アポクリファ世界線での第四次聖杯戦争(妄想100%)   作:ゆきうさ

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最初の邂逅

 ケイネスとランサーは埠頭で他のサーヴァントを待ちかまえていた。ランサーは堂々とその姿を晒しているが、ケイネスは魔術でもってその姿を隠している。

 

 冬木の地で自身の工房を作り上げ、安全な拠点を作ったにも関わらずこうして打って出ていることには理由がある。

 とはいえ、守るべき主には安全な場所にいてほしいというランサーとしてはあまり歓迎できることではなかった。

 

「にしても、オジサン的には安全な工房とやらで待機してて欲しいんだが。」

 

「フン、そのような貴族にあるまじき戦い方を、この私がするはず無かろう。」

 

 

 ゆえに忠告はしたものの、ケイネスがそれを聞き入れることはなかった。

 

 

「でも、姿を隠しているのはいいので?」

 

「当然であろう。魔術を競い合うという聖杯戦争にて、魔術を使って己を守ることになんの問題がある。

 ああ、もちろん、姿を隠しての奇襲などはするつもりはない。あくまでもこれは身を守るためだけのものだ。」

 

「へいへい、マスターがそう言うなら文句はありませんよっと。」

 

 

 海風が二人を撫でる。しばしの静寂が夜の帳に落ち込んだ。

 

 

「そういえば、マスターは敵さんの情報を聞いてるかい? サーヴァントの話はともかく、マスターの事とかな。」

 

「ふむ、私が知っている……というより、正式に参加を表明していたのは3人だけだ。残りの3人については急遽参加を決めたか、聖杯に選ばれただけの素人といったところだ。監督役への報告もしていないようだしな。

 つまり、警戒するべきはその三人だけという事だ。素人まがいにせよ、名を表に出せない小物にせよ、私の敵では無い。」

 

「残りの3人ってのはこの聖杯戦争の御三家ってやつかい? 遠坂、間桐、アインツベルン、だったか?」

 

「いや、御三家からの参加者は一人だけだ。名を間桐雁夜。しかも、この冬木の土地を守るためだけに参加したので敵対する意思はない、とわざわざ声明を送ってくるほどの臆病者よ。拍子抜けもいいところだ。

 そして、もう一人も論外だ。魔術師殺しなどとご大層な名で呼ばれているらしいが、やっていることは暗殺者紛いのドブネズミよ。汚らわしい。」

 

「へえ、となると。」

 

「私たちが真に臨むべき敵は一人のみと言うことだ。まったくもって嘆かわしいことだ。」

 

「で、その一人ってのは?」

 

「富嶽武斬という、この国の魔術師だ。剣士でもあるらしいがな。」

 

「剣士ィ!? そいつはまた面倒だな。」

 

「面倒? なにが面倒だというのか。まさか、ランサー、君は私が他の魔術師に遅れを取るとでも思っているのかね?

 ならばそんな無用な心配は放っておき、自分の為すべき事をしたまえ。この私が負けるなどと、あるはずもないのだからな。そら、客人が来たようだぞ。」

 

 ケイネスが自信たっぷりにそう告げた途端、第三者の声が響く。

 

 

「かはは、マスターがボロクソに言われちょうよ。ん? 声は二人分しようたが、一人だけかが? 槍を持っちゅうってことは、おまんがランサーじゃな。」

「それだけ自信があるなら姿を現すがいい。こうまで言われては引き下がれないというもの。我が剣閃の錆びにしてくれよう。」

 

 

 夜の闇の中から、二人の剣士が顔を出す。一人は着物に身を包んだ厳つい顔の壮齢の剣士、富嶽武斬。もう一人はその手に血の匂いが染み付いた日本刀を持ち、狂犬のような面相にニヤリとした笑いを貼り付けた幕末の人斬り。

 

 

 その言葉に対して、ケイネスも姿を隠すのをやめ、宣言する。

 

「アーチボルト家九代目当主、ケイネス・エルメロイがここに推参仕る。この私を前に大きく出たものだ。宜しい、格の違いというものを思い知らせて上げよう。」

 

「富嶽家六代目当主、富嶽武斬ーーー推して参る。」

 

 

 

 

 

「やれやれ、マスターが先にやり始めてしもうた。」

 

「そうだな。それじゃオジサンたちも始めようか!」

 

「そうじゃなーーーそれじゃ一本死合(しあ)おうが!」

 

 今宵、聖杯戦争最初の戦いが幕を開ける。

 

 




ザイードさんがピチュンされてないので、正真正銘最初の戦いです。
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