ピュートーンさん!?d×d 作:塩で美味しくいただかれそうなサンマ
シャドウバース、進化前フレーバーテキストより
暗い場所で眼を覚ます。
どこか暖かい泥が体全体を包んでいる。
ふと、意識が覚醒する。
転生した、そう理解した。
いや、それだけではない。
自分が何者か、この世界は何か、その原理は何か。
自己の使命、世界の運命、何もかも。
全てを、真理を、目覚めのまどろみも感じぬその刹那の間に。
理解した。
「キュオオオオオォォ!」
天蛇の咆哮がこだまする。
洪水の泥の中から重たい首を持ち上げ鳴くその蛇には。
天から薄雲の間を抜けて神聖な光が降り注ぐ。
天蛇の体から雷霆が地の果てまで広がっていく。
それは天蛇による宣告。
その瞬間、世界の運命は全て、《定まった》。
ギリシア神話において、デルフォイの神託所の番人とも、またはそこで神託を授けていたともいわれる大蛇。
名をピュートーン。
それに転生した。
なんの前触れもなかった。
自分は本当にただの男子高校生だ。
いつも通り部活を終えて帰って、そしていつも通り、シャドウバースをしてから寝ただけだったんだが…
シャドウバース…もう辞めようかななんて思いながら寝たなそういや。
普通にやるとクソゲーだけどネタデッキ作って友達とやりあう分にはそこそこ楽しいんだよな。
普通の、なんの取り柄もない凡夫が異世界転生を果たすというお約束展開。
まさか自分がそんなものに巻き込まれるとは思ってなかった。
確かにいつも生活していてあったらいいなぁ…と、何回も願ったものだ。
そして、今思う。
ふざけるな。
今理解する。
《無知》故の《幸福》を。
ピュートーンの誕生から何千年が過ぎただろうか。
世界ではいろいろなことが起きた。
災いも救いも、その両方を含めて数え切れないほど。
中には「奇跡」と呼ばれる事象もあった。
だが…その全てを知っている、確定させた俺には…虚しさだけしかなかった。
《神》という人が及ばぬ領域に、《人の精神性》のまま到達したらどうなるであろうか。
答えは簡単。
精神の崩壊である。
強すぎる力、大きすぎる責務。
そのようなものに心は摩耗し、精神はいつしか何も感じなくなる。
とりわけその青年は不幸であったのだろう。
なにせ転生先が「ピュートーン 」だったのだから。
「ピュートーン 」は、神託と運命の天蛇。
全てを知り、全ての運命を定め、そして神託を与えるとされる神。
《全てを知る》という苦痛を、《運命を定める》という苦痛を、精神が人間である彼に耐えられるはずがない。
哀れな天蛇は今日もデルフォイにて神託を下す。
神の“力”を持っていても神の“心”を持っていないその天蛇。
それは使命と運命に流されて生きる傀儡であった。
東方の方もあまり投稿できてないのに投稿して申し訳ないです。
ピュートーン愛が止められませんでした。
いかがでしたでしょうか?
分かりにくい点とか批評とかあったらお願いします。
今後とも、よろしくお願いします。