ピュートーンさん!?d×d 作:塩で美味しくいただかれそうなサンマ
神撃のバハムート、ピュートーンのフレーバーテキストより
あぁ…知っていた。
この感覚は目覚めだ。
そう、死という眠りから、安息から起こされる。
知っていたさ。
また、つまらない世界が待っていることなんて。
知っていたよ。
まぶたをゆっくりと開ける。
その先には薄明かりと、そして1人の神がいた。
身じろぎしつつ問いを放つ。
「…何用かな?アポロンよ。今更私のとこに来て何を求む?いや、知っているとも。知っているさ。また、神託を授ける神となれと、そう言うのだろう?」
「…あぁ、そうだ。あなたはとっくに私の事情も、何もかも理解しているらしいな。愚かだろう?本当に、俺は愚かだ。」
アポロンは、俺を殺したあと、おれとの約束に従ってエアルと俺をここ、世界の中心に手厚く埋葬した。
その後、デルフォイの神託所で俺の代わりに神託を授ける神となった。
しかし、彼にはその役目を務める資格がなかった。
彼には、告げた《運命》を《必然》にする力が無かった。
神託所で後継を務めているが、失敗も多かったのだろう。
そして、自分の非を見つめて頼りに来たと。
「そうか…そうだな、アポロン。お前は愚かだな。だが、殊勝ではある。自己の非を見て正しい行動ができるのは良いことだ。少なくともゼウスやポセイドン、ハーデスあたりの他の神々にはできんお前だけの魅力だろうさ。」
「あなたは…私を責めないのですか?あなたの愛する人を殺し、あなたを殺し、それなのに醜くあなたに泣きついてあなたを生き返らせ、また過酷に戻そうとする私を…許すのですか?」
彼も、神託の神という役職の辛さを味わったようだ。
申し訳なさからか口調も丁寧になっている。
まぁ、運命を確定できないだけ俺よりはマシであろうが。
俺の神託は、願いも努力も行動も何もかも《運命》の名の下に否定するからな。
「それもまた、《運命》だろうさ。アポロンよ。」
「運命…ですか…」
「あぁ。それと悪いが、俺はまたその役目につくつもりはない。」
「なっ!何故!?力は残っているはずだ!」
「そうだな。それも《運命》だと言っておこう。アポロン、お主には辛いことであるかもしれない。過酷であるかもしれない。だがな、お前が神託の神となった今の世界は、俺が神託の神であった頃よりかなり良い世界だよ。」
いま、この世界において神託とは道しるべ。
予言のようなもの。
俺の担った代では絶大な力を持ったそれも今やただの戯言でしかない。
いま、この世界において《運命》とは不確定である。
大筋だろうが細部だろうが変化する流動的なものになった。
結末が分からないものとなった。
それでいい、それがいいのだ。
何があっても、結果が決まっている世界なんてつまらないに決まっている。
まぁ、俺にはその流動する《運命》も全て、見えてしまっているけどもな。
見えているが、どこに収束するかはランダムといった感じだ。
この世界は、可能性が無限大となったのだ。
「神託の神ではなくなった俺は、ただすべてを知る蛇にすぎない。アポロン、俺に旅をさせてくれないか?」
「旅…とは?」
「俺を自由にさせてくれと、解放してくれと言ってるのだよ。おれは全てを知っているが、全てをこの目で見たわけではない。暇つぶしにそれらを見に行こうと思ってな。」
「だが…あなたほどの神が…」
「大丈夫だ。所詮、おれは時代遅れの神。ただの蛇さ。それと、そんなに悲嘆しなくてよい。アポロン、お前は十分やれているよ。」
「あなたは…優しいな。」
「いいや、何もかも諦めているだけさ。…それではな、太陽の神よ。またいつか会おう。」
ピュートーンはそう言ってアポロンに埋葬されていた世界の中心の地の底から這い出ていった。
それは暇つぶしの旅。
自分の死により生まれ変わった世界を巡る旅。
たとえその道程も、結末も、全て知っていたとしても。
天蛇は旅をする。
「キュオオオオオ!」
天蛇の咆哮がもう一度、世界に鳴り響いた。
はい、ピュートーンさん復活編ですね。
これからハイスクールd×dに関わらせていく予定です。
このお話は2千字くらいの短い小話で進めていく予定です。
これからも、お願いします。