たった一人のマスターへ   作:蟹のふんどし

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不振

「大体は頭に入れました」

 

僕はゼロセイルの基礎理論を読み終え、論文の束を彼女に渡した。

 

「ほう。随分早かったな」

 

彼女は感心した風で言った。

 

早かったなって。

あんたがさっき15分で読めとか言ったんじゃないか。

 

「ええ。まあ覚えたのは大まかな概要ですが」

 

どうも読み終えて思ったのだが、虚数魔術ってどこか僕の専攻分野に似ているところがある。

こう、なんていうか、論理の振り回し方が僕のと近いのだ。

親が陰口を言っているのを見て、似たような悪口を子供が言う感じ、みたいな...

 

まあいいや。

それよりも今は気になることがある。

 

「それじゃあ話してもらいますよ。ペンドラゴンさん、なぜ貴方はゼロセイルのことを知っていたんですか?」

 

僕は彼女にそう問いかけた。

 

言い方は悪いが、ボツになった技術の論文を漁るほど、彼女はインテリではない。

そんな彼女がこの技術知っているのは何故か?

何をする気なのか?

 

「それは.....」

 

僕の問いかけに応えようと口を開いたした瞬間だった。

 

カルデアが揺れた

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地震というのはカルデアにもあったのか。

 

カルデアがどこにあるのかよく知らないけど、そんなことを感じさせるかのような揺れだった。

 

バニヤンちゃん、カルデアをフルシェイクとかした?

 

「いたた....」

 

ぶつけた頭をさすりながら顔を上げる。

 

周りをを見渡すと、みんな尻餅をついていたり、壁に寄りかかったりしていた。

シミュレーション機材はそこら中に落ちて、さながらジャックとナーサリーが遊んだマイルームのようである。

 

「みんなー?大丈夫ー?怪我してる人とかいないー?」

 

シミュレーション室の中にいた人は私の問いかけに、手を上げたり、大丈夫ーと言ったり、想い想いの方法で返事を返した。

 

ぱっと見だけど、動けないような人もいないみたいだし怪我人はいないようだ。

 

「よかった」

 

安堵の息を吐きながら立ち上がる。

 

「それにしても今の揺れは一体.....」

 

経験したことのない揺れだった。

地震とか今までなかったし。

カルデアがどこにあるのかは知らないけど、自然災害とは無縁の地にあるとばかり思っていた。

 

周りのみんなも作業しながらだけど「なんだよ今の」とか「爆発?」「サーヴァントだろ」と言っててよく分からないみたいだ。

 

何かの事故?

とりあえずドクターに連絡とってみようかな?

 

そんなことをふと考えた時だった。

 

急に明かりが消え、シミュレーション室の機材は電源が全て落ちた。

 

「は⁉︎」

 

「なんで⁉︎」

 

あまりに唐突に起こったから、機材入力をしていた人たちが阿鼻叫喚の図となった。

 

「おいおい、嘘だろ!」

 

「どうした?」

 

「シミュレーションの設定保存してねえよ!」

 

「え⁉︎また最初から打ち直すのかよ!」

 

「つーか、これ何?停電?」

 

「カルデアで停電なんて起こるわけないだろ」

 

「さっきの揺れとなんか関係あるんじゃない?」

 

「あの揺れって結局なんだったの?館内放送ないし」

 

「誰か電気持ってない?」

 

「入り口近くに非常用の懐中電灯あったろ」

 

「あったー。お、明かりついたよー」

 

うるせえ。

全員が言いたいことをいって何言ってるかよく分からない。

そもそもこういう時ってどうするんだっけ?

 

そんなことを考えた時だった。

 

『ー!ー!』

 

室内に警報が鳴り響いた。

そのけたたましい警報の、耳をつんざくような音に私だけでなく部屋の中にいた全員が動きを止める。

 

『緊急!職員全員に通達!第3種戦闘配置!繰り返す!第3種戦闘配置!端末をすぐさま同期せよ!』

 

切羽詰まったような声で放送が流れた。

第3種?

何?どういうこと?

 

一瞬の閑静の後、シミュレーション室はすぐさま慌しくなった。

 

「第3種って、嘘でしょ⁉︎」

 

「訓練であんな放送流すかよ!いいから動け!」

 

みんなの雰囲気が急に物々しくなった。

慌しくシミュレーション室から人が出て行く。

戦闘配置って言ってたよね。

とりあえず私も礼装に着替えて管制室に行った方がいいのかな。

 

「おい、立花!なにぼさっとしてんだ!」

 

機材入力をやめたムニエルさんが私のところへ来た。

 

「いや、こういう時、どうするんだっけって思って」

 

よく分からないので素直に言った。

そしたら彼の目が大きく開いた。

 

「はあ⁉︎お前、マニュアル読んでないのかよ⁉︎」

 

「マニュアル?」

 

「カルデアにきたとき配られたろ!」

 

あ〜、あの無駄に分厚い冊子か。

読んでて夏休み前の校長の話よりも眠くなったから読むのやめちゃった。

マイルームのどっかに置いといたような。

 

私の表情で察したのかムニエルさんの目は呆れていた。

すんません。

私、ゲームはフィーリングで覚える派なんです。

 

「あーもう!これだから藤丸姉は!こういうとこ、弟を少しは見習え!」

 

彼はため息をついた後、頭をガシガシかいた。

 

「マスターは何種にかかわらず戦闘配置の指令が下ったら、管制室だ!」

 

あ、そうなんですね。

 

「礼装は?」

 

「着るに決まってんだろ!お前は礼装なしで魔術使えんのか⁉︎」

 

使えまちぇん。

 

「俺は3種で動力炉の整備に回されてるから地下に行くけど、お前もちゃんと行けよ!礼装来て、管制室!はい、復唱!」

 

「礼装着て管制室!」

 

「よし」

 

彼は私の方に手を乗せた。

 

「さっきのこともあるから弟のことが気になるだろうが、今はそんなこと言ってる場合じゃない。気持ちはわかるが今は呑み込めよ。頼むぞ!立花!」

 

そう言って彼はシミュレーション室から出ようとした。

 

あ、もう一つ聞いておきたいことが....

 

「ムニエルさん!」

 

出鼻をくじかれ、つんのめりそうになりながら彼は振り返った。

 

「なんだ⁉︎まだなんかあんのか⁉︎」

 

これ言ったら怒りそう。

 

「第3種ってなに?いつもと何が違うの?」

 

果たして私の質問は彼を怒らせたようだ。

案の定、彼はこめかみに血管を浮かばた。

 

「だからお前はそんな危機感がないのか!」

 

危機感?

 

「第3種ってのはな!カルデアに外部からの攻撃があった時に敷かれる防衛陣形だ!」

 

外部?外部ってまさか......

 

「そうだよ!今カルデアは攻撃されてんの!分かったら走れ!」

 

 

そう言って今度こそ彼はシミュレーション室を出て行った。

 

カルデアが攻撃?

そうなこと....あるのか。

 

 

 

 

 

ハッとする。

ぼやっとしてる場合じゃない。

彼に言われたことをやらないと。

とにかく管制室だ。

 

私も走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅れました!」

 

5分ほど走って私は管制室に飛び込んだ。

管制室にはドクターにダ・ヴィンチちゃん、マシュに、オペレーターのみんな、いつもの面子に加え、技巧部や医療部、兵站部などで見た人も立っていた。

 

「よかった!無事だったんだね!」

 

私の姿を見て、ドクターがほっと息をなでおろした。

 

「すいません。遅れて」

 

無事。

そんなフレーズを聞いて、私は事態が思った以上に深刻なことを感じた。

 

「いや、謝る必要はないよ。立花ちゃんの端末に何度連絡しても出なかったら、心配だったけど杞憂になってよかった」

 

あっと思って端末を取り出した。

電源ボタンを押すとロウバッテリーの文字が映る。

 

「バッテリーが切れてました。すみません」

 

私は自分の不手際にもう一度頭を下げた。

私の見せた端末を受け取ったダ・ヴィンチちゃんは懐からもう一つの端末を取り出した。

 

「こまめに充電したまえよ。これの最も重要な用途は緊急時の連絡だからね」

 

ウィンクしながら端末を渡してくれる彼女に、ありがとうとお礼を言って受け取った。

 

「それであの、立花さん。先輩は一緒ではないんですか?」

 

端末の同期が完了してることを確認し、ポケットにしまうと、隣のマシュはおずおずとだが少し前のめりに聞いてきた。

 

「え?達海のやつまだ来てないの?」

 

彼女の言葉を聞いて、周りを見渡す。

ゆっくりと確認したが管制室にあいつの姿はなかった。

 

「そうなんです。てっきり立花さんと一緒にいると思っていたのですが....」

 

マシュは端末で達海の連絡先をタップした。

しかし何秒たってもコール音が鳴り響くだけで、通話は始まらなかった。

 

「連絡にも出られませんし」

 

コール音が響く通話を切ると、彼女はもう一度端末を戻し、ドクターを見た。

 

「ああ。達海くんの端末も電源が切れてるみたいなんだ。こちらでは端末の位置情報も確認できない」

 

何をしてるんだ、達海のやつ。

こういう決まりごとは絶対守るのが私の弟なのに。

まさか何かあったのか。

 

ダ・ヴィンチちゃんならと思って見たが彼女も首を振る。

どうやらダ・ヴィンチちゃんでもどうしようもないらしい。

 

どうすれば、と思ったところでオペレーターの1人が口を開いた。

 

「弟くんのことを考えても今はどうしようもありません。それよりも現状の対処を優先すべきです」

 

「は?」

 

あまりの言い方に口から変な言葉が出た。

私の無礼ないいようにオペレーターは眉をしかめたが、それを無視して言葉を続けた。

 

「幸いにも藤丸姉はここにいます。現状でマスターである彼女を遊ばせておく余裕はありません。すぐに攻勢に出るべきです。司令官代理」

 

「いや、達海もマスターでしょ?何言ってんの」

 

そう思ってドクターを見た。

彼ならこんなわけのわからない判断はしないだろうと。

 

しかしドクターは口を噤んだ。

彼の眉間にはシワがより、いつもの笑顔はどこにもない。

 

「ドクター。何で何も言わないの」

 

私の言葉が聞こえているはずなのに、ドクターは黙ったままだ。

 

「ちょっと!ドクター....」

 

「わきまえたまえ!藤丸立花!」

 

ドクターに話しかけようとしたら、先程意味のわからない発言をしたオペレーターに止められた。

なんだよ、こいつ。

 

「君は呑気に遅れてきたから知らないだろうが、今はもっと重要なことがある。第3種戦闘配置の意味もわからないのか?」

 

黒髪に眼鏡をした男。

若干欧州の血が入った鼻の高い顔でエリートなんてイメージがすっぽり当てはまりそうないけ好かない顔だった。

 

「知ってるわよ!ここが攻められてるってことでしょう⁉︎」

 

ムニエルさんに言われたばかりだが、この鼻持ちならない言動に屈するのは癪だ。

 

「だったらわかるだろう。廊下の明かりが非常灯になってた事にも気づかなかったのか?」

 

「そんなの誰だって見りゃわかるでしょ⁉︎」

 

「それが何を意味してるかわかるだろう?」

 

「停電でしょ!」

 

私の言葉を聞くとこの男は大げさにため息をついた。

なによ。

言いたいことがあるならはっきり言えっての。

 

「カルデアで今まで停電なんて起こったか?」

 

「起こらなかったわよ!それが何!」

 

「それは今までカルデアの地下にある動力炉が、大規模な電力の発電を常に休まず行っていたからだ」

 

「その動力炉が敵に壊されたってこと⁉︎だったらみんなの力を借りれば....」

 

この男はまたもや大げさにため息をつく。

 

「君のいうみんなとは、おそらくサーヴァントのことを指しているんだろうが、その戦力を維持しているのはなんだ?」

 

「それは私との契約でしょ」

 

「サーヴァントはマスターとの契約によって召喚され、マスターからの魔力で維持されるものだ」

 

あ。

 

「まさかあそこまで多くのサーヴァントを自分の魔力だけで現界させていると思っているのか?」

 

そうだ。

彼らは皆、カルデアからの魔力供給に頼っている。

 

「分かったか?カルデアからの魔力供給が止まったと言うことは動力炉に何かしらの細工をされたと言うことだ。今、サーヴァントが維持できる時間は後わずかしかない。そのわずかな時間までに動力炉であるプロメテウスの火を取り戻せなければ我々は詰みだ」

 

「予備発電機は.....」

 

「予備発電機はカルデアの施設だけに電力を回す計算で半日もつかどうかだ。サーヴァントの戦闘に魔力を回そうものなら、カルデアそのものが停止してしまう。それでは本末転倒だ」

 

偉そうな男は眼鏡を中指であげ、鼻を鳴らした。

 

「だから言ったのだ。君の弟を探している余裕はないと。分かったらさっさと礼装に着替えて出撃の準備をしてこい!」

 

こ、こいつ....

 

「あ、あんたねえ....」

 

 

「そこまでだ!」

 

この偉そうな男に言い返してやろうと思ったが、声を上げそうになったところでドクターのストップがかかった。

 

「今ここで喧嘩をしても時間を浪費するだけだ」

 

彼は管制室のモニターを叩いて、地図を映し出す。

 

「現状は今カワタ君が説明してくれた。我々に人理修復という使命がある以上、優先順位が最も高い項目は特異点を修正する戦力の保持だ」

 

彼はポケットからレーザーポインターを取り出した。

 

「つまり最高戦力である藤丸立花とカルデア重要施設機能の維持。よって今の最優先目標は最下層の敵を可及的速やかに排除することとする」

 

え、つまり達海は放っておくってこと?

 

「ちょっむぐ」

 

私が反論しようとしたら後ろからダ・ヴィンチちゃんに抑えられた。

 

「人の話は最後まで聞きなさい。ね?」

 

彼女は私の口を押さえて笑いかける。

 

「ただしもう1人の戦力である藤丸達海を失うことは人理修復において著しいハンディキャップを被ることになる。ゆえに最優先目標と並行してだが彼の捜索を行う」

 

ドクター....

 

「もし彼のと思しき跡を見つけたら、状況によっては一度討伐を中断して捜索を行う」

 

私とカワタとかいう男を含むみんなの顔を見渡してドクターは言った。

 

「これが司令官代理としての僕の命令だ。異論は許さないよ」

 

ダ・ヴィンチちゃんは私の口から手を離し、小声で言った。

 

「あのロマニだぜ。少しは信じてあげないと可哀想だろう?」

 

「.....そうだね。そうだったね」

 

いついかなる時でも私たちをサポートしてくれたのは彼なのだ。

彼を信じられないのは私たちの過去を否定するのと同じだ。

 

私は軽く深呼吸して心を落ち着ける。

ふう、私が焦ってどうする。

冷静さを失えば救える人すら救えなくなる。

よし、大丈夫。

 

 

「じゃあ、具体的な作戦だけど、」

 

彼はそう言いながらポインターを地図に向ける。

 

「敵はカルデアの最下層に顕現している。そしてこちらからの解析で敵は魔神柱だということが分かった」

 

その言葉で管制室はざわついた。

 

魔神柱⁉︎

なんでカルデアに。

 

「敵の目的は不明。移動については何らかの転移を行ってきたと考えられる。こちらで調査中だ。ある程度当てはついてるけど、正確に判明次第追って伝える」

 

言い終えると横にいるダ・ヴィンチちゃんがリモコンのボタンを押す。

すると最下層の今の状態をモデルにして組まれたCG映し出された。

 

なんだあれ?魔神柱が塔のようなものに巻きついてる?

 

「見ての通り、魔神柱はプロメテウスの火に巻きついている。こちらの解析を見るに炉心の魔力を吸っているらしい。プロメテウスの火から魔力供給が止まったのはこれのせいみたいだ」

 

なるほど。

でもこれじゃあ....

 

「時間が経てば経つほどに魔神柱の魔力量は増えるってことか」

 

オペレーターの1人が私たちに好ましくない現状を正確に言った。

時間経過とともに魔神柱が巨大化していく映像が入る。

 

「その通りだ。我々は補給路の断絶だけでなく、敵戦力の肥大化と言う意味でも時間の制限を受けている。今回も時間は我々の味方ではない」

 

いつもと同じ。

ビビるようなことじゃない。

 

「従って我々の取れる選択は短期決戦のみだ。だが焦るばかりにプロメテウスの火を傷つけてしまったら、今後の特異点に支障をきたす」

 

これはそうだろう。

今回の襲撃で、カルデアは動力炉ありきだと身に染みて分かった。

 

「よって攻撃は一瞬で終わらせる」

 

一瞬?

 

「固有結界を宝具に持つサーヴァントに協力してもらい、魔神柱を動力炉から隔離。そしてカルデアと隔離している間に、残るカルデアの魔力のほとんどをサーヴァント一騎に注ぎ込み、一撃のもとに魔神柱を殲滅する。作戦の概要は以上だ」

 

ドクターの説明に一同は唖然とする。

ダ・ヴィンチちゃんは平然としてるけど。

 

一撃で殲滅。

言うは易し、行うは難し。

そんな簡単に行くのだろうか。

 

「これだけ?ですか?」

 

マシュも心配そうに呟いた。

 

「ああ。今回はありものだけでシンプルに、だ。時間も無いし、襲撃を受けるのも初めてで、僕達にも経験がない。下手に高度な作戦行動を考えるより成功率は高いはずだ」

 

言い終わるとモニターは電源が落ち、非常灯がついた。

管制室でも非常灯かぁ。

 

「何か質問はあるかい?」

 

質問.....あっそうだ。

 

「はい」

 

ふと思ったことがあり、手をあげる。

 

「はい。立花ちゃん」

 

「魔力補充の術がないのに彼らに宝具を使わせて大丈夫なんですか?」

 

あのいけ好かない眼鏡の言う通りなら、宝具なんて使ったら現界を維持できないのでは?

攻撃に魔力を使うなら、固有結界の維持にカルデアの魔力を回すのは難しいだろうし。

 

「本来は危ないんだけど、一部のサーヴァント、特にアーチャーには単独行動のスキルがあるからね。」

 

アーチャーで固有結界......

 

「エミヤ!」

 

「そう。彼に頼もうと思ってる。頼めるかな?立花ちゃん」

 

「了解です!」

 

なるほど。

確かに適任だ。

 

「他に何かあるかい?」

 

 

ドクターは聞くが、周りのみんなは特に何もないようだった。

 

それを確認したドクターは両手を叩いた。

 

「よし!じゃあ全員所定の位置について!詳細はオンラインに共有しておくから端末の同期は忘れないでくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§

 

 

 

 

 

 

 

『緊急!職員全員に通達!第3種戦闘配置!繰り返す!第3種戦闘配置!端末をすぐさま同期せよ!』

 

警報の後、指令が下った。

 

第3種⁉︎

敵が来たってのか?

まさかさっきの停電は....

いや、今そんな事を考えてる余裕はない。

管制室だ。すぐに移動しないと。

 

「ペンドラゴンさん!話は後でまた聞きます!僕は管制室へ行くので貴方も......」

 

「行くな」

 

彼女は外へ出るために扉の前に立った。

 

 

「いや、冗談言ってる場合じゃないんですって!そこどいて下さい!」

 

「私は冗談は言っていないぞ」

 

もう!

彼女の脇から出ようと思い、足を一歩出した。

その時、僕の顔をスンと風がないだ。

そしてわずかに前髪が切れ、床へと落ちた。

 

彼女は黒くなった聖剣を僕に向けていた。

 

「私は貴様に、行くな、と言った。お願いはしていない。命令だ」

 

剣を首筋に撫で、彼女はもう一度言った。

 

「これは命令だ。止まれ、藤丸達海」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




管制室を出た後。

「おかあさん!あのメガネの男切っていい?いいよね?切ろう!」

「ちょ!ジャックちゃーん!どうどう!どうどう!」

「マスター!楽しいわ!あの男の人、絵本に閉じ込めたら楽しいわ!」

「ナーサリーちゃーん⁉︎どーうどう!どーうどう!」

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