黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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皆、前回の『次回予告!』に釣られ過ぎだろ!?(笑)
 



おいでやす、京都

…イッセー達が、京都で地元の妖魔と遭遇していた頃…

 

「ふふ…中々に興味深い話も聞けた。

有意義な会談だった…ぞ…」

「そう言って貰えると、有り難い。」

 

ガシッ…

 

アイルランドの辺境、霧に包まれた宮殿の一室にて、しかと握手を交わすのは、グリゴリ幹部バラキエルと、黒いローブを纏う、妙齢の女性。

ケルト神話勢のトップ、女神スカアハである。

アザゼルの命を受け、バラキエルは外交としてケルト勢との同盟確約に出向いていおり、その仕事を見事全うしたのだった。

 

≫≫≫

「…………………。」

「気になるか?」

宮殿の廊下を進む途中、バラキエルは今回、秘書役として同行させていたレイナーレに話し掛ける。

 

「気にならない訳が、ありません。」

それに対し、やや不機嫌気味に応えるレイナーレ。

 

「心配するな。

朱乃も謂わば、五大宗家の血縁者だし、黒歌も元は日本妖怪だ。

イッセーも

「そうでなくて!

あの2人がイッセー君に、抜け駆けな真似をしないか、心配なんです!!」

「そ…そっちなのか…」

どうやらレイナーレが危惧していたのは、バラキエルが考えていた事とは別ベクトルだった様だ。

 

スゥ…

 

「「!??」」

そんな話をしている中、廊下壁際に並ぶ柱の陰から姿を見せたのは、長身細身、長い黒髪の少年。

 

「………………。」

「ん?キミは先程、スカアハ殿の護衛に就いていた…」

少年は無言でバラキエル達の前迄歩み寄ると、その場で跪き、

 

バッ!!

 

「む?」「へ?」

2人に…否、レイナーレに大輪の花束を差し出した。

 

「ひ、一目惚れしました!

今回の同盟を機に、おおお、お付き合いして頂けませんd

「あー…ゴメン、無理無理。

私、こう見えて人妻だから。」

 

◆◆◆

「巫山戯るな、余所者が!」

「八坂様が、貴様等の様な者と、逢われる筈が無かろう!!」

「いや…だから、待ちなさいって!」

やあ、イッセーだぜ!

今、謎の?集団から襲撃を受けている真っ最中だぜ!!

どうして こうなったかと言えば…

 

≪≪≪

この5月の連休、俺と朱乃ちゃん、黒歌は京都に出向いた。

最終的な目的は、グリゴリが日本神話との同盟を結ぶ為なんだけど、アザゼル総督が言うには、日本神話ってのは基本的に鎖国主義というか傍観主義というか…で、連絡の取りようが無いんだとか。

それで先ずは、日本神話派閥の中でも、一番接触を図りやすいであろう、妖怪勢力と繋がりを得よう!…って事になったんだ。

それで今回、その遣いに選ばれたのが、日本出身の俺達3人。

それで妖怪勢力の拠点(ホーム)である京都入りした後、うどんを啜りながら、これからの予定を話し合う俺達。

いや、だって さっきも言ったけど、日本神話勢の連絡先とか、全く分からないんだもん。

こんな事なら この前、鬼灯さんに名刺の1つでも、貰っておくべきだったぜ。

 

「京都の八坂と言えば、狐の妖怪。

そして狐と言えば、お稲荷さんだにゃ!」

そんな中、黒歌の この一言。

少し安直だと思いながらも、他には何も浮かばなかったので、手掛かりの1つでもと思い、俺達は伏見稲荷大社へ。

頂上の社まで、此方も分かり易く魔力を発散しながら鳥居群を進んでいると、ん。途中から何者かが数人、俺達を見張ってるのに気付く。

 

「貴様等…京の者では無いな?何者だ!」

そして際奥の社前で、明らかに人間でない気配を放っている、宮司さんと巫女さんの集団に囲まれたのでした。

繰り返すけど今は5月の連休真っ最中。

しかし周りに沢山居た筈の、観光客の姿は全く消えている。

つまりは此処は既に、彼等が張った結界の中だって事だよね。

 

「裏京都の方々ですね。

いきなり挑発的に魔力を発散したのは、謝罪しましょう。

こうでもしないと、貴方達と接触出来なかったのでね。

俺達はグリゴリの遣いとして、この場に やって来た。

いきなりで申し訳無いが、京都の御大将、八坂殿の下へ、案内して貰えますか?」 

「巫山戯るな、この余所者が!」

「八坂様が、貴様等の様な者と、逢われる筈が無かろう!!」

「いや…だから、待ちなさいって!」

…そして、現在に至る。

って、ちょっと、いきなり襲い掛かる?

この問答無用なリアクション、鬼灯さんとは、偉く違い過ぎr

「雷よぉっ!!!!」

 

バチィッ!!

 

「「「「「「「あぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!?」」」」」」」

…って、えぇーーーーーっ?! 

此処で朱乃ちゃんによる、向こう以上に問答無用な一撃が!

宮司さん達は襤褸襤褸の真っ黒焦げ、巫女さん達も肝心な…ゲフンゲフン、大事な部分以外は着ている衣をズタズタに裂かれ、全員ノックダウンだよ!!

 

「あ~らあらあらあら?

一応は手加減をしたのですが…皆様、大丈夫ですか?

それでは改めて、もう一度窺いますが、貴方達の御大将である、八坂殿の下へ、私達を案内して戴けませんでしょうか…?(にっこり)」

「は…はひ…」

…って怖い!

笑顔が凄く怖いよ、朱乃ちゃん!

 

「あわわゎ…朱乃ママが、熊親父をシバいている時の顔になってるにゃ!?」

 

≫≫≫

「結界…とも、違いますわね。」

「…人の世とは隔離された、異空間です。」

稲荷大社のトンネルの様に続く鳥居群を降りている途中、少し体が違和感に包まれたけど、案内役の宮司さん曰わく、これは人の地から妖怪のテリトリーに移り入ったからだと言う。

街中に出てみると、確かに既に別世界。

建物や行き交う妖怪(ひと)の服装を見てみると、文明レベルが150年位、巻き戻った感が有る。

車なんか、全然走ってないし。

 

「車が無いからか、空気が美味しいにゃ?」

ん。それは俺も、感じた。

 

◆◆◆

「此方が、八坂様の御屋敷になります。」

「「おっおぉ~~~~~~~~!?」」

「あらあらあらあら?」

どうも、朱乃ですわ。

暫く歩き、行き着いた先は、立派な純和風の豪邸。

その迫力に、イッセー君も黒歌さんも、びっくりしています。

 

「~♪…!!」

そして門を潜った先の庭では、巫女服を着た小さな女の子が1人。

鞠で遊んでいたのだけど、私達に気付いたのか、

 

テトテトテト…

                  

「けとるー、其方の者達は、誰じゃ?

母上の 客人か?」

此方に走りながら やってきました。

                  

「はい、九重様、此方の方達は…」

そして私達を案内してくれた、宮司の"けとる"さんが、この九重ちゃんという、金髪獣耳もふ尻尾の巫女服美幼女さんに、何やら説明。

 

じぃ~~~~~~~~~~~~…

 

 

「「「???」」」

すると この子、私達…と言いますか、イッセー君の顔を数秒間凝視すると、

「はっ…?!」

何やら顔を赤くして、慌てたかの様に袴の埃をパンパンと払い落したり、パパパっと髪の毛や尻尾の乱れを整えたり。

…で、

「よ、ようこそ京都へ!

私は京都の御大将、八坂の娘の九重じゃ。

よろしくな、ぐりごりの者よ!」

元気良く、丁寧に挨拶してくれました。

 

「あらあらあらあら?♪」

「ん。凄く、分かり易くにゃ…」

「え?何かあったのか?」

「「…………………………………。」」

 




 
①女神スカアハ様の護衛にして弟子、セタンダ君(16)、轟沈。
 
②嫁さん達全員から恐れ尊敬されている、姑・朱璃さん。
 
③今更だけど、九重たんのアイキャッチは、やっぱりアウトだったと思う。
 
 
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