前回だけの起用の心算でしたが…
ヴォォォォン…
「チィッ!」
羽音を鳴らしながら、イッセー達に襲い掛かる、羽が生えた蠍の群れに、思わず舌打ちするイッセー。
その数は、1匹ずつ駆除して凌げる物では決して無く、
「ハァッ!」
カァッ…
バシュゥッ…
光力を展開し、創るのは槍ではなく、光の障壁。
そして その光の壁に触れた蠍は、途端、蒸発する様に消えていく。
「あ…あぁ…」
その光景に、蠍を呼び寄せた…否、
◆◆◆
やぁ。
どうやら最近、悪魔や天界の連中から、"アイザック(isaac:笑う者)"という異名を付けられているイッセーだ。
これも、このマスクの御陰だな。
アザゼル総督曰わく、"赤龍帝・兵藤一誠"がグリゴリに属しているのは、まだ悪魔陣営…そして特に天界に俺が生きているのを知られるのは尚早だとして、正体を隠す意味で装着を義務付けられた このマスク。
更には許可無しで、神器の使用は勿論、堕天使の翼を広げる事も禁止にされており(槍等の光の術は、そういう"神器"だと誤魔化している)、何度かの戦闘で逃がした悪魔やエクソシストの報告により、俺は奴等の間では、『黒い嗤い顔の仮面を被った はぐれエクソシスト』と認識されている。
因みに これは、グリゴリ所属、一部を除く はぐれエクソシストの皆さんも同じ認識。
皆 俺の事を、(転生)堕天使とは知らない。
「あ…ぁぁあ…」
さて、改めて俺は、体をガクガクと震わせ、泣きそうな顔をしている、この浅い褐色肌、白に近い金髪の少年に近付いた。
「レオナルド…だな。」
「ぁ…ぅ…」
【
俺の
持ち主の想像力や精神力に応じて、様々な魔獸を生み出し、それ等を使役する事が出来る神器だ。
そして この少年…レオナルドが、その神器の持ち主。
さっきの羽付きの蟲や、今 この子の背中に生えて…いや、憑いている翼は、この子が創り出した魔獸なんだろう。
今回の俺達の任務は、グリゴリの先行調査部隊が発見した彼を保護、組織に招く事だったが、どうやら天界の奴等も、同じタイミングで この子を発見してたみたいで…
…チィッ、また俺の時みたいに、無理矢理に転生させようとしたのか?
巫山戯るな!
100歩譲って、この子を無理矢理に自分達の戦力に加えるのは良いとしても、住んでいた村を滅ぼす必要は無いだろ!?
何の意味が有るんだよ?!
「兎に角、此処から出よう。
大丈夫だ。お前の村を襲った奴等は、俺達が皆、やっつけた。
さぁ、俺達と一緒に行こう。」
天界の奴等に対する憤りを抑えて、俺は この少年に、とりあえず、この洞窟から出るように話すが、
「嫌だ!もう僕は、此処から動かない!」
この少年、引き籠もり宣言してきました。
「動かない…って…お前、飯とか どうすんだよ?」
「食べられる魔獸を創る!」
「…それで、この狭い洞窟で、死ぬ迄ずっと ぼっちでいる心算か?」
「洞窟も魔獸で更に穴を広げて大きくするし、友達になってくれる魔獸も創る!」
便利だな?
もしかして、スタイル抜群な美少女で、〇〇〇〇とか△△△△とかΧΧΧΧΧΧとか、こっちの好きに出来る魔獸なんかも創れちゃうんじゃないだろうな?
ちょっと羨まし過ぎるぞ!
俺の
てゆうか交換して!ドライグあげるから!!
『…おい。』
…そ、そうだった。
そんな事を考える場合じゃない!
「…もう、僕の事は、放っておいてよ!
どうせ皆も、今は優しいかも知れないけど、とうせ その内に…お父さんや お母さん…村の皆みたいに、僕を お化けを見る様な目で見るに決まってるんだ!」
……………………………!!
そ、そうか…
俺が神器に目覚めたのは、
クソ!考えてみた事も無かったぜ。
確かに今迄一緒に過ごしてきた人物が、いきなり人の常識の外の異能を発揮すれば、例え それが肉親であろうが、畏怖を感じるのは、想像に難しくはない。
この子の不幸は、それでも支えてやるべきである肉親が、それを受け入れなかった事だ。
あの集落の者達が皆、家族でさえも、迫害、そして虐待してきたのだろう。
よく見ると、手足には打撲痕の様な痣が幾つか有る。
「心配するな。
俺達は…グリゴリは、決して お前を怖がったりしない、虐めたりしない。
お前と同じ、神器所持者も沢山居る。
そして、俺も…だ。」
『Boost!!』
「…!?」
◆◆◆
…どうも。
はぐれエクソシストの、茂部園市です。
アイザック隊長が あの神器持ち?の少年との会話の最中、神器を展開しました。
左腕に現れたのは、鋭角的デザインの赤い籠手。
そして展開時の「ぶーすと」ってゆうオッサンヴォイス。
はっはっはー(笑)。
何なのですか、アレわ?
まるで伝承に聞く、【赤龍帝の籠手】じゃあないですか。
「はぁ…またアイツゎ…」
それを見たカラワーナ様、何やら頭痛っぽい やれやれ顔をして、額を手で抑えています。
「良いか お前等…ヤツが赤龍帝であるのは、忘れろ。」
「「「「「は…はい…」」」」」
そして我々に、隊長の素性についての口止めを促すカラワーナ様。
…って、えぇえ゙!!?
ってゆー事は、隊長って、マジに赤龍帝なのですか?
いやいやいやいや、グリゴリに、あ・の・
更に言えば、自分達って、赤龍帝率いる部隊に所属しているって事ですか??
これって結構、名誉でないですか?
やっべー まじ やっべー!
テンション上がってきましたよー!!
カパ…
そして更には、"アイザック"の異名の元になった、黒い仮面も外す隊長。
…って、若っ!隊長、若っ!?
どう見ても10代じゃないですか?!
≫≫≫
「お…お兄ちゃん…も…?」
アイザック隊長の神器を見て、驚くレオナルド少年。
「あぁ。俺も見ての通り、
そして…」
バサァッ
「「「「「!!!??」」」」」
え…?ええぇえーーーーーーーーーっ!!?
背中に、黒い翼がぁ??
隊長って、堕天使だった…って、だ、堕天使で赤龍帝ぇえ!???
「深く考えるな…
それと、アイツが堕天使ってのも、今は まだ、口外は厳禁だ。
全く…あれだけアザゼル様に止められているのに、軽はずみな…」
…カラワーナ様のリアクションから察するに、どうやら隊長は組織内でも、かなりな秘密持ちさんみたいですね。
尤も、人間の身で、冥界のグリゴリ本部に住んでるって、少しだけ変だとは思ってもいたので、ある意味納得ですよ。
≫≫≫
「だ、堕天…使…なの…?」
あの赤い籠手に続き、隊長の黒い翼を見て、この場に同行している私達はぐれエクソシストの皆さん、そしてレオナルド少年が驚いています。
「…………………………(怒)。」
そんな中、カラワーナ様だけが、隊長に対して何やら色々と言いた気な怒り顔。
唇右半分を上方に引き攣かせて、彼方を睨んでいます。
普段から只でさえキッツい お顔が、更にキッツくなっています。
カラワーナ様、グッレイトな美人さんなのに、勿体ないですよ~?
あ、隊長も その視線を察知したのか、カラワーナ様に『ゴメンナサイ。(>人<)』のリアクションしてますね。
しかも結構、真剣&必死に。
◆◆◆
…やぁ、イッセーだぜ。
神器発動、翼展開、そして素顔公開。
ん。正体を隠す意味で総督から止められた3つを、全て やっちまったぜ。
カラワーナさんの顔が少s…かなり怖いけど…でも、このレオナルドを説得するには、腹を割って全て話すのがベストだと判断したからだ。
反省も後悔も、何も無い!
説教なら後で、幾らでも聞いてやるよ!
でも、なるべく優しく お願いします…。
≫≫≫
「……………。」
「………………………。」
俺は話した。
平和な日常、普通に中学生やってた時に、いきなり天使が率いる集団が、家に押し掛けてきた事。
両親を殺され、住んでいた家も破壊された上で、拉致られた事。
奇妙なカードを体に埋め込まれ、強制的に天使に転生させられた事。
…その場で即、堕天した事。
その後、朱乃ちゃん達と出逢い、グリゴリ本部に連れて行かれた事。
そして、その後の生活…現在、グリゴリの戦士として過ごしている事。
…全てを、レオナルドに話した。
「もう一度言うぜ。レオナルド、グリゴリでは誰も、お前を差別したりはしない。
だから、俺達と一緒に来い。」
「………。」
その上で再度、レオナルドに誘いを掛けるが、それでも決め倦ねている様子だ。
10歳に満たない子供だから、仕方無いと言えば其れ迄だが、どの道、選択肢は無いんだがな…
◆◆◆
ううぅ…ぅおわぉおーーーーん!!!!(T_T)
あ、再びの茂部園市です。
少年を説得するにして話された、アイザック隊長の過去。
トランプのカードをモチーフにした、転生天使の話も衝撃的でしたが、それ以上に隊長がグリゴリに籍を置いた経緯。
重い!重過ぎます!!
周り、私だけでなく、他のエクソシスト(はぐれ)達も、涙どどーです!
いやはや、教会のシスターや女戦士共に、セクハラ連発で追放された自分とは、えらい違いです!
…って、あ~、何だか思い出したらムカついてきました。
クソ!追放の直接原因となった あの蒼髪緑メッシュの脳筋怪力小娘、今度 逢ったら絶対に私のΧΧなΧΧをΧのΧΧΧΧへΧΧにΧΧΧΧで 散々ΧхΧΧせた挙げ句、無理矢理に凸凹Χしてやります!!
「くっくく…エクソシストの死骸が多いと思えば…」
「「「「「「「!!?」」」」」」」
…はい?誰ですか?アナタ達?
そんな中、いきなり後方から声がしたので振り向いてみれば、そこには黒のスーツをビッシリと決めた男達が約10名。
そして それ等を束ねているの様な、派手な貴族っぽい衣装を着た金髪の男が1人。
えぇ、悪魔ですね?解りますよ。
「くくく…おい堕天使、そのガキ、素直に こっちに寄越せ。
そうすれば今回だけは、見逃してやっても良いぜ?」
「「「「くきゃきゃきゃきゃ!!」」」」
「……………………………………。」
悪魔貴族と その下僕悪魔達が、隊長に少年の引き渡しを要求。
「レオナルドを…どうする心算だ?」
「くっくく…決まっているだろう?」
スッ…
隊長の問いに、この悪魔は懐から、チェスの駒…あれが噂の、
あの形状、恐らくは
まぁ要約すると、この悪魔共も、レオナルド少年…神器所有者の話を聞きつけ、己が眷属に…と、この地に足を運んで来たのでしょう。
「…だ、そうだが?
レオナルド、どうする?」
「い、嫌だ!僕は、お兄ちゃん達の所に行く!!」
今度はレオナルド少年に、どうするかを聞く隊長。
先程の、転生天使の話を聞かされた事も有ったのでしょう。
転生悪魔の素である駒を見て、自分が悪魔共に着いて行くと どうなるか、幼いながらも理解出来たレオナルド君は、我々に…ってか、隊長に着いて行くと、ハッキリと断言です。
「残念だったな。お前等、嫌だってよ。」
隊長、凄く嬉しそうです。
普段は仮面で顔を隠していたから想像も付きませんでしたが、結構表情豊かですね、この人。
「ふん!ならば この場で貴様等を皆殺しにして、無理矢理に転生させる迄よ!!」
ブチィッ…!!!!
ん?今、あの悪魔の言葉に反応したかの様に、何かが引き千切れた様な音が聞こえたのは、気のせいですか?
…って、た、隊長お?!
顔!顔が鬼になってますけどぉ!?
◆◆◆
…イッセーだ。
今、コイツは何と言った?
無理矢理に悪魔に転生させる…だと?
……………………………………………。
「巫山っ戯るなよ、テメェっ!!!!」
『Boost!!』
バキィ!
「ガハァッ?!」
ドライグの能力で倍加したパワーでの、渾身の左の拳を、この巫山戯た台詞を抜かした、悪魔の顔面に ぶち込んだ。
「はぁ…"無理矢理に転生させる"って…
その類の台詞、アイツの前じゃ禁句なのに…」
「「「「「…で、ですよねー。」」」」」
カラワーナさん達が、何やら話しているが、既に耳に入らない。
「て、テメェっ!!?」
「構わねー、殺っちまえ!!」
そして この一撃が、戦闘の合図となった。
「リーダーっぽいのは俺が殺る!
皆は他の、雑魚っぽいのを頼む!!
カラワーナさんは、レオナルドの護衛をして下さい!」
「「「「はっ!」」」」「あいよ!」
「…了解したわ。」
それぞれに指示を出して…さあ、戦闘開始だ!
逝くぜ、ドライグ!!
『応よ相棒!
あの厨二総督の野郎…理由は理解出来んでもないが、
まぁ今回は、既に外に出てる訳だし、今更出し惜しみする必要も無いだろう!
久し振りに、大暴れしてやろうぜ!!』
≫≫≫
「坊や、後ろに下がっていなさい。」
「…うん。」
俺の指示で、レオナルドを護る為に前に立つカラワーナさん。
そして それに、静かに頷くレオナルド。
「あ、あの…ありがとぅ…おバs…」
むにゅぃい…ぐいぐいぐぐぐぃ…
「(怒)お(怒)ね(怒)え(怒)さ(怒)ん(怒)…(怒)で(怒)しょ(怒)?(怒)」
「い…いひゃぃいひゃぃ…?!
ぎょ…ぎょれんまはぃ、ぼれぇさん…」
……………………………………………。
顳に大きく 図太い血管を浮き上がらせた上で、凄く優しく微笑みながら、レオナルドの両頬をびろーんと横に広げる様に摘み、容赦無く思いっきり上下に むにむにと引っ張るカラワーナさん。
レオナルド涙目。
いやいや、そんな事してる場合じゃないですよ、カラワーナさん!
でもレオナルド…今のは お前が悪いよ…。
◆◆◆
『Welsh Dragon Balance Breaker!!』
「うわぁっ!?凄い!凄い凄い凄い!!」
度々すいません、茂部園市です。
あ、そこの人、「また お前かよ!?語りならカラワーナさんとチェンジしろ!!」…とか言わないで下さい。
はい、戦闘の最中、アイザック隊長が神器を禁手化しました!
正直な話、あの貴族悪魔も、其処迄しないといけないレベルでは無いと思うのですが、察するに久し振りの神器の使用(身許可)なのでしょう、かなりノリノリに見受けられます。
この辺りは、まだハタチ前の若さなのでしょうねぇ。
そして その禁手である、"赤龍帝の鎧"…
それを見たレオナルド少年、まるで特撮変身ヒーローを見ているかの様に、瞳をキラキラと輝かせて興奮しています。
これにはカラワーナ様も、苦笑です。
え?戦闘中に、余所見してる余裕が有るのかですと?
いえ…こう言っては失礼ですが、この下僕悪魔の皆様、ぶっちゃけ本当に雑魚ですから。
それに私達、その他大勢なモブと思われがちですが、こう見えて結構強いんですよ!
「ひゃぁっはっはぁ~ぁぃ!
死にさらせやぁ、クぅソ悪魔共がぁっ!!
この俺ちんが、その首チョッパねてやっからよぉ!!」
斬!
……………………………。
ま、まぁ、中には彼の様に、性格に やや問題の有る人も居ますが…
≫≫≫
「ひ、ひぇっ!!?」
…さて、戦闘場面は省略させて戴きますが、あの貴族悪魔は禁手化した隊長の、光の龍爪の一撃で瞬殺。
10名近く居た下僕悪魔も、残り2名になり、その彼等が逃げ出そうとしましたが、
カァッ…
「な…?」
「ふん…逃げられると思ったのかい?」
「………?!!」
レオナルド少年とのファーストコンタクト。
その時に彼が放った小型の魔獸を滅したのは、隊長が創った光の壁。
今度は それを、カラワーナ様が創り出しました。
しかも、この場から恐らくは洞窟の出口迄、幾重にも。
光は悪魔にとっては有害。
この光の壁は、土やコンクリートの様な、所謂"物質"で出来ている訳では無いので、頑張れば すり抜けは可能。
多少のダメージ覚悟で強硬突破も可能と言えば可能ですが、下級の下僕悪魔では、1枚2枚通過した時点で、滅されるのは必至でしょう。
ついでに言えば、この光の壁と同時に、転移不可の結界も我々が張りましたので、最早逃げられはしません。
所謂、詰みと云うヤツですね。
「♪帝〇わぁ♪とってもぉ♪つおい~♪」
「「あ…ぁぁあ…」」
そして この絶望的な表情の悪魔2名に、ウチの"糞悪魔絶対殺すマン"が光の剣を握り締め、何処かで聞いた様なリズムに即興の?歌詞を添えて口ずさみながら、凄く
茂部園市の外見イメージは、乾玲視(無駄ツモ)で。
≫≫≫
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