たった一人のマスターへ   作:蟹のふんどし

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戦闘

 

 

 

 

 

「これは命令だ。止まれ。藤丸達海」

 

アルトリア・ペンドラゴン・オルタは僕の首に聖剣を添えながら言った。

 

「どういう....こと、ですか?」

 

彼女の剣幕に足がすくむ。

 

なぜ?彼女は僕を止める?

今は決められた形式に則って、敵に対処することが最優先のはずだ。

僕がいないことが戦線に多大な影響を及ぼすとは思わないが、それでもやるべきことはある。

 

彼女は僕の質問に対し、剣を添えたまま答えた。

 

「貴様が行く必要はない」

 

要領の得ない言葉。

 

「こんなところで油売ってる時間なんかありません。敵襲ってことは、今この瞬間にも姉さんが戦ってるかもしれないんですよ」

 

姉さんのサポートが僕らの仕事だ。

彼女だってマスターの安否が気にならないはずがない。

 

「.......」

 

しかし彼女は何も答えない。

 

「あなたのマスターが危機に瀕しうる状況なんですよ!」

 

彼女は僕の言葉で目つきを強めた。

 

「貴様がそうでなければな.............言うだけ無駄な話か」

 

彼女は聖剣の切っ先を僕の首から少し引いた。

さっきから何の話だ。

いい加減僕にもわかるように説明してくれ。

 

 

「今から貴様の首を跳ねる」

 

え?

 

「つまり今から貴様は死ぬ」

 

「何を.....」

 

「すまんな」

 

言い終えた瞬間、彼女は手首を動かした。

剣は滑らかな曲線を描き、僕の首へと吸い込まれるように動く。

 

 

───Time alter・cubed accelerator !

 

 

詠唱と同時に世界の時間は遅延した。

僕へと向かっていた剣はスローモーションへと変わる。

ゆっくりと首筋に迫る剣を体を引いて避けると、僕はペンドラゴンさんの脇を通り抜けて廊下へと走り出た。

 

全速で走り、廊下の突き当たりを曲がる。

その瞬間、世界の遅延が終わる。

 

「いっ!!」

 

心臓が破裂するような痛みに襲われ、思わず胸に手を当てる。

足を止め、歯を食いしばって痛みをごまかす。

 

「はぁはぁはぁ」

 

待て待て待て待て。

僕を殺す?

何言ってんだ。

訳がわからない。

 

「はぁはぁ、僕一人じゃ、どうにも、ならない」

 

さっきは運が良かった。

何も言われずに切られていたら、僕の首は体と永遠の別れを告げていた。

 

「とにかく連絡を....」

 

僕はポケットから端末を取り出そうとした。

 

「おいおい、嘘だろ...」

 

ポケットが中程からスッパリと切られていて、中身は無くなっていた。

これじゃ、誰とも連絡できないじゃないか!

 

「クソッ!」

 

他に連絡手段は各部屋の固定通話だが...

荒い息を整えながら天井を見る。

 

「タイミングの悪い!」

 

廊下の明かりがすべて非常灯になっている。

予備電源に変わったって事だ。

何があったか知らないが、この場合固定通話は繋がらなかったはずだ。

 

どうすればいい⁉︎助けが期待できる場所は⁉︎

 

ここからなら管制室が近いが、こちらに攻撃を仕掛けてきたサーヴァントを放っておくわけにはいかない。

況してやそんなサーヴァントを連れて管制室になだれ込むなんてあり得ない。

 

令呪でマシュを呼ぶか?

だが呼んでどうなる?僕と彼女だけで凌げるか?

 

背筋に悪寒が走る。

 

「やばっ!」

 

僕は慌ててその場所から跳んだ。

瞬間、硬い廊下の床を聖剣が上から易々と刺しぬいた。

 

「貴様、あんなものまで持っていたのか。流石に反応できなかったぞ」

 

刺した剣を片手で引き抜いたペンドラゴンは、こちらを無表情に眺めてそう言った。

 

「固有時制御だろう?自らの体を固有結界として体内の時間を操る時間操作の魔術。その魔術は貴様の家伝にはなかったと思ったが」

 

すれ違いざまに僕のポケットを切っておいてよく言うよ。

 

「ちょっと魔術協会のクソどもと折衝する機会がありましてね」

 

僕は父さんの刻印を完全な状態で移植する事ができなかった。

あの偉そうなクズどもがイチャモンをつけて父さんの刻印の一部を接収したからだ。

だから交換条件に奴らの保管している刻印の株を一部渡せと言った。

 

この魔術を得たのはその時だ。

確か、衛宮家とか言う家紋の魔術だったか。

奴らが接収した刻印の中で僕の専門と同じ時間系統の魔術だったから目に付いた。

馴染むのには時間がかかったが、体系が似ているから使い方には困らなかった。

 

「今まで使ったところを見たことないぞ」

 

彼女は剣を下段に構えて踏み込みの準備をする。

 

「切り札はギリギリまで取って置くものですよ」

 

これを使わなかったのは、僕の刻印が少しでも露呈するような事態はなるべく避けたかったからだ。

下手に使えばまた抑止力に目をつけられかねない。

 

「しかし強力な分、負担は大きいだろう。その状態でそんな子供騙し、2度も通用すると思うまい」

 

彼女はそういうと踏み込んできた。

 

僕は床に手をつけたまま詠唱する。

固有時制御は範囲さえ限定できれば応用が利く。

何も自分の身体だけに作用する術じゃない。

 

───Time alter・backset !

 

彼女の足運びが急に止まる。

おそらく足だけが石になってるかのように感じているだろう。

 

「これは....」

 

この魔術は自身以外に作用させるにはあまりに煩雑な儀式を必要とする。

世界の修正力が強すぎるからだ。

 

「.....停滞か」

 

だが僕の本来得意とするところは遡行の魔術。

これはそれを固有時制御の魔術に応用したものだ。

“固有時制御・逆流”

修正力の作用で術を使う対象の動きは停滞にまで拮抗してしまうが、それでも魔術で現界しているだけの枠組みが曖昧な英霊という存在にはある程度機能する。

 

「効果範囲は私の足だけか?」

 

「ええ、脚だけでも止まれば逃げるくらいの時間は稼げるでしょう」

 

必要な魔力が多すぎて、部分的にしか使えないのだ。

それに結局は時間稼ぎだ。

根本的解決にはならない。

早く姉さんのサーヴァントを呼んでもらうしかない。

 

僕は後ろへと振り返り、駆け出そうとした。

 

「甘いな」

 

身体が重い....?

走ろうとするが後ろから服を掴まれたかのような抵抗がある。

 

「風よ!」

 

後ろで叫びが聞こえたかと思うと、前から強烈な風が吹き、僕の体を後ろに吹き飛ばした。

 

「うおっ⁉︎」

 

身体が宙を舞い、内臓が浮遊する嫌な感覚が僕を襲う。

宙で彼女と視線が合う。

 

聖剣を後ろに構え、風を噴き出しているのが見えた。

風王結界か!

にしたって廊下で対流を起こすなんて、サーヴァントってのはなんでもありか⁉︎

 

「足を止めたぐらいで時間が稼げるはずもない」

 

落下地点で彼女は剣を構えて待っている。

おいおいおい!

 

「空中なら体内時間を変えたところで何もできまい」

 

そうして振られた彼女の剣は容赦なく僕の首を切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、2人にお願いするね」

 

「了解した。マスター」

 

「やるからには徹底的にだ」

 

私は礼装を着た後、一階のミーティングルームでエミヤとアルトリアに来てもらった。

 

固有結界を持つエミヤには魔神柱の隔離を頼み、殲滅の一撃はアルトリアに任せる。

 

現状の魔力の少ない状態で固有結界を張るのはエミヤが適任であるし、対城宝具である彼女の聖剣なら強力無比な一撃を放つことができるだろう。

 

戦力という観点で見れば、適任は他にも居る。

だけれども2人にはある程度の協調性があるし、指揮系統を守る意思もある。

情報が少ない今の状況でも、この2人なら柔軟かつ迅速に対応できるはずだ。

 

エミヤとアルトリアならヤバくてもなんとかなるんじゃね?って甘えはあるよね。

 

 

「先輩は大丈夫でしょうか?」

 

私がふざけたことを考えているとマシュが心配そうに言った。

 

彼女も2人に加えて同行する。

マスターである達海の安否が不明な以上、魔力パスの安定しないマシュを連れていくのはリスクが高い。

彼女はただでさえデミサーヴァントという、慎重な立ち回りが必要とされる立場だ。

 

だけれども彼女がどうしても出撃すると言って聞かなかったのだ。

実際もし達海と合流できれば継戦可能な戦力の増強が期待できるという判断もあり、ドクターも折れた。

達海は魔術師として魔力を運用できるから、カルデアからの供給を受けなくてもサーヴァントを維持できるのだ。

 

私としても、マシュの守りがないのは非常に不安だったのでありがたい。

ただマシュを怪我させるのは嫌だから、彼女が力を十全に発揮できるまで何が何でも守りきらなければ。

 

私は顔色のよくないマシュの手を握った。

 

「大丈夫だよ。達海はあれで頭が回るから」

 

あいつはこんな所でくたばったりしない。

何よりまだ、お父さんとお母さんの事を聞いてない。

今くたばるようなら地獄まで行ってぶん殴ってやる。

 

「そう、ですよね」

 

彼女は私の手を一度強く握り返してから、離した。

 

「すいません。もう大丈夫です」

 

顔を上げた彼女の瞳には、もう弱さは見られなかった。

それを見て、エミヤがふっと笑い、アルトリアは鼻を鳴らした。

 

「よし、行こう」

 

両手で顔を軽く叩く。

 

「ドクター。階段の隔壁を開けて。下に降りるから」

 

『わかった』

 

インカムから声が響く。

 

『オクタヴィア、開けてくれ』

 

『了解』

 

私たちの目の前で閉じていた隔壁が、鈍い音を立てながら開いていく。

徐々に開いて地下が見える。

暗くて先は見通せないが、空気はいつもと変わりない。

 

「エレベーターは使えないんだよね?」

 

『使えない事はないけれど電力は温存しておきたいし、塞がれたら物理的に詰む』

 

「分かった」

 

インカムの向こう側から若干の硬さを含む声を聞きながら了承する。

 

真っ暗な地下を眺めながら階段を降りる。

 

カツっカツっと靴の音が響く。

いつも通っていた道なのに、今はカルデアじゃないみたいだ。

階段につく手すりも、踊り場も、非常灯のランプも、既視感がなくなっていく。

カルデアとは違う、特異点に居るような変な気分。

夢の中とかで家に居たはずが急に迷子になってしまったような、大海に放り出されてしまったかのような孤独感が胸をつく。

 

足音と私たちの息遣いだけが周囲に響く。

 

 

 

大丈夫。

先頭にはアルトリア、殿はエミヤだ。

それに私の礼装もある。

マシュはすぐに庇える位置にいる。

大丈夫だ。

何かあっても対応できる。

大丈夫.....大丈夫.....大じょう...

 

 

 

 

「マスター。今回の任務の報酬は何だ?」

 

 

 

 

「え?」

 

「魔神柱を滅したら、どんなご褒美があるんだ?」

 

先行していたアルトリアが振り返って、そんなことを聞いてきた。

ほ、報酬?

えーっと。

 

「うーん、ハンバーガーとか?」

 

いつも食べてるし。

 

「足らん!そんなものか!マスター!」

 

「え⁉︎」

 

食べ物じゃダメなのかな⁉︎

えーっと、じゃあレジャーとか。

 

「うーん、じゃ、じゃあ、一緒にお風呂入りに行くとか!ほらローマの...テルマエ?だっけ?」

 

「ほう、私の前であの忌まわしい赤セイバーの話をするか」

 

「じゃあ、食べ放題とかっ!」

 

「あって当然だ」

 

えーっと、えーっと、あとなんかあったかな。

彼女の質問に私が慌てふためいていると、後ろから声がかかった。

 

「セイバー、マスターをあまり困らせるな」

 

エミヤがアルトリアの頭にチョップをかました。

 

「私は正当な報酬の話をしていただけだ」

 

「要求が多すぎる」

 

「何?私は当たり前のことを言っただけだぞ」

 

「それが多すぎると言うのだ」

 

「任務の報酬で食べ放題()()()も用意できんのか!」

 

()()()?」

 

エミヤの口がヒクヒクと震えだした。

それは地雷だよ....アルトリア....

案の定、今の発言はエミヤの逆鱗に触れるどころか、踏み抜いたのであった。

 

「食べ物の大切さも、料理の大変さも分かっていないような王はこれから一週間おやつ抜きだ!」

 

「なっ⁉︎」

 

エミヤの宣言に目を丸めるアルトリア。

 

「貴様!汚いぞ!」

 

「ふん。少しは自分の発言を反省しろ」

 

そしてご立腹のエミヤ。

まあ、これはしょうがない。

 

しかしアルトリアは納得できなかったようだ。

カンカンのエミヤに挑戦的な態度で口を開いた。

 

「そちらがそうならこちらにも考えがある」

 

「ほう?言ってみるがいいさ」

 

なんだろう?考えって。

 

「後日アイリスフィールとあのフードを被った暗殺者を連れて厨房に突貫する」

 

「なっ⁉︎」

 

「職場に親が来て同僚と挨拶される恥ずかしさ、とくと味わうがいい」

 

うわぁ。鬼だ。

やる事が大人気なさすぎる。

 

その場面を想像したのか、エミヤも冷や汗を書いているように見える。

 

「なんということを、絶対にやめたまえ!」

 

「やめるのなら、貴様のおやつ禁止令が先だ!」

 

なんか2人が謎の口論に発展しだした。

放っておいて戦闘でもしだしたら、目も当てられないので私は仲裁することにした。

 

とりあえずなんか言ってうやむやにしちゃおう。

そもそもアルトリアが報酬の話をしだした事が始まりだし、話題はそれでいっか。

 

「まあまあ、2人とも落ち着いて」

 

私は二人の間に割って入り、彼女に質問をした。

 

「アルトリアは何か欲しいものがあるの?」

 

私が質問するとアルトリアはキリッとした爽やかな顔で叫んだ。

切り替えはや。

 

「カレパだ!」

 

カ、カレパ?

カレパってあの?

 

「カレパだ!」

 

彼女はもう一回叫んだ。

 

「う、うん。カレー食べ放題ってこと?」

 

「違う。私はカレーパーティーがしたい」

 

「カレーパーティー....」

 

な、なぜカレーパーティー......?

 

「私はカルデアでカレーというカレーを食べた。そこのアーチャーのもしかり、ボンカレーもしかり、インドカレーにタイカレー、激辛から激甘まで多くのものを食べた」

 

「う、うん」

 

両手を交えたアルトリアの力説に私は若干引く。

 

「全てのカレーを食べ、結局はボンカレーが一番うまいと思った矢先.....」

 

「なっ⁉︎」

 

彼女の演説の途中でエミヤが聞きなれない声を出した。

 

「私のカレーのどこがインスタントに劣ると言うのかね⁉︎」

 

「エミヤさん!落ち着いてください!彼女の反転は趣向にも影響していますからっ!」

 

振り返るとアルトリアを問い詰めようとするエミヤと、エミヤを羽交い締めにするマシュがいた。

 

あー。

頑張って!マシュ!

 

私はマシュに向けてサムズアップした。

 

そんな2人を横目にアルトリアは続けた。

 

「そう思った矢先だ。カルデアの民が言うのを私は聞いた。“飯はみんなで食うから上手い”と言うのをな」

 

「みんなで食べる?」

 

よく聞くやつだね。

 

「そうだ。カルデアに来て、飯はいっぱい食べたが、他のやつと食うことがなかったからな。他の奴と食べるだけで味が変わると言うなら是非ともやってみたい」

 

そういえば、アルトリアって大体一人でジャンクフード食べてたっけ。

でもまさか王様がこんな一般論を試してみたいとは。

なんかギャップを感じる。かわいい。

 

「そっか〜。じゃあ帰ったらみんなでカレーパーティーしよう!」

 

みんなで食べるご飯は美味しいもんね。

ということで。

決まったら料理長にお願いしないとね。

 

「エミヤ〜。お願いしてもいいかな?」

 

両手を合わせて彼に頭を下げる。

 

「インスタントが良いなどと言う輩に作る飯はない!」

 

彼は腕を組んでふんっと拗ねる。

そこをなんとか。

 

「やっぱりエミヤの作るご飯が一番美味しいんだよ〜。お願いっ!」

 

神様、仏様、エミヤ様!

なにとぞ〜なにとぞ〜。

 

「マシュもエミヤのご飯大好きだよねっ!」

 

さあ、マシュ!エミヤを盛大によいしょするんだ!

 

「は、はい!エミヤさんの料理は大変美味で1日5食ほど食べたいぐらいです!」

 

マシュ!グッジョブ!

 

エミヤもどうやら満更でもない様子。

頬がにやけそうなのを必死にこらえているのが分かっちゃんだよな〜。

あと一押しだな。

 

「ねっ?お願い!」

 

必殺上目遣い!

さあ!陥落しろ!エミヤ城!

 

とうとう私の頼み込みに観念してくれたのか、彼は組んでいた腕を下ろしため息を吐いた。

 

「まったく。分かった。了解だ、マスター」

 

やった!ちょろい!

.......じゃなくて優しい!流石カルデアのママ!

 

「ありがとう!」

 

帰ったらみんなでエミヤのご飯だ〜。

 

「聞こえた?ドクター!」

 

私はインカムに喋る。

 

『ああ!みんな!やったぞ!任務が終わったらエミヤがカレーパーティーをしてくれるって!』

 

ドクターもテンション高い。

その気持ち、めっちゃ分かります。

 

『え⁉︎本当ですかっ⁉︎ドクター⁉︎』

 

『マジですか⁉︎』

 

『やったぜ!』

 

『エミヤ!エミヤ!私チキンカレーがいい!』

 

『俺はシーフードで!』

 

『俺はバターカレーで頼むよ!』

 

『私ポーク!』

 

『僕はグリーンカレーだ』

 

『おい、カワタ。それ辛くて他に誰も食えんだろ』

 

『そうだぞ〜みんなの事考えろ〜』

 

『なっ⁉︎辛党だって何人かはいるでしょう⁉︎』

 

『おーい、辛党っているかー?』

 

インカム越しにみんな聞いてたのか、あっちもすごい盛り上がっている。

楽しそうだ。

というかカワタってさっきの眼鏡か。

いけ好かない感じだったのに、こう言うノリもいけるのか。

意外!うける!

 

ということでエミヤにインカムを向ける。

 

彼は呆れた視線を向けていたが、私のインカムを持つとあちらに向けて喋った。

 

「任務が終わったらカレーの種類は希望を取る。1票でもあれば調理するから喧嘩しないように」

 

『『『イエーイッ‼︎‼︎』』』

 

インカムの向こうは大変盛り上がっているようだ。

 

「凄いですね、アルトリアさん」

 

あまりの盛り上がりように私も若干呆れていると、羽交い締めの役目を終えたマシュが言った。

 

「凄いって?」

 

「アルトリアさんの発言一つで皆さんの緊張がここまでほぐれたので」

 

言われてみれば。

私は自分の肩の力が抜けているのに気づく。

 

ふと彼女に目を向けると彼女はただ無愛想に前を向いて腕を組んでいた。

 

「私達やドクター、オペレーターの皆さんも今日のような経験が無くて肩に力が入りすぎていたのかもしれませんね」

 

私達が気張りすぎていたのを見兼ねて、カレーパーティーなんて言ったのか。

 

確かに私も凄い緊張してた。

管制室のほうも緊張がインカム越しでも伝わってきいた。

私達のホームが戦場になるなんて思わなかったから。

 

流石、アーサー王。

一国の王はやはり天性のカリスマが備わっている。

 

ん?

 

「彼女が持ってるスキルはカリスマEだったような?」

 

「そうですね。通常のアルトリアさんはBクラスですが、彼女の場合はEクラスに変わっていたはずです」

 

それがどうかしましたか?と聞いてくるマシュ。

いや、朧げな記憶なんだけれども...

 

「カリスマEって自軍の能力を上げるだけで、軍団の士気は著しく下がるってあった気が.....」

 

私の言葉にマシュもあっと声を出した。

 

「そういえば、そうですね。ということはこれは保有スキルというより彼女の才能ということでしょうか?」

 

マジか。

資質だけでここまでできるとは。

 

「アーサー王ぱねえ....」

 

「ぱねえ、ですね」

 

私とマシュは尊敬の目で()()()()()()()()()()()()()()()()を見つめる。

 

そんな私達の視線に気づいたのか、彼女はニヤリと笑った。

 

「よい。私の才覚を持ってすれば、このくらい当然だ」

 

自他共に認めるってやつだ。

 

「戦闘が始まってもいないうちから気を張りすぎては、いざ戦う時に出せる力も出なかろう。特に職員達はな。」

 

職員?

 

「あっちの緊張なんて分かるの?」

 

「奴らは基本、現場に居ないからな。戦場に身を置く意識が違う。いくら全員が命をかけてると言っても、戦いが目の前にある状況はその場の経験でしか慣れる方法もなかろう」

 

そして騒いでるみんなをインカム越しに諭すエミヤを見る。

 

「少し抜かせすぎた気もするが......」

 

インカムを見る彼女は若干の呆れ顔。

 

「まあいい。ガチガチで使い物にならん奴はもういないだろう。そろそろ行くぞ」

 

そして彼女は前を向いた。

 

「うん。そうだね」

 

よし、行きますか!

 

 

 

 

《どこ?》

 

 

 

 

 

「え?」

 

 

今何か....

 

「どうかしましたか?立花さん?」

 

私の声を聞いてマシュが疑問を口にした。

何か聞こえたような気がしたんだけど....

気のせいか。

 

「いや、何でもない。行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 




ダ・ヴィンチ女史「なんだ。君達そんなにカレーが食べたいなら、是非ともこの“全自動好きなカレーが作れちゃうんです1号”の試食をしてくれないかなあ」

「あ、自分トイレ行ってきます」

「さて仕事、仕事」

「集中しないとな!」

「ああ!気を引き締めよう!」

ダ「何この扱い⁉︎」

ロマニ『当たり前なんだよなあ』




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