アポクリファ世界線での第四次聖杯戦争(妄想100%)   作:ゆきうさ

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ケイネス陣営

 イギリス時計塔の内部で一人の男が机に向かって作業している。机の上には水銀などの高価な素材が乱雑に置かれているものの、部屋の主は気にならないとばかりに一心不乱に魔法陣を弄っている。

 

 しばらくすると作業が一段落したのか、前屈みになっていた姿勢を直し椅子の背もたれに体重をかけ軽く伸びをする。

 難事を成し遂げた直後だというのに、その口から漏れるのは軽い溜め息のみ。まるで今し方終わらせた作業が大したこと無かったかのような雰囲気だ。

 

 そのタイミングで女性が部屋へと入ってくる。

 

 

「あら、ケイネス。作業は終わったの?」

「ああ、ソラウ。いいタイミングだ。ちょうど終わらせたところだよ。」

 

 

 男ーーーケイネス・エルメロイ・アーチボルトの目には入ってきた女性ーーーソラウ・ヌァザレ・ソフィアリに対しての熱い感情が浮かんでいる。

 一方でソラウの方には強い感情は浮かんでおらず、両者のすれ違いを感じさせる。

 

 

「サーヴァントへの魔力供給を君と私の二人でまかなうための細工は済んだ。これで私は使い魔の魔力消費を気にすることなく全力で魔術を行使できる。これで私の勝ちは決まったようなものだよ。

 ま、もっともこの私の前に現れる度胸のある魔術師がいれば、の話しだけどね。ハッハッハ!」

 

 

 傲岸不遜な物言いだが、彼の成したことはそれほどに大きい。

 サーヴァントへの魔力供給を分割して賄うという、英霊召喚の術式に対しての干渉はかなりの腕前がなければなし得ない。

 それを事も無げにやってみせるケイネスは、天才と呼ぶにふさわしいと言える。

 

 

 また、聖杯戦争の参加者が彼のせいで集まりきっていないというのもまた事実。

 この時点で参加が決定しているのは、間桐雁夜と"魔術師殺し"衛宮切嗣、そしてもう一人日本に住む無名の魔術師だけだ。

 少しでも魔術に触れた者は、ロード・エルメロイの名を聞いて参加を取りやめたり辞退することが多かった。

 ……それ以上に"魔術師殺し"の名を聞いて参加を取りやめた者も多かったのだが。

 

 

「さすがね、ケイネス。ところで、肝心の英霊召喚まで時間があまりないようだけど?」

「おっと、もちろん忘れてないさ。今は触媒が届くのを待っているところでね。最高のものを用意させたとも。

 しかし、どういうわけか到着が遅れてしまっているようだね……。まったく情けない。まともに物を運ぶこともできないのかね。」

 

 ケイネスは知らない。このときすでに、ある教え子が用意させた触媒を持ち逃げしていることを。

 触媒として最高のものを用意してしまったが故に、これから赴く戦場で、彼らが猛威をふるうことを。

 

 

 しばらくはソラウと会話をして待っていたケイネスだが、予定していた時間の一時間前になっても触媒が届かないことに業を煮やし、確認してみると触媒はどこかで紛失してしまっていることが判明した。

 

 

「なんと言うことだ……。私の妨害をしてくる輩が時計塔にいるとは……。本来なら真っ先に下手人をあぶり出し制裁を加えるところだが、時間がない。全くどうしたものか……。」

「なにか、代わりに触媒になりそうな物は置いてないの?」

「ない、とは言わないがあまり期待できるものではない。なんせ英雄にゆかりのある品を集めようとしている輩が多くてね。値段もつり上がってしまっている。

 そんなものを二つも用意するくらいなら自前の礼装用に金をつぎ込んだ方がいい、と思ったのでね。一つしか用意させていなかったのだよ。」

 

 

 そうこうしている間にも時間は刻一刻と過ぎ去っていく。

 この時を逃せば召喚に適した時間までまた数日かかり、せっかく組んだ陣も書き直すことになってしまう。

 

 それに、数日では結局求めている水準の触媒は手に入らないだろう。

 

 

 ならばと、ケイネスはあることを思いついた。

 

「仕方がない。多少不安だが、触媒なしの召喚をするより他にあるまい。

 なに、この私が召喚するのだ。下手な触媒を用いるよりもよっぽどいい結果になるに違いない。」

 

 

 そうして行った召喚の結果はーーー

 

 

「おう、オジサン呼ばれちまったか……! まあいい。オジサンはランサー。召喚に応じ参上だ。ま、防衛戦なら任せときな。トロイアの意地、見せてやるよ。」

 

 




 ケイネス先生には幸せになって欲しいな……。と思ってディルムッドから変更しました。
 これは切嗣のエミヤもそうですけど、九割以上作者の趣味です。

 まあ、この世界でもケイネス先生が生き残れないのは確定してるんですけどね!(悔し涙
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