OVERLOAD 人類最終試練(凍結)   作:嵐川隼人

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一度でいいから使ってみたかった、このタイトル。



今回、番外席次に名前が付けられます。

五話目、どうぞ

※一部編集しました


君の名は

「あれ、もしかしてステアーさん⁈」

 

 エンリとネムの後ろに現れた【転移門(ゲート)】。

 そこから出てきた骸骨は、ステアーを見てすぐに口を開いた。

 突然現れた骸骨に、エンリとネムは驚いてステアーの後ろに隠れた。

 ステアーは、目の前にいる『死の王』を見て、本当に自分の知るあの人なのか確かめたくなり、

 

「………………黒歴史、パンドラズ・アクター」

 

「がふっ!」

 

「軍服、敬礼、ドイツ語」

 

「ごはっ!」

 

「【Wenn es meines Gottes Wille(我が神の望みとあらば)】」

 

「感動の再会を俺の黒歴史で滅茶苦茶にしないでください、ステアーさん!!」

 

 あ、本物だ。間違いない。

 

「すみません。こんな黒歴史でダメージ受けるのモモンガさんぐらいだと思って」

 

「他に確かめようはあったはずですけど………」

 

「だって、確実じゃないですか」

 

「そうですけど!」

 

「お待たせいたしました。モモンガ様」

 

 【転移門(ゲート)】から、今度は全身真っ黒なフルプレートの鎧を着た戦士が現れる。

 ステアーはその姿を見た瞬間、それが誰かを理解した。

 

「その鎧姿、誰かと思えば守護者統括のアルベドじゃないか」

 

「…………ま、まさか、ラグナレク・ステアー・テンペスト様⁈」

 

「そうそう。いやー、まさか二人とこんなに早く会えるとは思いませんでしたよ。昨日シャルティアの眷属のミレアっていう吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・プライド)を結晶から召喚したら動けていたので、予想はしていましたが」

 

「ミレア……って確か、ペロロンチーノさんが前に言ってた、ちょっと特別な眷属でしたっけ?」

 

「えぇ、そうですよ。名前があったのは、昨日初めて知りましたけど。あ、ちなみに今は……………」

 

 会話をしていると、突然村の方向から阿鼻叫喚が響き始めた。

 おそらく村を襲った兵士達の声だろう。

 

「あんな感じで、村のゴミ共を処理してもらってます」

 

「へぇ………なら、俺も手伝いますよ。ゴミの片づけは、人数が多いほうが効率的でしょう?【中位アンデッド作成:死の剣士(デスナイト)】」

 

 ステアーの足元に転がる騎士の死体にモモンガが手をかざす。するとその死体を黒い何かが包み込み、姿を不気味な騎士に変貌させた。

 

「(うわ、キモッ!)死の剣士(デスナイト)よ、そこの鎧を着た騎士達を殺せ」

 

≪グオオオォォォォ!!≫

 

 一瞬気持ち悪いと思いながらも、表には出さす淡々と命令する。死の剣士(デスナイト)は咆哮をあげると、そのまま村へと向かっていった。

 

「えっ………」

 

「やっぱり、ユグドラシルの時とは魔法やスキルの効果が少し変化しているみたいですね。同じ守るモンスターであるミレアが僕から離れて命令通りナザリックを捜しに行ってしまったのも、相手のコマンドをちょっと弄るぐらいしか効果がなかった【寄生する人形達(パラサイト・マリオネット)】がドフラミ○ゴの能力みたいに騎士達を自由に操れるようになっていたのも理解できます」

 

「あのステアーさん、ちょっと冷静すぎませんか?」

 

「そうですか?………あ、そうだ。モモンガさん、治癒のポーションって持ってます?」

 

「あ、はい。持ってますけど」

 

 至って冷静に状況を判断するステアーは、モモンガが取り出した赤いポーションを受け取る。すると、彼の後ろに隠れている姉妹に振り返り、目線の高さが同じぐらいになるようしゃがみ、エンリに話しかけた。

 

「大丈夫、この人はお兄さんの友達だよ。見た目はちょっと、と言うかかなりアレだけど、根は優しい人だから。背中を斬られたみたいだね。このポーションを飲んでみて。あっという間に傷が治るはずだよ」

 

「は、はい………」

 

 言われるがまま、エンリはそのポーションを受け取り、飲んだ。すると傷があった個所が緑色に発光し、まるで始めから無かったかのように消えた。

 

「す、凄い………傷が」

 

「よし、これで大丈夫。後は防御の魔法をかけておきたいけど………正直この手の魔法は苦手でね。モモンガさん、頼みます」

 

「えぇ、任せてください。【生命拒否の繭(アンティライフ・コクーン)】【矢守りの障壁(ウォールオブプロテクションフロムアローズ)】」

 

 姉妹を中心にドーム状のバリアが二つ形成される。一つは生物を通さない魔法で、もう一つは射撃能力を弱める魔法だ。

 

「特殊なバリアを張らせてもらった。大抵はそこにいれば安全だ。それと、念のためこれをくれてやる」

 

 懐に手を突っ込み、何かの角笛を二つ取り出したモモンガは、それを姉妹たちに向かって投げた。

 

小鬼(ゴブリン)将軍の角笛だ。何かあればこの角笛を吹くといい。吹けばゴブリンの軍勢が現れて、お前達に従うはずだ」

 

「あ、あの、助けてくださって、ありがとうございます!」

 

「礼ならステアーさんに言うといい。私はただ、彼を手伝っただけに過ぎないからな」

 

「別に大したことはしていませんよ。それじゃあ行きましょうか」

 

「えぇ」

 

 ステアーとモモンガは、村に向かって歩こうとする。するとエンリが何かを頼もうと声をかけた。

 

「あ、あの!図々しいとは思います!でも、頼れる人はあなた様方しかいないんです!どうか、どうか!」

 

「お父さんとお母さんを助けてほしい………そう言いたいんだね」

 

「っ、はい!どうか、お願いします!」

 

「生きていれば、尽力するよ。ただ………あまり、期待はしないほうがいい。そうやって誰かを守るために庇った人は、大抵早死にしてしまうから………」

 

「ステアーさん………」

 

 彼女たちの願いに答えようと考えるステアー。しかし、彼の瞳の奥には、何か虚しさを感じる悲しみがあった。

 モモンガは心配するが、すぐに大丈夫だと笑い顔で誤魔化す。

 

「あ、ありがとうございます!あ、あの、御名前は何と仰るのですか?」

 

「名前………そうだな」

 

 名前を尋ねられ、何かを考えるような仕草をするモモンガ。すると、ステアーが伝言(メッセージ)を使い、モモンガに話しかけてきた。

 

『モモンガさん、一つ提案があります』

 

『提案ですか?』

 

『えぇ。実は昨日分かったことなんですが、この世界には僕達以外にもユグドラシルのプレイヤーが転生しているみたいなんですよ』

 

『え、そうなんですか?』

 

『はい。そこで思ったんですけど、僕達のギルドって、ユグドラシルでは結構有名な方でしたよね?だったら………………って名乗るのはどうですか?』

 

『なるほど。確かにその名前が広がれば………』

 

『ただ、これには敵プレイヤーがナザリックを攻めてくる可能性も含まれます。その時は………』

 

『まぁ、大丈夫でしょう。なんたって、ステアーさんと()()がいますから』

 

『アハハ………それもそうですね。じゃあ、お願いします』

 

 伝言(メッセージ)を切ると、モモンガは両手を勢い良く広げ、魔王感を全開にして言い放った。

 

「我が名を知れ。我こそが、アインズ・ウール・ゴウン!アインズと呼ぶがいい!」

 

「そして俺はラグナレク・ステアー・テンペスト。気軽にステアーって呼んでくれ」

 

 ステアーも翼を大きく広げ、それっぽく名乗る。そして彼らは、再び村に向かって歩き出した。

 

 

 

 

「そういえばステアーさん、彼女は一体?」

 

「うん?………あ、そうだ。二人に彼女のこと紹介するの忘れてました」

 

 道中、番外席次のことについて一切説明していなかったことを思い出したステアーは、まずモモンガ……ではなくアインズとアルベドに番外席次のことを説明した。そして番外席次にも、アインズとアルベドがどういう存在なのか説明し、お互い敵ではないことを伝えた。アルベドは少し不服そうだったが、ステアーが気に入った人間だと理解し納得したようだ。

 

「それにしても、結構大胆なことしましたね」

 

「僕が一番驚いてますよ。今思うと、何であんなことしようと考えたのか謎です」

 

「ハハハ、でもステアーさんらしくていいじゃないですか」

 

「僕らしい………そうですね。あ、謎と言えばアインズさん」

 

「何ですか?」

 

「あの、これはあくまで僕の予想なんですけど………アルベドの設定、弄りました?」

 

「うっ………な、何でそう思ったんです?」

 

「なんかアルベドがアインズさんに向ける視線に、恋する乙女のような感情が含まれているような気がしたので、もしかして『ユグドラシル最終日を玉座の間で過ごそうと思い、いざ玉座に座ってみた時ふとタブラさんの作ったアルベドの設定が気になり、試しに開いてみたらさすが設定魔といえるぐらい長い設定文をスクロールしてみたら、最後に【ちなみにビッチである】という設定があり、タブラさんがギャップ萌えだったのを思い出したはいいがこれは可哀そうだと思い、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンでビッチ設定を消して、変わりに【モモンガを愛してる】とかそんな感じの設定に恥ずかしいと思いながらも弄った結果、転移したのと同時にその設定が反映されてしまい、今のアルベドが出来上がってしまった』んじゃないかと思って」

 

「エスパーですか、あなたは!………あ」

 

「………………あとで、詳しく説明してもらいますよ」

 

「………………はい」

 

 ステアーに隠し事は通じない、アインズはそう確信した。

 と、その時、番外席次が何かを思い出したように口を開いた。

 

「そういえばステアー、今思い出したのだけど」

 

「何だ?」

 

「さっき私のこと番外席次って呼んでたけど、それ昨日の時点でやめてるから………」

 

「………………あ」

 

 ステアーも思い出した。そうだ、昨日の時点で彼女は番外席次を実質やめているんだった。

 つまり、彼女は所謂名無しの状態だ。

 なら元番外席次と呼ぶか?いや、それはなんか違う。

 

「うーん……………改めて、ちゃんとした名前を付けるっていうのはどうだ?新しい自分の一歩、みたいな感じで」

 

人類最終試練(ラスト・エンブリオ)たるラグナレク・ステアー・テンペスト様が、直々に名づけを⁈」

 

 急にアルベドが慌て始める。何をそんなに驚くことがあるのだろうか。

 

「うん、そうだけど。何か問題?」

 

「い、いえ、そういうわけでは………」

 

「?まあ、いいや。それで一応名前は既に考えてる」

 

「へぇ、何て名前かしら?」

 

「アズリエル・フェイティ。死を司る大天使アズリエルと、運命という意味のfateをもじった名前だ。絶死絶命という肩書を持った君にはぴったりだと思うけど」

 

「アズリエル………いい響きね。気に入ったわ」

 

「よし、じゃあ今日から君は“アズリエル・フェイティ”だ」

 

 ステアーが名前を付けた瞬間、彼女の全身が一瞬だけ光った。

 思わず目をこする。しかしその光はすでに無くなっていた。

 

「………気のせい、か?」

 

「どうしたの、そんなに私を見つめて」

 

「い、いや……………何でもない。ほら、早くいくぞ、()()()()()

 

 思い違いだったようだと考え、ステアーは何事もなかったかのように村へ歩き始めた。

 

 

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