあ、洗ってくね」

 

 そう言って、泡立てたボディタオルを梁くんの背中に付け、ゴシゴシと上下に洗っていく。

 

「痒いところはございませんかー?」

「全部」

「……え?」

「あぁいや、姉さん全然力入れてないでしょ。もう少し強くしてくれない?」

 

 確かにあまり力を入れていなかった。梁くんの肌を傷つけたくなくて、少し緩めてしまっていたそうだ。

 梁くんに言われ、私はこれの二倍ほど強い力でゴシゴシと、まるで御柱を磨くような力で洗った。

 

「どう?」

「んー、もう少し」

「もっと…………ふっ!」

 

 ぷにゅん……。

 

「ひぃ!?」

 

 力を入れすぎてしまったせいか、体が前かがみになってしまい、私の胸と梁くんの背中は完全に密着してしまっていた。

 

「……ね、姉さん。やっぱりいいや、もう少し弱くて……」

「やーだっ、梁くんが強くしてって言ったんだもん。男に二言はありません」

「む、胸! 胸当たってるから!」

「知ってるよー。わざと当ててるんだもん」

 

 わざとだ。お風呂ほど梁くんをからかえる場所はないだろう。梁くんが好きなのは私の胸だってもう知っているから。

 

「ねえさ……やめっ!」

「んふふー、気持ちいい?」

「はぁ……はぁ……ね、姉さん……」

 

 梁くんの顔は見えなかったが、耳まで真っ赤だ。それに、息が荒くなっているのが分かる。

 

「梁くーん?」

「〜〜〜っ! もういいよ! 自分の体洗いなよ!」

 

 梁くんは私からボディタオルを取り上げて、自分で洗い出してしまった。中途半端に終わってしまって少々不満だったが、これ以上梁くんをいじめると先程みたいに神奈子様にチクられる可能性があるので、手出し無用だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全身を洗い終えた私は体を流して温泉へと歩く。ここは全部が露天風呂なので、温泉の外にいるのは流石に寒い。

 

「ふぁあぁ……」

 

 全身が溶けてしまうかと思うほど、ここの温泉は心地が良かった。この寒さだからこそ、ここのお湯の温かさが身に染みるのだろう。

 

「最高……」

 

 日々の喧騒が、日々の疲れが全て洗い流されるようだ。全てを忘れてしまいそうなくらい、この温泉に没頭してしまいたい。

 

「あ、梁くん」

「ん?」

「梁くんはここっ」

 

 そう言って、私の隣を指さす。梁くんも最初は嫌そうな表情をしていたが、最終的には私の隣に来てくれていた。

 

「いい所だね……」

「ね……」

 

 上を見上げれば、真夜中ということもあって、星が良く見える。幻想郷と比べ、灯りがかなり少ないこの街は夜空が桁違いに綺麗だ。

 

「あ、流れ星」

「え、どこどこ?」

「もう無くなっちゃったよ……」

 

 恐らく、梁くんとお風呂に入れるのは、こういった機会だけだろう。日常的に一緒に入るのは、流石に無理だろう。梁くんだって男の子だ。11歳とはいえ、やはりダメなものがある。

 しかし、私は梁くんが好きだ。それが恋と呼べるかは分からない。曖昧な答えしか私には浮かんでこない。恋をしていると言われればそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

 だからこそ、こんなにも梁くんが愛おしいのだ。

 そっと梁くんに近寄り、頭を梁くんの肩に預けた。梁くんも最初はビクッと身体を震わせた。

 

「……っ! ね、姉さん……」

「このままでいい?」

「…………いいよ。今日くらいは」

 

 自分で言うのもなんだが、流石に断られるかと思った。確かに、いつものスキンシップよりは過激ではないが、今はお互い裸なのだ。バスタオル一枚越しだから、全てNGかと思いきや、梁くんは許してくれた。

 

「ね、梁くん」

「何?」

「乙島さんって子のこと。どうするの?」

 

 ずっと気になっていた。クリスマスのあの日、梁くんの前に現れた梁くんの赤髪の幼なじみ。

 

「梁くんの家族が殺されたこと、多分人里には認知されていないよね」

「……うん」

「梁くんの家は人里から少し離れている。だから、きっと急にいなくなったものだって、友達からは思われているんだよね」

「…………いつかは話さなきゃ」

 

 梁くんも、いつまでもトラウマを引きずる訳にはいかないことをもう知っている。

 家族が殺され、地獄を見たからこそ、年に似合わない大人な性格をしているのだ。それはきっと、私よりも辛い過去なんだと思う。

 

「……でも、お姉ちゃんの死体もお母さんの死体も残っていたはずなのに、噂にならないんだね」

「…………霊夢さんが片付けたとかじゃない? 人里に認知されないように」

「そういうことか……」

「まぁ、今は考えたって仕方ないよ。温泉を堪能しよ?」

「そうだね……」

 

 私は梁くんの肩から頭を離し、今度は私が梁くんの頭を肩にもたれさせた。

 

「ちょ、ね、姉さん?」

「さっきから肩に力入りすぎだよ? 旅行に来てる時くらい、何も悩んじゃダメ……姉さんが許さないよ」

「…………ぅん……」

 

 弱々しい梁くんの声。私は更に梁くんに添えてる手に力を入れ、身体を密着させた。梁くんの上半身がほぼ私に触れている。

 

「姉さん。また胸当たってる」

「…………気になる?」

「ならない!」

「んもー、仕方ないな。じゃあ、今から10秒間だけこのバスタオルを外す権利をあげる」

「いらない!」

「いーち、にーぃ…………」

 

 もちろん。梁くんをからかう事も忘れない。きっと、この時だけ梁くんは何もかも忘れられていると思うから。この時間もきっと大切なのだろう。

 

「じゅーうっ! ……もう、梁くんの意気地無し」

「うるさい…………俺だって男なんだよ……」

「……男だから、なぁに?」

「…………姉さんの身体、普段から意識してるんだよ?」

「っ!」

「……それなのに姉さんはくっついてきて……こっちの身にもなって欲しいな…………」

 

 嬉しかった。梁くんが私の事を意識してくれていることに、私は喜びを隠せなかった。気分が高揚してしまい、変なことまで口走ってしまう。

 

「べ、別に……梁くんになら……されても…………いいよ?」

「っ!? だ、だから、そういう冗談はやめてよ……」

「冗談じゃないよ…………本気……だよ?」

 

 バクバクと心臓の鼓動が早くなる。きっと、私も梁くんに負けないくらい顔が真っ赤なんだろう。

 きっと、本心では本気でそう思っているんだろうが、理性がそれを阻止する。まだ子供の彼に、私は何ドキドキしているんだろう。

 

「……姉さん……」

「…………あははははは!! 梁くん顔真っ赤だよ? どう? ドキドキした?」

「…………っ!! ……もういい! 上がる!」

「あー、もう! 待ってよ梁くぅん!」

 

 梁くんは耐えられなくなったのか、風呂から出てしまった。それを止めたかった私は、立ち上がって梁くんの手を掴む。

 

「あっ」

「あっ」

 

 立ち上がった瞬間、水が重力に従って下に落ちる勢いで、私のバスタオルが解けてしまった。

 ハラリ。

 私の見せてはいけないところが梁くんに丸見えになってしまった。解けたバスタオルは温泉の上をプカプカ浮いている。

 流石に想定していなかった私は、顔が爆発するかのように恥ずかしかった。

 

「…………〜〜〜〜っ!」

「ね、姉さん!」

 

 梁くんはすぐに私のバスタオルを拾い、自分に見えないように私を隠した。

 

「早く!」

「う、うん、ありがと……」

「は、早く出よ……」

「…………」

 

 恥ずかしい。梁くんにはまだ見せていなかった自分の裸。子供とはいえ、男の子に自分の肌をさらけ出すのは初めてで、羞恥心がとてつもなかった。

 

「……うう……ごめんね梁くん、変なの見せちゃって……」

 

 更衣室で私は着替えながら背中越しにいる梁くんに謝罪する。しくしくと泣きながら私は下着をつけていく。

 

「別に、変なんかじゃない……」

「へっ?」

「姉さんの身体は……変なんか、じゃない……」

 

 絞り出すように梁くんが私に言ってくれる。私は下着姿のまま、梁くんの方を振り向く。梁くんの浴衣は少し大きかった。、下半身は下着だけだった。

 そんな梁くんはまたもや耳まで赤くして言ってくれていた。

 

「梁くん……」

「は、早く着替えてよ! もう眠いから!」

「梁くーん!!」

 

 私は飛びつくように梁くんに抱きつく。もちろん、下着のままで。

 今すぐ抱きしめたい。こんなにも愛おしい子が私の弟なんて考えられない。

 

「わぁあ! 姉さん! 離れ……っわぷ……」

「んぅー、好きぃ……」

 

 私の胸の谷間に、梁くんの顔が埋まる。梁くんは私の肩をバンバンと叩きながら「離して!」と叫んでいた。さらに愛おしくなった私は梁くんの頭を胸の中でグリグリと回してみる。

 

「んむ〜〜っ!」

「……もぉ……ほんとに大好き……」

 

 紛れもない本心だ。やっぱり梁くんが好き。彼はどんな男の子よりも強く、たくましい。

 

「ぷはぁ! もう! 何してるのさ姉さん! 神奈子様にチクるから!」

「わぁあ! ごめんって…………」

「全く……」

 

 顔を真っ赤にしながら浴衣を着る梁くん。私も自分の服をとって、上下両方とも着る。

 

「早く部屋戻ろ、梁くん」

「……うん……」

 

 梁くんが守矢神社(うち)に来てくれてよかった。なんて思っちゃいけないのかもしれない。けど、私は梁くんが弟で本当に良かった。

 こんなにも私の事を慕ってくれる人なんて、今まで誰一人としていなかった。

 どうせならもっと早く、梁くんの家族が殺される前に梁くんと出会えていたら。なんて思ってしまっていた。




早苗さんはショタコンから梁くん大好きっ子に進化した。

最終的には?

  • 早苗さんと幸せルート
  • 梁くん独り立ちルート
  • 早苗さんとイチャイチャルート
  • もしかしたら鈴仙と幸せルート
  • 諏訪子、もしくは霊夢と幸せルート
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