黒翼の赤龍帝   作:挫梛道

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白龍皇の愉快な仲間達

 

≪≪≪

 

時は、少し巻き戻る。

 

ヴォン…

 

「「「!??」」」

グリゴリ本部の正面門前に、突如として浮かび出た、転移魔方陣。

この日、番兵を務めていた堕天使達が険しく目を見開く中、4人?の男女が魔方陣の中から姿を現す。

 

「貴様等、何者だ!」

いきなりの このアポ無し来訪者達に対して、門番の男が武器の先を向けたのは、至極当然だった。

 

≫≫≫

『ごっくぅ~~ん!』

 

ばきぃっ!

 

「「「のわ~っ!?」」」

身長19㍍、鉱石の鎧を身に纏ったかの様な巨人が振り降ろした拳が一度に、その警備の堕天使数名を吹き飛ばす。

 

「いゃっほぉぅうっ!!」

 

ドガッ!

 

「ぐはぁっ!」

更には頭に金の輪冠を嵌めた漢鎧の青年が放つ棍の一撃が、

「せゃっ…!」

 

斬!

 

「が…?」

眼鏡を掻けたスーツ姿の青年の繰り出す剣の一閃が、やはりグリゴリ本部の正面を警備していた堕天使達の膝を、地に着かせた。

 

「無駄な戦闘は望みません。

先程から申し上げる様に、我々の目的は唯1つ。

このグリゴリに捕らえられている白龍皇、ヴァーリ・ルシファーの引き渡しです。

それさえ叶えば、速やかに撤退します。」

「ですぅ!」

眼鏡の青年、アーサーと、その傍らの少女が自分達の要求を唱えるが、それに対し堕天使達は「不山戯るな」とばかり、更に人数を集めて応戦する。

…が、彼等を屈伏させるには至らない。

 

どっがぁあっ!!!

 

『ごっ…??!』

そんな時、遠方から放たれた巨大光弾が巨人に直撃し、その衝撃で巨人はダウン。

 

「ちぃ…たった4人相手に何やってんだ?

テメェ等はよお…」

「「「ヴァ…ヴァンさん?!」」」

其処に現れたのは、黒髪ベースに前髪から頭頂部を金に染めたたリーゼント、まるで地上(にほん)の暴走族が着用する、詩か何かの文字が刺繍された特攻服…そんな出で立ちの、堕天使だった。

 

 

どっかぁあああぁん!!

 

「ぬわわゎ?!」

そして直後に爆発が起き、それに漢鎧の男…美猴が吹き飛ばされる。

 

「…ふん!

この程度の者に遅れを取るとは、日頃からの鍛練が足りん証拠だ!!」

「「「海さん!」」」

剥き出しの日焼けした上半身は、逞しく鍛え抜かれた体躯。

まるでガ○キャノンの如く、両肩にバズーカを抱えている、スキンヘッドにサングラスと云う風体の大男。

若い堕天使の兵達は厳しい言葉を投げ掛けられたにも拘わらず、その男の登場に安堵の表情を隠す事無く、男の愛称(なまえ)を叫ぶのだった。

 

「ふっ…"グリゴリ本部(ウチ)"に特攻(ぶっこ)むたぁ、何処の鉄砲玉だぁ?

それとも、単なる自殺志願者か?」

「何れにせよ、無事に帰れるとは思わぬ事だ。」

「「「「コカビエル様! バラキエル様!!!」」」」

そして続け様のグリゴリ幹部2人の登場に、堕天使の兵達は完全に勝利モードに入った。

 

≫≫≫

「…ぃってーな! このハゲ!!」

「…?!」

そんな堕天使サイド逆転ムードの中、美猴が「そんなの関係無ぇ」とばかりに立ち上がり、自分に攻撃を仕掛けた堕天使…"海さん"ことワタツミエルに詰め寄る。

 

「テメェはヴァーリ奪還とは関係無ぇ!

この俺っちが ぶっ殺してやるぜぃ!!」

「…ふん。」

 

ゴトッ…!

 

そして棍を振り回しながら突撃してくる美猴に対し、ワタツミエルは両肩のバズーカ砲を地面に置くと、両拳に光を纏わせての、肉弾戦姿勢(ファイティング・ポーズ)を構えた。

 

≫≫≫

「…だったら、この俺の獲物は お前だなぁ?

この、デカブツぅ!」

 

チョイチョイ…

 

それを見た特攻服姿の堕天使…ヴァンヴマルは、ならば自分は…と、先程 自らが攻撃を放った巨人に、挑発する様に指招き。

 

『ご…ごおっくぅ~っんん!!』

巨人も先程 自分を倒した光弾が、この目の前の男の仕業と理解したのか、

 

ぶぅんん! ぶん!

 

「おぉっとぉ?♪」

巨大な岩石の様な拳を感情の儘、この堕天使目掛けて連続で振り落とす。

 

「ごっ君?」

しかし この攻撃を難無く躱す堕天使を見て、先程迄はアーサーの傍らに居た、縁の大きな三角帽子を被った少女が、手にしている(ロッド)に魔力をチャージ、援護射撃に入ろうとするが、

「ルフェイ、避けろ!!」

「??!」

 

タタタッ…どん!

 

「…え?」

いきなりのアーサーの一言に、その場をサイドステップで飛び退くと直後、たった今 自分が立っていた場所に、1本の光の槍が落ちてきた。

 

「ふふふ…お嬢ちゃんの お相手は、この私が してあげるわ♪」

「………………………。」

この少女の前に立ったのは、豊満な身体をボディコンスーツで包んだ、蒼味掛かった長い髪の、鋭い表情をした女の堕天使だった。

 

≫≫≫

「私達の頼み事は、やはり通りませんか?」

「…愚問だな。」

アーサーと対峙したのはバラキエル。

 

「…ならば!」

「…………!!?」

短い問答の末、アーサーは腰に携えた2本の剣の内の1本を抜く。

それは嘗ての大戦時に砕かれ、後に7振りの剣に再生されたエクスカリバーの最後の1つである、【支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)】。

そして ()()を見て、それをエクスカリバーと確信したバラキエルは、普段から瞑っているかの様な細目を鋭く開眼。

 

「ふんぬばるぁぬゎらぇい!!」

 

カァッ!…パキィィィン…!!

 

「な…せ、聖剣が?!」

直後、奇声の様な怒声と修羅の形相で、振り抜いた拳から迸る雷光の槍を投擲し、聖剣を再生不可のレベルに迄 粉々に破壊。

アーサーは一瞬 動揺するも、直ぐに当人からすれば此方が"本命"と言って良い、もう1本の聖剣を腰から抜き構える。

 

「遅い!」

「な…()!?」

しかし この堕天使幹部相手には、その一瞬が大き過ぎた。

アーサーが構えた瞬間にはバラキエルは自身の二つ名、正しく"雷光"の如く瞬く間に距離を詰め、

「数日置き! 夢の中で白い謎生物に絡まれるウザさが、貴様に、貴様に解るかぁあああ~っ??!」

「な…それと私に、何の関係g」

 

ごんっ!

 

「ぉわっ?!」

その雷光を纏った拳で顔面を強打、その儘 聖剣の遣い手を取り抑えたのだった。

 

「ぬぉおおおおぉぅっ!!!

これで!

エクスカリバーの完全復活わ!

無くなったずぉおおっ!!」

そして、会心の雄叫びを上げるバラキエル。

後日、コカビエルは語る。

 

 

「あの時のバラキーは、まるで長い間の憑き物が取れたかの様な、すっきりとした顔立ちだったぜ。」

 

 

≫≫≫

そして、時は再び現在へ。

 

◆◆◆

…コカビエルだ。

白龍皇を捕らえた時から、その仲間達が救出に乗り込んで来るのは想定していて、警戒体制を整えていたのは正解だった。

…が、元はと云えば、あの鬼灯(ヤロー)白龍皇(ヤツ)をボコにして捕まえたのだから、日本神話側で引き取るべきだったんだ。

それをヤロー、「いえ、確かに彼を捕らえたのは私ですが、この場はグリゴリが主導の場。其処に襲撃してきた者ですから、グリゴリ側が身柄を拘束すべきです。」なんて抜かしやがり、アザゼルも それに納得しやがった!

他の襲撃してきた奴等と一緒に殺っとけば良かっただろうに、それを二天龍片割れ(イッセー)に気を使った事とか言っていたが、ドライグは兎も角、当の本人は『宿命の対決』なんて、全っ然、興味無かったんだぞ!

絶体にアイツ、この展開を予想して、白龍皇(あのガキ)をコッチに押し付けただろ?!

…にっしても、よりによって俺やバラキエル、ついでにヴァンヴマルやワタツミエルなんかが本部に出張っる時に、殴り込み仕掛けてくるか?

そして その顔触れが、余りにも濃過ぎていた!

あの闘戦勝仏の孫も そうだが、人間の眼鏡と小娘…

それが 少し前に出奔(いえで)したって噂のイギリスの名門、ペンドラゴン家の長男長女だったとはな。

まさか それが兄妹揃って禍の団(テロリスト)入りしていたとは、本当に驚きだぜ。

そして あの巨人(デカブツ)

ありゃ、古代ブリテンの守護兵器(ガーディアン)と謂われた、ゴグマゴグじゃねーか?!

まだ起動している固体が存在していたとは、こっちも吃驚だ。

そして、一番"設定過多"なのは、やはり白龍皇だ。

赤龍帝(イッセー)の"対"となる存在の あの小僧だが、これが まさかのハーフ悪魔。

しかも、その悪魔(ちちおや)ってのが、先代魔王(ルシファー)の孫と来たもんだ!!

つまり あの小僧…ヴァーリ・ルシファーは、魔王の血族で在りながら、母親である人間の血筋で神器(セイクリッド・ギア)を…しかも神滅具(ロンギヌス)である【白龍皇の翼(ディバイン・ディバイディング)】を宿すと云う、奇跡を通り越してギャグみたいな存在だ。

…で、その それぞれの対処に、皆が頭を悩ませている。

ゴグマゴグはアザゼルやサハリエルが「貴重な古代遺産だぞ!あれを処分するなんて、とんでもない!!」なんて ほざきやがるし、残りの奴等も血統が血統だけに、テロリストだからって直ぐに殺っちまう訳には逝かねえ。

とりあえずは個別に組織の事を聴取して暫くは檻に ぶち込み、ほとぼりが冷めたら あの猿は天竺の連中を介して初代孫悟空の下に、兄妹は実家に文句たらったらで聖王剣(コールブランド)共々に、着払いで送り返して賠償をせしめるってのもアリだが、やはりルシファーの血を引く白龍皇がなぁ…ハァ…一番、扱いに困るぜ。

まぁ、後の聞き取りや処分なんかは、アザゼルやバラキエル逹に任せるがな。

尚、ペンドラゴンの小娘に朱乃が何やら司法手続(かんゆう)を開始し、それを傍で聞いてた眼鏡がマヂキレ、縛られた儘でイッセーに襲い掛かったのは余談だ。

 

◆◆◆

アザゼルだ。

捕らえた白龍皇ヴァーリ・ルシファーの仲間を名乗る連中の、取り調べを行う事になった。

とりあえず奴等には、禍の団(カオス・ブリゲード)について色々と喋って貰うぜ。

 

≫≫≫

 

コト…

 

「さて…美猴だったな。

先に言っとくが、コイツは"嘘発見機"だ。

これからの俺の質問、正~直に答えて貰うぜ。」

闘戦勝仏の孫の前、机の上に"いつものヤツ"を置き、取り調べ開始だ。

 

「はっ! その呼び鈴みたいのが嘘発見機?

今一 信じられねーな?

残念だが俺っちは、何にも答える心算は無いし、そもそも それって、『ノーコメント』に対しては無意味なんじゃね?

だったら拷問にでも掛けるかい?

どっちにしろ俺っちは、絶対に口は割らねぇけどな!」

「…よく喋るDTだな。」

「はぁあ?! どどど、DT違うし!!」

 

ちりーん…

 

「………………………………………。」

ふん、成る程な。

 

≫≫≫

 

カチャ…

 

「失礼します。総督、お呼びでしょうか?」

「応、済まないな。」

取り調べ室に入ってきた者の名はカマエル。

その"中身(ほんしょう)"は兎も角、()()()()()だけは、かなりの上物と言って良い堕天使だ。

 

「いや、場合によっちゃ…だが、お前に此方のDT小僧の相手を…と、思ってな。」

「ま゙♪?」

「へ?!」

因みにコイツの"大好物"は、若いDT男だ。

ふっ…此奴、俺の台詞、そして美猴を見て、早速 色めきやがった。

どうやら満更じゃ、無いみたいだな。

 

「さて、カマエル(こっち)は問題無いか。

…で、お前は どうする、美猴?

今からの俺の質問に、全て正直に答えたら、その後でコイツとΧΧΧ。

黙りならΧΧΧは無しだ。

どうだ、解り易いだろう? どっちを選b

「な、何が知りたいんだ?

組織の規模か?それとも本拠地か?

俺っちが知ってる事なら、何だって教えてやるぜぃ!!♪」

「あらあら♪」

 

▼▼▼

「改めて聴くぞ? 名前は?」

「アーサー・ペンドラゴンと、申します。」

…同刻、別の一室では、バラキエルがアーサー・ペンドラゴンの尋問を行っていた。

 

≫≫≫

「…ですから、最初に捕らわれた時に話した通り、今回は本当にヴァーリを助け出すのみで、別にグリゴリ本部の崩壊を企てたりとかは、考えていませんよ。

ついでに言えば、今回の行動は組織とは関係無い、単独行動です。」

バラキエルの問い掛けに、白龍皇(ヴァーリ)救出以外の目的は無かったと話すアーサー。

机の上の、嘘発見機は反応しない。

 

「そ、それよりも、(ルフェイ)だけは何とか許して戴けませんでしょうか?

この際 私は どうなっても構いませんから!

アレは本当に何時の間にか、気付けば我々のチームに溶け込んでいたと云う感じでして、私としても、実家で大人しくしていて欲しいのが本音なのです!

幸いにも彼女は まだ、余所の勢力に対する破壊活動等は行ってはいませんし、何卒 慈悲をあt

「それなら先程も、不本意ながら私の娘が誘っていた様だが、赤龍帝のハーレムに入れば、それなりの待遇

「むっ殺しますよ?!」

 

▼▼▼

更に同刻。

別の一室では…

「か…カラワーナお姉様、もっと、もっとルフェイの事、可愛がって下さぃい…!!」

「うふふふ…♪

だ・っ・た・ら・質問に答えなさい?」

「は…はぃい~!

な、何でも お答えします!」

アーサーの妹である、ルフェイ・ペンドラゴン。

…彼女はカラワーナの取り調べにより、完全に()()()()()

 

◆◆◆

「ふむ…別々に聴いてみましたが、証言は一致していますね。」

どうも、シェムハザです。

今回のグリゴリ本部の襲撃、禍の団(カオス・ブリゲード)本隊とは無関係で、本当に先日 先に捕らえていた白龍皇の仲間…組織内にて『ヴァーリ・チーム』と呼ばれる派閥による単独行動の様です。

本日 行われた調べにより、テロ組織の規模や本拠地の場所が判ったのは大きいですね。

これは即座に各神話勢力に報告して、近日中にでも集結して、今後の対策を話し合う必要が有ります。

それから今回の賊達ですが、白龍皇を含め、今迄も あちこちの強者に喧嘩を吹っ掛ける行為は多々有ったみたいですが、それ等は全て、組織の命令によるテロ行為では無く、個人的な行動。

組織主体の破壊活動には、全く関与した事が無い事も、あの嘘発見機で証明されました。

つまり、前回のテロ集団に紛れての攻撃も、彼等からすれば、単なる戦闘癖(しゅみ)による物だった様で…

鬼灯氏からすれば、良い迷惑ですね。

まぁ、それでも今回の事が、無罪放免になる訳では無いです。

とりあえず暫くの間は、地下牢の中で頭を冷やして貰いましょう。

尚、あの巨人(ゴグマゴグ)は、組織運営の研究施設で色々と調査、研究される事に。

それから あの魔法使いの娘さんは、カラワーナが"お持ち帰り"する事になったとか。

こ…これは、合掌ですね。

(ー人ー) 南無南無南無ちーん…

 




今回、初登場の堕天使は…
 
ヴァンヴマル…一条武丸(特攻の拓:画・所十三)
 
カマエル…本条鎌足(るろうに剣心)
 
…のイメージで(笑)。
つ、強く生きようZE!美猴!!(合掌)
 
 
ゴグマゴグは、MH・ヘルマイネ(ファイブスター物語)のイメージで。
 
 
【悲報】エクスカリバーの完全復活ルートは、バラキーさんの手によって断たれました。ヴァカめ!!
 
【悲報②】ルフェイたんのイッセー・ハーレム入りは、カラワーナさんによって消滅してしまいました。
 

次回予告:『無限の龍神』(仮)
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