お久し振りです?
「何用じゃ、ロキ?
儂は貴様等、呼んでおらぬぞ?
如何に貴様とて、この場に足を踏み入れる権利は持っておらん。
早々に立ち去るが良いわ。」
突然 現れた男…北欧の1柱であるロキに、オーディンが退室を促す。
「ふっ…失礼、オーディン。
しかし、居ても立っても居られなくなったのでね…」
「何?」
しかしロキは不敵に笑いながら、それを拒む姿勢を見せた。
「実に…実に我慢ならぬ。
アースガルズの誇りは無いのか?
聞けば、貴奴奴等は既に、壊滅同然だそうではないか!
仮に その残党共が このアースガルズに攻め入ったとしても、我等北欧の者だけで、十分に対処出来るであろう!
他所者の協力を得ずとも、そして他所にテロリストが攻めようが、其の者共に協力をする必要も無い…
オーディンよ、貴方は そうは思わないのか?」
「…思わぬよ。」
両手を大きく広げたオーバーアクション、演説染みたロキの問い掛けに、オーディンは即座に『否』で応える。
「ロキよ…お主の本音は、別の処にあるのだろう?
例えば…我等が連携を深める事で、お主の望む"
既に【聖書】が、その内側の3大勢力を堕天使が統括した事により、"
「……………………。」
「お主は元より その、
「…………………………。」
「沈黙は、"肯定"と受け取るぞ?」
更に北欧の主神は、現在は仮説に過ぎぬが、義弟神の企みを問い質す。
事実ロキは、【聖書】の三竦みが再び争い、世界中を巻き込むであろう戦乱に便乗して、自身の配下を率い、アースガルズに宣戦布告、
そして つい先日、【聖書】の天使、堕天使、悪魔が駒王町の会談を切っ掛けに衝突。
しかし それは、
その結果、
「…だからこそ、次に お主が望むのは、
…違うか?」
「……………………。」
◆◆◆
イッセーだ。
いきなり会議の部屋に乱入してきた、スタイル抜群な美女さんと、如何にも性格が悪そうな顔をした男。
オーディン様がロキと呼んでいたが…
そうか、こいつが…所謂 世に伝わっている一般的な北欧神話に於いて、『だいたいコイツのせい』のポジションとされている、北欧のトリックスター、悪神ロキ!
…だとすると、ロキの隣に居る あの
オーディン様との会話の遣り取りから察するに、各神話勢力同士が結束力を増せば、それだけロキは、北欧神話に於ける最終戦争…則ち
確か、伝承による
戦乱を望むロキからすれば、それが不服らしい。
「ふん…戦争狂が…」
そう呟いたのは、我等がグリゴリ随一の戦争狂、コカビエル師匠だ。
しかし、師匠が普段から謂っていた"戦争"と云うのは あくまでも、【聖書】内の争いの事である。
そして今回、それが堕天使側の勝利で終決したという結果にも満足しており、最近は かーなーり、丸くなっていらっしゃる。
あの毎日の様にしていた、"戦争LOVE"の熱弁演説も、今は3日に1度程度の頻度になっている位に、だ。
「何か言ったか? この、薄汚い鴉風情が?」
「ぁあ゙?!」
その一言に喰い付く、北欧の悪神。
以外と自身が煽られるとかには、慣れていない様子だ。
…って、師匠、アンタも簡単に釣られんなよ!
「良いか、北の悪神…」
そして釣られながらも、師匠は言葉を続ける。
「戦争ってのはなぁ、根元を辿れば、それが"個"だろうが"群"だろうが、他者同士の主張と意地の ぶつかり合いだ。
それを白黒着けるから、 楽しい 正しいんだろうが。
しかし、お前が望む
…そんなのは流石の俺も、受け入られんよ。」
成る程。
戦"争"狂の前に戦"闘"狂と言うか、完全決着主義の師匠としては、最初から双方滅亡が決まっているのも当然な、北欧神話に伝わる最終戦争は、自身の戦争観?からすれば、それは邪道とでも云うべきか、容認出来る事柄では無いらしい。
要約すれば、「お前と一緒にするな。」で正しいと思う。
「大体 貴様は、
「ふん…知れた事よ…」
そして師匠の この質問に、ロキは、不敵な
「…別に…何も、望まんよ。
今は神々の世も人の世も、完全に腐り堕ちている。
世界は、滅びの焔で浄化されるべきなのだ。
強いて言うならば、その
仮に その上で、運良く生き残った神や人、その他の種が居たならば、己の過去の愚かさや過ちを戒めつつ、新しい創世を築けば良いさ。
私は その行く末を、見届けよう。」
…それ、力が正義の世界や無関心無干渉の世界や序列生来固定停滞の世界になったりしませんか?
しかも、世界が滅亡しようとも、自分は ちゃっかりと生き残るって言ってるし!
「危険だZE、お前…」
「全く…だ!」
「滅びが目的等と公言する者を、見過ごす訳には往かないねぇ?」
「…オーディン? 良いな?」
「やれやれ、仕方無いのぅ…」
ガタッ…
そして このロキの主張を危険思想として、帝釈天様を基に、師匠や他の神様達も立ち上がり、その御付きの皆さんも武器を構える。
当然、師匠が立つなら、俺とマガガルも前に出る。
アテナ様も、オーディン様に了承を伺いながら、得物の処刑鎌を取り、そして そのオーディン様、その護衛役のロセも、前に出た。
「ロキよ…。
残念だが貴様を、放置する訳には往かなくなった。
何、殺しは せぬよ。
只、永久封印の身となって貰うがのぅ…」
ザンッ…
そう言いながら、オーディン様は
「ふ…ん…!」
しかしロキは、余裕な
…って、何だか変じゃないか?
いくら滅びの戦争を望むからって、それをこんな場所で…各神話の皆さんが揃っている場で、宣言したりするか?
いくら自分が属する北欧が、他神話と同盟を結ぶのが気に入らないからって、この場に現れて あんな発言をすれば、今みたいに取り囲まれるのは、解っている事じゃないのか?
解っていて…?
ま、まさか、コイツ?!
「ふふふ…
ふあーっはっはっは!
ならば このロキ、今 此の場で正式に、アースガルズでなく
さぁ、ラグナロクの始まりだ!」
ヴォン…
『『『うゎぉおおん!!』』』「「「「「………??!」」」」」
そう言って展開した魔方陣から喚び出したのは、2匹の巨大な狼と、更に巨大な狼が1匹!
あれって もしかしなくても、北欧神話最悪の
やっぱりコイツ、最初から宣戦布告する心算で、この場に現れたのか!
『『『うゎぉおぉぉおぉん!!』』』
「YAREーYAREだ・ZE!」
「「「「……………………。」」」」
『神殺し』の属性を備える牙と爪を持った魔獣。
それは"神様"にとっては最悪の相性の持ち主であり、オーディン様は勿論、アテナ様や天照様、あの帝釈天様でさえも、顔に隠す事無く、警戒心を強めている。
スゥ…
「……?!」
そんな中、ロキの傍らで ずっと無言で控えていた美女…ヘルが、此方に…ってか俺に向かって、微笑みながら ゆっくりと近付いてきた。
…ヤバイ!!
何がヤバいって、あの殺気を全く感じさせない優し気な笑顔が、
そして それは俺だけで無く、周りの皆さんも同様。
安堵を与えるかの笑みが、身の動きを封じてしまう。
実際に金縛りな訳で無く、危ないと思いつつ、攻撃姿勢を取ろうとするが、あの笑顔が その
そんな分析をしている中、俺とヘルとの距離は どんどん縮まり…
不味い! この儘じゃ本当に、無抵抗の儘で殺られてしまう!
それが頭では理解出来ているのに、体が警戒しようとするのを拒否している!
ぴた…
そして距離は完全に
「赤龍帝様、好き…です…
俺は彼女に、寄り添われた。
…って、えええぇっ???!
「へ…ヘルたそ~っ?」
これには
ん。気持ちは解る。俺だって吃驚なんだから。
「はい?」
「むぅ…」
「なぁっ?!」
「ふっ…」
「ほぅ?」
「へ?」
「ふむ。」
『へ~♪』
「「ギャハハハハハハハHA!!」」
「ヘル! 何の冗談だ?!」
この場の皆さんが様々な反応を見せる中、平静を取り戻したロキが、俺の体に ぴったりと くっついているヘルに問い質す。
「冗談…?
何を言っているのだ
私は
それで、何を言い出すと思えば、いきなりの滅びの願望からの戦争宣言だと?
馬鹿か? 馬鹿なのか、貴方は?!
自分の下らぬ理想に、
そんなに滅びを望むなら、貴方1人で勝手に死ねば善かろう!
幸いにも此の場には、それを可能とする強者が大勢揃っているぞ!」
「ぐっ…!?」
それに対してヘル…さんは、自分の父親に凛とした表情で痛烈な返事。
「ギャハハ! モテモテだNA!
お前ん処の弟子!」
「くくく…そりゃオメー、一体 誰の弟子だと思っていやがる?」
「帝釈天様、ウチの、隊長ですから。」
「あ、もしもし朱乃ん?
イッセーが また、こっちで新しい嫁を増やしたっス。
……………………………………………。
ん、そっスよ。
またシフトの組み直し、よろしくっス♪」
…えぇ~っと、ミッテちゃんは一体 何処に、そして誰に何の話をしているのかな?
それから師匠や帝釈天様には文句言えないとして…マガガル、オマエ後で覚えてろ。
「ちぃ、何時の間に蜥蜴に
この
そして、娘に裏切られたと云うか愛想を尽かされたと云うかなロキが、女性に対して、少なくとも公な場では絶対に言っては ならない単語で批難。
「ならば!フェンリル!!」
『『『ぐぉゎおぉ~おん!!』』』
更には その儘、フェンリル(他2匹)を此方に攻撃する様に指示!
ダダダダッx3…ササッ…
そんな雄叫びを上げながら駆け寄る巨狼の前に立ちはだかったのは、コカビエル師匠!
確かに師匠や俺達堕天使は、神様なんかじゃないから、所謂『神殺し』の
でも、それでも あの牙や爪の鋭さは、普通に脅威なんですけど?!
…って言ーか、師匠と狼とじゃ、相性が最悪過ぎる!
「「………………。」」
ほら、ミッテちゃんやマガガルも、何とも表現の しにくい、微妙な表情を浮かべているよ!
そう、師匠は…
ニィッコリ…♪
『『『!!!?(びぃっくぅっ!!)』』』
そう…師匠は実は、狼…ってか、
自宅でも超大型のケルベロスを2 匹、飼ってるし!(シベリアン・ハスキーベース)
このフェンリル達にも烏〇先生みたいな凄く
『『『きゃぅぅう~ん…』』』
「良~し良し、良い子だ良い子だ♪」
『くぅぅう~ん…』
「はぁあぁっ??!」
フェンリル親子は その笑顔に完全に畏縮、揃って仰向けになっての服従ポーズだよ!
それを見てコカビー師匠は喜んでフェンリルの腹を撫でてるけど それ、別に師匠に懐いた訳じゃなくて、さっきの笑顔に戦慄しただけだからね!
さっきのヘルさんの笑顔とは、正に真逆!!
ん。やっぱり師匠と犬系は、相性が悪過ぎる!
フェンリル達に少しだけ、同情するぜ。
「…何…だと…?
あの、フェンリルが、この私以外に…?!」
そして その、凶悪犯罪者面の男に凶狼が服従している光景に、北欧の悪神は呆然としてるけど、実は そんな暇は無く。
「おぃ、随分と上等な真似、してくれたNA!」
「…覚悟は、良い?」
「た…帝釈天? アテナぁ?!」
そう、帝釈天様やアテナ様といった、此の場に集まっていた各神話の神々の皆さんが、ロキを討つべく取り囲んだのだ。
必勝カードの筈だった、"神殺しの獸"は師匠に封じられ、更には自分の娘であるヘルさんも
「ま…待て! 話し合おう!
こ、此方は1人だぞ!
それを集団で討とうとか、貴様等には、神としてのプライドは無いのか?」
「悪いNA? 生憎だが、俺達は お前さんと、"話術"で絡む心算は無いんだYO!」
「大丈夫。今から皆でするのは、O★HA★NA★SHI★…だから。」
「心配しなくとも善いぞ?
オーディン殿の顔を立て、殺しは せぬよ?」
「ロキよ…諦めぃ…。」
「お…オーディンん~~~~っ!!?」
▼▼▼
…ロキ、北欧の下層領域、ニヴルヘイムでの永久封印が確定。
①ヘルの容姿は、アーシェス・ネイ(BASTARD!!)のイメージで。
②フェンリルの子供の名前は、スコルとハティですよ?分かりましたか?イッセー君?
③ロキが神々にOHANASHIされる
④尚、フェンリル親子は、コカビー師匠が引き取った模様。
⑤ヘルがイッセーに墜ちた経緯等は、次話以降にて。
⑥コカビー師匠の弱点(笑)…犬
次回:『突入!
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