ピュートーンさん!?d×d   作:塩で美味しくいただかれそうなサンマ

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天蛇が紡ぐ神託の糸が、絶対の運命を編み上げていく。天蛇が一つ言葉を告げる度、何かが生まれ何かが潰える。

神撃のバハムート、ピュートーンのフレーバーテキストより


第3話 一番大切な言葉

 

《運命》とはなんだろうか。

その問いに答える人は誰しもこう言うだろう。

「それはピュートーンの神託である。」と…

それは間違いではない。

事実ピュートーン自身もそう言われても異論はないと言う。

しかし、ピュートーンと、その他の存在において、この言葉の解釈は大きな相違を見せる。

その他の存在からはそのまま言葉の通り、物事の運命は全て、ピュートーンが決めているという意味である。

しかしピュートーンの言葉の意味は「《運命》は元から決まっている。それを《宣告》する事で実現させるのが私なのだ。」と。

そういう意味であろう。

運命というのは、ピュートーンが神託として紡いだ時、初めて効力を成すのだ。

運命とは無数の道である。

無数の“決められた”物事の成り行きを旅人が選んで行くものだ。

それまでは先行きの予測できないものであり、だからこそ《偶然》というものが存在する。

しかし、ピュートーンが《宣告》したとき、それは全て《必然》となる。

旅人の行く先にある結末が定まってしまう。

そこにピュートーンの意思などない。

あるのは大いなる力の不可視の存在だけである。

 

 

 

 

 

 

予言者が来てから幾日目かの夜。

真夜中の神託所の中で、矢を受けて死にかけの巫女と、それに寄り添う天蛇が静かに会話をしていた。

神託所の窓は閉められていて光など入らない。

 

「エアル…なぜこんなことを…」

「ピュー、トー、っン様…申し訳、あり、ごほっごぶっ…」

「良い、もう良い。もう話すな。傷に触る。そして…理由も知っている。そなたの顔を見たその瞬間にな。」

 

俺は運命を生まれた時に全て知った。

無数に広がっている“道筋”まで全てだ。

しかし結末は同じでも過程が変化することは往々としてある。

俺の《神託》は所詮結末を決定するものだからな。

そういう行動で変化する細かな運命は…

その運命に関わる人物や、事象を見ることで理解する。

 

エアルは…俺のためにレートーを殺そうとしたらしい。

無謀なことだ。

人間の身で神に立ち向かおうなどとは。

しかし、ヘラが加勢したからレートーを追い詰めることに成功したらしい。

が、ゼウスとポセイドンの協力によりレートーは子を産むことに成功。

そしてその子達が弓を持って俺とエアルに復讐しに来ているということらしい。

 

「すまない…エアル…俺には、昔みたいにお前を助けることができん。それが運命、神託だからだ。ここでお前に永遠の命を授けてやることもできる。だが、その場合お前は死よりも辛い運命を背負うことになる。だから…助けてやれん。すまん…すまん…」

 

俺はエアルにそう懺悔する。

今までの悔恨も含めた切な言葉である。

と、エアルがその震える手をこちらに伸ばし、顎を撫でてきた。

下げていた頭をあげてそちらを見ると微笑んだエアルがいた。

血だらけのその姿は、神神しくも儚く、残酷である。

そして、最後の力を振り絞るかのように、この言葉だけは途切れさせないと、そう覚悟を持って言葉を放つ。

 

「ピュートーン様。あなたは私がこれから言うことも知っているでしょう?でも、言葉にします。しないと意味がありません。ピュートーン様、貴方は…」

 

そこで、エアルはこと切れた。

エアルの体はみるみる冷たくなる。

そういう《運命》だった。

そういう《結末》だった。

だから俺は、エアルがあの後紡ごうとした言葉を知らない。

エアルが途中でこと切れて、言葉を最後まで発しないことは知っていたけども、一番、俺が知りたいその言葉を、親愛なる人からの最後のメッセージを、知らない。

真理も、運命も、何もかも知っておきながら。

全能だのなんだのと謳われておきながら。

一番大切なはずの、その言葉を知ることができない。

 

「エアル…エアル…!目を開けてくれ…無知な俺に…その言葉を教えてくれ……!」

 

 

天蛇の悲痛な鳴き声が神託所にこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、真っ暗な神託所に2人の神が入ってきた。

コツコツと小さな足音が天蛇に寄る。

 

「君たちが…アポロンとアルテミスだな?」

 

しわがれた声で天蛇が尋ねると、その2人は驚いた。

と、男の方が天蛇に尋ねる。

 

「なぜ知っている?」

「なぜか?まぁ、おれはピュートーンだからな。理由はそれでいいだろう。」

「…なるほど。ならばなぜ俺たちがきたかも分かっているな?」

「あぁ、知っているとも。」

 

2人はゼウスとレートーの子。

アポロンとアルテミスだ。

とても、たいそうな、幸せな運命を持ってるじゃないか。

それに、アルテミスに至ってはエアルを殺した矢を放った張本人である。

そう理解して、天蛇の中にある感情が生まれる。

嫉妬と、憎悪。

天蛇が小さくぼやく。

 

「なぜだろうな。」

「なんだいきなり。」

「エアルはな、俺が昔助けた娘だ。両親に捨てられててな。それこそ親子のように過ごしてきたよ。悠久の時の中で一番心を許した子だった。とてもいい娘だった。」

「俺たちはそのいい娘に苦しめられたけどな!」

「あぁ…そうだったな。」

 

天蛇は、諦めている。

嫉妬も、憎悪も、感じていても。

また、それも《運命》。

 

「なぜ…エアルのような不幸で、だけどもがいて、善く生きてきた子に辛い運命が待っとるんだろうな。」

「分からん。」

「…まぁ、そうだろうな。殺すなら一思いにやってくれ。そして…この子と、エアルと一緒に手厚く埋葬してくれまいか?」

「…分かった。いいだろう。じゃあ死ね。」

 

アポロンの矢が天蛇を貫いた。

その矢は煌々と輝き、暗闇に塗りつぶされた神託所を照らす。

矢の衝撃で神託所の窓が開いた。

強い光が神託所から漏れて真夜中の空を真っ直ぐに飛び去っていく。

 

 

きっとその光は天蛇の嘆きだろう。

そして、この夜は…

《運命》が《必然》で無くなった夜。

つまりは人の時代の訪れであったろう。

 

 




ピュートーンさんのフレーバーテキストめっちゃチートですね。
なのにあの性能って…
あと眠いです
これからもよろしくお願いします。
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