黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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オリジナル?堕天使登場。
 


伏兵、現る!

コカビエルは見た。

突然に身体全身から力が抜け、自分達を取り囲む悪魔の集団に刃を向けられる中、アザゼル、並びに悪魔と天界の代表者達が会談を行っている筈の校舎から、巨大な真紅の魔力(オーラ)が立ち昇り、その建造物が一瞬にして瓦礫の塊と化したのを。

 

「ギャハハハ! あのヤロー、遂に やりやがったか!」

そして それが、己の弟子の仕業であるのは理解に難しく無く、

「行くぞ、オメー等! 戦争(まつり)の時間だぜ!!」

『『『『『『『『『うおおぉぉおおぉおおっ!!!!!』』』』』』』』』

この戦争狂の堕天使幹部の号令に応え、士気を上げるが如くに咆哮する堕天使達。

駒王学園上空で再び…今度は堕天使と冥界・悪魔政府の兵達、それに天界の天使兵を巻き込んでの、大乱闘の幕が上がった。

 

「フハハハハハハハハハハハ!!」

「おらぁっ!」

「はぁあっ!」

「フンっ!」

「ヌルフフッ!!」

"三竦み"ならぬ三つ巴の様相。

だが、それは堕天使が…イッセー達が事前から学園内に仕込んでいた"弱体化の術式"の発動により、一方的な蹂躙劇となっていた。

 

◆◆◆

ヌルフフフフフ…

皆様、初めまして。

私、グリゴリはコカビエル様の指揮下部隊、通称・アイザック隊に所属している下級堕天使・コロセルと申します。

どうぞ以後、お見知り置きを。

いやいや、一時は どうなるかと思いましたよ。

あの謎の?悪魔の軍勢を退け、再び空で待機していたら、急に身体中の力が抜け、今度は同じく待機していた悪魔の皆さんが天使共々に我々を取り囲み、剣やら槍やらを向けてきたのですから。

いや、いきなりでしたからテンパりましたよ、本当に。

それで光の槍を創り出し、直ぐ様に抗戦しようとする者も居た位ですが、コカビエル様が動じる事無く、「まだ動くのは早い!」の一言。

つまりコカビエル様からすれば、あの状況は想定の内だった訳です。

事実、暫くすれば あの脱力感は消え去り、そして地上の校舎が大爆発を起こして倒壊。

ええ、あの魔力…あれは私が知っている それと迫力こそ違いますが紛れも無く、組織本部の訓練にて度々感じた…と云うか私も訓練の際、偶に ぶちかまされていたドラゴンの(オーラ)

つまり あれは我等が隊長アイザックこと、イッセー君が力を解放したという事です!

う~む…それにしても、あの破壊力…

戦闘訓練時は本当に、手加減してくれてたのですね。

そして それを見たコカビエル様も察したのでしょう、上機嫌な馬鹿笑いと共に、我々に改めて、戦闘開始を呼び掛けてきました!

それに対し、我々も威勢良く雄叫びで応えます。

皆さんノリノリ、某世紀末のモヒカン集団の如くに『ひゃっはーっ!』しています!

 

≫≫≫

「はいっ…と!」

 

ズバァッ!

 

「ぐが…?!」

弱体化されても尚、三ツ俣の巨大フォークの様な矛で襲い掛かってくる悪魔。

しかし術式の効果か、動きが鈍過ぎます!

自慢する訳では有りませんが、 MAXスピード マッハ20の スピード特化な私からすれば、止まって見えます!

そして自ら高速で突進して、その長い得物が役割を果たせない程の懐に入ると、光の術式で創り出した短剣で敵の喉笛をかっ切る!

はい。私の戦闘スタイルは、光の短剣(ダガー)の逆手持ち二刀流。

堕天使は光の槍の投擲しかしないと思ったら、それは大間違いですよ!

 

 

「はぁあっ!」「おらぁっ!」

 

ドスドスドスドス!!

 

「「「「ぐはあっ!?」」」」

えぇ。あっちで槍を ぶんぶん連投してる、カラワーナさんやドーナシークさんみたいに、まぁ、主流であるのは間違い無いですが。

例えばイッセー君は余所様に対しては、()()の はぐれ悪魔祓い・嗤う黒仮面(アイザック)で通しており、普段は 悪魔祓い専用の光の剣…簡単に説明すれば、ライト・セ○バー擬きを使用。

それに慣れてしまっているからか、術式で創り出す武器も、剣の形状。

あ、神器使用時は光の龍爪でしたか?

他にも、投擲槍でなく、普通の長槍として、斬る突く払うな使用をする堕天使(ひと)も居ますし、他には…

 

「りゃっ!」

 

ズバァッ!

 

「ぬゎっ?!」

…例えば あのマガガル君なんかは、市販のトランプに光をコーティングして、金属製の刃物の様に投げ付けてますし、

 

「フンッ…!!」

 

バキィッ!

 

「ぐぎゃぶっ!?」

はい、例えば あのワタツミエルさんは、素手での殴る蹴るを得意としています。

それから あの堕天使(ひと)、他にも自動小銃やバズーカの弾に光の属性をチャージして、ぶっ放したりもしますね。

 

「きゃははははは!行っくよー!!

初めての実戦披露!キミ達は実験台になって貰うわ!」

 

どっかぁーーーーーーーーーーーん!!

 

「「「どいひーーーーーーっ!!!!」」」

「ん、ん。この素晴らしい攻撃力。

やっぱりタバネルさん、天才だわー♪」

……………………………………。

あ、あの(ひと)に到っては、自作の機動装甲みたいなのを着込んで、それから光の弾丸やらレーザーやらミサイルやらをガンガン撃っています。

まぁ、尤も彼達は、例外中の例外ですが…。

 

≫≫≫

「ぐがぁ…堕天使がぁ!」

「死ね…!」

おぉっと?

今度は天使が2人、光の剣でなくて実剣…多分、聖剣でしょうが、それを手にして、私に斬り掛かってきました!

…が、甘いです!

基本、スィーツ大好きな私でさぇ、遠慮したくなる程な甘さですよ!

 

「くっ!これも躱すか?」

ぃゃ…ですから、貴方達が遅過ぎるんですってば!

…そんな訳で、

 

斬!!x2

 

ふっ…決まりました。

…って?!

こ、この、魔力の気配は…?

 

 

ぶぉおおおおおおぉぉおおぉおおおおぉっ!!!

 

 

な、何なのですか?

あの()()()()()()()()から、直接的なダメージは無いのですが…何と表現しますか、冷たい…凍てつく様な寒さを帯びた、強烈な魔力の波動が放たれてきたんですけど?!

 

「「「「「「おのれ堕天使、覚悟!!」」」」」」

「にゅやーーーーーーーーーーーーーっ?!」

そして その波動の影響なのか、悪魔(…と天使)の皆さんが、急に元気になって、襲ってきました!

 

▼▼▼

「ふっ…形勢逆転だね。

ナイスだったよ、セラフォルー。」

「いぇい!☆」

「けっ!振り出しに戻っただけじゃねぇか。」

新校舎の倒壊。

その内部に居た者達は、魔力で造り出した防御障壁等で、全員が無事でいた。

そして上空で、堕天使有利な戦闘が繰り広げられている中、動いたのは魔王・セラフォルー・レヴィアタン。

弱体化の術式が効いている身で、それでも魔力を振り絞って行使したのは、寒気を伴った"あらゆる魔術的効果をキャンセルさせる波動"。

 

「はっはっは!流石は魔王様だ。

確かに"魔王"相手に、所謂"凍てつく波動"は計算に入れておくべきだったな。」

それでもアザゼルは、余裕な態度を崩さない。

 

「「「「「アザゼル様!」」」」」

「「「「「「「アイザック隊長!」」」」」」」

「あ、皆さんも動ける様になったみたいですね。」

「遅いッスよ~?♪」

そして其処に、旧校舎で待機していた、はぐれ悪魔祓い達が駆け付けて、茂部やフリードも声を掛ける。

 

「サーゼクスぅ? 形勢逆転てのは、こういうのを、言うんだぜ?」

「ふん…その態度、何時迄保っていられるかな?」

 

◆◆◆

「朱乃ちゃん達は?」

「はい、隊長! 当初の作戦通り、皆様 既に、それぞれの持ち場に着いております!」

イッセーだぜ!

駆け付けて来た はぐれ悪魔祓いの1人から朱乃ちゃん達の様子を確認。

どうやら皆、無事だったみたいだな。

 

「…呑気だね、赤龍帝。

もう一度、言わせて貰うよ。

キミ達は、悪魔(ぼくたち)の根城に入り込むには、余りにも、無用心過ぎる…!」

そうした中、俺達に話し掛けてきたのは、魔王・サーゼクス・ルシファーだ。

 

「………………………………。」

 

スゥ…

 

無言で掌を前方に翳す魔王。

すると上空に、そして校庭に、無数の転移魔方陣が現れた!

其処から出てきたのは、空に新手の悪魔の兵士達。

そして地上からは、武装した人間…悪魔崇拝者(サタニスト)の集団だ!

そいつ等が、空から地上から、襲い掛かってきた!

 

「アイザック君…いや、本名はイッセー君…なのかい?

さっきのキミの台詞じゃないけど、『こんな事も在ろうかと!』…ってね?」

「伏兵か…」

「そうだ、アザゼル。

最初から今回の会談、只の話し合いで終わるとは、終わらせるとは思っていなかった。

キミが そうだった様に…ね。」

サタニストを蹴散らす俺達に、不敵に微笑みながら、魔王が話す。

 

「あぁ…全く…だぜ。

くっくくくくく…

うっひっひっひっひっひ…

ぐゎあっーーーーーーーーーーーはっはっはっはっはぁーーーーーーーーーーっい!!!!」

それに対して、ウチの総督も、またもや まるで3流な悪役の様な、3段式大笑いで切り返した。

 

「な…何が可笑しい?!」

「いや、こうも同じ発想に至れるなんて、嗤うしか無いだろ?

確かに、単なる話し合いで終わる心算は、俺達だって無いんだよ!」

「何?」

 

サッ…

 

総督が手を空に向ける。

それと同時に、校庭には また、幾つもの魔方陣が展開された!

 

『ブルヒヒヒヒヒィーーーーーーーン!!!!』

「我等 崑崙の戦団、由縁有って、グリゴリに助太刀に参った!!」

其処から現れたのは、某・世紀末覇王様の愛馬の様な巨大サイズの赤毛の馬。

そして それに跨がった、長い触角みたいな飾りの帽子が特徴的な、中国風の鎧を着た大男。

そして この人に率いられた、やはり中華風の鎧の大群!

5月にグリゴリが同盟を結んだ、中国神話・崑崙の戦士達だ!

しかも、援軍は彼等だけでは無い。

 

「我が名はセタンタ!

主である女神・スカアハの命により、グリゴリに助成至す!」

漆黒の鎧の軍団を束ねて現れたのは、俺と変わらない歳に見える、白い鎧を着た、長い黒髪の少年。

そう。ケルト神話からの兵団も、やって来てくれた!

 

「イッセー殿!無事か!」

「弁慶さん!!」

更には、日本神話全体との同盟に先駆けて、一足先に同盟を結んだ日本神話派閥の1つ、妖怪勢力。

そのトップである八坂さんの指示で来てくれたのであろう、弁慶さんを基とする、沢山の僧兵の皆さんが!

 

「ふん…! 私達だけでは無いぞ。」

そして やはり、一緒に参じていた ロリコン 義経君が指を向けた先…空を見てみると、やはり八坂さんの配下の天狗さん達…翼を持つ妖怪達が、師匠達と一緒に悪魔や天使と戦っている!

そうだ。彼等は皆、今回の会談が その儘 戦闘に もつれ込むのを想定していた総督が、各神話に援軍を依頼。

直ぐに学園内に参戦出来る様に、待機して貰っていたのだ!

 

 

「だぁりん!我も馳せ参ったぞぇ!」

 

がばぁっ!!

 

うぷぷぷっ?!

くっ…苦しいです八坂さん!

お願いですから、公開の顔面圧迫窒息刑は、勘弁して下さい!!

 

「え…え~と、サーゼクス?

こういう時、どういう台詞を吐くんだったかな?」

『形勢逆転だな…』ですよ、総督!

 




 
今回登場の堕天使の容姿は…
 
コロセル…"初代"死神(暗殺教室)
マガガル…蝶ヶ崎蛾々丸(めだかボックス)
ワタツミエル…伊集院隼人(エンジェル・ハート)
タバネル…篠ノ之束(IS)
 
…のイメージで。
 
次回:『反撃のミカエル!』(仮)
感想よろしくです。
 

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