黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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会話が多い… m(_ _)m
 


父として…

 

「やぁ、一誠君…久し振りだね。」

 

◆◆◆

ジャンヌです!

イッセー様とのデート(アーシアちゃんも一緒よ)の帰り道に現れた神父。

イッセー様をグリゴリの嗤う黒仮面(アイザック)で無く、()()()()と知ってる風に話し掛けてきたけど、

「…誰だ?アンタ?

俺は、聖職者に知り合いは居ないんだが?」

「「「……………………。」」」

当のイッセー様は、この冷めた対応。

相変わらず天界関係者に対しては、一切合切ブレません。

 

「ははは…。

仕方無いか、余りにも久し振り過ぎる。

私は、紫藤トウジ。

イリナちゃんの父親だよ。」

「…………!!

紫藤の…おじさん…?

…ヒ、ヒサシブリデス、ネ…?」

しかし、そんな対応にも この神父は苦笑しながら名乗りを上げる。

するとイッセー様も思い出したのか、ぎこちない挨拶を。

…で、イッセー様?

『イリナちゃん』って、誰?

  

「…それで、俺に何の用だ?【真・聖書(ネオ・バイーヴォ)】!!」

 

ヴォオオォッ!

 

「きゃぁっ?!」

「む…!?」

そして直後、私の そんな疑問を 誤魔化す 吹き飛ばす様に、殺気と魔力を全開させるイッセー様。

驚いてるアーシアちゃん(…と私)を後ろに退かせ、このシドートージとやらに問い質します。

イッセー様、懐かしむとかな発想や感情は皆無です。

 

真・聖書(ネオ・バイーヴォ)】。

これが、天界側を出奔した者達が名乗った、新しい勢力と云うか、組織の名前。

シドートージが それを名乗った訳じゃないけど、聖剣を携えている事から、所謂 一般…"表"の聖職者では無いのは明らか。

しかし、天界所属の神父や悪魔祓い等なら、グリゴリ関係者にアポ無しで接触するなんて事は無い。

故に件の新勢力の遣い…刺客と見るのが、当然よね。

 

◆◆◆

イッセーだ。

10年以上前、海外へと引っ越した、幼馴染みの お父さんと再会したと思ったら、実は その人は天界の…正確には、天界を出奔した新勢力の一員?だった。

そして今、その紫藤の おじさんが、俺の前に敵として現れた!

 

シュィン…

 

「イッセー様!お手伝いします!

アーシアちゃんは、後ろに退ってなさい!」

「は、はぃい!」

これに対してジャンヌも神器(セイクリッド・ギア)で聖剣を創り出し、光の剣を構える俺の隣で戦闘姿勢。

 

「待ちたまえ、一誠君。

私は歴とした、天界所属のエクソシストだよ。」

「だったら何故、何の前置きも無しに、イッセー様に近付いた訳?

イッセー様が天界側(アナタタチ)の事を嫌っているのは、十分に承知な筈よ?」

これに やはり、天界側を凄く嫌っているジャンヌが、食って掛かる。

実際に今は、敗戦勢力の天界が堕天使関係者に接触する場合は、事前に連絡が必須となっている。

仮に この紫藤の おじさんが未だ天界所属だとしても…いや、天界所属ならば尚更に この俺…()()()()()()()()()()にアポ無しでコンタクトするのは、明らかにルール違反だ。

 

「いや、今回は"グリゴリの嗤う黒仮面"で無く、あくまでも()()()()()に、話に来たのだよ。

イリナちゃんの父親として、ね。」

「"人間"・兵藤一誠は、既に死んだ事に なっているんだけどね?

今の俺は、グリゴリのアイザック…、或いはアイザック・カズナだ。

今は"イッセー"の名も限られた者にしか、呼ぶのを許していない。

今更 ()()()()()に、何を話しに来たって言うんですか?」

「………………………。」

この俺の言葉に、紫藤の おじさん…いや、天界エクソシスト・紫藤トウジは黙り込んでしまう。

そして その数秒後…

「イリナちゃんが天界を離反して、例の新組織に加入した…」

 

≫≫≫

◆◆◆

「…そんな訳、だよ。」

「…………………。」

アーシア・アルジェントです。

重い口調で話すシドートージさん。

その内容は、彼の娘さんであるシドーイリナさんが、今の天界の、堕天使組織の配下に置かれていると云う現状に、納得、或いは我慢が出来ない故に出奔したそうです。

そして、それを聞いたイッセーさんは、驚きの表情を浮かべます。

 

「え? あの時の聖剣使いが、イリナだったの?

…って言ーか、イリナって、女の子だったの?

え?マジに?!」

…ただ、驚く処が、少し ずれている気がしますが。

 

「………………………………。」

これに対して、シドーさんは、色々と突っ込みたいのを必死に我慢している…そんな表情を浮かべています。

 

「…いや、だって、イリナって、スカート履いてたの見た事無いし、自分の事『僕』って言ってたし、一緒に遊ぶっても野球とかサッカーとかヒーローごっことかだし…」

これには少し察したのか、イッセーさんも弁解を。

 

「…それで、それとイッセー様と、何の関係が有るの?

まさか、そのイリナちゃんとやらが敵として現れた時に、手心を加えて欲しいとでも言う心算かしら?」

 

シュッ…!

 

「…?!」

でも、ジャンヌさんは そんなの御構い無し、聖剣の切っ先をシドーさんに向けて、話を進めます。

 

◆◆◆

再び、ジャンヌよ。

思い出した。

イリナって子、前にフリード君が右腕を斬り落とし、イッセー様が相棒共々、顔に十字の疵を刻んだってゆー聖剣使いね。

あの時は敵とは云え、女の子の顔面を斬るってのは やり過ぎかと思ったけど、聞けばアーシアちゃんの事を魔女とか言って、散々ディスってくれたそうじゃない。

それを聞いた後は、哀れみとかは完全に失せたけど。

…で、これは推測だけど、学園での あの戦の際、カラワーナさんと戦っていた、あの片腕の仮面の転生天使。

間違い無く、その子だよね。

後から聞いた話だと、あの時カラワーナさん、止めを刺す前に逃げられたとか。

カラワーナさん、ダメじゃん!

 

「1つ聞くけど、アナタの娘は、アイザック、イコール イッセー様と知っているのかしら?」

「……………………。」

そして この質問に、シドートージは またも沈黙。

どうやら知らない様ね。

 

「…知っているよ。

いや、知ってしまった…と云うのが、正しいがね。」

…と、思ったら、まさかの この答え。

勿体ぶって()なんて空けてないで、シャキシャキ答えなさいよ!

 

()()()したと思っていた幼馴染みが、実は生きていたんだ。

しかし、同時に堕天使に身を寄せて…いや身を堕としていた事に、彼女は喜んだと同時に、落胆していたよ。」

「…だったら その、俺が堕天使となった理由も、当然ながら知っているんだよな?

勿論、俺の両親が死んだ、本当の理由も?」

「…それも、あの子が天界を離れた理由の1つだよ。」

ふ~ん? 一応は、アナタの天使()(笑)が、今まで何をしてきたかは、知ってる訳ね。

それで、天界は自分が信じるべき"正義"でないと、そういう結論に至ったのかしら?

でも、同じく それを知っていながら、未だに天使の下に付いているアンタは一体、何なの?

 

「解るかい? 自分の顔に、一生消えない疵を与えた、憎むべき敵が、実は初恋相手(おさななじみ)だと知った…

しかも、その大元の原因が、ミカエル様だと知った時の、あの子の悲しみが…?」

「いや、だから その子がイッセー様に斬られたのは、『天界EREEEEEE!私様EREEEEEE!』な増長の、自業自得でしょ?

殺されなかっただけ、ラッキーだと思わないと。

アンタ、親なんだから、その辺りは最初から きちんと諭して置きなさいよ。

それともアンタも、未だに『天界EREEEEEE!』な考え持ってる訳?」

それに、イッセー様は当時、相手を女の子って認識無かったんでしょ?

悪いけど どっちにしても、もう既に そっちの想いは報われないわよ。

確かにイッセー様、"転生"天使には、まだ少し甘い面も有るかも知れないけど、アーシアちゃんをディスった時点で、完全にアウトーッ!よ。

  

「………………………………………。」

「黙ってないで、応えなさいよ!

此方に都合良い解釈、されたいの?!

そもそm

「…ジャンヌ。」

そして私の質問(ツッコミ)に、またまた黙りとなる神父。

それでも終わらせる心算の無い、私の口撃を見かねてか、イッセー様が止めに入った。

 

「…で、紫藤トウジ。

天界所属のエクソシストが、結局は俺に、何の用なのだ?

先に言っておくが、俺は敵として現れるなら、それがイリナだったとしても、容赦は しない。」

そして、この一言。

しかも、最初は()()()()()()()()だったのが、既に他人行儀なフルネーム呼び。

 

「…いや、イリナちゃんは、一誠君…キミの前に現れる事は、無いだろう。

あの子は あの子なりに、反省は きちんと してるんだ。

どうして こうなったか…きちんと理解は、しているんだよ。」

「それじゃあ何故 尚更、天界所属が何の連絡も無しに、俺の前に現れた?」

「天界とか、堕天使とか…そんなのは関係無いよ。

只 単純に、自分の大事な娘を傷物にした男が赦せない、改めて そう思った…

只、それだけだよ。」

「傷物って…その表現、止めて貰えます?!」

…イッセー様が慌てて否定を求めてるけど、それは まぁ、ある意味、間違っては いないわよね。

 

シュリ…

 

「…止めとけよ。

アンタと俺じゃ、勝負に ならない。

それに、天界就きのエクソシストが堕天使に刃を向けたとなると、"事"だぜ?

昔の よしみだ。

今なら無かった事にしてやるよ。」

「………………………。」

腰の聖剣を抜き、イッセー様に切っ先を向けるシドートージに対して、その剣を納める様に言うイッセー様。

でも この神父は、それを受け入れる様子は無い。

 

「今更、退けないさ。

それに、この行動が、娘の人生を狂わせた天界に対する意趣返しになるなら、それで構わないよ。」

…どうやらシドートージは、出奔してないだけで、既に(こころ)其処に在らず…

天界に対する、忠誠とか信頼とかは、無いみたい。

この接触も、天界に迷惑を掛ける…と云うのが、本命な目的みたいね。

尤も、自分の娘が向かった、【真・聖書(ネオ・バイーヴォ)】に鞍替えするって考えも、持ってない様だけど…

 

ずずず…

 

「え゙…っ?!」

そんな時、この神父の胸元から突如、光の刃が突き出た。

 

「…余計な真似でしたか?アイザック隊長?」

「いや、そうは思っていないさ、茂っさん。」

「…カッ、カッハァッ!?」

それはシドートージの背後から、静かに光の剣を突き刺した人物。

私達と同じく教会住み込みのシスター、モブ子さん1号2号と、恐らくは彼女達と、今からデートに向かおうとしていた茂部さんでした。

 

「「だ、誰が、モブ子さん1号2号ですかっ?!」」

 

◆◆◆

はい、皆さま お久し振りです。

私、グリゴリは『アイザック隊』所属、はぐれ悪魔祓いの茂部園市です。

教会内の雑用も終わり、シスターさん2人とデートに繰り出そうと外に出た時の事です。

既に時刻はPM10:45。

当然ながら、今日の内に帰る気なんて、nothing。

お泊まりの朝帰りコース、確定です!

そんな訳で教会を出て、少し歩いた時に、体に僅かながら感じた違和。

…これは間違い無く、人払いか認識阻害の類いの結界ですね。

常人ならば、無意識に踵を返したりする処ですが、私達には そんなのは通用しません。

構わず その儘 歩き続けると、アイザック隊長とジャンヌさんアーシアさんが、天界の遣いか、或いは話に挙がる、新組織の者かと対峙しているじゃあ、あ~りませんか!

 

「「「………………………。」」」

私達に背を向けている形になっている、神父は兎も角、正面位置の隊長達は、私達に気付いた様ですね。

それに対して「シィーッ…」と、人差し指を口に当て、『黙っててね』のポーズを取りながら、気配を消して、隊長達に近付く私達。

聞いたのは途中からでしたが、その会話を聴くに、どうやら この神父、勝てないのを承知で、隊長に勝負を挑もうとしている模様。

しかし、それを見たからには、部隊員として、隊長を守らない訳には、参りません。

…そんな訳で、

 

ずずず…

 

「え゙…っ?!」

…で、現在(いま)に至ります。

 

≫≫≫

「成る程…そんな訳、ですか。

ねぇ、今、どんな気持ちですか?

娘さんの仇と交える事も叶わず、無関係者?の介入で終わらされる件について。」

「………………ッ!!」

私も緩い一撃を放った、そんな心算は御座いません。

仰向けに倒れ、既に呼吸も儘ならない…もう長くない紫藤トウジ氏に向けて、嫌がらせの様な笑顔を向けながらの問い掛け。

それに対して紫藤氏は、何かを言いた気に此方を睨みますが、息絶え絶えで、何も喋る事は出来ません。

 

「もう、良いよ。

茂っさん、これからデートなんだろ?

足止めして悪かった、行って良いよ。」

「…そうですか?

では、お言葉に甘えて…」

そしてアイザック隊長の言葉に従い、その場を去るのでした。

 

▼▼▼

翌日の昼過ぎ。

 

「皆さん、今日は御苦労様です。」

「「「「「「「「………。」」」」」」」」

駒王学園の大会議室にて、同学園理事長、カティ・志度…カテレア・レヴィアタンが、この場に集結した面々に挨拶していた。

 




 
①イリナ父親、物語離脱(リタイア)
 
②モブ子さん1号2号は、特にキャラ設定していません。
…現状は。
茂っさんみたく、レギュラー化するのか?(笑)
 
次回『会議(OHANASHI)(仮)』
乞う御期待!
感想よろしくです。
 

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