Fate/Wars 泡沫のパラダイムシフト   作:氏家 慷

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Fate/Wars 泡沫のパラダイムシフト 8

激しい戦いの末に、2人の天才はモニターの中に発生した聖杯を見つめる。

「では、アインシュタイン宝具を発動させ、電脳空間にある聖杯を取り出してくれ。」

「承知した。

神話の時代を斧が砕き[[rb:自然 > かみ]]の在りかを知識が覆う。

私が求めた世界の真理、他に阻害され掴めなかった真の世界の在り方は、時空を超えて証明された。

その証明の根拠とは、[[rb:すべてが解った理想の宇宙 > ゴース・アイニコンスティールリー]]」

アインシュタインが宝具を発動し、端末そ捜査して物質転送装置を起動させ聖杯をこの場の出現させた。

「素晴らしい、遂に私のいや、全魔術師の望みが叶う。」

「根源への到達は、物理学者の夢でもある。なにせ、世界の真理を見ることだからな。」

「では、聖杯に接続して根源へアクセスしよう。」

ショーペンハウアーが端末を操作しようとすると、どこからともなく煙草の匂いが漂ってきた。

2人が後ろを振り向くと、そこには何時の時代の物かよくわからない甲冑に赤いフードを付け短機関銃を持った男がいた。

「君たちは、今、根源へ到達しようとしているね。最初は成功すると思っていなかったからただ見ていたが、

まさか、異世界のサーヴァントを呼び出しているとはね。ちょうど一服しようとしたときに聖杯を呼び出すなんて、タイミングが悪いな。さっさと終わらせたいし、ここで死んでもらうよ。」

「突然、表れて何を言ってる?銃なんかで魔術師をやれると思っているのか?キャスターッッ!」

「私の宝具が発動している状態では私は無敵だ。」

アインシュタインが銃と甲冑を爆破させようとするが何も起きない。

「何故だッッ!何をした!」

「[[rb:固有時制御 > タイムアルター]]、時間を固定するんだ。時間が進まなければ、どんな物理現象も発生しない。

君の力では僕を倒せない。」

「そんな、馬鹿な。だが、これならどうだッ!」

アインシュタインは空間のエネルギーを取り出し無数の光球で抑止力からの使者を攻撃した。

だが、抑止の使者は持っていたナイフで光球を切り裂き回避した。

「また、直死の魔眼か!?」

「そんなに、何人も持ってて堪るか!単に魔術を打ち消しただけだ。ナイフで処理しきれなければ無意味な代物だよ。」

そう言うとアインシュタインは再び無数の光球を生み出した。今度は、先ほどより多く。

そして、抑止の使者の足元の爆破して怯ませるとドーム状に展開した光球を一斉に放った後に、光の壁を出現させ、抑止の使者を閉じ込めて、少しずつ光の箱を縮めていった。

「これで、お終いだ。」

抑止の使者を倒したと思ったその時、光の壁を切り付けて抑止の使者が現れる。

「危なかった、[[rb:固有時制御 > タイムアルター]]を使ってもあの数を捌くのは苦労する。さて、もう気が済んだだろう?

これで終わりだ。」

抑止の使者は短機関銃でアインシュタインでを撃ち殺した。

 

キャスター アインシュタイン 消滅

 

「うぁああああああああああ、アァァッ!何故だ!?何故こんな事をッ!こんな事をしてお前に何の得があるっていうんだッ!」

「得なんてないさ、ただの仕事さ」

「何故、私を殺そうとするんだ。誰が仕向けた?」

「いいか、落ち着いて聞いてくれ君は、そう、知りすぎたんだ。私を仕向けたのは、世界だ。」

「世界?」

「そうだ、本来なら、こんな説明はしないが何も知らぬ子どもを殺すのは気が引けるのでね。

魔術師が根源に到達するのは、この世界にとって危険と認識されるんだ。だから殺す。いいね?」

抑止の使者は顔を隠していてわかりにくいが悲し気な顔をしながら優しく諭すように言った。

「ふざけるな!お前がキャスターと戦っているうちに、聖杯にアクセスした。根源へ到達したんだ!

私は、遂に魔法使いだ。くらえッッ!」

ショーペンハウアーが叫ぶと無数の光球が発生し抑止の使者を襲った。

「なんだ、キャスターの能力にそっくりだ。」

抑止の使者は光球を切り裂きながらショーペンハウアーに近づき話を続けた。

「今ので、わかったろう君のキャスターは気づいていなかったが宝具の行使によって既に第1魔法『無の否定』を扱えていたんだ。君は、あのキャスターに憧れていた。だから、聖杯がその願いに呼応し君に第1魔法を与えたんだ。

はぁ・・これで、いよいよ君を殺さなくてはいけなくなったキャスターだけで世界が納得するはずだったのに、君が自ら破滅を選んだんだ。もう容赦はしないぞ。」

抑止の使者は怒りながら話を続けた。

「僕が呼ばれたのは、第1魔法が真の意味で世に広まることを防ぐためだ。事の発端は真空には無限のエネルギーがあると、ある科学者が証明した事だ。しかし、それだけでは、世界にとって何の害も与えない。なぜならば、それ自体が証明されても誰も何も出来ないからだ。それに、魔術師たちは、第1魔法は既に消滅していると思っている上に科学を受け入れていない。交われば危険だが交わることは無いと思っていた。それを君が混ぜたんだ。君とキャスターは進みすぎたんだ。」

「何度も言うが、何故だ。私が世界にとっての害だと?私は、自分の実力を[[rb:魔術師に > ・・・・]]世に広めきるつもりはない。世界にとっての害を消したいのならアトラス院に行けッ!」

「まあ、子供にはわからないこともあるだろう。情報とは熱エネルギーのように広まりきるまで広まり続けるんだ。

既に神秘の秘匿すら難しいこの時代では、知るだけで害だ。熱を止めるにはエネルギーを奪い取らないと、そう君の魂の灯を僕がかき消す。それしかないんだ。僕だってやりたくない。」

抑止の使者は、短機関銃でショーペンハウアーを撃ち抜いた。だが、ショーペンハウアーは死ななかった。

「キャスターは、サーヴァントだったから限界を迎えたが私は、違う。体を破壊されても空間のエネルギーを物質化して体を修復すればいい。私は、不死身だ。」

「それは、脳が活動できればの話だろう。頭を打ち抜けば君は死ぬ。」

「だから、どうした。私の頭をお前が打ち抜く前にお前のナイフを取り上げてお前を殺す」

「できるといいな」

抑止の使者は、呆れて言った。

ショーペンハウアーは、抑止の使者に向け光の槍を打ち出した。抑止の使者がそれを避ける所を狙って抑止の使者の足元から、光の板を作り出して抑止の使者を宙に押し上げた。そこに無数の光の槍を球場に展開し抑止の使者を串刺しにした。

「がはッッ!」

ショーペンハウアーは落ちて地面に転がった抑止の使者の四肢を光の槍で突き刺して固定するとナイフを取り上げた。

「僕を、殺しても無意味だ。次が来るだけだぞ。」

「だから、どおした。そしたらまた、倒すさ。」

「そうか、君は世界に抗うんだな、僕が抗えなかった大いなる力に。なら、そのナイフを持っていけ、僕が消滅しても、そのナイフは君の手元に残る。君は第1魔法の使い手だ。あらゆるものは、君が持つことで世界が存在の矛盾を認識できなくなる。」

「待て、私はお前を殺すんだぞ?何故、そんな事をする?」

「フフッ君は『何故』が多いな。じゃあ消える前に、僕の家族の話をしようか。

ある時代で、世界は危機を迎えた抑止の力が及ばない危機に、そこで僕は朧げな記憶、いや僕では無い僕の情報を知った。

暖かで穏やかとまでは、行かないが幸せそうな家族の事を。そこで知った息子は君とは少し違うが似たような魔術を使ったんだ。君にナイフをやったのは、たったそれだけの理由だよ。馬鹿みたいだろう?」

ショーペンハウアーは、話を聞いて抑止の使者を哀れみ、そして、抗いようのない力に取り込まれた事を、抗いきれなかった事を自分の感じていた絶望と重ねた。この英霊の持つ何かをナイフ以外の何かを瞬時に与えられたようなそんな感覚になった。

「消える前に、その息子の事を聞かせてくれ、私、いや僕には父がいないんだ。母は売春婦で酔った魔術師が孕ませて僕が生まれた。僕は、誰かに何かで認められたかっただけだ。だから、僕は、あなたが消える前に尊敬するあなたについてもっと知りたいんだ。」

「息子の事を知っても僕は君の父親代わりにはなれないぞ?」

「大丈夫だ、勝手にそう思う」

「フフッ君は勝手な奴だな。いいだろう少しだけだぞ。君には、ナイフをやったが息子には呪いを贈ってしまった。」

「呪い?」

「ああ、正義の味方に僕が憧れていた事を話したら、それになるって言い続けたんだ。」

「貴方は、正義の、世界の味方じゃないか」

「いや、僕は正義の味方なんかじゃない大切な人も多くの無辜の人々もそして君のような子供すら殺そうとした。」

「そうか、じゃあ僕もその呪い貰っていくよ。」

「なに?」

「僕が、正義の味方になる。父さんや父さんの息子と違って今の僕は無敵だからな。」

「はぁ、父さんか、息子にも、そう呼ばれたことがないから複雑だな。」

「嬉しい?」

「いや、産毛立って気持ち悪い。」

「「はははっ」」

「じゃあ、そろそろ行くよ。自分から言ったんだ。すぐに死ぬなよ?」

「わかってるよ、じゃあ僕も行くよ。看取られたくないだろう?」

「ああ、ありがとう」

ショーペンハウアーが後ろを向いて歩きだすと抑止の使者は静かに息を引き取った。

 

アサシン エミヤ 消滅

 

抑止の使者が消えると、こちらに誰か走ってくる。

「おおーい、ショーペンハウアー君、あまり危険な所に来るな。君が亜種聖杯戦争の跡地に大荷物で向かっていると、君を見かけた他の生徒から聞いて驚いたよ。すぐに時計塔に戻るぞ。早くこちらに来なさい。」

「すみません、教授やることが出来たので、もう講義には出ません。」

「また、そんな事を!君は自分をなんだと思っているんだ!それにやることってなんだね」

教授が叫ぶのと同時にショーペンハウアーは先ほどまで使っていた機材を全て爆破した。

「うわっ!」

「もうこの機材はいらない。泡沫のパラダイムシフトだったが世界のためだ。しょうがない」

「いったい、何が起きたんだ?」

「教授、さっきの質問に答えます。やることは、人助け。そして私は、魔法使いだ!」

「何を、行ってるんだこっちに来い!」

「では、さようなら~」

ショーペンハウアーは、体をエネルギーで包むと飛び上がってどこかへ消えた。

「なんだあれは、魔法使い?本当なのか?」

 

 

 

これからアルバート・ショーペンハウアーは、第1魔法を持ってしても抗えぬ世界の危機に直面し、衛宮切嗣と同様に、アラヤと契約を交わすのだが、それはまた別のお話。


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