アポクリファ世界線での第四次聖杯戦争(妄想100%) 作:ゆきうさ
先手を取ったのはランサーだった。
アサシンの間合いの外から一突き、そしてなぎはらい。槍と刀の間合いの差を生かした戦い方にアサシンは守勢に追い込まれる。
(んん? ちょいといくらなんでも、槍の捌き方が
じつはそのまさかである。
幕末において、刀以外の武器を使う者は非常に少なかった。その上、岡田以蔵が行った人斬りはほとんど暗殺まがいの天誅であり、剣の才があっても実戦経験は余りなかった。
特に、今回はマスターから正々堂々と勝負することと言い含められ闇討ち、奇襲を自ら禁じている状態。
本来なら気取られる前に近づくべきなのに、それができない。刀の間合いに入れない。
それが今、一方的な状況を作り出していた。
このままこの状態が続けば戦況はランサーに傾いていくだろう。
ランサーもそれが分かっていたため、間合いに入らせないことを重視して細かい突きを多用している。その技はまさに神域に達している。
かつてトロイア戦争で個人の武勇をもってしてギリシャ諸国の連合を敗走寸前まで追いこんだという実力、それを遺憾なく発揮しアサシンを追い詰める。
だが、一方のアサシンも英霊となるに相応の実力を持ったもの。その剣の才能はーーー1度見た剣を覚える異才は遥か遠き過去、神話の英雄にすら通じる。
「その
「くおっ!?」
いきなりアサシンが飛び込み、そのまま突き出された槍をかいくぐり、その圏刃にランサーを捉える。踏み込むと同時に下から刀を切り上げ、ランサーを両断しようとするも、すんでのところでバックステップで避けられる。
そのまま両者の間に距離が開き、仕切り直しとなる。
「おいおい、この短時間で見切られたってか? 冗談キツいぜ。」
「わしは剣の天才じゃき、当然じゃ!」
「やれやれ、こいつはオジサンには辛いってもんだ……。」
「はっ、ぬかしゆう。やり返す気で満ちちゅうのがこっからでも分かるわ。まあ、わしには関係ないが!」
両者とも次の一手を踏み出すその瞬間。
「おっと、双方剣を収めてくれないかね? 少々話したいことがあるのだよ。」
「ああ!? なんじゃ、おまん。いや、言われるまでもなか。敵じゃな、じゃから斬る!」
「いやいや、こちらに戦う気はないのだが……こうも話を聞かないなると、面倒だな。まるで狂犬のような奴だ。」
「ああ!? おまん、わしを犬と笑うたな!」
「うおっとぉ!? こいつは余計なことを言ったようだ。ははは、この口が勝手に動いてしまうのだ、仕方あるまい!」
アサシンの動きが激しくなり、セイバーを追い詰める。今度は相手も剣の間合い。飛び込むと同時に一閃、セイバーが離れるまでにもう一閃。
セイバーはその口振りこそ余裕綽々だが、実際にはかなり追い詰められているようだ。
辛うじてその黄金の剣で防御してはいるが、押されているのが素人目でも分かるほど。
下手すれば、聖杯戦争において最優とまで言われるセイバーが今ここで脱落してしまうのではないかと思われる。
「おお、そこのランサーよ! ぜひともこの狂犬を落ち着かせるのを手伝ってはくれないか! このままではおちおち話もできんではないか!」
臆面もなくそんなことを言ってのけるセイバーに、ランサーは一瞬動きそうになるも、
(いやいや、なんでコイツに味方する義理がある。俺としてはここで二人がつぶし合うのを見てればいい。なのに一瞬とはいえ加勢しなくては、などと思わされるとは……。
コイツは、人の扱いってものを知り尽くしてやがるな。こういう手合いは話を聞かない方がいいってもんだ。関わらずにマスターの援護に向かうのが最適か?)
と、動こうとした体を制止して、マスターの方に振り返る。
「まあ、私を相手に頑張った方ではないのかね。予想以上に時間をかけてしまった。結局、私の勝ちは揺るがないものであったことは証明されたわけだが。」
「不覚……。サーヴァント相手ならともかく、マスター相手に遅れを取るとは……。」
そこではすでに、マスター同士の戦闘に終止符が打たれていた。
「おっと、相手はそれなりの手練れだっただろうに。うちのマスターも案外やるもんだねえ。」
そう独りごちると、ランサーは自らのマスターの元へと近づいていく。
◆ ◆ ◆
そして。
「狙えるな、アーチャー。」
「もちろんだ。」
「ならば撃ち抜け。外すんじゃないぞ。」
「ふっ、当然だ。誰にものを言っている。
ーーー
それを狙う凶弾が一組。