今度は悪魔アンチだ!
【黒翼の赤龍帝】
少年と少女達(仮)
20XX年。
天使、堕天使、悪魔…"聖書"と謂われ括られている3勢力の抗争は、激化の一途を辿っていた。
そして其れは、その自覚が無いにせよ、その存在を認識していない人間達にも、確実に影響、被害が及んでいた。
「な…は、離せよ!
何なんだよ?!アンタ等!?
一体俺を、どうするつもりなんだよぉおおおおおおッ!!!!!」
そんな時代、とある施設の1室で、手術用のベッドに身体を完全に拘束された少年が吠える。
首、手足、腰を縛る枷。
それは金属製でなく、質量を持つかの様な、光の拘束。
「「「「「………………。」」」」」
抗う術を持てない少年を無言で囲み、見据えるのは、白衣を纏った集団。
「偶には悪魔の技術も、役に立つ…か…」
内の1人が、一歩前に出て呟く。
「喜び給え。
キミは、我々に選ばれたのだ。」
「はぁっ!?」
「誇りに思い給え。
キミは、我々の、"切り札"となるのだ。」
そう言うと、一見、優男な金髪の人物は、懐から1枚のカードを取り出した。
それは、大鎌を振り翳す道化師が描かれたカード。
トランプの…ジョーカーのカード。
「赤い龍を宿す者よ、キミは今後、その忌々しい力を我々の為に揮い、奴等を滅するのだ。」
言葉と共に、少年の胸元に、カードを押し当てる金髪の男。
ずずずず…
「なぁああっ!?」
すると そのカードはマジックの如く、少年の体の中に埋もれ、最終的には完全に入ってしまった。
「が…がぁああぁ…」
体内に異物が入ったからか、少年が苦しみだす。
バチィッ!!
「「「おぉ!」」」
そして少年の、苦し紛れに もがく腕が、光の拘束を強引に解き破り、それを見て感嘆の声を上げる白衣の集団。
「う…うぅぅ…」
それでも尚、少年は もがき苦しみ、
バサァッ!!
直後、背中から雄々しい、"純白"の翼を生やした。
「ハァ…ハァ…お、俺、は…?」
「あははははは!やった!やったよ!!
皆、実験は成功したみたいだ!」
「うむ。後は この者…この者達を、戦士として教育を施せば…」
「ええ!我々の勝利は、揺るぎないものと、なるでしょう!!」
息絶え絶えな少年。
その光景を見て、恐らくはリーダー格で あろう、少年にカードを仕込んだ男が、そして それに続き、その他の面々も、満足げに言葉を続ける。
…が、
「う…ぅわああああああああああああああああぁっ!!!!」
「「「「「え゙っ…????!」」」」」
次の瞬間、少年の更なる変化に言葉を閉ざし、
カァッ…!
その1室は、眩い光に包まれた。
▽▽▽
はぁ…はぁ…
な、何だったんだよ、アイツ等…
何処なんだよ、此処…
建物から抜け出した少年は、今居る場所が何処かも分からず、時折脅える様に後ろを振り返りながら、兎に角その場から逃げていた。
バサァッバサァ…
「一体…一体 何なんだよ!?…コレわぁあっ…?!」
その背に生えた、翼を羽ばたかせ…
「??!」
そんな中、前方から自分に向かってくる、3つの人影を確認する。
▼▼▼
「あれは…」
「あの羽、お仲間ッスよね?」
3つの人影…それは、少年と同年代に見える、3人の少女だった。
少年を仲間と認識する彼女達は、少年と同じ翼を背から生やしていた。
「…向こうから やってきたって事は、奴等に捕らわれたけど、何とか逃げだしt…って、ええぇっ~!?」
「「!!!!?」」
やがて距離が縮まり、少年の姿を完全に視認出来たと同時に、顔を赤める3人の少女。
1人は完全に少年に背を向け。
1人は両手で顔を覆い、その姿を見ない様…でいて、その開いた指の隙間から、少年をしかと刮目。
1人は瞳を大きく見開き輝かせ、口元からは涎を垂らしながらガン見。
…そう、少年は、白衣の集団に捕らわれていた時から、何も何も身に着けていなかった。
「どどど…どうしましょう?」
「いや、どうする…て…」
初めてみる異性の"それ"を前にして、テンパりながら話す、2人の黒髪の少女。
「何言ってるんスか?!
とりあえず保護っすよ!保護!!」
「あ、ミッテ!?」「ミッテちゃん?!」
しかし もう1人、ミッテと呼ばれた金髪の少女は、嬉々とした表情で飛行速度を上げ、更に少年の元に飛び立つ。
それを見た2人も、後を追うように、翼を羽ばたかせた。
▼▼▼
「なぁ!?何だよ?キミ達はぁ!?」
自分の正面、遠くに見えた人影に、警戒していた少年。
その人影が急接近してきたのは分かっていたが、慣れない飛行で彼女達を振り切るのは叶わず、結局は空中での逃げ場を奪われ囲まれてしまう。
3人共に、世間基準で かなりな美少女なのだが、今の自身と同じ翼を宿す…明らかに人外な存在に、そんな彼女達との邂逅を喜ぶ余裕は少年には無く。
「良ーから早く、前を隠して!」
「ですわっ!!」
「へ…?」
そして「何者だ?」の質問に返って来た少女の言葉。
「ぁ…わぁぁ!?み、見るなよぉっ?!」
余りに自分の常識、日常の外の展開の連続に、自分が真っ裸だった事を忘れていた少年。
赤くした顔を背ける黒髪少女の言葉に それを思い出し、少年も顔を真っ赤にして、慌てて両手で自分の"分身"を覆い隠す。
「み、見た…?」
「「…………………………………。」」
「ばっちりと♪」
「~~~~~~~orz」
恐る恐る、口元を引き攣かせながらの少年の問い掛けに、黒髪少女2人は目を反らしながら、ノーコメントとばかりに沈黙。
…が、金髪少女はサムズアップしながら、良い笑顔で即答。
思わず空中で跪く姿勢となる少年。
▼▼▼
「と、とりあえずアナタ、所属は?」
「所…属…?」
黒髪少女の1人が羽織っていたコートを少年に纏わせ、色々と質問してくるが、少年は質問自体が何の事が解らず、碌な応えが出来ず。
「…捕らわれていたのを逃げ出したと思ってましたが、もしかして彼、"堕ちた"ばかりなのでしょうか?」
「その可能性も、高いわね?
ついでに記憶が、一部喪われている?」
「兎に角アンタ、どっちみちアッチには居られないスよね?
とりあえず、ウチ達に着いてくるッスよ。
…で、2人も良っスよね?」
「そうですわね…」
「色々と、聴く必要も有るしね。」
「え?えぇっ…?!」
何も分からない儘に、金髪少女に手を取られ、成すが儘に何処かに連れて行かれる少年。
▼▼▼
「…そう言えば、まだ お互いに名乗っていませんでしたね。
私は朱乃…姫島朱乃と申しますわ。」
「レイナーレよ。」
「ウチはミッテルト。
ミッテ…で、良いッスよ。」
共に飛び立ってから暫くして、黒髪をポニーテールに結った少女が、思い出したかの様に名前を名乗り、続いて黒髪ストレートの少女、そして金髪をツインテールに結った少女が、順に名乗った。
"黒い翼"を羽ばたかせながらの少女達の自己紹介に、
「俺は、兵藤一誠…。
周りの皆は、イッセーと呼んでいる。
…だから皆も、イッセーで良いぜ。」
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