今回は前半がザンボラーとの戦闘、後半がソルブレインの面々とカルデアの邂逅となっています。
サーヴァントの登場はもうちょっとだけお待ちください。
失った相棒の意思を継いで立ち上がった宇宙刑事カルデラン。
さぁ今こそ灼熱怪獣ザンボラーを倒すのだ!
正木本部長の連絡を受け、カルデラン/立香は穴の開いた天井から冴ゆる空を翔ていく巨大消防車、ソリッドステイツを確認するとマシュとウインスペクターに職員達の安全を任せ、為すべき事へ向かった。
「先輩!御武運を!」
「立香くん!行ってこい!」
「おみゃーさんなら出来るがね!ファイトや!」
「頑張ってください!」
「頼んだよ!宇宙刑事!」
「はい!守って見せます命と未来!」
立香はメインルームの窓を蹴破ると、カルデアの外に降り立った。
そうして見上げた先には、白い大地を真っ赤な光で包む怪獣ザンボラーがいた。
「グランバード!」
カルデランのコールにより宇宙から超次元戦闘母艦グランバードがその巨大な翼で虚空を切り裂き現れた。
「チュウ!」
掛声と共に大きく跳びあがるとグランバードのコックピットに入り、戦闘準備に入った。
「こちら正木だ! 緊急通信を使っている。聞こえるかカルデラン?」
「はい聞こえます。どうぞ。」
「我々はこれからあの怪獣を攻撃したい。だが、それには君の力が必要だ。協力して欲しい。」
「了解!宇宙刑事カルデラン、ソリッドステイツと協力し、ザンボラーを殲滅します。」
「グワォォォォ!!」
先に近づいたソリッドステイツに威嚇の唸り声を上げ、ザンボラーは熱波を浴びせようとする。
「そうはさせるか!バードレーザー!」
グランバードの鋼鉄翼装備された計4門のレーザー砲撃がザンボラーの眼球に浴びせられた。
「グォォォォ!!」
ザンボラーは強烈なレーザーを目に直撃させられ、大混乱にあった。
「矢沢、消化だ。」
「了解!ケミカルディスチャージャー!」
「ケミカルディスチャージャー!消火!」
正木本部長はソリッドステイツ操縦チームの隊長、矢沢武に消火剤ケミカルディスチャージャーを使うよう命じ、その矢沢は担当の隊員に実行指令を出した。
ソリッドステイツはキリンの首のように長い消火ノズルを伸ばすと、ケミカルディスチャージャーを放出した。
「グルルルォ!」
ザンボラーは消火剤をかけられ、みるみるうちに体温が下がった。体温が下がることによって強力な熱波を撃てなくなったのだ。
怪獣の身体を極寒のベールが包む。
「ォォォォ……」
「今だ!止めを! 生憎ソリッドステイツには殺傷兵器は無いのでな。」
「了解! ブラスターフォーメーション!!」
カルデランの掛け声でグランバードは翼を畳み、機首を移動させ、巨大なブラスター銃の姿になった。
悶えるザンボラーにしっかりロックをかけ「食らえ!ジャイアントブラスター!!」と一気にエネルギーを放つ。
グランバード、ブラスターフォーメーションの明日を守る銃口から凄まじい光と共に出力最大のビームが発射され、ザンボラーに降り注いだ。
「ギャァァァオォォ!!」
断末魔と怪獣の身体が爆散音が黙ってばかりいるヒマラヤの山々に響く。
「よくやったカルデラン!流石は宇宙刑事だ。」
「いいえ。正木本部長達の協力が無ければ勝利は出来なかったでしょう。」
その爆発音はカルデア内部にもよく聞こえたので、マシュ、ドクター、フォウくんやウインスペクターの面々は窓へ駆け寄り、グランバードとソリッドステイツの無事に安堵した。
立香はグランバードから降りると、ソルブレインの面々と顔合わせをした。
「はじめまして。宇宙刑事カルデラン/藤丸立香です。」
「正木俊介だ。協力感謝する。」
「ソルブレイバー、西尾大樹です。」
「ソルジャンヌ、樋口玲子です。」
「増田純です。」
「ソルドーザーです。」
「戸川亀吉です。」
「矢沢武です。」
「相川みどりです。」
ソルブレインのメインメンバーが立香に順々に挨拶した。
その顔を一人一人、銀河警察連邦機構から預かったデータで確認している立香は疑問を抱いた。
(おかしいな、全員顔が全く若い頃のままだ。それにソルブレインはとっくに解散してるとこのデータにある。何故だろう?)
「どうかしたかね?」
「本部長、お若い頃から全く変わらないんですね。お顔や体格。」
立香は失礼を承知で、さりげなく聞いてみた。
「ああ!そういうことか。それは不思議な事だった。」
本部長は起こった事を淡々と説明した。
ソリッドステイツにエクシードラフトと共に乗り込み、首都圏での活動を終えた後、カルデアのヒマラヤまで飛行していたところに巨大な火柱が地上を埋めつくし、ソリッドステイツも巻き込んで全員が死んだという。
死んだという自覚がその場の人間にあったのは、火柱が直撃した後すぐさま光輝く空間にソリッドステイツごといたからである。
光輝く空間で誰かの声が「ここで死んではいけない。地球を未来を守らねばならない。」と全員に発破をかけ、急に視界が眩しくなり、気がついたらソリッドステイツはヒマラヤ上空に、ソルブレインの面々は全盛期の姿になっていたという。
エクシードラフトの面々が見当たらなかったが、リーダーの叶隼人から通信がすぐに入り、自分達は蘇ったようだがよく分からない場所にいるとの事だった。
「世の中分からんもんだ。」
「いいや、分かりきった事さ。」
困惑する本部長の声に元気のいい女性の声が返事をした。
立香とソルブレインメンバーが視線を向けた先には、赤と青と茶色を基調としたドレスに虹色の結晶がついた杖を持ち、肩にエメラルドの瞳の鳥を載せた女性が立っていた。
「やぁ、立香くん。それから特救指令ソルブレインのみなさん。」
「「どちら様ですか?」」
立香と本部長が偶然ハモると女性はクスッと笑い、「はじめまして。カルデアの技術顧問でサーヴァント、レオナルド・ダ・ヴィンチだよ。よろしくみんな。」と語った。
「待ってください。レオナルド・ダ・ヴィンチが女というデータはありません。」
ソルブレインメンバーの一人でロボットのソルドーザーは抗議の声を上げた。
「私は究極の美にたどり着いただけさ。」
「整形ですか?」
「失礼だな、このロボットくん。もっっと凄いダ・ヴィンチちゃんの技術さ。 というか、今後君たちが出会うであろうサーヴァントには男性と伝わっているけども、女性であったパターンもあるから私は生易しい方だよ。」
「で、我々の姿については?」
「そうそう。君たちは何者かによってサーヴァントにとして召喚されたのだよ。」
「おかしいですよ!バード星で多少サーヴァントのことは勉強しました。 サーヴァントにはマスターが必要なはず。」
「マスターはこの人達を召喚した誰かさ。とはいえ、カルデアと違いって設備もなしで何人も呼べる上に、本来ならサーヴァントとしての召喚が不可能なくらい弱い人間も召喚した事から、大いなる意思のようなモノではあるだろうね。」
「ほうほう。では、消えたエクシードラフト達は?」
「恐らくは他の時代に呼ばれたんだろうね。そうだ。 いつまでもこんな寒いところで立ち話もなんだから、中へ行こうじゃないか。 君達のマシンは残った職員達がドックに収用するからさ。」
ダ・ヴィンチは説明すると長くなるこの話を中でゆっくり話してやろうと、カルデアの中へ入ることを勧めた。
「それに、ソルブレインの皆さんみたいな状態になった人達が大勢来てる。みんな口々に謎の声に導かれたと言ってるよ。」
「ダ・ヴィンチさん。」
「ダ・ヴィンチちゃんでいいよ。」
「ダ・ヴィンチちゃん。 それってこのリストの人達ですか?」
「ん?どれどれ……おお!そうそう!」
立香は地球の協力者リストをダ・ヴィンチに見せた。そしてそれは見事にビンゴであった。
「立香くん。 これから君は大変な事に身を投じる事になるやもしれないんだ。 君が最後の希望さ。」
「え?」
ダ・ヴィンチが言った事はまだ彼にはよく分からなかった。
カルデア内に入ると、マシュ、フォウくん、ドクターが暖かく迎え入れてくれた。
「先輩流石です!」
「フォウフォーウ♪」
「若いのに凄いねぇ。」
「ロマニ、君が言える事かね?」
「げ!レオナルド。それはいいだろう別に。素直に感心したんだから。」
「まぁまぁ2人とも。 そうそう。こちら特救指令ソルブレインの皆さんです。」
こうして、これからのカルデアを支えるメンバーと嘗て地球を救った英雄達が邂逅した。
「ところで、オルガマリー所長は?」
「奥の部屋でウインスペクターの皆さんが看病を。」
「香川先輩が?」
「そうだ大樹。万が一に備え、先に向かわせていたんだ。」
(ウインスペクターもデータ上では事実上解散状態のはずだが?)
立香は災害時に抱かなかった疑問をデータによって抱かされていた。
だが、同時に確信していた。 この人らは本物のヒーローであると。
「本部長、ドックのソリッドステイツの整備をしてきます。」
「ああわかった武。よし、みどりは通信の復旧を。大樹とドーザー、亀吉、純は瓦礫掃除。 玲子は怪我人の手当てを頼む。」
「「「「「「了解!」」」」」」
大人数いたメインルームにはカルデアメンバーと正木本部長、通信の復旧担当の相川みどりの7人となった。
ここは宇宙ではない。かといって地球でもなければ、この世でもない。 異次元と言えばそうかもしれないが、その言い方は不適切であろう。
「誰かが危機に陥っている。それに世界中の命の火が消えてしまっているわ!」
「これは大変です。すぐに助けにいかねば!」
ふわふわと漂う光の一部が地球での異変を関知し、各々が意思で動こうとしていた。
また、この世に属さないどこかの塔ではこの事態に対し、策を立てる者がいた。
また、ただただ黒い闇が包んでいる世界では誰かが自分の楽しみと死を望んでいた。
カルデアでは復旧作業が始まっていた。
「ここは通信機能ひとつしても近未来の超科学って感じで凄いですね。ロマニさん、ダ・ヴィンチさん。」
「いや、凄いのはそちらだよ。来てすぐなのにもううちの通信システムを理解している。」
「カルデランに聞いた話じゃ、ソルブレインは厳しい試験を通過した選りすぐりのメンバーだけで構成されているらしいよ。」
「でも、まさか魔力的なのも絡んでいるというのにすんなり解析されるとは思わないじゃん?警察のエリートチームに。」
カルデアの通信機能復旧のために作業する相川みどりの手さばきにダ・ヴィンチとドクターは感心していた。
「何をするんです!」
「そうだがね!大人しくしてな!」
「戻りましょう!」
いきなりウインスペクターの3人の声が聞こえると、メインルームのドアからオルガマリー所長とそれを追う竜馬、バイクル、ウォルターが現れた。
「貴方!」
「私ですか?所長。」
「そう。貴方よ宇宙刑事。」
「先輩に何か?」
「こうなったらあんたに頼むしかない。レイシフトして人理を救って!」
「マリンが消えたときのアレですか。」
「ええ。勿論貴方のパートナーを失わせる原因になった私が頼むなんてどうかしてる事はわかってる。でも、マスターの適性を持ってサーヴァントと共に充分に戦えるのは貴方しかいないの!」
オルガマリー所長は真剣に訴えた。
「ええ!やりますとも!私の、俺の故郷を亡き者にさせない。明日あるはずだった命を救いたい。」
「先輩!」
「貴方!」
「覚悟は出来てるのかい?」
ロマニやみどりとやり取りをしていたダ・ヴィンチはいつの間にか立香に問いかけていた。
「これがダ・ヴィンチちゃんが仰った、俺にしか出来ない事ですか?」
「ああ。多分人生で最も苦しくも、美しい冒険になるだろうね。」
「家族を失い、銀河連邦警察機構に入った時点で苦難への覚悟は出来ています。 ここで降りたらマリンの全ても無駄になってしまう。」
「わかった。じゃあサーヴァントと契約しよう。ここを襲った黒幕レベルとまではいかないけど、カルデアの力で複数契約が出来る。戦力は多い方がいいからね。」
立香とダ・ヴィンチは召喚を行うべく、マシュの盾を使ったサークルを形成しようとしたのだが、立香のポケットが光っていることに気が付いた。
「先輩?それは一体。」
「バード星の御守りだ。中に俺の偉大な先輩である3人の宇宙刑事からの贈り物が入っているんだ。」
銀河連邦警察機構のマークであるナスカの地上絵のひとつ、ハチドリの紋様が描かれた袋が光っている。
「光っているのはこれか。」
先ほどのエンブレムがついた石版のようなものが光っているのを開けて確認した。
すると通信が入った。
「こちらシャイダー、沢村大。石版が光ったようだね。こっちにある似たようなモノも輝きだしたよ。」
「はい。でも一体何なんですか、これは?」
「立香。これは古代ムー帝国の後に戦士シャイダーが残した遺産のひとつさ。君が望むとき、君を助けたい善意の勇者を呼ぶ石版だよ。 立香、宇宙刑事カルデランの正義の心を見た石版が力を使う事を承諾したみたいだ。」
「わかりました。これから共に戦う仲間か。これを託してくれた沢村さんに良い結果が報告出来るよう、未来を救う為にしっかり活用致します。」
「ああ、頑張ってくれ!」
通信が切れるとダ・ヴィンチは興奮したように石版を見つめ、「じゃあもう呼ぼうか?」と誰よりも石版の効力を見たいようだ。
「先輩、私も見たいです。」
「よし!石版よ!偉大なる勇者、英霊、サーヴァントを呼び出せ!」
光輝く異空間から何筋かの光がカルデアを目指して走っている。
「世界を救いたいのですね。今私が助けてあげます。」
「面白い考えをするもんもいるようだな。」
そして、本来であれば出られないはずの者も。
「ちょっと!影夫!本当にやるわけ?」
「鈴子さん、彼女は退屈だったんだよ。それに誰かが呼んでいるのが聞こえるらしい。影を使える僕達ならここから出せる。」
「ハッハッハ。それにしても影の国に入れる奇妙な人間もいたものだな。」
「まぁ、そうやってやって来たんで。」
「わかったわ!やってあげる。」
「「影よ……影よ、ゆけ」」
「おや?」
先ほどまで、人の出入りもなくただただ闇が広がる影の国に響いていた男女の声が止むと、二人はへなへなと倒れこんだ。
「はて、一体何をしようというのか?」
京紫の長い髪を掻き分け、燃えるような赤い瞳の女性は、それをただ眺めていた。
すると男女の影が分離して、実態を持ち始めた。
「カゲスター!」
「ベルスター!」
「なんだ?お主らは。」
「影の魔人、影夫の分身カゲスターだ。」
「同じく影の魔人、鈴子の分身ベルスター!」
「影の魔人…。影を自在に操れるとでも?」
「その通り!」
「今から私達の力で影の国を出て、貴女を呼んでいる人のもとへ向かうの。」
「だが儂は統治者故にな……」
「ならば、カゲロベェ!」
「はい~!親分!」
「長い間の留守を頼む。」
「影しかないですね。ここ。」
「やってくれる?」
「そりゃもう親分と姉御の頼みなら。」
カゲスターとベルスターは自己意思を持つ影、カゲロベェを呼び、影の国の番を頼んだ。
「でも、今後コイツがいなくて大丈夫なのか?」
「カゲロベェは、いつでも幾らでも呼べる。」
「さぁ。いきましょう。」
「「カゲボーシー!」」
すると暗闇から、フクロウのような顔の母艦が姿を表した。
「さぁ乗って!」
「ついでに本体も拾ってくれると有難い。」
一瞬困惑した美女は、口元に笑みを浮かべると倒れている影夫という青年と鈴子という女性の身体を拾い上げ、母艦カゲボーシーに搭乗した。
「儂に出来ることがあるのだろうか。」
そう呟いた彼女を乗せて、カゲボーシーは暗闇から彼女を呼んでいる何かの方向へ羽ばたいた。
因みにカゲスターとベルスターは大手柄なのだが、それに気付くのはもう少し後。
続く
如何でしたでしょうか?
次回いよいよ召喚です!
これから戦う強力な仲間たちに御期待ください。
キケロのジョーみたいな降板はないので御安心を(笑)
感想お待ちしております!