黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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シリアス?
 



悪魔の羽

ざわざわざわざわざわざわざわざわ…

 

「黒歌だと?」

「あのS級はぐれ悪魔の…」

「あの小娘の…姉の…」

「赤龍帝は、S級はぐれ悪魔と繋がっていたのか!」

白音が"黒歌"という名前を出した途端、それを聞いた、赤く光る障壁の外側の、貴族悪魔達が ざわつき始めた。

        

「ぐがあぁぁぁぁ…!?」

『何故、そう思ったのかな?』

「あなたは私の事を、小猫でなく()()と呼びました。

私の本当の名前を知っている人物は、限られていますから。」

 

◆◆◆

イッセーだ。

ん、ん。思った以上に…グレモリーさんの眷属とは思えない位に、頭の回転の速い子だな。

『白音』って一言だけで、俺の後ろに居る、黒歌の存在に気付いたか。

尤も俺も、安易に そっちの名前で呼んだのは、少し迂闊過ぎたかなぁ。

 

「ぐぁああぁ…!!」

『…正解だ。

分かったなら話は早い。

来て…くれるね?』

でも それなら それで、ストレートに話すだけ。

 

「ぐぉぬおおぇぁ…?!」

「今更…姉様が、私に何の用事が…

力に溺れ、主だった悪魔(ひと)を殺害し、私を置いて1人で逃げた姉様が、今更!」

『白音ちゃん…?』

「あなたも気易く、その名前で呼ばないで下さい!

今の私は小猫…リアス・グレモリー様の戦車、塔城小猫です!!」

…!!

あぁ、そうか。

この子は真実を知らない、知らされていないのだったか。

それで今の この子は、少なからず黒歌(あね)の事を、憎んでいる。

この反応は当然か。

ちぃっ!我ながら、考えが無さ過ぎた!

先ずは そっちの誤解を解く方向から、話していかないとね。

 

『…では、塔城小猫。

キミは本当に、黒k

「ぬわあぁあああぁ…」

『…って、さっきからウザイ!!』

 

どごぉっ!!

 

「ぎゃぽーーーーーーーーーーーっ!!?」

『苦しむにしても、もう少し静かに苦しめないのか?!!』

とりあえず、さっきから苦しそうに のた打ち回りながら盛大に呻き声を上げていた、ライザー・フェニックスの腹部辺りに蹴りを入れて黙らせてみた。

 

どす!…どすどすどすどすっ!!

 

『次ウザかったら、今度は心臓と脳味噌に直接、光爪(コレ)ぶっ込むぞ!!』

「ヒッ…!?」

そして光の龍爪をヤツの目の前の床に突き刺して、静かに苦しんで貰う様に、さながら()の付く自由業な人の如くな、ドスの効いた口調でONEGAI。

すると彼は、それを聞き入れてくれたみたく、黙ってくれた。

まぁ流石にフェニックスと云えども、心臓や脳に"光"の一撃を直撃されたら一発でアウトだろうからね。

 

『…さ・て、それでは改めて塔城小猫。

キミは本当に、黒歌が力に呑まれ、自我を失って暴走したと、思っているのかい?』

「え?」

『確かに、黒歌がキミを置き去りにして逃げたのは、紛れも無い事実だ。

それは本人も悔やんでいるよ。

キミがアイツを恨んでいるのも、ある意味仕方無い事だ。

しかしアイツは、今回の御家騒動の巻き添えな形でキミが、あのライザー・フェニックスの毒牙に掛かるのを救い出して欲しいと、言ってきたんだぜ?』

そうだ。

これも、本当の事だ。

黒歌は駒王町(きょうかい)に住む様になってからは、この子と接触しようとすれば、出来る機会は何度も有った。

 

≫≫≫

『…しかし、今 自分が姿を見せても、キミに迷惑が掛かる、困らせるだけだ…って言ってね。

力に呑まれた者が、そんな発想に至れると思うかい?』

「…………………………………………。」

当然な話だが、駒王町云々…の辺りは話していない。

 

『キミは、そんな自分の姉さんよりも、悪魔共の戯言の方を信じるのかい?』

「……………。」

「戯言とは何だ!!?」

『む…?』「??」

此処で、1人の悪魔が会話に乱入してきた。

 

『ヤツは確か…』

ん。知っている顔だ。

俺がグリゴリに正式加入するに至った際、シェムハザ様より教わった、聖書勢力内の三竦みの事情。

当然その時、悪魔社会についても、大王バアルや大公アガレス、グレモリーにシトリー、アスタロト等、有力な悪魔貴族の事も、写真付きのリストを見せられ、色々と教えられていた。

そして今、口を挟んできた悪魔は悪魔社会にて、()()()()()有力な貴族である、ナベリウス家の現当主だ。

即ち、直接の"主"では無いにしろ、嘗て黒歌が仕えていた『家』のトップ。

 

『ふっ…やけに"戯言"って言葉に、敏感に喰い憑くな?ツォネ・ナベリウス!

何か、"戯言"とやらに、心当たりでも有るのかな?』

「な…?べ、別に、私は…その娘の姉が、暴走した事等とわ…っ、はっ!?」

『お前、実はチョロいだろ?』

 

≫≫≫

…黒歌本人曰わく、彼女が主を殺し、はぐれとして冥界から逃げたのは、全ては妹を守る為。

元々『自分を眷属とする事で、妹の生活や身の安全を保証する』という"契約"を、その主が反故にしようとしたからだそうだ。

悪魔に転生した黒歌の能力(チカラ)を見て、同族である白音ちゃんも、己が眷属に…と、無理矢理に悪魔に、転生させようとしたから。

完全な契約違反。

これは契約絶対至上主義な悪魔からすれば、由々しき問題な筈。

しかし このナベリウス家当主は、その事実を知っていながら、『家』のメンツの為に「転生悪魔が力に溺れて主を殺害、逃亡」とか、でっち上げたのだろう。

 

≫≫≫

「な…ななな…?

そそそそ…そんな事わわゎ…」

『どうした?声が上擦ってるぜ?

ふっ!何が悪魔は契約絶対だ!

笑わせるな!!

はぐれ悪魔を単に はぐれとして、その原因等は追究せず、一方的に断罪!

例え主に非が有ったとしても、その主には一切の咎は無し!!

挙げ句、残された妹を、「この者も危険だから」とか、でっち上げの事実に従って処分しようとする!

そして最終的には、結局は悪魔に転生させたか?

所属はグレモリー家となったが、悪魔全体からすれば、ネコショウの転生悪魔の数自体は±0(プラマイゼロ)で済み、後は逃亡者を始末するだけ…か?

黒歌だけじゃない!

先日、バアル家より出奔したバイサーにしても、家族達を人質に捕った挙げ句、『身内に手をださない』を条件に半ば無理矢理に転生させるも、一族を皆殺しにされたりしら、キレて当然な話だ!!』

「なっ…?」

黒歌の件に続き、バイサーの話を出すと、ナベリウス家当主だけでなく、別の悪魔も反応した。

知らない顔だが、恐らくはバアル家の者。

当主では無いが、バイサーの事情…内情を知っている者だろう。

 

「き、貴様…」

『ん?「何故それを知っている?」って顔をしてるな?

簡単な話だ。

黒歌もバイサーも、今は俺の(なかま)だからな!』

はい、"嫁(よめ)"と書いて、"なかま"と読みます!

 

「で、デタラメだ!」

「そ、そうだ赤龍帝よ!

お前と はぐれ悪魔が、どのような経緯で知り合えたかは知らぬが、お前は はぐれ如きの戯れ言を信じるのか?」

未だ取り繕おうと、2人の貴族が何やら喚いているが、当然でしょ?

"()()()()()()()()()()()"…師匠と総督の…俺にとっては、ハーレムの大先輩の、教えだよ。

 

『…当然だ。

貴様等の様に、欲望の為なら手段を選ばない、悪魔にとっては絶対な筈の"契約"を何食わぬ顔で反故にする、貴様等 貴族(あくま)よりかはな!!』

「な…何を知った様な事を!」

「き、貴様の様な者に、悪魔(われわれ)の何が、分かると言うのだ!?」

大衆の面前での、黒歌とバイサーの出奔の真実の暴露。

それでも此の場には確固たる証拠が無いからか、必死に否定する、バアル家のモブと、ナベリウス家当主。

 

ざわざわざわざわざわざわざわざわ…

 

「御二方、これは一体…?」

「さ、サーゼクス様?」

「いや、それは…」

ざわめき立つ会場の中、やはり魔王だったか…の紅髪の男、サーゼクス・ルシファーが、2人の貴族に問い掛ける。

シェムハザ様曰わく、「今の魔王より後の世代の悪魔は、丁寧に契約を守る」と云う、本当に契約絶対至上主義らしく、魔王からすれば、これは如何に貴族と云えども看過出来ない事柄な様だ。

 

「契約を破るのも問題だが…だとすれば貴方方は、魔王である私達に、虚偽の報告をしていた事になる。」

「い、いや、その様な事は、決して!」

「ま、魔王様は、我々よりも この様な賊の言葉の方を、信用すると仰られるか?!」

「ふむ…確かに。

それも、そうだね。」

必死に弁解する貴族達に対して そう言って、俺に顔を向ける魔王。

 

「…赤龍帝よ。

今キミが話した2人の はぐれ悪魔の件、此の場で証明する事は出来るかな?」

『あくまでも、身内を信じるか?

いや、信じたいんだよな。』

「………………………………………。」

恐らくは この魔王は既に、俺の言っている事が事実だと察しているのだろうが、しかし それでも立場上、"信じない"でなく"認めない"のスタンスを取らざる得ないのだろう。

…ならば!

 

バサァッ…

 

「「「「「「「!!!??」」」」」」」

「な、何だと…」

「それは…?」

「ば、馬鹿な!?」

「ま、まさか…」

背中の羽を広げると同時に、会場内、魔王を含む全ての悪魔が、驚きの声を上げる。

 

『黒歌とバイサーの潔白を、今この場で証明する事は出来ないが、貴様等悪魔共が、如何に屑野郎(クソ)なのかの証明なら出来るぜ?

この俺の、この背中の羽がな!!』

それもそうだ。

俺が今 広げた羽は3対6枚の堕天使の黒い翼でなく、かと言って、鎧のオプションである、ドラゴンの飛翼でもない。

 

「それは、悪魔の…羽?」

「悪魔…だと?」

そう…俺が背中から出現させたのは、2対4枚…蝙蝠の其れな如くな、悪魔の羽だったのだから。

 

 




 
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