フレンダ=セイヴェルン生存記   作:大牟田蓮斗

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※半分くらい日記調です、そして短文。
……見切り発車の影響ががががが。何を起こそうかが決まらないいいいい。


セイヴェルン、入院

10月18日

 この日記を書き始めることにした。しょーじき、ダルい。でも、あのカエルが「自己連続性を保つためにも書いたらどうかい?」とか言うから、書く。

 私がこのどこだか知らない病院に搬送されてから一週間経つらしい。私の記憶は倉庫から脱出したところまでなのだが、そのあとカエルが私を見つけてココに連れてきたらしい。だから私はココの正確な場所を知らない。

 一週間も私は意識を失ってた。というか、カエルもとりあえずの生命維持を何とか一週間で完了したらしい。臓器の損傷が激しい~とかどうでもいいことを言ってた。

 あと、最新の治療措置を取るらしい。なんでもこの原子崩しの攻撃が半端じゃないらしく。再生する組織どころか、やられてないところまで影響が出だしているらしい。専門じゃないから「らしい」しか書けない。

 最新の医療措置、ってのが、細胞の急激な再生らしい。油脂でできた溶解性のフレームで身体を支えて、その間に細胞を急激に再生させる薬物を投与するらしい。ま、投与つっても薬液に漬け込む訳だけど。

 てか、書くことがない。次に目覚めるのは一週間後らしいけど。ま、とりあえず、Ha det bra

 

 

10月25日

 目覚めた。というか、体に変化がないんだけど。カエルを問い詰めたら、「既存の人体に増やす、ってのは僕らも初めての試みだからね? 慎重にゆったりやってる」とかほざきやがった。てか、既存じゃないならやったことがあるみたいな言い方だし。そういえば、前関わった第三位のクローン。どう考えても第三位よりは後に作られてるのに同じ外見してたらしいね。実物を見たキヌハタが言ってた。細胞の急激な再生、てか分裂ならそこで技術の横のつながりがあってもおかしくないっか。

 あ、だから日記か。自己連続性とか訳わかんないと思ってたけど、クローン技術と同じことしてんのね。そりゃ連続性がいるわ。しかもゆっくりなのもそれが原因か。

 でも、それもいいのかもしれない。あのカエル、患者は守る方針らしいけど、退院患者までは面倒みきれないとか言ってたから、麦野から潜伏してると思えばいっか。

 というか、暇で暇でしかたない。世間から隔離されてる。私に許された行動範囲はこの白くて狭い部屋だけ。独房かっての。しかもそこにあるのもなんか名作文学みたいなもんだけ。情報がえられない。これじゃ外がどんな状況かもわからない。やってらんないわ。

 

 

11月1日

 キモイ。ハマヅラ以上にキモイ。何がって脇腹。二週間やって、ようやく効果が出始めたっぽい。

 その、溶けるっていうフレームは前から見えてて「ええー」って感じだったけど、今は肉が「うげぇ」って感じ。

 麦野の原子崩しはきれいに私の脇腹を持ってってた。だから、完全に焼き付いてて黒い断面だったの。そこが、今じゃピンク。気持ち悪いったらありゃしない。しかも、触るとブニョブニョしてるし。脇腹は常時麻酔の感覚で単純に体調も気持ち悪いし。もーやだ、寝る。

 ってか、傷口触っちゃってダイジョブなのかな?

 

 

11月8日

 医者ってこわーい。なんか、「あんまり傷口に触るのはよくないんだね? 君の身体は清潔で君の部屋も無菌室だけど、万が一がないとも限らない」だって。

 うわー、ここ無菌室なんだ。そりゃ新聞とかないわ。外から物入れるの大変だろうし。

 あーあ。本当に情報がないわー。あのカエルも「今は自分の身体のことだけを考えるんだね?」とか言うし。ってか、あのカエル「ね?」多すぎじゃね? あ、うつった。いつか私も第三位に言われたっけなー。

 ああ、思い出したらあのカエル顔殴りたくなってきた。あの語尾上げる喋り方むしょうにイラつく。

 

 

11月15日

 あれ、一端覧祭って今日だっけ。あー、行きたかったな。あ、あと聞いたらこの病室AIM拡散力場遮断システムがついてるらしい。タキツボにも安心だね。

 てか、まずい。どうしよう。そろそろ退院の話がでてきた。脇腹は半分くらい復活してるし。なんでも臓器がまだでそこに時間かけてるらしいけど。元々の身体との接続を考えつつ、新しく臓器を製造するー。それも脇腹周辺の細胞から。いやー、ホント医者って何考えてんのか分かんないわ。

 で、そうそう、退院だけど。「僕がこんなに時間をかけるのも珍しいね?」とか言ってたからやっぱり名医だわ、あいつ。やはり友達は至宝デデーン。……退院すると、タキツボにバレかねない。どうしよう。普段は能力使ってないけど、それでもやっぱりAIM拡散力場には敏感だし。うーん、第四とか第八のファミレスには近付かない方がいっか。タキツボだって死んだと思ってる相手のAIMを遠くからじゃ気にかけないでしょ。

 それより、もっとヤバいのはあのカエル。なんか、私に新しい戸籍、といか身分証明をくれるらしい。完ッ全に裏の人じゃんッ! しかも、望むなら整形手術もする、とか言い出したし。あいつマジで何者。

 そんなことより、用意された身分の方が問題! 細かいところは私が今日要望出したから通るだろうけど! あいつ、私を常盤台に入れようとしてるのよ!? 私は高校生、花も恥じらうJKだっつーの! 「正体を知っている人からはバレにくいね?」知るかッ!

 ……ま、仕方ないのか。諦めよ。そろそろ覚悟を決めなくちゃ、かな。

 

 

▽ ▽ ▽

 

 11月22日、ではない。

 今日は私がカプセルで眠り次に目覚める予定日ではなかった。なのに、私は眠りから覚まされた。

 

「聞こえるかい? 僕としても余り嬉しくないことが起こったね? 正直、君のようにもう放って置ける子に構っている暇はないね?」

 

 叩き起こされて即座にコレだ。患者に対する思いやりも何もあったもんじゃない。

 勿論、私は文句を言った。施術が途中じゃないか、こんな負傷した状況の人間を外に放り出すなんて医者失格だ、と。

 でも、それに対する言葉は冷徹だった。

 

「医者の最も大事な仕事はトリアージだよ? 誰ならば生かせるか、どれだけ生かせるか。人命が全て同じ重さの現代なら尚更ね? そして、僕は常々思っているんだよ。人の最大の武器は学習能力。人の最強の防具は適応能力。そう言われるが、それらを支える人の最高の基盤は治癒能力であるとね? 学習するにも、適応するにも、まずは一度正面から食らった後に治癒して戻ってこなくちゃならない。だから、僕はそれを一番に据えるね?」

 

 一々問いかけるように話さなくてもいいだろう。こちらは、はいはいそうですかと相槌を打つだけでも、何か相手の意見に納得しているように見える。苛立つ。

 

「そもそも僕の許に連れてこられる患者は治癒能力が弱っていることが多い。残念ながらね? だから、君みたいに十分な治癒能力を得たら退院して欲しいんだね? 今、この病院はそうでない人が溢れかえっているんだね?」

 

 そう。この医者はごくごく普通のことをしているだけだ。患者の持つ自然治癒力を少し後押ししてやって、後は自分で治させる。この技術が少しには到底収まらない気がするが。

 私はこのカエルに適当に相槌を打っていた。正直、一週間眠らされる薬から無理矢理起こされて眠かったのだ。でも、あれは酷い。

 

「そんな訳で、君には今から退院してもらう。それで構わないね?」

 

 同じ調子で、私はその退院の書類にサインをしてしまった。




入院という題名で退院まで持っていくスタイル。ま、本家ツンツン頭よりはまともに入院してるし。

禁書に関してはネタバレ上等なので、散々色々漁って、最新話とか手、つけられんわ~って感じになりました。そんな訳で、12月1日前に退院です。
藍花悦は一人減ることになるのでしょうかね。筆者にも分かりません(見切り発車)

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