ハリー・ポッターと機械好きの少女   作:のっぺらぼう

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6話

 真夜中の学校探索を終えたミーシャを待ち受けていたのはチョウからの2時間にも及ぶお説教でした。

 

 お説教と一人で夜の校舎を歩き回った興奮感とでなかなか寝付けなかったミーシャは酷い寝不足で軽くハイになっている心を抑えつつ飛行訓練に向かった。

 

「流石!レイブンクローですね。行動が早いです」

 

 マダム・フーチがせかせかとやってきた。

 

「右手を箒の上に突き出して!そして【上がれ】と言う!どうぞ」

 

 「【上がれ!】」

 

 マダム・フーチが掛け声をかけるとみんな一斉に叫んだ。

 

 何が悪かったのかミーシャの箒は膝まで飛び上がり思い切り旋回し膝カックンを食らわせ地面に戻った。

 

 おそらく、フレッドとジョージが言っていた、クセのある箒の一つなんだろう。 

 

 普段のミーシャであれば冷静に、もう一度普通に挑戦していただろう。

 

 しかし運の悪いことに今日のミーシャは、深夜テンションに近い徹夜テンションとも言えるハイテンションモードなのだ、そんな彼女が箒ごときになめた態度をとられたらどうなるかと言うと………

 

「【上がれ(怒)】へし折るよ」

 

 無機物に対して脅しをかけ始めた。

 

 まあここまでは探し物をするときに物の名前を呼ぶや、ゲームなどにイライラしたときの悪態と同じような意味のない行為だったろう…しかし、所詮無機物、脅しをかけたところでうんともすんとも言わない。

 

 

「そう。そんなにへし折られたいの?なら真っ二つにして上げる!【フリペンド】!」

 

 パンっと乾いた音がグラウンドに響いた。

 

 ただの八つ当たりである。私物に当たるなら誰にも咎められなかっただろうしかし、これは学校の箒である。

 

「何をしているのですか!?ミーシャ・エメリー!?」

 

「箒が膝カックンしてきたので仕返ししようかなって思って……やりすぎたと反省はしていますが後悔はしていません…気持ちが良かったです」

 

「なぜ、そんなに自信たっぷりなんですか!」

 

 さも、自分は正しいことをしたかのように堂々とした態度に呆れた様子のマダム・フーチは、やれやれと肩をすくめ

 

「レイブンクローから5点減点です。そしてこのことは校長に報告します」

 

 「エメリー、こちらに来なさい。校長室につれていきます」

 「はい…」

 

 アチャ〜っと思いつつ、マダムフーチについて行く。

 

「こんなことをした生徒を見たのは初めてですよ!」

 

 歩いている間、ずっとこの調子で怒鳴られ続けられると流石に眠気も取れて自分の置かれている状況が認識できてくる。

 

 流石にやばいかもな〜、退学とかあり得るのかな…などと考えている間に、校長室の前についてしまった。

 

「レモンキャンディー」

 

 校長室の合言葉を唱え螺旋階段を登っていく。

 

「おお、これはこれはフーチ先生、珍しいですの先生がここまでいらっしゃるのは、どうかしましたかな?」

 

「えぇ、大事件ですよ、校長先生。この子が授業中箒が膝カックンしたとかいう理由で、箒を真っ二つにしたんですよ。このとおり!」 

 

 マダム・フーチはミーシャの折った箒を取り出してみせた。

 

 我ながら惚れ惚れするほど綺麗に真っ二つである。何なら粉々にすべきだったかと、考えてしまうほど案外余裕のあるミーシャをちらりと一瞥してダンブルドアは、杖を振った。

 

 ダンブルドアは椅子を一つ取り出すとそれをミーシャに勧め

 

「フーチ先生、先生は授業に戻ってくださるかなこの子への指導はわしが代わりにやっておくから、ほれ行ったいった」

 

 と半ばむりやりマダム・フーチを校長室から出すと校長席に座りこっちを見てニコニコとしている。

 

「で、一体どうやって折ったんじゃ?一応、そう簡単には折れないようにいろんな魔法が重ね合わさって一年生フリペンド如きで壊れるはずないんじゃがのう」

 

「いや、普通にフリペンドでポキっと行きましたよ?ポキっと老朽化ですよ、きっと」

 

 嘘である、呪文こそ普通のフリペンドだが、ミーシャが今まで習ってきた今までの魔法技術の髄の結集させた通常の3倍の破壊力を持つハイパーフリペンドと呼べるレベルのものである。

 

「老朽化か、そうかもしれんのう…ほれ」

 

 ダンブルドアは、折れた箒の柄をポイッと放ると箒に向かってフリペンドを放った、それは綺麗な弧を描きミーシャの隣に突き刺さった。

 

「やっぱり簡単に折れないのうそこそこ力込めたんじゃが?」

 

 あくまでニコニコと追求してくるダンブルドアに冷や汗ダラダラである。

 

「当たりどころが悪かったんじゃないんですかね?ハハハ…」

 

 もはや拷問であるダンブルドアは何も言わずニコニコとしているが、とても鋭い目でこちらを見ている。

 

「ハハハ…」

 

 愛想笑いをしてもただ何も言わずにこちらを見つめるだけで

 

「ハハハ…ハハ…はぁ【フリペンド】」

 

 ミーシャはプレッシャーに負けて突き刺さった箒にハイパーフリペンドを打ち込んだ。今度は縦に真っ二つどころか4等分になってカラカラと地面に転がった。

 

「ほう?ただのフリペンドではないようだの」

 

「家族から教えてもらった威力向上の方法を古今東西問わず組み合わせた、おそらく世界最強のフリペンドですからね。ご満足いただけましたか?」

 

「うーむ、合格じゃ。ミーシャ・エメリー」

 

「はい?」

 

 頭に疑問符を3つくらい乗せ、ミーシャは説明を聞く

 

「君には、わしの特別レッスンを受けてもらう。ちなみに断った場合は退学じゃ」

 

 やはり訳がわからない、これは夢なのだろうか。少なくとも悪夢にうなされていて起きたら飛行訓練の前だったという方がまだ真実味がある。

 

「沈黙は肯定受け取るが良いかの?ではさっそく今夜十時から授業開始じゃ良いの?では授業に戻るといい」

 

「あ、はい失礼しました」

 

未だによくわかっていないミーシャはふらふらした足取りで、次の授業に向かう幸いにも次は魔法史の授業だ。頭をまとめるにはぴったりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日一日を考えごとに当ててすべての授業を上の空で受けやっとたどりついた談話室だったが

 

 

[ミーシャエメリーは十時には校長室について置くこと、遅刻は寮の点数から50点マイナスとする]

 

という張り紙を見つけ一連の夢説を全否定し質問攻めするチョウにくじに起こすように頼んで仮眠を取ることにした。

 

 これから何が起こるのか一抹の希望とそれ以上の不安を胸に

 

 

 

 

 

 

 


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