たった一人のマスターへ   作:蟹のふんどし

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侵入

 

 

 

 

 

 

 

「虚数潜行........すごいぞ、これ....,..」

 

ペンドラゴンさんに言われて来た管制室裏手の倉庫。

暗い倉庫の中を手伝いに移動していた時、偶々ひじをぶつけて落としてしまった書類の内容は非常に興味深い内容だった。

 

虚数観測機ペーパームーンを用いて、虚数空間を観測し、実数空間における存在証明を外し潜行。

実数空間に浮上する場合は、逆行程で浮上。

 

.......すごい。

あると定義しなければ、存在すら成立しない虚数空間をここまで能動的に活用するなんて。

一体これを考えたのはどんな天才だ。

ペーパームーン。

コンセプトを含め、カルデアにこんな大層なものを寄贈してくれたアトラス院には一度魔術をご教授願いたいものだ。

 

この技術、すごい使ってみたい。

虚数潜行、めっちゃやってみたい。

 

しかしカルデアで実用化されたのはレイシフト。

どうやらこの技術にはお蔵入りされるだけの理由があるらしい。

 

主な問題点は3つ。

 

一つは虚数空間への潜行とそこからの浮上が非常に困難な点。

虚数空間に入ることは物質的な世界を抜け出し、時の海へと入る事を意味する。

時の海は僕たちの住む世界の隙間だ。

水面を出入りするのとはわけが違う。

 

イメージとしては冬の川であろうか。

表面は寒さで凍って分厚い氷盤で覆われているが、分厚い氷盤の下は渓谷の傾斜から濁流となっている水の流れ。

岸が実数空間であり、氷盤の下の濁流が虚数空間だ。

このとき、岸から氷盤の割れ目を見つけて濁流の中に入ることも、濁流の中から氷盤の割れ目を探し岸へと上がることも、非常に難しいことは言うまでもないだろう。

 

氷盤の割れ目をを見つけ出せなければ、そもそも濁流に入れないし、濁流に入った後も水の流れに翻弄され、氷盤から顔を出せなければ窒息して死んでしまう。

 

このように虚数空間への出入りは容易にできるものではない。

ペーパームーンを用いてもその成功率は3割にも満たない。

生還率が30%以下の潜水艦なんて、対潜兵器が発達して鉄の棺桶とまで言われてしまった第二次世界大戦中のドイツのUボートより低い。

3回に2回以上は失敗するならば実践登用はほぼ不可能と見ていい。

 

 

問題の二つ目は、浮上には何かしらにアンカーを打たねばならない点だ。

 

虚数空間に入り込むと、現実から存在が消失する。

存在を証明し、再び現実へ復帰するためには何かしらの目印を必要とする。

それにアンカーを打ち込み、実数空間へ引き上げる。

この行程無くしては、虚数空間から出ることは叶わないし、出る場所を限定することもできない。

 

 

問題の3つ目は、虚数空間は時間の積み重ねが行われていない点だ。

 

世界が存在するのは何かしらの事象や変化が起きているからだ。

そしてそれらの変化は時間として認識される。

すなわち世界は時間という概念によって成り立っている。

 

だが虚数空間ではこの時間の積み重ねが存在しない。

一度入れば、自分の生きていた時間の流れから飛び出てしまう。

すると空間内で時間の経過を感じなくても、実数空間に戻ってきた時、虚数空間に入ったときから何年も経っていたなんて事が起きる。

 

虚数空間で体感的に100年たったと思ったのに、出てみたら1秒しか経っていなかった、なんてこともあれば、虚数空間に10秒しかいなかったのに出てみれば100年経ってました、なんてこともありうる。

いわゆる浦島太郎だ。

 

この時、体感した時間と実際経過した時間の差は負担となってその者に襲いかかる。

 

従って虚数潜行の際は、外部空間との時間の誤差を認識し、誤差を正しながら進まなくてはならない。

 

 

ゼロセイルの発案企画をさらっと読んだだけでもこの通りだ。

これを実用化するのは非常に難しいだろう。

 

 

しかしそういってお蔵入りさせるのは、平時であればの話だ。

通常通りカルデアが運営していれば大きな問題もなく、安定性の高いレイシフトを放ってゼロセイルを行うメリットは低い。

 

しかしこの状況下では、ゼロセイルは大きなメリットを持つ。

 

そもそもにおいて、現状のカルデアはとても大きな欠陥を抱えている。

 

まず、レイシフトは個人の才能に大きく依存しすぎるという事だ。

レイシフトを行うには、高いレイシフト適性を持っていなければならない。

そして特異点の修復を行うために英霊を呼び出すためのマスター適性も必要だ。

 

これら2つの才能を兼ね備え、なおかつ魔術に対し造詣のある人物なんて非常に限られる。

世界中探したって何十人といないだろう。

実際、招集したマスター候補生は37名で、残り10名は数合わせの一般枠になった。

 

それが今や僕と姉さんの2人だけ。

現場で確実な戦力が2人って、普通ならありえない。

 

 

そして2つ目の欠陥はレイシフトのための()()()()の全てが、プロメテウスの火によるエネルギー供給だけで動いている点だ。

 

ビックデータベースである事象記録電脳魔・ラプラス。

未来観測とレイシフト補正を行う擬似地球環境モデル・カルデアス。

カルデアスの観測を行う近未来観測レンズ・シバ。

英霊召喚の要、守護英霊召喚システム・フェイト。

そして未来観測とレイシフトの管制を行うコンピュータであり、カルデアの心臓部、霊子演算装置・トリスメギストス。

 

これら全てをカルデアの最下層にある動力炉、プロメテウスの火で支えている。

もしプロメテウスの火が停止してしまったら、カルデアの重要器官が全て止まる。

 

発電室の予備発電機をフル稼働しても、もって半日。

炉の修理を終わらせる時間稼ぎにしかならない。

 

全ての施設の動力源を一つの炉だけで賄うのは、機能的にも、保安上にも大きな問題である。

少なくとも、炉を分け一斉停止が起こらないよう、リスク分散に必要がある。

 

 

そして最後の問題点。

それはここカルデアには対外的な防衛機構がほとんどないこと。

 

カルデアには敵から攻め入られる想定がされていなかったのか、カルデアを守る恒常的な防衛戦力が備え付けられていない。

そのため、もしも敵がカルデアスの磁場によって独立したカルデアに攻め入るような事態になれば容易に制圧される。

 

サーヴァントが居れば問題はないが、上記の通りサーヴァントの現界を維持する召喚システム・フェイトはプロメテウスの火によって動いている。

もし敵に侵入を許したとき、それを想定していない僕らは敵に奇襲を許す。

そして僕が敵なら、初手でプロメテウスの火を潰す。

そうすれば一部を除いてサーヴァントは全て消滅するだろう。

後は丸腰のカルデア制圧するだけである。

 

 

とまあ、カルデアには大きな欠陥がいくつか見られる。

なぜこの欠陥を備えながらも、マリスビリー氏がカルデアを設備したのか。

僕が思うに、予定通りのカルデアならこれらの対策が可能だったからだ。

 

人理の消滅がなく、カルデアが孤立していなければ、まずマスターは48名用意できた。

プロメテウスの火を常時点検するだけの人員と資材、そして予備の動力炉を取り寄せることも可能だ。

そしてここまで余裕ができるなら、守備戦力を常駐させることもできるだろう。

 

これらは全て出来たはずだった。

そう計画されていた。

 

しかし現状はこうだ。

カルデアは孤立し、大きな欠陥を抱えざるをえなくなった。

 

 

だが、ゼロセイルが実現できるのならば、それらの全てを改善または補填できる可能性がある。

 

この書類によるとゼロセイルは個人の転送でなく、舟で行われる計画であったらしい。

その舟が如何様なものかは分からないけれど、重要なのは乗り物で移動するということだ。

 

これはすなわち、個人の才能ではなく、技術のみで人を運搬することを意味する。

つまり舟の航行技術さえあれば、レイシフト適性がなくともマスターを特異点へ運ぶことができる。

さらには一定の魔力量でマスターだけでなく、舟に同乗しているサポーター達も現地へ運ぶことが可能だ。

レイシフトのような個人単位ではなく舟一隻で移動するから、人が増えようと必要な魔力量もほとんど変化しない。

 

従って現場での人手不足はなくなる。

 

また独立した舟で遊撃すること自体が、一斉停止へのリスク分散となる。

 

そして移動拠点は仮想敵からの奇襲回避に繋がるだろう。

 

 

以上のように、このゼロセイルは今のカルデアをカバーするのにとても都合がいい。

まるでこの事態を想定して用意したみたいだ。

それなのに、なぜ実用化しない?

 

確かに成功率3割未満は問題だが、技術的な問題を解決するには非常に頼りになる人材がカルデアにはいる。

彼らに頼めばおそらくだが、実践登用に漕ぎ着けるのではないだろうか?

 

現状を維持しても確かに問題は起こっていない。

職員の誰に言おうが、プロメテウスの火は落ちないし、カルデアの場所を見つけること自体が不可能だ、と言うと思う。

だが、僕らの現状に立ち返って欲しい。

 

たった2人のマスターで人理を救済しようなんて元々は誰も考えていなかった。

そもそも人理が焼き払われるなんて、誰もがありえないと思った筈だ。

 

僕らの今はありえないことの積み重ねで出来ている。

だとするならば、敵が攻めてくることもカルデアが機能不全に陥ることも十分にあり得る可能性がある事柄だ。

 

こんなこと、ダ・ヴィンチさんやドクターならわかっている筈だ。

なぜこの技術を放っておいているのだろうか。

 

彼らは虚数潜行を知らないのか?

それとも.....()()()()()()()()()()()()()()()()()でもあるのか?

 

 

 

 

「来たか」

 

声がした。

書類から目線を上げると、すぐ近くにペンドラゴンさんが立っていた。

 

ああ、そうだった。

僕は彼女に呼び出されてここへ来たのだった。

 

彼女は僕の手元を一瞥し、ふっと笑った。

 

「....読んだか。やはり貴様は時間に縁があるな」

 

読んだ?

時間に縁?

 

「それってどういう......」

 

彼女が発した言葉、僕はそれを問いただそうとした。

しかし彼女は僕の問いには答えなかった。

 

「ふむ、やはり貴様は連れて行く事にしよう。貴様にはその権利がある」

 

彼女は書類の入っていた棚から分厚い紙の束を取り出すと僕に差し向けた。

 

「これにゼロセイルの基礎理論が全て書いてある。15分で読め。そして全て覚えろ」

 

「え?」

 

彼女の言った言葉が理解できず困惑する。

いやいや、そんな分厚い論文を15分で読むなんて無理だ。

というかなんで覚えるんですか。

 

彼女の差し出した論文に触れず、ただ見るだけで固まる僕。

彼女は紙の束をもう一度僕に突きつけた。

 

「早くしろ。貴様がこれを理解することが重要なのだ」

 

「これを....?」

 

「そうだ」

 

そうだって言われても。

何が何やら。

 

「どういうことですか?そもそもなんでゼロセイルを貴方が知っているんですか?」

 

先程から彼女はこのゼロセイルがなにかを知っている口調だ。

彼女は僕に何をさせたいのだ。

というか何の話をしているんだこれは。

 

矢継ぎ早に質問する僕に論文を持たせ、彼女は言った。

 

「貴様の問いは最もであるし、答えたいとも思うが、今は時間がない。話は貴様がそれを理解してからだ」

 

言い終えると腕を組んで、口を閉じた。

どうやらこれ以上は、僕がこれを読むまで言うつもりがないらしい。

 

事情が分からないと判断も何もない。

言われたままに動くのはあまり好きじゃないんだが.....

 

彼女はこちらをじっと睨んでいる。

 

 

「はあ」

 

 

しょうがない。

とにかく読むしかない。

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

「何だ..........?」

 

 

特異点観測のため、管制室で近未来観測レンズ・シバを用いてカルデアスの観測をおこなっていたロマニ・アーキマンはある異変に気付いた。

 

微弱だが聖杯に似たような反応が見られるのだ。

消えたり、強まったり、特定の座標ではなく、不規則に場所を入れ替えて出たり消えたりしている。

 

 

「特異点反応、なのか....?」

 

 

僕が作業を止めたことに気付いたのか、レオナルドが声をかけてきた。

 

「どうしたんだい、ロマニ」

 

「ああ、レオナルド。これを見てくれ」

 

僕は彼女にこの異変の観測データを見せた。

 

「これは、聖杯?」

 

レオナルドはデータを睨みつけて呟いた。

 

「でも反応が弱すぎる。それにこうも不規則に反応が点々としては特異点なんてできもしないだろうし...」

 

どうやら彼女も僕と同じ結論に至ったようだった。

 

「変だよね?これ。なんでこんなに反応が移動してるんだろう」

 

聖杯が存在するとして、ある特定の座標にとどまらなければおかしい。

何者かが転送したにせよ、その時代、その場所で異変が起こってしまったにせよ、反応はその一点で起きるものだ。

ここまで自発的に変動するなんて、聖杯の魔力を用いてもできることじゃない。

 

「移動じゃないのかも...」

 

レオナルドは手を顎に当てて、目を閉じて考えながら言った。

 

「移動じゃない?というと?」

 

僕の問いかけで目を開くと、いつも持ち歩いている杖を持った。

 

「時空帯に起きた波によって、魔力が揺れているのかもしれない」

 

「波?」

 

彼女は杖を床に軽くつくと、杖は回転し先端のクリスタルが射影機のように3Dホログラムを映し出した。

 

「例えば、こんな感じだ」

 

彼女の指差したホログラムには海とその上に浮かぶ船が映し出されていた。

 

「海が私たちの世界、そして船が微弱な魔力を持つ遺物だとしよう。基本的にこの船は小さいから私たちの観測には映らない」

 

だけど、と言って彼女は思い切り手を叩いた。

パンッと音を立てるとその手の近くのホログラムが振動し、波を作り出した。

 

「こんな感じで大きな衝撃を作り出すと、海が揺れて波が発生する。そうするとこの波で船は上下するだろ?」

 

ホログラムの海は大きな波を作っていて、船は波に乗って上がっては波が去るとともに海を下ることを繰り返している。

 

「これと一緒でその地点にあった、反応しやすい遺物が時空帯の波で一時的に強く反応してる、ってことじゃないかな?」

 

彼女はそういうと杖を再び持った。

その瞬間ホログラムはスッと消えた。

 

「なるほど。この反応はそこにあるものというより、この波によって副次的に発生したにすぎないってことか」

 

元々そこにあったものが強い衝撃を受けて一時的に活性化しているの過ぎないと。

とすると問題は......

 

顔を上げるとレオナルドは真面目な顔で言った。

 

「ああ。今考えるべきは、何が反応しているかではなく、誰がなぜこの波を起こしているかって事だ」

 

 

やはりそこだろう。

 

「この波が偶発的に起きる可能性は?」

 

彼女は首を振る。

 

「時空帯は地層みたいなものだ。時の積み重ねが結果的に流れを作っているように見えるだけで、それそのものは流れではなく帯だ。であれば波なんてものはほとんど起きようがない。よしんば起きたとして、これみたいに連続して何度も波が起こるなんてほぼありえないと見ていい」

 

「じゃあこれはやっぱり人為的なものか」

 

「99.9%そうだろうね」

 

ならばなぜこれを起こすのか。

 

「時空帯に波を起こすことで得られる情報は?」

 

「波が進む速度によって時代背景がわかる。あとは私たちみたいに魔力を宿す遺物の捜索とか....」

 

うーんどれもしっくりこない。

そんなことでわざわざ時空帯に衝撃波なんて起こすものか?

手間の割に得られるものが少なすぎないだろうか。

どう考えても割に合わない。

 

僕らがあーだこーだ唸っている間にもこの反応は観測され続けている。

全く止まる気配がない。

僕らがシバで観測できる時代からずっと続いている。

連続で周期的だ。

ん?

 

ふと何かが頭に引っかかる。

 

継続的な波。これはいったいどんな意味を持つか?

 

一度聖杯や時空帯を切り離して考えよう。

人間の世界では通信や情報など多くの分野で波が使われている。

この中で周期的な波が利用されている技術は?

 

 

 

レーダーもしくはソナーだ。

 

 

「レオナルド。カルデアはカルデアスの磁場によって人理焼却を免れた。なら時空帯において本来カルデアがあるべき場所はどうなっているんだ?」

 

レオナルドは僕の質問に怪訝な表情をしたが答えた。

 

「おそらく空っぽだ。そこには何も存在していない。カルデアスの磁場はカルデアを囲っているだけで、カルデアと周囲の繋がりを守ったわけじゃない」

 

「じゃあ、もしその空っぽの場所に波が通ったら?」

 

レオナルドは少し考えた後、回答を出す。

 

「波は消えると思う。通すか跳ね返すかはともかくとして媒介するものがなければ波は消えてしまう」

 

「ということは反射波を計測した時、不自然な穴が一つだけあるってことだ....」

 

僕の呟きに対しレオナルドは怪訝な表情を崩すことなく言葉を返す。

 

「いや、例えカルデアが元あった場所を見つけたところで、ここを突き止められることは....」

 

「カルデアスの磁場だ」

 

彼女は話を遮られてむっとする。

だがそれを慮る余裕はない。

 

「人理焼却を防ぐほどの磁場があるのなら、カルデアがここに飛んできたとき、その磁場が時空帯にそれなりのねじれを残したんじゃないか?」

 

彼女の表情がハッとする。

 

「その不自然な跡を伝っていけば、ここを見つけ出すことだって......」

 

「.....可能だ。カルデアの位置を見つけ出すことはおそらくできる」

 

 

 

僕は耳のインカムを押した。

 

「オクタヴィア!聞こえるかい!」

 

数秒後返事が帰ってきた。

 

『どうしました?司令官代理』

 

「警報!それと全職員に通達!第3種戦闘配置だ!」

 

『は?第3種⁉︎どういうことですか⁉︎』

 

「説明は後だ!とにかく今は.....」

 

彼女に通達を促そうと思ったときだった。

 

 

 

カルデアが揺れた。

 

 

 

地震が起こったかのように激しく揺れ、たまらず床に転倒する。

 

「うわっ⁉︎」

 

床に頭をぶつける。

 

なんだ⁉︎

一体なんだっていうんだ⁉︎

 

僕の隣でも音がした。

レオナルドも転倒したみたいだった。

 

「痛っ⁉︎」

 

あまりの激しい揺れにデスクの柱に頭をぶつける。

なんの揺れだ⁉︎これ⁉︎

 

 

 

まるで世界そのものが揺れるにも感じられたその衝撃は、しかしすぐに過ぎ去り、管制室は静かになった。

 

「いてて、レオナルド無事かい?」

 

僕はぶつけた頭をさすりながら立ち上がる。

隣でも立ち上がる気配がした。

 

「ああ、大丈夫....。ロマニも大丈夫、みたいだね」

 

ふっと気を抜いた瞬間、警報が鳴り響く。

 

『システムエラー。システムエラー。動力炉とパスを繋げられません。予備電源に移行します』

 

エラー⁉︎

今の衝撃でプロメテウスの火が止まったのか⁉︎

そんな馬鹿な⁉︎

 

「一体何が....」

 

管制室のセキュリティをプログラムを開こうとしたが瞬間、明かりが消え、管制室がモニターの明かりだけに照らされる。

 

予備電源への移行。

重要機器に優先的に電力を割り当てる都合上、管制室であっても明かりが消える。

 

本当に動力炉が落ちたのか⁉︎

 

あれだけのプロテクトをかけたのにあっさりと落ちたメイン動力炉に驚きが隠せない。

 

しかし僕の驚きはこの数秒後に更に上塗りされることになる。

 

「ロマニ!」

 

「今度はなに⁉︎」

 

「カルデア最下層にビーストの反応がある‼︎」

 

「は⁉︎」

 

 

ありえない。

なぜ。

 

 

「魔神柱だ‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 




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