新展開!
「あ、おはようございます。」
「おはようございますぅ。」
5月の大型連休も終わり、また学校に会社等、普段の日常が始まる駒王町。
朝早く、教会の門から出てくるのは、両手に『もえるゴミ』と書かれた大きなビニール袋を持ち、約50㍍先のゴミ捨て場に向かう牧師服の男。
長いストレートの黒髪に某・聖なる お兄さんの様な髭を生やした その顔は、端から見れば、人を数10人は殺めているかの様な、極悪人面。
そんな男が、やはりゴミを出しに来た近所の御婦人と、爽やかに朝の挨拶を交わしている。
駒王教会在住のドイツ人牧師、オットー・スコルツェニー。
その正体はグリゴリ幹部、コカビエルである。
≫≫≫
「よーし、渡って善いよー。」
「「「はーい♪」」」
「「おじちゃん、行ってきまーす。」」
「おぅ、しっかり勉強してこいよ。」
そして約1時間後。
教会の前の道は、小学校の通学路。
『交通安全』と書かれた襷を肩に掛けて横断歩道の前に立ち、小さな旗を振って車を止めた後に、小学生達に歩道を渡る様、笑顔で促す凶悪犯面の牧師。
そう、コカビエルである。
グリゴリの任務として駒王町入りした後、教会の修道士やシスター達を纏める牧師として、御近所の皆さんとのコミュニケーションに積極的に努めていたコカビエル。
その甲斐も有り、最初こそ その顔立ち故に多少なり恐がれはしたが、今では"顔は怖いけど、親切で優しい外国人の牧師さん"と云うキャラが、近所の婦人達から子供達迄、完全に定着していた。
『確かに見た目は超・極悪人で、鬼畜特訓無茶振りするブラック上司だったり、業務時間中に
…とは、彼の弟子の弁。
「よーし、ミッたん(はぁと)も、行ってらっしゃーい♪」
「そ、その呼び方は、止めてっスーー!!」
因みに、ミッテルトの"父親"という『設定』である。
"有名人"である筈の彼が、この町で こんなにも堂々としていられるのも、キャラ作りを兼ねた変装の御陰…等では無く、偏に町の管理者を自称する者の、怠慢の賜なのだろう。
▼▼▼
「いや~、あの人達が学校来ないと、静かだなぁ。
…もう、二度と来なくて良いのに。」
「アンタ、刺されるわよ?」
場所は変わり、駒王学園。
ゴールデンウイーク前から、"部活の合宿"と称して学園を休んでいる、リアス・グレモリーと その眷属達。
連休が明けた今日も、普段なら登校と同時に彼女達のファンで賑わう時間帯なのだが、どうやら彼女達は本日も学校を休んでいるのか、歓声の1つも起きていない。
2階の教室、窓際の席から生徒達が行き交う中庭を見据えながらの、彼女達には欠片の興味も持っていない金髪碧眼の男子生徒の呟きに、クラスメートである眼鏡の女子生徒が、ジト目で やや突っ込み気味に対応していた。
「あ、分かった。
アンタ、この儘 木場君が消えて、女の子の人気、全部かっ浚おうなんて、思っt
「いません。」
◆◆◆
ガラッ…
「「たたた、大変だーっ!!!!」」
どうも、アイザックことイッセーです。
1時限目が終わった後の休み時間、何やら『大変』だと、大変態2人…松田元浜が、血相を変えて、教室に入ってきました。
「皆、大変だ!」
「グレモリー先輩と小猫ちゃん、学校辞めたんだってよ!!」
「「「「「「「「「「「「「「な、何だってーーー!!!」」」」」」」」」」」」」」
この言葉にクラス内の殆ど、男女問わずに思わず席から立ち上がっての驚愕の雄叫び。
ついでに言えば、やはりリアス・グレモリーの眷属である、木場も退学したとか。
これを聞いたクラスの女子の殆ど…正確に言えば、レイナちゃんと桐生を除いた女子全員が、まるで この世の終わりかの様な、絶望的な悲鳴を上げていた。
「ふぅーん?」
「あ、アンタ、本当に興味無いのね…」
桐生が話し掛けてくるけど、俺は本当に、学園アイドルなんかには興味が無いから、そんなに騒ぐ心算は無い。
≫≫≫
『いや、朝、先生から話を聞かされて、教室内大パニックだったっスよ。』
昼休み、ケータイで黒歌の妹…塔城小猫ちゃんのクラスメートであるミッテちゃんに連絡を入れてみると、どうやら本当の事らしい。
更に言えば、ミッテちゃんのクラスメートの もう1人のグレモリー眷属…新学期早々に休学していた者が居たそうだが、そいつも今日、一緒に退学したらしい。
学園の人気者達が一斉に退学した報せで、既に校内は その噂で持ち切りだ。
しかし俺的には、学園アイドルでなく、駒王町管理者(笑)である、グレモリー眷属が揃って学園から姿を消す…
何となく察しは付いているけど、此方の方の意味で気に掛かり、
「放課後、また あの人達に聞いてみますかね…」
何事が有ったのか、確認する事に決めたのだった。
▼▼▼
「どうも。お邪魔しています。」
「て…テメェ…!?」
「ま…また、貴方ですか…?」
放課後、生徒会長である支取蒼那ことソーナ・シトリー以下の生徒会役員が生徒会執行部室に入ってみると、その室内にて、グリゴリの紋章が刻まれたスーツに身を包んだ、黒い仮面を被った赤髪の男が待っていた。
「今日は…何の用で?」
生徒会唯一の男子生徒が、明ら様に嫌そうな顔を見せる隣で、眼鏡を掛けたスレンダー美少女が警戒しながらも、このアポ無し来訪者に、此の場に来た理由を尋ねる。
「いや、先日の質問の続きになりますか?
聞けば、リアス・グレモリーと その眷属が、この学園を去ったそうで。
それで、その理由を…ってね。
あぁ、これ…情報の対価としてウチの奥さん(…の1人)に作って貰った、宇治抹茶と小倉餡のケーキでs
「リアス様は昨日、ライザー・フェニックス様との婚約破棄を賭けたレーティング・ゲームに挑んだのですが…」
「結果は惨敗、正式に婚約が成立。」
「それに伴い、学校も辞める事に。」
「今後はグレモリー家の者として、木場君や塔城さん達も一緒に、冥界で活動する事になったのです。」
「由来ー!花戒ー!!巡ー!草下ーっ!?」
先日のケーキが余程 好評だったのか、女子生徒達が目の前に差し出されたスィーツに あっさり釣られ、情報暴露。
「尚、駒王町の管理は、我々シトリー眷属が引き継ぐ事になりました。」
「か…会長ぉーーーーーっ!??」
◆◆◆
「…だ、そうだ。」
「…………………………………。」
ちぃーす!ミッテっスよ~♪
生徒会長から聞いた、グレモリー眷属の退学の真相をイッセーから聞かされたっス。
ゲームはライザー・フェニックスとやらが、圧倒的戦力差を誇示しての完勝だとか。
まぁ、知ってるかぎりでは、リアス・グレモリーの眷属って、塔城と2年の金髪男と もう1人、ウチのクラスの幽霊生徒の3人しか居ないそうっスから、それで勝とうと思っているのが どうかしてるっス。
「う~む。今度は"あの"、ソーナ・シトリーが町全体を管理するのか…
今後は町での目立った活動は、控えんといかんかもなぁ…」
そして、町の管理者が変わった事で、何やら真剣に考えているのはコカビエル様。
「師匠、あの会長さんて、そんなに有名なんですか?
俺はリアス・グレモリー同様に、魔王の身内って程度しか、知らないんですけど?」
「あぁ。あの小娘は、バストに届けるべき養分ですら、脳味噌に注ぎ込んだ…
"乳の成長を犠牲に、溢れる知性を得た"って評判の才女だからな。」
「「あ~…」」
ちょ…イッセーとレイナ姉?
何、納得してるんスか?
「…………………………。」
そして こんな会話の中、暗い表情をしているのが約1名。
「白音…」
黒歌っス。
「ライザー・フェニックスは悪魔社会でも、強さも そうだけど、同時にスケベでも有名だったにゃ…
眷属も皆、可愛い女の子だけで固めている程に…」
「はぁあ?!ハーレムかよ!?」
イッセー…お前が言うなっス。
「どうしよう…あのスケベ男の事だから "
成る程。
妹が その、スケベ男とやらに手籠めにされないか、心配な訳っスね。
「白音…白音ぇ…ぅ…うわぁぁぅ…」
「黒歌…」
塔城がスケベ男に無理矢理にΧΧΧΧされる場面が脳裏に浮かんだのか、ついに泣き出した黒歌。
イッセーも堪らず、心配そうに声を掛けたっス。
「御主人様…私、どうしたら良いにゃ?」
「……………。」
「御主人様、お願い!
白音を…妹を助けて…
私、何でもするにゃ!!」
「黒歌…」
そしてイッセーに、塔城救出を懇願。
でもイッセーは、難しい表情を浮かべてるっス。
「黒歌…仮に堕天使である俺が、冥界の貴族の城に乗り込めば、それだけで堕天使と悪魔…勢力間での大問題になる。
お前の気持ちは…解るが、これは悪魔社会…の貴族達の御家事情だ。
部外者が簡単に、顔を出s(バキィッ!)ぐはぁっ?!」
「「「「「「きゃああぁっ!!?」」」」」」
そして黒歌に、グリゴリに身を置く者としての事情を話してる途中、イッセーの右頬に、横から拳が突き刺さり、イッセーは壁際迄吹っ飛ばされたっス!
それを見たウチ達は、思わず悲鳴を上げてしまったっス。
「し、師匠…?」
「………………。」
そう、イッセーを殴り飛ばしたのはコカビエル様。
ツカツカツカ…ぐぃっ!
「んぐっ!?」
そして無言で、倒れているイッセーの前に歩み立ち、胸ぐらを掴んで無理矢理に立たせると、
ごんっ!!
「がっ…?!」
「「きゃああああぁっ?!」」
「「「い、イッセー君?」
さん?」
様?!」
鼻っ柱目掛けて、強烈なヘッドバッドの一撃!!
またもや倒れ込むイッセー。
「師匠…一体…?」
いきなりなバイオレンス展開に、鼻を押さえながら呆然とするイッセー(…と、ウチ達)に、コカビエル様は腰を落とし、身を屈めて あの凶悪犯顔をイッセーの顔前に近付けると、
「テッメー、何 自分の
「師匠?」
ごん…っ!!
そして怒声と共に、今度は額への、再びのヘッドバッド!
「がぁあっ?!」
見るからに痛そうな一連の攻撃に、のた打ち回るイッセー。
ぐい…
そんなイッセーをまた無理矢理に起こすと、コカビエル様は その頭を肩に乗せ、勢い良く縦向きに持ち抱え上げたっス!!!!
「「だ、駄目ぇ!その技はっ?!!」」
その体勢を見て、今から繰り出す技を知っているのか、朱乃んと黒歌が叫び声を上げr…って、その技はマジに危険っス!
崑崙での同盟交渉の際に、あの触角武将を瞬殺で犬神家にした、超危険極まりない大技っス!!
「本当は今直ぐにでも、悪魔領に殴り込みたいんだろうが!
責任は全部この俺が持ってやるから、とっとと素直に行ってこいや!バカ弟子!!」
どごぉっ!!
「「「「い、いやぁあーっ?!」」」」
「イッセー!」
「御主人様?」
「あ、主ぃ?!」
またもやウチ達が叫ぶ中、コカビエル様はイッセーの脳天を、真っ直ぐ真下に床に…でなく、前方に投げ捨てる様に、背中から床に叩き衝けたっス。
「ぐぅ…」
それでも強力な一撃には変わりなく、イッセーは完全にダウン。
「イッセー、もう一度言うぞ。
全ての責任は、俺が持つ。
嫁を泣かす暇が有るなら、ぐだぐだ悩んでないで、さっさと解決してこい。
…アーシア、このバカの回復を頼む。」
「は…はい!」
パタン…
それだけ言うと、コカビエル様はリビングから出て行ったっス。
≫≫≫
「だ…大丈夫ですか…イッセーさん?」
「な…何とか…
何だかんだで、師匠も手加減は してくれてる…」
今、コカビエル様の攻撃に、グロッキー状態なイッセーを、アーシアが回復しているっス。
「なぁ、皆…聞いておきたいけど…」
そして喋れる位には回復したのか、ずっと黙っていたイッセーが口を開き、
「…師匠は ああ言ってくれたけど、そんな簡単に済む問題じゃあないんだ。
もし…もしも俺がグリゴリを…冥界を逐われる様になってm
「私は ずっと、御主人様に付いて行くにゃ!」
「イッセー様、それは愚問です。」
「お、同じくですぅ!」
「私は別に、グリゴリに忠義を唱えた覚えは無い。
私が忠誠を誓った主は あくまでもイッセー、貴方自身だ。」
イッセーが質問を言い終える前に、黒歌達が それに応えたっス。
「責任、取ってくれるって言ったよね?」
「いざと云う時は、皆さんで八坂さんの処に押し掛けてしまいましょう♪」
そしてレイナ姉と朱乃んも、皆に同調。
…って、朱乃ん?
「…って言うか~、塔城とは、駅前のスィーツ店をハシゴする約束をしてたんっスよね~?
てっきり この連休中に、町中に繰り出すかと思ってたんスけど…
すっぽかしは許さないっス。
罰として皆の分、全部 塔城に奢らせてやるっス。
だからイッセー、何としてでもアイツを、ウチ達の前に引っ張り出して来るっスよ。」
「ミッテちゃん…皆…」
そしてウチも。
それに向こうはウチの正体、全然気付いてないから…というも要因の1つだけど、一応は、クラスメートとしては普通に仲良くしてるし、何よりも黒歌の妹っスからね。
助けられるなら、助けてあげたいっスよ。
▼▼▼
「くくく…良い面になったじゃねーか?」
「師匠…?」
教会内のイッセーの私室。
あの後、身支度として今迄 一度も袖を通した事の無い、何の装飾も一切無い、真っ白な戦闘衣をイッセーが着込む中、部屋に入ってきたのはコカビエル。
「今、冥界のグレモリー邸で、グレモリーとフェニックスの、婚約パーティーが行われているらしい。
当然、主役の2人や、その眷属達も、出席している。」
「師匠…」
「急げよ?
黒歌の妹の身が…貞操が心配ならな。
あのフェニックスの小僧、パーティーが終われば、グレモリーの小娘共々、その儘ベッドに直行だろうからな?」
「ぅ…」
「あ~、それから、冥界に入ったら、悪魔領に乗り込む前に、バラキーん家…ヤツの嫁を訪ねろ。
既に、連絡は入れてある。」
「え?朱璃さん…に?」
▼▼▼
パリィン…
「「「「「「!!?」」」」」」
冥界、悪魔領に在るグレモリー邸。
グレモリー次期当主であるリアス・グレモリーと その婿であるライザー・フェニックスとの婚約披露パーティー会場。
「な…何者だ?」
「あの姿、まさか…?」
その会場の外、屋外テラスからガラス扉を破り、その者は宴の場に姿を見せた。
「その赤い鎧…まさか、貴様っ!?」
「…………………………。」
…まるでドラゴンを象ったかの様な、真紅の全身鎧に身を包んで。
※今回の おさらい※
①コカビー師匠は広島ファン
②念の為…作者はソーたん、結構好きですよ?
③今回のケーキは、八坂さん作
④〇 コカビエル
(1分7秒:高角度ボディスラム)
イッセー ●
⑤え?らきすけ?
今回は無いですけど?(笑)
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