年下好きな早苗さんに義弟ができる話   作:かくてる

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私は受験が控えております!
2月上旬まで、小説執筆はないと思います。

近いうちにフランのほうも出そうと思っていますが、それ以降の執筆は受験後だと思います。

はぁー、勉強勉強……



6話 鈴仙と梁

「………失礼しまーす」

 

 カラカラ……と、戸を開ける。そして、恐る恐る中に入ると、パタパタと可愛らしい足音を立てながら歩いてくる一人の女性がいた。

 

「あら、あなたは……」

「ご、ご無沙汰しております……鈴仙さん」

「確か……そう!梁さん!どうも」

 

 ペコリ…と頭を下げ、挨拶をする。そして、僕は持ってきた紙袋を鈴仙さんに差し出す。

 

「どうぞ、これ、つまらないものですが……クッキーです」

「あら、ありがとうございます!とりあえず、お話があるようですので、師匠の部屋に行きましょう。さ、上がってください」

 

 鈴仙さんに促され、僕は弱々しく「お邪魔します…」と言いながら玄関で靴を脱ぎ、廊下を歩いた。

 数ヶ月前、僕の義眼を付けてくれた時以来、ここには顔すらも出していなかった。

 

「それにしても、何だか、大人びた気がしますねぇ」

「まさか、まだあれから4ヶ月程しか経っていないですよ」

「いえいえ、神様二人と現人神一人と暮らしているんですし」

 

 関係あるのかそれ……と思いながらも、鈴仙さんのお話を聞く。

 僕は鈴仙さんの後ろを歩いていく。そしてその途中、僕はある物が凄く気になった。

 

「………」

「どうしました?」

「あ、いえ…」

「……もしかして、これ気になります?」

 

 そう言って、鈴仙さんが指さしたのは、鈴仙さんの腰あたりに付いている「白いモフモフ」。

 玉兎なのは姉さんから聞いているが、人の体でどう付いてるのかは気になってしまう。

 

「気にならないといえば嘘になりますが……」

 

 少し戸惑う僕に鈴仙さんは可愛らしくクスクスと笑う。

 

「触ってみます?」

「えっ?」

 

 思いもよらない返答に僕はその場で硬直してしまう。そして、僕の視線は自然と白いモフモフに目がいってしまう。

 

「いいですよ?」

 

 なぜだか、僕の心臓はバクバクと高なっており、つばを飲みながら手を伸ばしていた。

 いつもいやらしい事は姉さんにされてるしこんなこと造作も無いはずなのに、人が変わるとここまで緊張するとは思わなかった。

 人差し指を伸ばして、先端だけ触れる。一瞬、羽毛に全身が包まれているような感じがした。

 

「んっ………梁さん…触りすぎです……」

 

 鈴仙さんが少し色っぽい声を出してから、僕は鈴仙さんの尻尾を鷲掴みしていたことに気づく。慌てて手を離し、何度も頭を下げて謝罪する。

 

「ご、ごめんなさい!つい…」

「あはは……気にしていませんよ。師匠や姫様にもされるので」

 

 少し頬を赤らめながら苦笑いをする鈴仙さん。どうやら初めてでは無いみたいだったが、僕の中で罪悪感は残り続けていた。

 

 

 

 しばらく歩くと、一つの応接間に着いた。そこには、何かの書類と睨めっこしている僕の恩人、八意永琳さんがいた。

 

「師匠、失礼します」

「あら、どうしたの?」

「早苗さんの所の梁さんが」

 

 鈴仙さんがそう言った瞬間、永琳さんはその書類を置き、こちらに正面を向けた。

 

「あら、数ヶ月ぶりね。どうしたのかしら?」

「あ、えっとですね……。実は…早苗姉さんが風邪をひきまして」

「早苗さんが?」

 

 2人とも目を見張っていた。普通ならこれ程のこと驚かないと思うが、神様の存在する守矢神社で、風邪引いたら、神様が術で治してくれるらしいが、今回はそれをしなかった。

 僕は言うのを阻まれたが、下を向いて、モジモジしながら口にした。

 

「お恥ずかしい話、姉さんと僕、お風呂で鉢合わせしまして……」

「…」

「暴走した姉さんが僕のことを追いかけ回して………」

「あの現人神は……」

 

 永琳さんは額に手を置き、呆れるようにため息をついた。後ろで鈴仙さんも何とも言い難い苦笑いをしていた。

 

「僕は姉さんを撒いた後、お風呂に入り直したのですが、姉さんは湯冷めしまして……」

「風邪をひいたと」

「はい、それを知った諏訪子様と神奈子様はお怒りになりまして……」

「治してくれなかったってこと?」

「ええ、熱もあまり高くないし、そこまで辛そうではないのですが、咳の方が…」

「それで、被害者のあなたが薬をもらいに来たの?」

「ええ、これでも守矢神社では家事の担当ですので、家族の看病もその内です」

 

 僕の言葉に2人とも「おおー」と感嘆の声を上げていた。僕は何のことだか分からなかったので、その場で首をかしげてしまった。

 

「まだ子供なのに頑張るわねぇ…」

「……僕は守矢神社に助けてもらった身です。これくらいはしないと…」

「………あなたはきっと立派な大人になるわ」

 

 永琳さんの優しい笑顔が眩いほどに輝く。幻想郷では知らない人はいないほどの有名な永琳さんにそう言われ、僕は恥ずかしそうに後頭部をかいた。

 

 

 

 

 薬を貰った僕は永遠亭を後にした。

 

「梁さん!」

 

 後ろから、誰かが僕の名前を呼んだ。僕はその場で振り返り、姿を確認する。

 するとそこには、こちらへ走ってくる鈴仙さんの姿があった。

 

「早苗さん、心配なので私も行きます。今日は非番ですので」

「で、でも……」

「いいんです!」

 

 何だか、勢いに押された気がするが、僕はコクリと首を縦に振った。

 

 

 

 

「へぇ……早苗さん……相当なショタコンなんですねぇ…」

「ええ……いつか知らない子を襲いそうで気が気じゃありませんよ……」

 

 私は、梁さんと共に、守矢神社の道のりを歩いていた。いつもは飛んで移動するが、人間である梁さんもいるので、歩いている。たまにはこういうこともあっていいと思う。

 

「そうは言っても、早苗さんは梁さんも大切にしてくれているんですよね?」

「……ええ……姉さんだけじゃなく、諏訪子様も神奈子様も、見ず知らずの僕のことを本気で心配してくれて、前に吸血鬼の妖怪が来た時も、3人とも僕の身を案じてくれて……本当の家族みたいに接してくれて、今ではここが、僕の帰るべき場所なんだって、素直にそう思えました」

 

 梁さんの横顔を見る。

 何だか、儚げそうに見えて、しっかりと将来を見据えているその顔に、私は少し心臓が跳ねた。

 

「…素敵な関係ですね………」

 

 少しこんな関係が羨ましくもあった。

 かといって、永遠亭のみんなが家族として思われていない訳ではなく、こうやって自分の無力な部分を家族が補い、助け合える。心底素敵だと思った。

 

「でも、姉さんは少し度が過ぎてますけど……」

「私、早苗さんとは長い付き合いですけど、彼女はいつからあんなに子供好きになったんでしょう……」

「鈴仙さんも知らないんですか?」

「ええ、そもそも男に興味がなかったと思います」

「姉さんに何かあったんでしょうね……」

 

 そんな会話をしているうちに、守矢神社へと辿り着いた。私は久しぶりにここに来た気がする。春雪異変の宴会以来だろうか、懐かしく思えた。

 

「お邪魔します……」

 

 カラカラ……と戸を開けて、私は守矢神社の内部へと入った。木造の独特な匂いは、永遠亭と少し似ている。

 

 玄関から右手にある部屋に入ると、緑髪の女性が寝込んでいた。

 

「姉さん、戻ったよ」

「あっ………梁くん!!おっかえりーっ」

 

 早苗さんは梁さんが帰っくるや否や、ベッドから飛び出して、梁さんに抱きつこうとする。しかし、梁さんは鮮やかな身のこなしでそれを躱した。何度もやられているのだろう。

 

「はい、風邪薬。あと鈴仙さんが心配してくれて来てくれたよ」

「どうも」

「はっ!れ、鈴仙さん!まさか梁くんと2人きりになるために……」

「違います」

 

 即答。そんな下心ありありで来るわけがない。来るとしても早苗さんだけでしょう。と心の中で突っ込む。

 

「早苗さん、少し検査します。梁さん、少し部屋から出てもらっていいですか?」

「は、はい」

 

 そう言うと、梁さんは足早にこの部屋を後にした。

 

「早苗さん、服、脱いで」

「はぁーい」

 

 早苗さんの体はまだ少し熱かった。微熱ほどだろうか?私は早苗さんの体を背中に聴診器を付ける。

 

「……風邪ですね」

「分かってますよー」

「じゃあ、ついでこの薬も、後、諏訪子さんにも神奈子さんにも謝ってくださいね」

「げっ、あの話聞いたんですか…」

「ええ、梁さんから」

 

 早苗さんは顔を紅潮させて、「恥ずかしい……」と言って両手で顔を覆った。

 

「んもー、梁くん、後でお仕置きだなー」

「……………でも、梁さん。本当にいい子ですよ」

「えっ」

「彼、早苗さんや諏訪子さん、神奈子さんに本当に感謝しているみたいです。『本当の家族みたいに接してくれて、今ではここが、僕の帰るべき場所なんだって思えた』って……」

 

 そこまで言うと、早苗さんは硬直してしまっていた。不思議そうに私が顔を覗き込むと、早苗さんの緑色の瞳からポロポロと涙が出始めた。

 

「えっ、ちょ!早苗さん!?」

 

 私は慌てて早苗さんを宥めようとする。

 

「梁くんが……うぐっ……そ、んなこと……」

「……」

「嬉しい………梁くん……!」

 

 この涙は、ショタコンだから、子供好きだからとか関係ない。梁くんが本当の家族だと、そう認めてくれたことが何よりも嬉しかったんだろう。

 

「……大切にしてあげてくださいね」

「うんっ……うんっ!」

 

 早苗さんは少しの間、私の胸で泣いていた。梁さんに聞かれてたかどうかは分からないが、何だか私も少しスッキリした。

 泣きつかれた早苗さんはまたスウスウと寝息を立てて眠った。こう見ると、早苗さんも充分子供だ。布団を被せて、私は梁さんを探すため、部屋をあとにした。

 

 梁さんは台所で、何か料理をしていた。

 

「梁さん」

「あ、鈴仙さん。ありがとうございます。わざわざこんな所まで……」

「いーえ、久しぶりに早苗さんともゆっくりお話できたので良かったですよ」

 

 エプロンを付けた梁さんはニッコリと笑った。その顔を見て、私はまた心臓が強く跳ねた。

 どうして……?…それに少し顔も熱い気がする。私は首をブンブンと横に振って、もう一度梁さんを見る。

 

「何を作ってるんです?」

「今日の晩御飯です。姉さんが風邪だし、うどんにしようかなって……」

「あ、手伝いますよ」

「ええ!?いいですよ。そこまで…」

「いーや、やらせてくださいっ」

 

 そこまで言うと、梁さんは少し顔を逸らして、「まぁ…お願いします……」と言って、承諾してくれた。

 

「じゃあ、湯掻いちゃいますね」

「はい、お願いします」

「………梁さんは妖怪が怖いんですよね?」

「……ええ」

「私は怖くないのですか?」

 

 そう言うと、梁さんは少し上を向いて考え始めた。

 

「うーん……鈴仙さんは玉兎ですし、もし鈴仙さんが妖怪でも、怖がらないと思います」

「……へっ?」

「あぁいえ、鈴仙さん優しいし綺麗だし、何だか、気が合う気がして」

 

 どきっとした。

 何だか、今日のお料理は今までで一番楽しかった気がする。何故だか分からないが、梁さんが近くにいると、少し心臓の鼓動が早くなる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 帰りの道中、もう道は暗くなっていた。そんな中、梁さんは人里まで送っていくと言って、一緒に来ている。

 

「いえいえ、久しぶりに神様2人ともお話ができたので、良かったです」

「あはは……」

「それに、早苗さんのお話も聞けましたし、梁さんとも仲良くなれましたしね」

「はい、いつでも守矢神社に来てもらえると嬉しいです!」

「ええ、暇があったらいつでも行きます」

 

 今日、早苗さんの看病のつもりだったのに、何故こんなに楽しかったのだろう。今でも分からないが、きっと梁さんがいたからなのだろう。

 私は彼と気が合う気がするから。意気投合と言うか、何だか、仲良くなれそうな気もしていた。

 

 そうこうしているうちに、人里まで着いた。

 

「では、私はここで」

「はい、ありがとうございました!また会いましょうね!」

 

 ニコッと梁さんが笑った。それが決定打だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 私は、早苗さんの梁さんの事が大好きな気持ちが分かったのかもしれない。

最終的には?

  • 早苗さんと幸せルート
  • 梁くん独り立ちルート
  • 早苗さんとイチャイチャルート
  • もしかしたら鈴仙と幸せルート
  • 諏訪子、もしくは霊夢と幸せルート
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