黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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すたあぃりぃーしゅ!!
 



生徒会に質問します!

◆◆◆

やあ!アイザッきゅんことイッセーだぜ!

最近は この呼び名にも慣れたよ、コンチキショー!!

昨日の放課後、俺とレイナちゃんが感じた巨大な魔力。

教会に皆と戻って話してみたら、当時まだ学校に残っていたミッテちゃんは勿論、朱乃ちゃんに黒歌、バイサーも、学園から かなり離れた この教会に居ながらに あの気配を感じ取ったと言う。

 

「半端無い魔力だったにゃ!」

「あれは魔王か、それに準ずるクラスの者が あの場に現れたとしか思えん…」

と言ってるのは、黒歌とバイサー。

その日は それ以上、余り深く考えずに終わったんだよね。

しかし、翌日(きょう)の昼過ぎ、

「「大変だぜ、アイザック!」」

「ん?」

弁当(今日はバイサー手製だぜ!)を食べてる俺に、慌てながら話して来たのは、元浜松田。

 

「どうしたんだよ?」

「今日、グレモリー先輩を見かけないと思っていたら、学校休んでるんだってよ!」

「しかも、小猫ちゃんも!

…ついでに木場のヤローも。」

「ふ~ん?…で?」

「「反応薄っ!!」」

「いや…だから俺、別にオカ研のファンじゃねーし。」

…と、まぁ、2人には無関心を装ったけど、昨日、旧校舎で感じた強大な魔力。

そして今日、その旧校舎を根城としているオカルト研究部…即ちリアス・グレモリー眷属が揃って学校を休んでるとなると、流石に何かが有ったのか、気にはなる。

…そんな訳で、

「やあ。初めまして…だね。

シトリー家の、次期当主・さん?」

「な…!? あ、貴方…は…??!」

駒王町…の中の、この学園内の管理を担当している悪魔貴族、ソーナ・シトリーの拠点である生徒会執行部室に、駒王の生徒、アイザック・カズナでなく、グリゴリの嗤う黒仮面として、出向いてみた訳だ。

 

▼▼▼

「グリゴリのアイザック…ですね?」

「いぐざくとりー」

緊張しながら、そして警戒を強めながら、ソーナが生徒会室の自分の席に座っている、黒仮面の男に話し掛ける。

 

「アイザック?テッメ!何しに来た?!

一体 俺達に、何の用だ!?」

「匙!」「「元ちゃん!」」

生徒会メンバーの黒一点、薄い栗毛の男子生徒が怒鳴る様に、今にも飛び掛からん勢いで質問するが、それは他の生徒会の女生徒達に宥められる。

 

「ふぅ~~~~~~~~~~~…」

その様子を見て、アイザック…イッセーは大きな溜め息を1つ。

 

「心配要らない。

今日は、君達を殺しに来た訳じゃない。

組織とは別に個人的に…だ。

少し、質問したい事が有ってね。」

「質問…だと?」

そして仮面に仕込まれたヴォイスチェンジャー越しに、戦闘する心算は無いと、ゼスチャー混じりに話す。

 

「…分かりました。

その言葉、信じましょう。」

「「「会長?」」」

「但し、質問内容によっては、ノーコメントとさせて頂きます。」

「結構。さ・て…じゃ、質問の前に…」

 

スゥ…

 

「え?」

其処迄話すと、イッセーは白い手袋を嵌めた右の人差し指を、1人の女生徒の脇腹辺りを指差し、

 

ビッ…!

 

「きゃああぁっ!??」

「「「め、巡!」」」「「巴柄!」」

一筋…極細の光の一閃を放つ。

 

「テメー!戦う気は無いって言っときながら、いきなり それかよ!!?」

生徒会、シトリー眷属唯一の男子である匙元士郎が先程以上に声を荒げるが、

「大丈夫だ。彼女の身体には、ダメージを与えていない。」

「はぁあ?!」

イッセーは問題無しを主張。

 

「ただ多少、下らん真似をしようとしていたので、止めて貰っただけだ。」

「何だと?」

「わ…私のスマホォ…」

「…へ?巡?」

匙が振り返ると、イッセーの放った光弾を受けたかに見えた、ソーナの騎士、巡巴柄がプスプスと黒い煙を上げて動かなくなったスマホを手にして、涙顔で へたり込んでいた。

 

「会話を録音して、それで得た音声から、俺の正体を割ろうとしたか?

余計な真似は、要らぬ血を流す引き金に成りかねん。

覚えておく事だな。」

「うぅ~…」

 

コクン…

 

記録されていた様々な媒体のデータが全て消し飛ばされ、完全に意気消沈な儘に、巡は小さく頷いた。

 

「…ついでに、君。

"サジ"と、呼ばれていたか?」

「あ゙ぁ?!俺に何の用だよ?」

 

カタッ…

 

そしてイッセーは会長専用の席を起つと、今度は匙に話し掛ける。

 

「いや、それだよ、それ。

如何に敵対勢力の人間を前にしたとしても、此方は最初に、今回は敵意が無いと言っているんだ。

…その上で、その対応は頂けない。

外様への礼は、きちんと身に着けておくべきだ。

主の躾の無さが、窺えr

「会長は関係無えだろーが!」

「止しなさい、匙!!」

「か…会長…」

"敵を前にして"…を前提に、その言葉遣いのダメ出し、そして その作法の無さの責任が、ソーナに有ると言われ、更に怒りの儘に言い返そうとするが、それはソーナに制された。

 

「私の下僕が、失礼しました。

この者には、よく訊かせておきますので…」

「か、会長!こんな、堕天使の手下に…」

「黙りなさい匙!

例え敵であれ、彼が言っている事自体は、間違っていません!!」

「貴方の その、反省の無い非礼な態度が会長の顔に泥を塗っていると、何故理解出来ないのですか?!」

「ぅ…」

 

≫≫≫

「そろそろ、質問しても?」

「…どうぞ。」

2人の眼鏡の少女に戒められ、自分を仇の様に睨みながらも完全に黙り込んだ匙を見て、イッセーが口を開いた。

 

「先ずは1つ目。

先週末、日本神話の遣いが、この町の悪魔と接触が有ったと聞いたが、それは本当の話か?」

「え?」

最初の質問に、ソーナも初めて聞いた話に、驚きの声を上げる。

 

「す、少なくとも、私は何も聞いておりませんし、リアス…グレモリーからも、その様な話が有ったとは、聞いていません。」

「成る程…

(ん~、鬼灯さんが駒王に来たのは、悪魔とは無関係だったか?それとも余程、都合の悪い話だったか、あの駄肉姫が上に報告しなかったか…恐らくは後者だな。)」

このソーナの応えに頷き、少し考察すると、イッセーは次の質問を投げかけた。

 

「それじゃ、次の質問。

昨日の午後、この学園で感知された強大な魔力…あれは一体、何?

そして今日、リアス・グレモリー眷属が学園を欠席している事との関連性は?」

「そ…それは…」

 

 

≫≫≫

「手間を取らせたね。

それじゃ、失礼させて貰うよ。」

一通り、確認したかった事を聞いたイッセーが帰ろうと、転移の魔法陣を展開しようとした時、

「…待てよ。」

「む?」

それを呼び止める声が、1つ。

 

「…何か?」

「…じゃ、ねーよ。」

「匙?」

ソーナの兵士、匙元士郎である。

 

「"悪魔"として、言わせて貰うぜ?

オメー、こっちに一方的に情報を求めておいて、何の"対価"も無しかよ?」

「ふ…」

「な…何が可笑しい!?」

「都合良く、そういう"悪魔"な面を持ち出す態度に…かな?

契約絶対主義な"悪魔"の筈が、自分の欲や都合で簡単に反故にする癖にねぇ…と思えば、笑えもするだろ?」

「な…そんな事は…」

「アンタ等の上役の老害共が、隠蔽しているだけだ。

例えば…転生悪魔が はぐれとなった原因が、主従の際の契約違反が理由だという事例を、俺は少なくとも2件知っている。

…にも拘わらず、はぐれとなった転生悪魔だけを"悪"とし、一方的に断罪しようとしている事もな!」

「そ…そんな事…」

「「「「「……………。」」」」」

対価という悪魔らしい話をきっかけに、ケチを付けてきた匙に対し、具体的に名前こそ出さないが、黒歌とバイサーの例という、逆に悪魔の"悪魔らしい"話を持ち出し、イッセーは生徒会メンバーを黙らせる。

 

「まあ、確かに一方的にってのは、俺も好まない。

だから…こっちも1つ、情報をくれてやるよ!

禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

カァッ!

 

「なっ…?!」

「「「きゃ!?」」」

「眩しっ!!」

この禁手化の呼び声と共に、イッセーが右手に嵌めていた白い手袋が、右腕全体を肩口迄包み込む、黄金の光を放つ籠手に変化。

 

ザッ…ずぶぅっ!

 

直後の踏み込み、イッセーの右の手刀が匙の胸元に突き刺さり、その儘 背中を突き破った。

 

「え…?」

「「匙?!」」

「「「げ、元ちゃんん!??」」」

 

ずずす…

 

身体を貫かれた当人を含め、茫然とする中、イッセーは腕を抜く。

 

「心配要らない。

今回は身体には一切、ダメージは与えていない。

今の俺と君達との実力差…

この神器込みで、かなりな情報に、なっただろう?」

「なぁ?お前、俺に、何をした?」

「だから、この籠手で胸元を貫いた。

今も言ったが、ダメージは無い筈だ。

…先に言っておくが、今 君達が攻撃を仕掛けてきた時…その時は完全に君達全員を敵と見なし即戦闘、確実に皆殺しだ!!」

「………!!」

そして、顔を真っ赤にした匙の怒声の問い掛けも、イッセーは脅しを込みで、受け流す。

 

「何よりも、君達では束になっても、決して俺には勝てない。」

「何だと、コラァ!?」

「当たり前だろ?

何しろ胸を突き刺された後、少し経ってから、『え?』とか『げんちゃん?』…じゃあねぇ…(笑)」

「ぐ…」

更に挑発じみた言葉に反応されると、先程の繰り出しを事例に、"Isaac"の名に相応しく、嗤いながら切り返す。

 

「躱せとは言わない。

だけど せめて、あの攻撃が視認出来て、"脅える"位の反応は、見せて欲しいね。

何よりも!己と敵との力量差を見極められる、"眼"を持つのが大事だな。

それでは今度こそ、失礼させて貰うよ。」「「「「「…………………。」」」」」

それだけ言うと、イッセーは改めて展開した魔法陣から、その場を去って行った。

 

≫≫≫

「「「「「「……………。」」」」」」

イッセーが去って数分、生徒会の面々は誰1人、喋る事無く動く事無く、その場に下を向いて立ち尽くしていた。

招かれざる客との邂逅。

そして その何れ戦うであろう、敵に知らしめられた実力差(げんじつ)

更にはダメ出し、アドバイス迄受けてしまったという屈辱。

その全てが、少年少女を意気消沈させるには、充分だった。

 

「くそ…巫山戯やがって…!!」

「げ、元ちゃん?」

そんな中、一番最初に口を開いたのは、匙だった。

 

「やってやる!やってやるよ!!

次に会った時は あのヤロー、絶対に ぶっ殺してやる!!!!」

「…そうですね。

言葉は物騒ですが、匙の言う通りです。

彼が一体、どういう心算で、あんな手の内を…恐らくは あれも、一端に過ぎないのでしょうが…見せる様な真似をしたかは解りかねますが、本格的な衝突が起きる前に、実力差を認識出来たのは、幸いと言って良いでしょう。

皆さん、鍛錬有るのみ…です。」

「「「「「はい!!」」」」」

この匙の台詞が発破となり、最後はソーナが締める形となった。

 

「…皆さん、まだ室内の雑務が残っている人も居るかもしれませんが、今日は そんな気持ちにはなれないでしょう。

今日は もう、解散としm…こ、これは?」

そして解散を宣言する途中で、ソーナの口が止まる。

 

「何、この箱…?」

「何時の間に…?」

それは何時の間にか、ソーナの机の上に置いてあった、紙製の箱に気付いたから。

実は、イッセーが去り際に置いて行ったのだが、その時は全員が俯いていて、その素振りには誰も気付かなかったのだった。

 

「まさか、爆弾とかじゃ、ないでしょうね?」

「「「えぇぇっ?」」」

匙の台詞に、同学年の女子達が震え驚くが、

「いえ、流石に そういう事は、無いでしょう?」

「副会長?」

 

パカ…

 

そう言って自然体で箱を開けたのは、副会長の新羅椿姫。

 

「これは…?」

「椿姫?」

「「「わ…わゎぁぁあ~ぉうっ!!♪」」」

そして その中身を見た途端、今度は歓喜の声を上げる巡達。

その中身は、フルーツが ふんだんに盛られた、直径20㌢程度のホールケーキだった。

丁寧にもプラスチック製ナイフや、人数分のフォークも添えてある。

そして、

「…手紙?」

 

 

≡≡≡

 

情報提供の対価として、ウチの奥さん手製のケーキを置いていきます。

皆さんで召し上がって下さい。

毒なんかは仕込んでないから、心配無く。

 

追伸。

奥さんの手作りケーキ。

食べずに棄てたり、「不味い」とか言ったりしたら、その時は殺すからね。 Isaac

 

≡≡≡

 

 

「アイツ、妻帯者だったのかよっ!?」

「「「しかも、愛妻家っぽいし!!」」」

「…てゆうか、きちんと対価は、用意していたのですね。」

その手紙の内容に、思わず叫んでしまう匙達。

 

「ふむ…では折角ですから、帰る前に、皆で戴きますか。」

「そうですね。」

「あ、お茶の用意をしてきまーす!」

「「ケーキ♪ケーキ♪ケーキ♪」」

そしてソーナの台詞に、沸き立つスィーツ大好き女子達。

しかし、

「俺は あんなヤツのケーキなんか要らねー!

会長、さっき『もう今日は解散』て、言いましたよね?

俺は帰らせて貰いますよ!!」

「さ、匙?」「「元ちゃん?」」

 

バタンッ!!

 

約1名、その雰囲気を良しとせす、その場で帰宅したとか。

 




 
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