黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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もしもし、ポリスメン?
 



魔性の母娘!

「それじゃ、今後共、よろしく頼むぜ。」

「うむ。」

「此方こそ、よろしく。」

「……………。」

インドは天竺。

グリゴリ幹部数人を引き連れたアザゼルは、インド神話勢との同盟成立に成功していた。

 

「ふぅ…」

アザゼルは少し、焦っていた。

きっかけは、先日のイッセーと日本神話所属の鬼灯との邂逅である。

傍観主義の筈の日本神話が、あの、()()()()()()()()()()と噂の鬼灯を、恐らくは駒王町管理者の下に、OHANASHIの為に送り込む事態である。

余程、駒王町管理者(笑)であるリアス・グレモリーの残念管理…特に、自然死以外…例えば はぐれ悪魔が関与した等の、イレギュラーな死に於ける、"魂"の事後処理の在り方が、最早看過出来ないレベルに達したと、この堕天使総督は予測を立てていた。

 

「奴等からすれば、堕天使も"聖書"内の一派閥としか見てないからなぁ…」

アザゼル…グリゴリは、鬼灯の実力を知っていた。

それは あの武闘派コカビエルですら、一目置く程である。

鬼灯だけでなく、日本神話最高神の天照大神率いる、高天原の神々も、相当にヤヴァい。

特に素戔嗚尊と建御雷神の破壊力は、洒落にならない。

噂だけで、実在するかは眉唾だが、神々以外の人員で構成されていると云う、天照の私設戦闘集団…通称"幻影鬼師団"の存在も、無視は出来ない。

悪魔だけに目を点けていてくれるなら、まだ安心出来るが、彼等は そうは見ていない。

あくまでも"聖書"という、1つの神話形態としか、見られてないのである。

更に言えば、天界と悪魔は、日本神話を大した脅威としては、全く見ていない…寧ろ極東の島国に引き籠もったマイナー神話の認識で、舐めている感すら有る。

だからこそ今後、天界や悪魔勢が日本神話に対して『やっちまったなぁ!』となった時、その とばっちりを受けない為、『自分達は連中とは無関係』のスタンスを通用させるべく、他神話勢との連携を築くのに奔走していたのだった。

尤も他にも、他神話勢との同盟を急ぐ理由は有るのだが…

北欧神話とは幸いにも、主神であるオーディンとは以前からプライベートで、良好な仲としていた。

後日オーディンを日本に招聘して、"色々"と遊びに連れ回す約束で、改めて"個"から"組織"として、協力体制を得る事に成功。

次にシェムハザとバラキエルと、共に向かったのはギリシャ。

ギリシャ神話とも、主神ゼウスとは事前に、その日の来訪と会談の約束はしていた。

…が、いざ現地に出向くと、迎えてくれたのは彼の正妻であるヘラ。

そして戦女神アテナ。

ヘラが言うには、主神様は昨日から、反省を目的とした、専用の独房に入れらているとか。

 

「また浮気がバレたのですね。解ります。」

…とは、シェムハザの弁。

結果的には、ギリシャ勢とも滞り無く、同盟成立に成功。

この後も他神話とのラインを作るべく、幹部達を各神話勢力に使者として派遣し、自らはインドに飛んでいたのだった。

 

「さて…他の連中は、どうなっているかねぇ?」

シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーとの会談を無事に終え、アザゼルは部下の成功を案ずるのだった。

 

        

◆◆◆

「ΗΑΗΑΗΑΗΑΗΑΗΑΗΑΗΑ!!」

「がぁーっはっはっはっはっはっは!!」

………………………………………。

や…やっほー…、ミッテルトっスよー…。

ウチとコカビエル様はグリゴリの代表として、中国神話の同盟確約の為、崑崙山に出向いてたっス。

結果から言えば、会談の為に設けられた談話室…で無く、この屋外闘技台で、コカビエル様と中国神話の頭目、帝釈天との間で繰り広げられた壮絶な(かた)り合いの末、同盟は無事?成立したっス。

それで今、ボロボロな瓦礫の塊と化した闘技台の真ん中で、コカビエル様と帝釈天が ずでんと座り、肩を組み合い、解り合ったかの様に、豪快に笑い合っているっス。

ええ、両者顔面フルボッコで。

え?最初にコカビエル様と、対峙していた男っスか?

ああ、あの"古代中国最強と謂われた漢"とやらの魂を継ぐ者と自称する触角武将なら、ほら、あそこ…

「…………………。」

闘技台の角で、"犬神家"になってるっス。

 

※※※

 

〇 コカビエル

(0分9秒:垂直落下式プレーンバスター)

呂不奉先 ●

 

※※※

 

◆◆◆

「京に よう来たのぅ。グリゴリの。

我が、この京都を治めておる、八坂じゃ。

聞けば、ウチの者が、いきなり襲い掛かってきたとか。

済まぬかったの。勘弁してたもれや。」

「いや…それに関しては お互い様ですから…」

やあ!イッセーだぜ!

俺は今、京都を…と云うか、西日本の妖怪勢力を治めている八坂殿に、グリゴリと日本神話との同盟交渉の仲介を申し込む話し合い為の、席に着いている。

 

「ん?どうかしたのか?」

「いぇ…」

…ってゆーか!

この八坂殿ってか八坂さん!

屋敷で最初に挨拶してきた、九重の母親なんだけど、超絶美人!

金髪獣耳に、思わず もふりたくなる程な、ふかふかな9本の尻尾!

朱乃ちゃんを凌駕する程のダイナマイツな お身体を包んでいるのは、黒歌同様、その身体で着るのは間違っているとしか思えない和服(髑髏柄)!

しかも、これまた黒歌同様、わざととしか思えない位、胸元を大きく開かれている!

いえ、眼福ですけどね!

…で、無くて!目の やり場に困ってるんですけど!!

そして それを察した朱乃ちゃんと黒歌が、正面からは分からない様に、左右から俺の お尻をつねってて、凄く痛い!

さっきの九重の時の対応と、全然違う!

 

≪≪≪

そう…それは、屋敷の門の前で、九重が俺達に挨拶した時の事。

八坂さんの娘と名乗り、改めて俺達…てゆうか、朱乃ちゃんと黒歌を睨み付ける様に、じぃ~…っと見た後、

「おい、そこの おっぱい2人。

その脂肪の塊で、私の男を誑し込むのは止めて貰おうか。」

「は?」「え?」「にゃ?」

俺の腕を引っ張り隣に寄せ、組み付いての この一言である。

一応 言っておくが、九重とは今日が初対面だ。

そして流石の俺も、これが どういう意味かは解ったよ。

ん。この子、かーなーり、マセていらっしゃる!

 

「あ~らあらあらあら?♪」

「これは これは、手強いライバルの、出現だにゃ~♪」

しかし朱乃ちゃん達は、子供の言う事なのか、笑いながらの余裕な受け応え。

                  

≫≫≫

…だったのに!

さっきと全然、対応が違うんですけど!!?

 

「だって、それは、もぅ…」

「こっちは油断してたら、全部 持ってかれるにゃ!

御主人様のスケベっぷりは、よ~く理解してるにゃ!!」

あー、そうですか。

或る意味、凄く信頼されているみたいで…

 

≫≫≫

「それではグリゴリの…早速じゃが…」

「あ、あの…その前に…」

「……………♪」

いよいよ話し合いがスタート。

八坂さんが話を進めようとしたのだけど、俺的には、今の状況で1つだけ突っ込みたい事柄が有った。

この話し合いの席は、洋式な応接間なんかでなく、板の間で数人が囲炉裏を囲んでの形だ。

妖怪側は八坂さんと、山伏スタイルの天狗さんが1人。

そして感じとれる雰囲気からして、妖怪でなく人間の、白頭巾を被った兵曹みたいな格好の ごっついオッサンが1人。

そして同じく人間…甲冑に身を包んだ、俺と年が変わらなく見える、少年が1人。

何だか知らないけど、俺の方を思いっ切り睨んでいる。

俺、何かしたの?

そして此方側は、俺と その両隣に朱乃ちゃんと黒歌が座っている。

 

「…♪♪」

そして何故か、座っている俺の脚の上に、九重が御機嫌顔で、ちょこんと座っているんですけど??!

どうして誰も、突っ込まないんだよ!?

 

「ふむ…九重が此処迄、他人に懐くのは珍しいからの…」

 

▼▼▼

「…では此方も、改めて名乗らせて貰う。

俺はグリゴリ幹部が1人、コカビエル配下の実動部隊の1つ…通称『アイザック隊』を纏めている…兵藤一誠だ。」

 

バサァッ…

 

「おぉっ!?」

「何と…?!」

「うぉおっ!?」

「「…!!?」」

脚の上に座っていた九重をどかせ、隣に座らせた後、名乗ると同時に背中に黒い翼を広げるイッセーを見て、驚きと感嘆の表情を見せる八坂達。

 

「まさか、噂に名高いアイザックが、実は堕天使、しかも上級の…だったとはな…」

"グリゴリの嗤う黒仮面"の名は、日本神話勢にも それなりに知れ渡っていた様で、同席していた天狗が、顎髭を撫でながら興味深そうに呟いた。

しかし、イッセーの自己紹介は、それで終わった訳で無い。

 

「そして…ブーステッド・ギア!!」

『Boost!!』

「「「「な…何ぃっ?!!」」」」

「…???」

「そして…今代の、赤龍帝だ。」

左腕に宿る、赤き龍の神器を発動させ、自らの正体を明かすイッセー。

これには、赤龍帝なる存在が如何程なのか、まだ理解出来ていない九重以外が、更なる驚愕の表情を見せた。

                  

≫≫≫

「…成る程のぅ。

神器持ちの堕天使…最初は赤龍帝だった人間から、その神器を抜き取ったと思っていたが…いや、疑って済まぬかったの。

それにしても…天使共、本当に手段を選ばなくなってきておる。」

その後、何故 堕天使であるイッセーが、神器を持っているかの説明に、八坂が納得と共に、天界…天使達に対して、以前から持ち合わせていた不信感を更に募らせる。

 

「さて…」

そして いよいよ、本題である、日本神話勢力との会談。

その仲介を取りなすか否かの話に入った。

                 

「実は、天照は お主達が、近日中に我にコンタクトを取ろうとした事は、読んでおったみたいでな。」

「え…?」

「そりゃあ、お主達堕天使が、世界各地の神話勢力と同盟を結んでいるのは、知っておるからの。」

「す…水面下で動いていたのに…」

「それが最終的に、日本との同盟を結ぶ為の足掛かりにしていると考えるのは、容易い…らしいぞぇ?」

「そ、それじゃ…」

既に日本神話のトップである天照大神が、グリゴリの動向をお見通し、八坂との接触も予測していたという事実に、イッセーも驚きの顔を隠せない。

 

「うむ、赤龍帝よ。

そういう訳で、天照から預かった言伝を言い渡そう。

日本神話(われわれ)と交渉事を望むならば、先ずは其方達の下らぬ内輪揉め、小競り合いを片付ける事。話は、その後だ。』…だそうじゃ。」

 

◆◆◆

 

ちゃぽん…

 

…やあ、イッセーだ。

あの話し合いの後、俺達は食事で人間界に。

八坂さん御薦めの湯豆腐専門店で御馳走なった後(凄く美味しかった)、再び屋敷に戻り、俺は今、屋敷仕えの中居(メイド)の狐さんに案内された大浴場で1人、今回の会談での結果を思い直していた。

 

「まあ…全く脈が無いって訳じゃないと確認出来ただけ、良しとするかな?」

天照大神との対話は、とりあえずは"聖書"として、3大勢力を纏めてから…と云う事になった。

全くの対話拒否って訳じゃないから、幾分はマシなんだけど…

ん~…にしても、纏める…ねぇ?

選択肢としては、本当に殲滅も視野に入れての武力統一か、或いは和平を結ぶか…

いや、少なくとも、後者は有り得ない。

それ程に3勢力は互いに殺し、殺され過ぎている。

今更 各勢力のトップが和平を唱えてみた処で、下の者は大反発必至だろう。

俺個人としても、悪魔側は兎も角、天界と和平なんて絶対に考えられない。

あくまでも私情だが、天使共…アイツ等は殺り過ぎている。

 

≪≪≪

妖怪(われわれ)としては、一足先に其方達と協力体制を取るのも、構わないがの?」

それから、あの後に付け加えた八坂さんの言葉。

聞けば、日本神話という勢力は天照大神が束ねる天高原が、一応の代表を務める形で有り、妖怪勢力や鬼灯さんが所属している地獄なんかも別に配下とかでなく、"日本神話"という巨大な組織を形成している、派閥の1つに過ぎないとか。

つまりは仲違いしてないだけで、"聖書"に於ける天使や堕天使、悪魔と近い関係なのかな?

そして そんな中、八坂さんとしては、元・日本妖怪である黒歌を、はぐれ悪魔として抹殺するでなく、悪魔による被害者として保護している点で、グリゴリに対しては それなりに柔軟な姿勢を見せてくれていた。

この辺りは明日、改めて話し合う事に。

俺も今回は、組織の代表として出向いているから、何かしらの結果を…日本妖怪とは、協力体制を確約したい処だぜ。

 

ガラッ…

 

「イッセー!

背中、流してやるぞ!!」

「な?なぁああっ???!」

…そんな風に考えていた時、いきなり ぺたんこ・つんつるりんな金髪美幼女が、タオルも巻かずに生まれた儘な姿で元気良く、浴室に入ってきた!!

 




 
作中の京都弁に対する指摘、突っ込み等は堪忍して下さい。
 
 
Next:『おまわりさん、コイツです』(仮)
 
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