黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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あらすじ、書き直しました。
 
2話のイッセー達の年齢、修正しました。
 



初めての…

「う…ぅわぁあああああああぁっ…!!!!」

「イッ…イッセー君、落ち着いて!」

「大丈夫!大丈夫だから!!…ね?」

「ウチ等が居るっス!怖くないっスよ!」

 

≪≪≪

…時は少し、遡る。

イッセーはグリゴリの戦士として、幹部コカビエル達と共に、天界勢による、地上の堕天使施設強襲の救援に向かったの事。

 

「…でぇゃっ!」

堕天使としての能力…造り出した光の槍で、天界所属の悪魔祓い(エクソシスト)の人間を貫こうとしたイッセー。

 

スカッ…

 

「………!」

しかしながら その斬撃は一瞬の躊躇により空を斬り、反撃の隙を与えてしまう。

堕天使として、初めての出撃。

堕天使として、初めての実戦。

それは遊び等で無い、リアルな殺し合い。

それは如何に訓練を積み、その過程で出撃の許可を得られる程の実力を身に付けたとしても、数ヶ月前迄は平和な暮らしに慣れ親しんでいた少年にとっては、重過ぎる十字架だった。

 

カィィン…ズバァッ!

 

「あ、あんた、何やってるんすかぁっ!?」

初陣による緊張の余りに攻撃を外し、直後に反撃とばかり、硬直したイッセーに向けられた光の刃。

それを受け止め、その刃を振るったエクソシストを逆に斬り棄てたのは、この場に到着した時 既に、瀕死の重傷を負っており、イッセーに回復のポーションによる治療を受けた、白髪の少年だった。

 

「済まない…借りが出来たな。…名は?」

「フリード。フリード・セルゼンっすよ。」

「フリード…か。覚えておく。」

この遣り取りの後、2人は離れ、それぞれ視界に映った敵に向かい、戦闘に入る。

イッセーも先程の攻防でスイッチが切り替わったのか、

「せやぁっ!」

 

ズガァッ!

 

向かっていたエクソシストの喉元に、光の槍を正面から突き刺し、その儘 横凪ぎに斬り割く。

 

ドサァッ!

 

「ぃ…ぇ…ヒュー…ヒュー…」

「あ…ぁあ…」

この攻撃で、仰向けに倒れたエクソシスト。

喉をやられ、呼吸も儘ならぬ状態で何かを喋ろうとしながら、何かを訴えかけるかの様に…怨みを込めるかの様に大きく見開いた目をイッセーに向けて、この敵は息絶えた。

 

「あ…ああぁ…」

それを見て、イッセーは狼狽える。

人が死に絶える様を、初めて目の当たりにしたイッセー。

しかも、それは自身が手に掛けた事による物。

この場は生死を賭ける戦場。

殺らなければ、己が殺られる。

そんな状況で在ったとしても、結果、事実は変わらない。

イッセーは 今…生まれて初めて、人を…殺した。

 

「う…ぅわぁあああああああぁ~~っ!!」

殺人。

人殺し。

その初めて のし掛かる重圧(プレッシャー)に耐えきれず、思わず雄叫びの様な悲鳴を上げてしまうイッセー。

 

「「「「「「「!!!!?」」」」」」」

その大音量は その場の者、敵味方問わず注目を集めてしまう。

 

ダダッ…

 

「死ね!堕天使!!」

そんなイッセーに対し、エクソシストの1人が、「隙有り!」…とばかり背後から斬り掛かるが、

「うぁ…く、来るなぁーーーーー!!!!」

『Boost!!』

「え゙?!」

 

ズバァッ!!

 

「あ…あぁ…」

イッセーは左腕に、自身に宿る神器(セイクリッド・ギア)…【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】を展開。

迫る敵に対する その龍の爪の一閃が、敵の体と首を分断した。

 

ブッシュゥーーーーーーーーーーーッ!!!!

 

飛ばされた首が床に転げ落ち、残された体の首の付け根から、噴水の様に夥しい程の血が噴き出し、それを茫然自失な儘に全身に浴びるイッセー。

纏っている戦闘服が黒地だから余り目立たぬが、仮に これが白い服だったら その返り血で全身真紅に染まっていただろう。

 

「な…あれは神器?」

「神器持ちの、堕天使…だと!?」

その惨殺っぷり、そして その神器に、ますますエクソシスト達の注目を集めてしまうイッセー。

そして その働き振りは、種族的には只の人間でしかない、エクソシスト達の士気を下げ、恐怖を与えるには十分過ぎた。

  

「ぐ…がぁあああああああーーーっ!!!!」

「なぁあ…うぎゃあぁっ!?」

 

斬!斬!斬!!

 

この後、イッセーは獣の様な雄叫びと共に、次々とエクソシストを光の槍と籠手の龍爪で斃して往き、

「ちぃ…て、撤退だ!」

「「「「「「「は…はっ!」」」」」」」

 

ダダダダッ…

 

恐らくは襲撃者達のリーダーであろう男の一言で、その場から逃げ出し始めるエクソシスト達。

 

カチャカチャ…

 

「ひ、開かん!?」

そして部屋の外に通じる扉に手を掛けるが、施錠されているのか、その扉は開かない。

 

「ふん…無駄だ。

この俺から、逃げられるとでも思ったか?

既に この部屋は、結界に覆われている。

ましてや、貴様達は"アレ"を見たのだからな。

尚の事、生かしておく訳には往かぬ。」

「な…お前ゎ…ひいぃっ!?」

「うがぁああぁあーーっ!!!!」

そして その解説と共に下された、コカビエルからの最期宣告。

それを聞き、ドアの直ぐ傍で、絶望に打ち拉がれるエクソシストに、左腕に装備している籠手の指先から光の爪を創り出した…不気味に嗤う仮面を被った堕天使が、咆哮と共に襲い掛かった。

 

 

▼▼▼

「おい、大丈夫かよ?…お前。」

「ハァハァ…ぅ、うす。大丈夫っす。」

戦闘に参加していた堕天使の1人、ドーナシークが、曲げた膝に手を置き、肩で息をしているイッセーを気遣う。

床に転がる多数の悪魔祓いの屍。

その多くが、まるで理性という箍が外れ、獣の如く暴走したイッセーが作り出した物だった。

…結果から云えば、今回の天界勢からの強襲は、彼等全員の死…全滅という形で終わった。

 

 

「良いか、ヤツの神器…は今は まだ、グリゴリの中でもトップシークレットとされている1つだ。…忘れろ。」

「「「「「「「…はっ!」」」」」」」

 

 

▼▼▼

「…以上、報告終了だ。」

「ん~、こりゃ、俺のミスだな。

考えてみたら、少し前迄、平和な世界に浸っていたガキんちょだ。

幾ら天使、天界憎し…って言っても、簡単に"殺し"とか出来る訳も無かったか…。

訓練結果のデータだけでO.K.を出した、俺の責任だ。

済まなかったな、コカビー。」

「…その呼び名は止めろ。

それに、戦闘技術だけで…アイツのメンタル面を全く鍛えておらず、今回の様な想定が出来なかった…あの天使への復讐心を見て安心していた、俺にも責任が有る。」

帰還後、グリゴリの総督室にて、今回の戦闘の結果を総督アザゼルに報告するコカビエル。

当然その中には、イッセーの戦闘時の躊躇、そして暴走についても含まれていた。

 

「済まんな。イッセーにも、神器の使用は まだ、控える様に言っていたのだが…」

「もう、それは良いさ。

戦闘結果自体は上々だったんだ。

ただ…今後は頼むぞ。」

「承知した…。

では、失礼するぞ、ブレイザー・シャイn

「だ・か・ら!その呼び方は止めれーーっ!!

テッメー、またソレ、流行らせる心算かぁっ!?」

 

▼▼▼

「う…ぅわぁあああああああぁっ…!!!!」

「イッ…イッセー君、落ち着いて!」

「大丈夫!大丈夫だから!!…ね?」

「ウチ等が居るっス!怖くないっスよ!」

「あ…朱乃ちゃん?…レイナちゃんミッテちゃん…」

 

…そして時は、現在に戻る。

 

あの戦闘から連日、イッセーは毎夜の如く、悪夢に魘されていた。

そして悲鳴と共に、目覚める日々。

夢の中で、あの戦闘が再現される。

自分が手に掛けた人間達が、まるで己に呪詛を仕掛けるかの様な、怨みを込めた眼差しを向けながら息絶えて逝く様。

…人を殺めるという業が改めて、少し前に16歳になったばかりの少年に、大きくのし掛かっていた。

 

▼▼▼

「重傷っスね…」

「イッセー君…」

 

スゥー…スゥー…

 

慈しむかの様な朱乃の胸に抱かれ、漸く落ち着き、再び静かに寝息を発てるイッセーを見て、ミッテルトとレイナーレが呟く。

イッセーの訓練仲間からの話を何人か経由して、毎晩魘されている事を知ったミッテルト達。

既に あの戦闘時、最初の敵撃破後の暴走も、ドーナシークから聞かされていた。

その"初めての(元)同族殺し"から成る重圧が魘される原因と理解した彼女達は、それから毎晩、悪夢に憑かれ、苦しむイッセーを鎮めるべく、本人の了承も無しに押し掛ける様にして、彼の部屋で就寝を共にしていた。

 

「た、只単に、添い寝してるだけっスからね!」

「な、何事も無いわよ!…今の処…ゎ。」

「ミッテちゃん?レイナちゃん?誰に向かって言ってるの?」

 

 

 

むにゅ…

 

「ひゃぇっ??!」

この謎遣り取りの中、突然、小さな悲鳴を上げる朱乃。

それは不意に胸に訪れた感触の為。

 

むにゅ…ぐぃぐぃぐぃ…

 

「ん…ん~~~~~~~~…」

「ぃぃい…いぃっしぇえく…んん…!?」

「え゙?!」

「おおぉっ!!」

思わず上擦り、ひっくり返した様な声を出す朱乃。

それは頭を胸元で包み込む様に抱いていたイッセーが、寝呆けたのか、朱乃の胸をいきなり鷲掴み、更には頭をより胸に沈ませてきたからだった。

これには残る2人も吃驚。

 

「なななな…何事かが起きたーーーっ!」

「只の添い寝で無くなったっス!!」

「ちょ…言ってる場合ぢゃ……ぁ…あぁん…イッセー君、だ、駄目ぇ…

れ、レイナちゃんミッテちゃん、これ、どうすれば良いんですの?」

「ん~、今回は本当に、寝呆けているみたいだしぃ…」

「何時もみたく、殴り飛ばす訳には、往かないっスよね~?」

助けを求める様な呼び掛けにも、2人は興味津々な眼差しで見つめるだけで、助ける気は無く。

 

「「とりあえず、起きるのを待つしかないんじゃないの?」っス。」

「えっ、えぇ~~~~~~~っ?」

 

▼▼▼

「す、すいませんでしたぁああああっ!!」

「「「………………………………。」」」

土下座するイッセーを、ジト目で見下ろす美少女3人の図。

あの後、朱乃がイッセーに成すが儘にされる事 数分、心地好い感触で目覚めたイッセーが目にしたのは、小さな桃色の蔕が付いた巨大な肌色のメロンと、息絶え絶え且つ、艶やかに顔を潤ませた朱乃。

そして そんな朱乃と自分を、顔を赤くしながらガン見している、レイナーレとミッテルトだった。

 

「え、えーと、こ、これわ…とりあえず眼福の、脳内保z

「い、いっせーくんの えっちーーーっ!!」

 

バキィッ!!

 

「ひでゔっ!?」

そして まだ完全に目が覚めておらず、目の前に写った世界を見て、本能…或いは煩悩の儘からなる一言の途中、顔と云わず身体全体を真っ赤にした涙目朱乃の、渾身のグーパンチ(コークスクリュー)が炸裂。

その一撃で、完全に目の覚めたイッセーが現状を理解、土下座謝罪に繋がったのだった。

 

▼▼▼

「全く…イッセー君は…」

「改めてイッセーが堕天した理由が、よ~~~~~~く、分かったっス。

イッセーの、スケベ。」

「ん。イッセー君、えっちぃから…

この前も、お風呂を…」

「ぅ…いや、マジに ごめん…」

その後もベッドに座ってる3人娘に、散々と弄られる、床に正座しているイッセー。

 

「…まぁ、さっきのは悪気が有った訳じゃないし…

ねぇ、そろそろ勘弁してあげて、もう寝ましょ?」

「…そうね。」「…っスね。」

その内にイッセー弄りも飽きたのか、ベッドに寝転がる3人。

 

「…何してるっスか?

イッセーも こっち来て、寝るっスよ?」

「へ?」

そしてミッテルトの、"ちょいちょい"…と手招きしながらの この言葉に、素っ頓狂な声を出すイッセー。

 

「いやいやいやいやいやいや!

さっき、あんな事が有った直後なのに、(オトコ)と一緒に寝ようとするの?

そこは もう、自分達の部屋に戻るか、『お前は廊下(そと)で寝てろ』でしょ?」

「ん~…」「でも…」「ねぇ~?」

そして折角の お誘いに、普段のスケベっ振りは何処へやら。

ヘタレたのか、ややテンパり気味に『あかん』と諭そうとするイッセーに、朱乃達は、悪戯な笑みを浮かべ、

「さっきの"あれ"…実は結構、気持ち良かったし…続きを…」

「私も"あれ"見て…その、ちょっと悶々しちゃって…

それで…イッセー君なら…良いよ…」

「ウチもイッセーなら大丈夫、大サービスっス。

ただ、ウチ…その…こーゆーの初めてだから、優しくして欲しいっス。」

「あらあらあら?イッセー君、私も まだ、未経験ですわよ?」

「…ぉ、同じく…。」

「え…ちょ…

いや、嬉しいよ?嬉しいけどさ?

キミ達、そんなエッチなキャラだった?」

「「「堕天使…ですから♪」」」

「否々々々!いくら堕天使だからって、少し間違ってない?…って、レイナちゃん、何、いきなり脱ごうとしてるの?

ミッテちゃんも!!?朱乃ちゃん??!」

まさかの、Welcome発言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「責任取って、下さいね?♪」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………………。」

 

◆◆◆

…この夜、イッセーは初めて、女の身体の温もりを知った。

 

 




 
Next:『怒れる親父の雷!』(予定)
 
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