ネタバレになりそうなので返信はある程度たってからに致しますが、読ませていただいております。
ゼパる(動詞)って書かれている方がいて笑いました。
「……」
ジャンヌは僕に背を向けたまま、ただ黙って立っている。
「…」
「…」
敵に動きはない。
魔神柱は動かないまま。
依然として炎はあたりを焦がし続けている。
「…ジャンヌ。策って何か、いい加減教えて欲しいんですが」
「…」
彼女は反応しない。
「ジャンヌ?」
「…」
「あの…」
「うっさいわね!そんなに言わなくても聞こえてるっつーの!」
何度も呼んでいたら、彼女がキレた。
石突を地にぶつけ、カキンッと甲高い音が周りに響く。
いや、聞こえてるなら返事してよ。
「今準備してるのよ」
「準備?」
おうむ返しに聞く。
武装の調整や魔術の準備をしていたわけでもないし、魔力の流れも感じなかった。
それらしいことをしていた様子はなかったけど…
「なんの準備ですか?言ってくれれば僕も手伝いますよ」
敵はまだ動いていないがいつ動き出すか分からない。
何かすべきことがあるなら迅速に終わらせたい。
しかし僕の質問に彼女はただ目を俯かせた。
「…」
また無言になってしまった。
「えっと…」
「……………はぁ」
僕がおろおろしているとなぜだか彼女は大きなため息をついた。
「なんか馬鹿らしくなってきたわ」
馬鹿らしい?
彼女はそんなことを言うと面倒臭そうな目つきでこちらを見た。
僕が何か失礼なことをしただろうか?
「説明するのも面倒だからちょっと目をつむってなさい」
「目を?なんでですか?」
反射的にした質問に彼女の目の端がぴくっと動いた。
「いいから目をとじろっての!」
そしてまた怒鳴った。
なんなんだ。
「分かりましたよ」
分からないけど従わないと話が進まないので言う通り目を閉じた。
「今から10秒、絶対に目を開けんじゃないわよ」
「はあ」
10秒って、何する気ですか。
生返事をしてそんなことを思った直後、唇に柔らかな感触がした。
そして何か接触した部分から暖かさが伝わってきた。
「⁉」
驚いて目を開きそうになったが、何をされているのか見ることが怖かったのでとっさに瞼に力を入れて視ないようにした。
そのあと何か湿ったものが口内に入ってきてすぐ、口の中でガリっと音がした。
「痛っ⁉」
僕は痛みで反射的にのけぞり、目を開いた。
え、なに?何してたの?
口に痛みが残っていて手をやると指に血が付いた。
切れてる。
視線を上げ、ジャンヌを見る。
彼女は唇についた血を舌でなめとった後、口を開いた。
「準備、終わったわよ」
気だるげにそういう彼女の頬は赤みがさしているように見えた。
え、なに?今何したの?
何の準備だったんですか?今の?
「黙りなさい」
困惑する僕に対し彼女は言った。
いや、まだ何も言ってない。
「質問は受け付けないので」
そう言って彼女は顔を背けた。
え、ええぇ。
結局、何の準備をしていたかさえも分からないままなんですが。
「これで充分なのよ、あんな奴には」
彼女はそれだけ呟いて、床に刺していた旗を手に取った。
旗がバサッと音を立て揺れる。
そして前に歩きだした。
え⁉
「もう戦う気ですか⁉」
策どころか、まだ何も聞いてないんですが⁉
「そうよ」
彼女は歩きながら言った。
そうよって、連携ぐらい事前に話しておかないとフォローにも限界が…
「すぐに終わるわ。だから今ので充分よ」
彼女は一瞬だけ歩みを止め、ちらりとこちらを見ると歩みを再開した。
その時見えた彼女の横顔はとても悲しそうで、僕は口に出す言葉を飲み込んだ。
戦う直前だというのに、あまりに悲壮感が漂う背中はまるで友人の葬式に向かうように見えた。
§
「彼女は……とても怒っていたね」
私は先ほどの召喚を思い出して呟いた。
達海君を見た後、こちらに向けた憎悪の目。
まさかあそこまで敵意に満ちた視線を受けることになるなんてね。
「彼女の怒りは当然だ」
シャドウボーダーの後ろに座るホームズは加えているキセルをつかみ、煙を吐き出しながら言った。
吐き出された煙は直上の換気口に吸い込まれてすぐに霧散した。
「なにせ、何も知らないマリオネットにヘンゼルとグレーテルをやらせようとしているんだから」
ホームズは換気口に入っていく煙が消えていくのを見上げていた。
「いや、この場合はハーメルンの笛吹き男だろうか…」
ホームズは見上げたまま、頭を背もたれに乗せ大きく息をはいた。
「こんなとき、彼がいたら素晴らしい合いの手をしてくれるんだが」
そう言ってこちらをちらっと見た。
「私に探偵助手は務まらないよ」
なんだか突っ込みに覇気が出ない。
どうやら私みたいな天才でも人並みに負い目なんてものを感じたりするらしい。
新たな発見だ。
「…」
センサーが反応したのか、通気口から音が響き部屋の換気を驚くべき速度で行っていく。
私も力を抜いて、煙が吸い込まれていくのをただ眺める。
あれだけ漂っていた煙があっという間に吸い込まれていき、この部屋から消えていく。
「これは我々の責任だ」
煙がすべて吸い込まれ、通気の音が止んだころホームズは呟いた。
「あの小さな両肩に、多くの荷物を背負わせ続けたツケを払わされている」
彼は手元の丸机にキセルを置いた。
「だから罪悪感も、軽蔑も甘んじて受け止めるべきだ」
「…うん、その通りだ」
自分の尻ぐらいは拭わないと彼に示しがつかない。
「だがそれは世界を救わない理由にはならない」
「…わかってるよ」
その通りだ。
どんな罪を犯しても、どんな間違いをしてしまおうと私たちは進まなければならない。
私たちはそのために多大な犠牲を払ってきたのだから。
「責任はとる。だけどツケを払わなければならないのは私たちだけじゃない」
弛緩していた体に力を入れなおす。
辛いなんて言える資格が私たちにあるわけがない。
弱音を吐く前に、やるべきことがある。
ホームズは椅子から立ち上がり、こちらを見た。
「ああ。今の彼女では文字通り話にならないしね。無理にでも引っ張り出すしかないだろう」
ホームズはいつも通りの余裕の笑みを浮かべる。
だが違和感があった。
おそらく笑顔の裏に憤怒が隠れているからであろうことは言うまでもない。
「
§
「いつまで薪になってるわけ?いい加減盗み聞きも趣味が悪いわよ」
今なお燃え続けている炎を前にして彼女はそう言った。
彼女の言葉の直後、炎の中心に穴が開いたかと思うと炎がその穴に吸い込まれ始めた。
「もうよろしいのですか?ろくに作戦会議もやらなかったようにお見受けいたしましたが」
炎が渦を描くように吸い込まれ、先ほどの女性がその中心から姿を現した。
その姿は傷どころか、火傷をした様子もなく健在であった。
こちらに下りる直前に見えたあの姿は目の錯覚ではなかったようだ。
彼女自身はとても気品のある物腰で、どこか上品に感じられる雰囲気を醸し出しているのに服装が煽情的すぎる。
あまりにちぐはぐだ。
「いらないわよ、そんなもの」
ジャンヌの声は戦闘前の興奮も、死への恐怖も帯びておらず、ただ気だるさだけが感じられる響きだった。
「少なくともあんたごときにはね」
ジャンヌの挑発ともとれる言葉に、目の前の女は絹のような白く滑らかなそれを見せるように口元に手をやった。
そしてくすくすと笑い始めた。
「それは大変よろしゅうございます」
笑い方にもどこか気品を感じられるような動作をする。
「それではこちらの善意から忠告させていただきますが、あなたはマスターさんを連れて、尻尾を巻いて逃げた方が賢明だと思いますよ?」
彼女は冷笑のまま、こちらにそんなことを言ってきた。
逃げろ?
おかしなことを言うな…
ジャンヌも同じことを思ったようで、苛立たしげな声を上げた。
「はあ?」
彼女はこちらににっこりと笑みを浮かべて言葉を続けた。
「あなたのマスターさん、さきほどの方よりもマスターとしての力量が大変劣るように感じられるのですが」
何を言うかと思えば、僕へのダメ出しだった。
まさか味方ではなく、敵に、しかも戦場でこんなことを言われることになろうとは。
我ながら虚しさを感じる。
「英霊との親和性が限りなく低い。あなたのマスターさんの気配には全く興奮しませんもの」
親和性。
そんなものが気配で分かるのか、あの女は。
そして女はジャンヌに向き直る。
「あのマスターさんの力量では貴方は私に傷一つつけることも叶わないと存じます」
言いたい放題だな。
まあ事実か。
とするならばあれは人類悪の自負なのだろうか。
ジャンヌは右手に持つ旗の旗先を少し下げた。
「仮にそれが事実だとして、なんであんたはそんな忠告を私によこすわけ?」
彼女の声に特に感情は感じられない。
やはりあるのは気だるさだけだ。
ジャンヌの問いに女は顔を赤らめた。
「まあ!なんでかと私に問われるので?」
彼女は恥ずかしそうにこちらを見た。
え?なに?
なんでそこでその表情?
あの女の表情変化がいまいち読めない。
「それは当然でございましょう。あんな初々しい逢瀬を見たら、気を遣うのが人と言うものでございます」
お、逢瀬?
「私、馬に蹴られる趣味はないものですから」
何言ってるんだ?
さっきから言ってることが理解できない。
カチカチ…
「?」
金属がぶつかるような音が耳に入る。
なんだ?
音源の方に目を向けるとそれはジャンヌの右手だった。
彼女の右手が震え、手甲と腕の鎧が何度もぶつかる音だった。
「ジャンヌ……?」
武者震いのように体が小刻みに震えている。
ジャンヌの様子を見て、女は少し驚いた表情をした。
「色恋沙汰は触れられたくない話題でしたか?」
挑発するかのような言い方だった。
「今すぐにその減らず口を閉じなさい」
ジャンヌは体を震わせたまま、口を開いた。
「3つ」
その声は彼女の根源に近い。
ただ怒りが体を喰らいながら喉を出てきたかのように底冷えするほどの低い声だった。
「あんたの間違いを3つ、ただしてやるわ」
彼女の右手に力が入る。
旗棒がミシミシと悲鳴の音を上げる。
「1つ、英霊との親和性はあんたをぶっ殺すのに必要ないってこと」
何度も地を叩く音がした。
そして僕は石突から滴る赤い雫に気が付いた。
彼女の手から、旗棒を伝って血が滴っている。
「2つ、私のマスターはあんたをぶっ殺すのにこれ以上なく最適だということ」
彼女が旗を強く握りすぎているのだ。
あまりにも強く握りすぎて、血がにじんでいる。
「3つ、あれは逢瀬じゃない。けじめよ」
それを言った瞬間、彼女の体が消えた。
「な⁉」
一瞬後、女の体が右側に吹っ飛んだ。
猛スピードで体が飛ぶと壊れかけの結界を突き破り、そのまま地下室の壁に突っ込んだ。
轟音と共に壁が崩れる。
女がいた地点には片足を蹴り上げているジャンヌ。
それで彼女があの女を蹴り飛ばしたのだと気づいた。
「燃えろ」
ジャンヌが一言発した。
その瞬間、彼女の周囲全てが発火した。
世界が火で包まれる。
その炎は結界の残滓を吹き飛ばし、蛇のように地を這うとそのまま女が突っ込んだ場所を燃やし尽くした。
無機物であるのにもかかわらず、囂々と炎が燃え盛る。
高温すぎるのか、青い炎が揺らめいている。
その異常な風景がまるで彼女の怒りを表しているようだった。
「やってくれますわね」
炎の中心から女が飛び出た。
その体はところどころ黒く焼け焦げていて炭化している。
「あまり調子に乗られるのも癪でございます。ここらで立場の違いというものを分からせてあげましょう」
彼女の中から魔力の流れる気配がした。
まずい。
何かする気だ。
だが焦る僕とは反対にジャンヌは冷静だった。
ただ彼女を見下してこう言った。
「やってみなさいよ」
彼女の言葉に女は表情をゆがませた。
「虫が…!」
彼女の表情に初めて負のものが見えた。
憎々しげな、とはああいうものを言うのだろう。
そして口を開いた。
『跪きなさい』
それは普通の声とは違う、何かの違和感があった。
『私にすべてを委ねなさい』
何かの魔術か?
魅了の魔術に類似する何かを感じるが…?
僕は警戒を強める。
しかしそれだけだった。
その声を発した後、女は勝ったかのように笑みを浮かべる。
なんだ?
既に何かしたのか?
奴を睨みつつ、いつでも反撃できるよう回路をフルで回転させる準備をする。
「…」
しばらく経つが何も起きない。
「…?」
だが時間が経つにつれ、徐々に変化するものが一つだけあった。
女の表情だ。
奴の表情が余裕から驚愕へと変化した。
「私の『万色悠滞』が効かない⁉」
万色悠滞?
やはり何かの魔術なのか?
「立場の違いとやらが分かったかしら?」
驚きの表情になった女に向けて、ジャンヌは馬鹿にするように言った。
「どちらが上でどちらが下か」
だがその表情には嘲笑はなく、ただ軽蔑のまなざしで女を見下していた。
「あなた…いったい何をしたのです」
そのまなざしに女は憎々しげな視線で返す。
「私は何もしていないわよ。ただあんたがどうしようもなく矮小なだけで」
「虫がッ!」
女が吼える。
それと共に彼女の足元から無数の手が湧き出した。
そしてお腹が開き、そこから魔神柱のように無数の目が這っている管の様の物が伸びてきた。
「あなたのような虫など、私の権能を持ってすればっ⁉」
彼女は言葉を止めざるを得なかった。
旗が槍のように投擲され、彼女の腹を貫いたからだ。
「ごはっ‼」
女の体が後方に倒れ、旗棒をずるずると滑らせて竿頭に引っかかり体を止めた。
彼女の口から大量の血が吐き出される。
「このっ!」
女は体に力を入れ起き上がろうとする。
しかしまたしても驚愕に顔をゆがませる。
「『ロゴスイーター』が使えない⁉なぜ⁉」
「へえ。あんたの権能そういう名前なの」
女の体に影が差す。
ジャンヌが女の目の前に立っていた。
「まあ、どうでもいいけど」
彼女は腰につるしていた剣を抜くと、剣先を上にあげた。
それと同時に彼女の周りに黒色の槍が4本現れる。
そして剣先を下げると4本の槍は女の体をことごとく貫いた。
「ぐっ⁉」
女が痛みに顔をゆがませる。
僕はその時、違和感を覚えた。
女の体、ジャンヌの炎で炭化した部分が回復していない。
なぜ?
最初に宝具を使った時の傷は完治していたのに。
まさかもう魔力切れを起こしたのか?
人類悪なのに?
そんな馬鹿な。
ジャンヌは女の腹に刺した旗の旗棒を握ると力任せに引っ張って抜いた。
「ああ‼」
女が悲鳴を上げる。
そして旗を振り上げるともう一度同じ場所に刺した。
「あああああああ!」
女はさらに悲鳴を上げた。
返り血でジャンヌの顔は赤く染まり、鬼のように見えた。
「ふう、ふう、ふう」
女が荒く息をする音が聞こえる。
かすれた呼吸をする女を見下して、ジャンヌはただ一言言った。
「無様ね」
そこにあるのは依然として軽蔑のまなざしだけだった。
女のかすれた呼吸音だけがあたりに響く。
一方的だ。
奴は人類悪じゃないのか?
なぜここまでこちらに打ちのめされる。
まるで太刀打ちできていない。
僕は本来喜んでいい展開に、困惑していた。
理屈が合わない。
本来奴と僕らは逆の立場になるはずだ。
それともこれが彼女の言っていた策と言うやつの効果なのだろうか…?
僕が困惑していると人類悪の女が口を開いた。
「な、なるほど。そういうことですか…」
苦しげな呼吸をしながら女は言葉を紡ぐ。
「たしかに英霊との親和性など必要ありませんね…」
親和性?
「可能性があるとは思いましたが、ま、まさかこんなところにいるとは…」
彼女は咳をして、血を吐き出すと続けた。
「そ、それで?あなたとマスターさん、どちらなんです?」
そういって奴はジャンヌを見上げた。
「さあ?」
ジャンヌのやる気ない返答に女は笑みを浮かべる。
「あなたのマスターさんですか…」
くつくつと女は笑い始めた。
「じゃあ、あなたもまともな英霊じゃありませんね。いや、そもそも英霊ですらないのでしょうか…?」
訳の分からないことを言い続ける女をジャンヌは黙って見下ろしている。
「まったく皮肉ですね。分かっていてやってるのですか?こんなことをしていてもいずれ地獄に行くだけですよ、それも背中を刺されて」
女は馬鹿にするようにジャンヌを笑った。
「だから何です。石を投げて弾劾されるのは慣れています」
ジャンヌは軽蔑を隠さず、それだけ言った。
その言葉に女はますます笑う。
「なんて酷いサーヴァントでありましょう。流石はじっ⁉」
彼女は痛みに顔をゆがめた。
ジャンヌが先ほど抜いた剣を女の首元に刺していた。
「余計なことは言わなくていいのよ。さっさと死ね」
そう言うと剣の柄をつかむ手に力を籠め、叫んだ。
「燃えろ」
その言葉で彼女の体が発火した。
「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
人体が轟音を立てて燃えている。
「たしかに、こんかいは、わたくしの、かん、ぱい、ですわね」
燃えている人体から辛うじて人のような声が聞こえる。
なんであの状態でしゃべれるのか。
僕は背筋がすうっと寒くなる。
ジャンヌはもう一度言った。
「燃えろ」
その言葉で火はさらにその勢いを増した。
「でずが、べつに、あだぐじがまえたからとえって、あなたがかったあえでわな、い…」
その言葉の直後、僕の後ろに一つ管が生えた。
これは…さっき奴が腹の中から出していた管の一つか⁉
「しまっ⁉」
その状況にジャンヌが目を丸くする。
「ふふふふ、あだぐじとぎて、もあいあずあ、よ」
ヤバい!
この状況じゃ、固有時制御も間に合わない!
「詰めが甘いぞ」
管が僕を貫こうとした瞬間、後ろから飛んできた矢が管を消し飛ばした。
「あ」
「エミヤさん!」
後ろには弓を構えこちらを睨むエミヤさんがいた。
「あああああああ!」
奴はまだ叫ぶ。
「
もはや肌もなく、燃えた骨が歩き回っているように見える。
「いづも!いづも!さいごにあだくじのじゃまをしでえええええええええええええええ!」
「悪いが、そんなことをした覚えはないな」
彼はもう一度矢を引き絞ると手を離した。
ひゅんと音が鳴り、その矢は奴の首を引きちぎった。
「あ」
奴は首だけの状態で変な声を出した。
「いい加減くたばりなさい」
ジャンヌが剣でその首を真っ二つに引き裂いた。
中央から二つに割れた顔が僕の近くに跳んできて、片方はつぶれ、もう片方は僕の足元まで転がった。
もはや人の顔の原型すら残してないそれはわずかに動くとこう言った。
「この世界がなんであるか、すぐに貴方にもわかりますわ。その時にぜつ…」
それを最後にその肉片は灰になって消えた。
勝った、のか…?
今回もですが、次回以降本格的に謎が解明されていく予定です。