たった一人のマスターへ   作:蟹のふんどし

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感想書いてくれた方ありがとうございます。
一応最終話までのプロットができたので、ぼちぼち返信していきます。


電報

 

 

 

 

 

目覚まし時計。

私はこの言葉に違和感を覚えることが多々ある。

 

ある特定の時刻に起床するために使われる道具であり、一般的に普及しているものである。

だがここで考えて欲しい。

こいつ、名前がおかしくないだろうか?

 

()()()時計であるならば、私たちではなく時計が目を覚ますべきだ。

 

時計の本懐とは我々に時を知らせること。

本来、陽の動き具合や気温など外界の変化でしか感じることのできない”時”と言うものを一定の尺度で測り、我々に客観的指標を提示することである。

すなわち時計において、目覚めていない状態とはその役割を果たせていない状態を指すのではなかろうか。

 

だというのなら音を鳴らすから目覚まし時計とは語弊がある。

今まで時計盤を表示すらしていなかった時計が、設定していた時刻になると時刻を表示し始める。

こういった機能を実装して、初めてその時計を目覚まし時計と言うことが可能となるであろう。

 

だから朝方にやかましい音を奏でていたこいつの呼び方は、目覚まし時計とするべきではない。

目覚まさせる時計、これが正しい呼称である。

 

しかし。

だがしかしだ。

 

目覚まさせる時計、この呼称はおそらく一般に流通し得ない。

それはなぜか?

語呂が悪いからである。

 

目覚まさせる時計。

長すぎる。

あんな頻繁に使う道具の呼称が9文字など、アオウトオブ眼中だ。

考えても見て欲しい。

 

 

「お母さん!また私の目覚まさせる時計、勝手に止めたでしょ!」

 

「止めてないわよ。あなたが自分で目覚まさせる時計止めたんでしょ」

 

「もう!私が目覚まさせる時計止めても起きてこないの気づいたら起こしてっていったじゃん!」

 

「お母さんも朝は忙しいの。起きられないならあと3台くらい目覚まさせる時計買ってきなさい」

 

「そんなに目覚まさせる時計いらないよ!」

 

 

やかましいわ。

なんだこの会話。

話していて疲れないのだろうか?

いや疲れる。

そしてそのうち目覚まさせる時計は、まさる時計とか省略されるのだ。

誰だよ、まさる。

 

それに比べ、目覚まし時計の語呂の良さと言ったら。

悔しいが認めざるを得ない。

だって“めざましどけい”だぜ⁉

7文字じゃん。

日本人は体が勝手に五七五に反応してしまう遺伝子が組み込まれているので、理屈なしに称賛してしまう。

 

これはいいものだ。

 

喚きだす 目覚まし時計 くっ殺せ… (藤丸立花)

 

聞かんでもわかる。

凄いやつやん!

絶対つこおてしまうやん!7文字なんて!

許せん。

 

なので殺しました。

今私の手の下にある目覚まし時計はぺしゃんこになっている。

朝からうるさかったので私が潰した。

 

私は悪くないのだ。

目覚まし時計なんて紛らわしい名称で自分が起きるふりして、喚き散らすこいつがいけない。

名前を変えて出直してこい!

たとえセットしたのが昨日の夜の私でも、私は絶対に謝らない!

絶対にだ!

 

「絶対にだ!……じゃありません、マスター」

 

マイルームのベッドの上でひたすら言い訳を考え続ける私に声がかかった。

私はそちらを見る。

 

目についたのはとても長い黒い艶やかな髪。

足元まで伸ばしたその髪は先端でまとめられている。

その髪を先端からたどっていくとその髪の持ち主が、神がかったプロポーションの持ち主であることがよくわかる。

 

すらっとした細く長い脚。

ほどよく肉付いた太もも。

服の上からでもわかるキレなくびれに、引き締まった腹筋。

そして大きいおっぱいが2つ。めっちゃでかい。でかい。

華奢な佳人と思わせる細い首筋。

 

その首にのる頭には、つややかな唇。

すっとした鼻筋。

細く長い目には蜂準長目を思わせるような知性を纏わせながらも、その上に並ぶ睫がどこか淫靡な雰囲気を漂わせている。

まるで完成された美しい人形のような顔。

 

日本美人を体現したかのような容姿だ。

 

「朝の気だるげな気分は母も理解しておりますが、ものに当たるのは賢い者がすることではありません」

 

並びに戦闘力まで恐ろしく高いサーヴァント、源頼光さんに叱られた。

 

「いやあ。でもこれ私物ですし……」

 

寝ぐせだらけの頭をポリポリかきながら言い訳をする。

備品なら流石にやりませんよ。

私のそんな態度に頼光さんは腰に手を当てて怒った。

 

「いやもでもも、ありません!そういった態度は日ごろから改めておかなければ肝心な時に出てしまうものなのです!」

 

プンプン怒っている頼光さん。

かわゆす。

 

「聞いているんですか!マスター!」

 

「はいはい」

 

「はいは一回です!」

 

「はーい」

 

「伸ばさない!」

 

ほっぺをぷっくりさせている頼光さん。

激おこプンプンなほっぺをぷにぷにしたら怒られるかな?

 

「まったく……マスターにはまだまだ母の教育が必要ですね」

 

彼女は困ったようにつぶやいた。

そしてベッドの上に散らかっている掛布団を綺麗にたたみだした。

 

さっきから言ってることと言い、やってることと言いほんとにお母さんみたいだ。

いや、もうお母さんである。

ママである。

ビッグマムなう。

なおどこがビックかは言わずもがな。

 

ふう。

そろそろ現実を見ようか。

 

「あのさ、頼光さん」

 

布団をたたむ手を止めてこちらを見るみっちゃん。

 

「なんですか?マスター?」

 

不思議そうにこちらを見ている。

 

「……なんでいるの?ここに」

 

「?」

 

可愛げに首をかしげるみっちゃん。

 

「?じゃないよ!サーヴァントはD区画から出ちゃいけない決まりでしょ⁉」

 

私の回路を通しているとはいえ、私が契約しているサーヴァントを現界させているのはカルデアの炉で作られた魔力だ。

カルデアの炉は無限に魔力を精製できる便利な魔法道具ではない。

戦闘時でもないのに、サーヴァントに無駄な魔力を消耗させるわけにはいかない。

 

そこで考えられたのが、サーヴァントをあえて弱体化させ現界に必要な魔力量を少なくさせる方法だった。

霊基を確立させるための必要最小限な情報だけを抽出し、部分的に魔力を流すシステム。

Degrading System Section.

機材管理課や技巧部の職員は頭文字をとってDSSなんて呼んでいるけど、言いにくいので私はD区画と呼んでいる。

 

カルデアの地下3Fに設けられた区画。

レイシフトなどの例外を除き、基本的にサーヴァントはそこで過ごす決まりだ。

 

「私はマスターの母ですが?」

 

それ以外に理由が必要で?と言わんばかりの顔。

なんでだ。

文脈跳びすぎだよ!

理由になってないよ!

可愛く首をかしげてもマスターは許しませんよ!

 

こんなに強くて頼りになるのに、なぜバーサーカーなのか。

その原因はたぶんここなんだろう。

 

「ますたぁの言う通りです、左馬権頭様。ちゃんとダミーを置いて足が付かないようにしなければなりません」

 

だから今私の背中にくっついている蛇姫さまもバーサーカーに違いない。

 

「あら?私の霊基はランサーですよ?」

 

当たり前のように心を読むなぁ!

 

「もうなんでいるのっ⁉清姫!」

 

私は振り向いて張り付いていた清姫を引きはがした。

清姫はいやん、とふざけた言葉をはいてベッドの上に倒れる。

 

安珍清姫伝説で有名な少女。

和歌山県のある地域の管理を任されていた役人の子。

お偉いさんの箱入り娘だ。

 

綺麗に梳かれた髪。

シミ一つない白い肌。

艶めかしい指先。

倒れてもなお醸し出す気品が、彼女がやんごとなき身分であったことを示している。

 

だが顔にはあどけなさが残っていて、彼女の気質さえ除けば礼儀正しい童女に見えただろう。

気質さえ見なければ。

 

布団をたたみ終えた頼光さんは微笑を浮かべて清姫を見た。

 

「真砂の君、ご心配なさらずに。道中の監視カメラはすべて潰しておきました」

 

「まあ。それなら問題ありませんね。流石は当主であったお方です」

 

ニコニコとそんな会話をしている。

ちょっと!?

全然大丈夫じゃないんだけど⁉

それ見つかった時に怒られるの私ですよ⁉

問題しかないよ⁉

 

「さあ、ますたぁ。私と一緒に紀元前へ、はねむーんと行きましょう」

 

彼女は私に正面からしなだれかかってきた。

うおっと。

彼女の体重に負け、背からベッドに倒れ込む。

彼女に覆いかぶさられてしまった。

 

「観光はどこにいたしますか?私、伊拉久についてはあまり知識がないのでますたぁがえすこーとしてくださると嬉しいです」

 

頬を赤く染めながら私のお腹にまたがり、息を荒げながら言うことではない。

そしてレイシフトは観光ではない。

 

「お待ちなさい。今回はマスターと私で親子水入らずの旅をすると申し上げておいたはずですが」

 

そんな話は聞いてないですねえ。

 

「いえいえ。お姑様との関係は大事ですが、最も優先されるべきは夫婦の愛ではありませんか?男女の恋慕とは斯様にに激しく、そして抑えられぬもの。お母さまであらせられるのであればそこは大きな器を持ってお譲りくださいな」

 

「母への態度は大変結構です。確かに子が嫁を取るならば、夫婦間の関係は良好であることが好ましい。ですが夫婦とて所詮は他人。この世で最も大きいものは母から子に対する愛です」

 

倒れている私を放っておいて二人で口論しだした。

 

……何言っているかさっぱり分からないのです。

私は清姫の旦那さんではないし、頼光さんの子供でもない。

これホントに私のことで揉めてる?

なにか致命的な食い違いがございませんか?

 

「ちょいちょい!二人とも」

 

私は慌てて声を上げる。

 

「私言ったよね⁉バビロニアには王様しか連れていけないって!」

 

会議が終わった後、D区画に下りて7人全員に言ったはずである。

まあ、王様は私の話を全く聞いていなかったので実質6人だけど。

 

私の言葉を聞くと二人は困ったように眉をしかめた。

 

「マスター。お考え直してはいただけないのですか?確かにかの王はマスターを守る力量は十分でございますが……」

 

「あの光り物は人格破綻者です。あのような気狂いだけを同行させるなんて、ますたぁが死んでしまいます」

 

気狂い()

きよひー、相変わらずの直球くるなあ。

大丈夫、マシュがいるよ。

私のマシュは最強なんだ!

 

とはいえ二人とも心配してくれているのは確かだ。

それは素直に受け取っておこう。

 

「ごめんね。一応カルデア全体での決定だから私の意見でどうにかなるものじゃないんだ」

 

清姫は扇子を袖から取り出し、慣れた手つきで広げた。

そしてその扇子で口元を隠した。

 

「そこがおかしいのです。実際に危険な目に合うのはますたぁですのに」

 

清姫は納得していないみたいだ。

ぷんぷん怒っている。

可愛い。

 

対して頼光さんは眉をしかめた苦々しい表情であった。

何を思ったのか、彼女は両ひざを床について、ベッドに倒れている私の手を取った。

 

「マスター。私も一家の長でございますれば、人の集まりが思うように動かないのは存じております」

 

「あ、そっか。そうだよね。むしろ頼光さんの方がよく知ってるよね」

 

どちらかと言えば大先輩だ。

 

「しかしながら今回は妙な胸騒ぎがするのです。今回の決定にはいつもとは違う何か……恣意的な力が感じます」

 

「恣意的……?」

 

「いえ、私の杞憂であれば良いのですが……」

 

彼女は私の左手を両手に抱えたまま、固まってしまった。

 

彼女たちには私よりもとても大きな力がある。

そしてその力を使ってほしいと頼んだのは私だ。

それを了承して付いてきてくれているというのに、こちらの勝手な都合で留守番をさせることになる。

 

自分よりも力の劣るものを送り出さなくてはいけない。

その辛さは姉である私もよく経験した。

だから辛さが分かる。

そして彼女たちに対する申し訳なさもある。

 

私はベッドから上体を起こし彼女の頭を胸に抱えた。

腕の中で彼女が驚く気配がする。

 

「ありがとう。頼光さん」

 

「マスター」

 

胸からくぐもった声が聞こえる。

 

「ごめんね。置いていかなくちゃいけなくて。でも大丈夫。私はあなたのマスターとしてあなたの教えをずっと受け続けてきた。あなたとのつながりはこの令呪だけじゃない。頭から足の指先に至るまであなたの教えが隈なくしみ込んでる。」

 

「マスター……」

 

「だから待っていて。必ず帰ってくるから」

 

「……」

 

「それで帰ってきたら私をぎゅうぅぅぅぅぅぅう!ってしてね」

 

彼女は少しの間、私の胸に顔をうずめていたがすぐに顔を上げた。

その顔はとても晴れやかだった。

 

「ええ、ええ!母として最上の愛を貴方に施しましょう!」

 

そして立ち上がり、私がやったように私の頭を胸の内にかき抱いた。

 

「ですからこれは出発前のいってらっしゃいです」

 

彼女の体温が頬を伝って感じる。

温かく、それでいて包み込むようなそんなぬくもりを感じる。

 

本当に、まるでお母さんみたいだ。

 

 

……それはそれとして。

私のおでこには今2つの母性の塊が押し付けられている。

まさかここまでだったとは。

いったい何を食べたらこんなに大きくなるんですか?

参考までに教えていただきたい。

 

「みっちゃんのおっぱいでっかい」

 

あ、口に出ちゃった。

 

「ちょっとお⁉何やってるんですか⁉ますたぁ!」

 

きよひーの声が聞こえる。

しかしみっちゃんのおっぱいでかいな。

 

「あらあら!やっぱり母の愛こそが真のぬくもりなのですね」

 

「私のますたぁはそのようなもので愛を定義いたしません!左馬権頭様!離してください!ますたぁ!こちらにも!こちらにもそれとなくふくよかな母性がありますよ!」

 

また二人が言い争い始めてしまった。

しかしみっちゃんのおっぱいでっけえ。

 

そう言えば……

 

みっちゃんのでっかいおっぱいを感じながら、ふと疑問に思った。

なぜ二人とも今こんなことを言いだしたのだろうか?

私がマイルームにいるときじゃなくてD区画に下りたときの方が話も早いだろうに。

 

「二人とも。どうしていま私のところに来たの?」

 

私はみっちゃんのでっかいおっぱいから頭を離しつつ、二人に聞いた。

 

私の質問に二人は顔を見合わせる。

あれ?変なこと言ったかな?

 

二人はシンクロのように見合わせた顔をこちらに向け、口を開いた。

 

「どうしても何も」

 

「すまーとふぉんに通知が来ていたじゃありませんか。今回のれいしふとの計画書の」

 

え。

 

「え⁉」

 

私はベッドから飛びあがった。

そして机の上で充電していた端末をひったくるようにして取った。

通知欄を確認する。

 

マジだ⁉

通知来てる!

 

顔認証で端末を開き、全員の共有ページを開く。

大急ぎでIDを打ち込み、最新アップロード情報を見る。

 

『第7特異点修復についての決定事項及び、計画書』

 

oh....いつの間に。

 

項目をタップし、ダウンロードを始める。

 

「重いな……」

 

ダウンロードがなかなか終わらない。

紀元前に跳ぶとなるとそれだけ確認事項も多いってことか。

 

「あれ?なんかメール来てる」

 

メールの欄にも新着通知が来ていた。

 

誰からだろう……

 

メールアプリを開く。

 

えっ、所長だ。

なんで?

てか件名ないし。

え、やだ。なんか怖い。開くの怖い。

 

緊急の連絡だろうか?それともまさか二人が出てきたのもうバレた?

お願いします。ただの業務連絡であってください。

 

開いてみる。

 

「えーっと……あなたの弟って時計塔に留学してたのよね?……なんだこれ?」

 

達海の留学……?

確かにしてたけど、それがどうしたのだろうか……?

とりあえず返信しておこう。

 

「してましたけど、どうかしましたか?っと」

 

ほい送信。

なんかよくわからんけど二人の抜け出しがばれてないならセーフ。

そろそろダウンロード終わったかな?

画面を切り替えようとするとピロンッと音が鳴った。

通知?

 

はや⁉もう返信来た!

えーっと……

 

「どの学科に行ってたかとか知ってる?知らなければそれでいいのだけれど……学科?」

 

達海が留学したときにどこの学科に行ったかってこと?

それは知らないなあ。

当時、私はあいつがイギリスの一般大学に飛び級で留学するもんだと思ってたぐらいだし。

そもそも時計塔に何の学部学科があるとか知らない。

 

「それは分かりません。本人に聞きましょうか?っと」

 

またすぐ返信来た。

速い。速いよ所長。

 

なになに……

 

「大丈夫です。手間を取らせました。ありがとう……」

 

終わり?

 

良く事情が分からないまま会話を打ち切られてしまった。

結局何だったのだろうか?

 

「どうかしましたか?」

 

端末見て戸惑っていたらきよひーが私に尋ねてきた。

 

「いや、大したことじゃないから大丈夫……」

 

あ、ダウンロード終わってる。

早速PDFファイルを開く。

 

うお、48ページって結構あるなあ。

所長は無駄が嫌いな人だから結構バッサリと省くとこは省くんだけど、それでこれってことは相当だな。

 

魔力量、必要な術式、レイシフトの工程、難しいところはすべてスクロールしてすっ飛ばす。

まず見るべきは計画表だ。

専門的な話はてんでさっぱりなので、一から呼んでも意味がない。

計画表をみて必要そうなところだけを教えてもらえばいい。

 

計画、計画……あった。

どれどれ……

 

えーっとまず、直前ブリーフィングは……今日の8時か……今日の8時……8時……

8時⁉

 

端末の時刻表示を見るとそこには7:54の文字が並んでいる。

 

あと6分しかないじゃん!

基本5分前行動だから、実質あと1分⁉

無理!

 

「やっばい!やばいやばい!」

 

急いで着替えないと!

私は端末を机の上に投げ、その場で寝間着を脱いでベッドの上に投げ捨てる。

 

「きゃっ……」

 

きよひーが顔を真っ赤にして目を塞いだ。

 

「ま、ますたぁ。いくら何でも急すぎます。私、まだ心の準備が……」

 

そう言いながらちらちら指の間から見てんのはわかっとるんやぞ!

と言うか今は構ってる時間がない!

 

「マスター!私は常々物を投げてはいけないと言っておりましょう!」

 

頼光さんは私が放り投げた寝間着を畳み始めた。

やべえ!

ここでママの説教喰らったら私詰む!

 

ピリリリリリッ!

 

机の上に置いた端末が着信音を奏で始めた。

時計を見ると7:55

詰んだ。

 

うわあ。

絶対ブリーフィングルームにいないの私だけだよ。

これ絶対私がどこにいるのかの確認電話だよ。

 

出たくない。

けど出ないとさらに面倒なことに……

 

ええい!ままよ!

 

机の上に置いた端末を取り、下着姿で電話に出る。

 

「はい。もしもし」

 

『立花ちゃん⁉きみ今どこにいるんだ⁉』

 

電話に出るとダ・ヴィンチちゃんがものすごい切迫した様子で居場所を聞いてきた。

そうか、ダ・ヴィンチちゃんもブリーフィングルームにいるのか。

 

会議室ではサーヴァントの出入りは禁止されている。

議論の場で武力の持ち込みが禁止されているからだ。(お偉いさんは魔術刻印があるだろうに、それはいいのかと私は思っている)

その為、ダ・ヴィンチちゃんを含めサーヴァントのみんなは会議には出席できない。

しかしブリーフィングは違う。

決定事項の確認が主にすることなので、ブリーフィングルームにサーヴァントは入っていいし、使い魔も連れてきていい。

 

でもダ・ヴィンチちゃんがこんなに焦ってるなんて、やばいぞ。

所長は相当お冠かもしれない。

 

「ごめんなさい。ちょっと寝坊しちゃって、今マイルームにいます」

 

正直に言う。

ここで誤魔化すとお叱りが3倍になる。

これは私の経験則。

 

『マイルーム⁉』

 

予想通りのびっくりした声。

まあ、当たり前だよねえ。

ここからブリーフィングルームまで5分はかかるし。

 

だが次に聞こえてきた言葉は予想外なものだった。

 

『ちょうどいい!そこからなら2分で着く!』

 

ちょうどいい?

いや、いくら廊下を全力疾走してもブリーフィングルームは2分では着かない。

 

『医療部の診療室に向かってくれ!』

 

「診療室?」

 

なんで?

ブリーフィング始まるんじゃ……

 

『君が近くにいた方が回復は早いはずだ!』

 

回復?

 

「ちょっと、さっきから何の話を……」

 

全然状況がつかめないんだけど……

 

困惑していた頭は彼女の次の一言で固まった。

 

 

『マシュが倒れたんだ!』

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと本格的に物語が動きだせる……

はよ続きかけや!と思ってくれた方は右下のメニューから感想や評価をしていただけると、蟹が踊って、ふんどしが舞います。
そして続きを書く気力がわきます。
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