AD.15?? ■■■■■■神戸シティ   作:ものもーる

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初めましてよろしくお願いします
まずは説明回かな


1.1プロローグ

「それから、最後に君と同じ日本出身の間桐慎二」

 

「彼の祖先は私やパラケルススと同年代の人物でね。その人物は冬木の聖杯戦争を始めた御三家の内の一人なんだ」

 

「それでサーヴァントの知識を見込まれてカルデアにスカウトされたんだけど、本人は基本的に魔術士として優秀というわけじゃない。ただし次世代の魔術にすごい才能を示していて、おまけの錬金術の才能と合わせて、現地の技術要員としてAチームに参加したんだ」

 

「召喚する予定のサーヴァントはEXクラス。これはほかのクラスが埋まっちゃたからなんだけど、本人はキャスターがよかったとか言ってたね。あとアベンジャーが呼ばれないかひどく気にしていた」

 

「次世代魔術って何かだって? うん、教えてあげよう。なんと彼は魔術でコンピューターのハッキングをする霊子ハッカー、ウィザードなのだよ」

 

「よくわからない? うん、じゃあより詳しく説明すると、普通の魔術師は大気中の魔力、マナを使うよね。でもウィザードは体内の魔力、オドだけを使うんだ。でもそこら中にあるマナと違ってオドは体内で生成されるだけだから量が少ない」

 

「だからウィザードは干渉しやすい自分の体内、より正確に言うと魂に魔術で干渉するんだ。これは魂の霊子化っていうんだけど、コンピューター的に見ると魂のデータ化でもあるんだ。つまり彼は意識をコンピューターの中に飛ばして直接ハッキングが行えるんだ」

 

「うん、映画みたいでなんとなくわかった? よろしい。もっと詳しく聞きたかったら彼に直接聞くといいよ。だいぶ脱線しちゃったけど、そんなこんなもあって彼は魔術師の中でも現代機器に詳しい。ゲームとかが趣味らしいから一緒にやって親睦を深めたら如何だい」

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

 状況は最悪だ。レイシフトを行うためコフィンに入り、これから始まるたいそうな任務――――過去への転移を行い、歴史の乱れを直し人類が滅びる原因を取り除く――――に思いを馳せていたところへの突然の大爆発。

 肉体的には普通の人間で魔術刻印も受け継いでいない僕には耐えられるはずもなく。

 

「繰り返す都度に五度、ただ満たされる刻を破却する」

 

 そうして死にかけていた僕は異星の神を名乗る存在に救いあげられた。

 そして命を人質に地球侵略の先兵へ仕立て上げられた。

 異聞帯というあり得ないはずの平行世界を率いて現実世界である汎人類史へ侵攻を仕掛けるのだ。

 

「――――告げる」

 

 僕の死は半ば決まったようなものなのだろう。思い出すのはある聖人の姿や正義の味方について。

 しかし、僕はそのようにあることができない。いやできなかったからこそこうして戦う準備をしている。

 これから呼ぶサーヴァントが僕の命運を決定づけるだろう。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 偉人や英雄が死後人々の信仰によって()という場所に刻まれ、精霊に並ぶほど霊格を高めた存在である英霊。これをダウングレードして使い魔のような形で使役するのがサーヴァントである。

 しかしいくら使い魔としようが英霊は強い我を持っているものである。清廉な人物であろうと邪悪な人物であろうとこの侵略に賛同してくれるとは限らない。

 率いる異聞帯のサーヴァントが呼ばれるので協力は得やすいはず、という話ではあったが、英霊の召喚にはイレギュラーがつきものなのはよく知っている。

 であれば僕は運命を天に任せ、呼ばれる英霊との縁を信じることしかできない。

 さあ、来てほしい。僕のサーヴァント(運命)

 

「天秤の守り手よ――――!」

 

 

 

 手ごたえはあった。そうして現れた光に目を細めながら、目の前の人影を見つめる。

 

「サーヴァント・キャスター、召喚により参上致しました。マスター、どうかこのパラケルススと……友達になりましょう」

 

 そして現れたサーヴァント(友達)との出会いは確かに僕の運命だったのだろう。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 世界は情報で出来ている。

 過去に存在したネットダイバー(ウィザード)たちはその0と1の情報で構成された仮想空間を探求している内に、現実もまた同じく情報で出来ていることを発見した。そして情報があるならばそれを書き換えられることも同様に……。

 それが今まで発見されなかったのは世界の情報があまりにも膨大で、あまりにも強固だったからに過ぎない。そして世界初の超高速コンピューターによってこの発見は実証された。

 こうして世界を書き換える、コンピューターによる魔法が発明され、自らの脳に生体コンピューターを備え魔法を使う人間が生み出された。かれらはまた魔法士(ウィザード)と呼ばれた。

 

 

 ――――時代は50年遡る。世界は増え続ける人口の解決策として巨大なドーム状の積層型都市、シティを建造した。このシティは人口1000万人以上が暮らせ、内部で完全に自給自足が行えるアーコロジーである。その後国家というものは消滅し行政の最大単位はシティとなり、最盛期にはシティの総数は2048にものぼった。

 シティは競い合い技術開発を行い、人類の文明は最盛期を迎えた。

 そう……、迎えたのだ。それはもはや過去のこととなった。

 

 きっかけは北極と南極に打ち上げられた気象制御用の人工衛星だ。人間の科学は極地に不可能だった静止衛星を打ち上げるまで発展し、それは地球上から気象による災害を取り除くはずだった。

 しかしこの衛星が暴走し、地球全土を覆うように遮光性のガスを頒布した。これは、本来干ばつ対策として開発された。しかし自然界では非常に分解されにくいことが判明したために人工衛星には搭載されないはずであった。

 この気体は地球全土に冬をもたらし、生物のほとんどは死滅した。そして核融合のためのヘリウム3が枯渇したため、発電のほとんどを太陽光に頼っていた人類の衰退も避けられないものであった。

 

 わずかな旧来の燃料や発電プラントをめぐり、シティ同士の争いは激化。それはやがて第三次世界大戦へ発展した。

 そして、この争いに実践投入され始めた魔法士により人類の終焉は決定づけられた。とあるシティ所属の魔法士が核融合プラントと同調して暴走したのだ。これにより各地の核融合プラントが連鎖的に爆発、アフリカ大陸が消滅したことによりこの大戦は終息した。

 

 人類に残されたのはわずかに7つのシティと発電施設に寄り添うように点在する小規模の集落だけであった。

 世界は氷に閉ざされており空は分厚い遮光性ガスが作る雲に覆われている。雲は常に帯電しており、発する電磁波はコンピューターの魔法を阻害する。そのため、魔法による永久機関で飛行する現代の飛行機械では雲を超えることができず太陽にアクセスできない。

 

 おそらく、雲の自然分解を待たずに人類は絶滅するだろう。

 

 

 

「――――というのが今調べたこの世界の現状かな」

 

 そう目の前の理知的な雰囲気をまとった白衣の人物に話し、説明を締めくくる。

 

「……そうですか」

 

 もの憂げに、言葉少なく首肯される。

 それも当然だろう、それほどにこの世界の現状は悪い。

 異聞帯とは本来、大本の世界により切り捨てられた、剪定されるはずの世界である。その切り捨てられる条件は多様性を失い、可能性が閉じてしまったこと。無数の平行世界、というが世界には無限に枝分かれしていく枝葉、そのすべてを維持するだけのエネルギーはないのだ。

 そのため、繁栄しすぎたが切り捨てられた世界、というものも存在する。また、衰退・荒廃している世界も。そして後者の可能性の方が多いだろう、と思ってはいた。そう、覚悟はしていたはずだが……。

 

「たとえば、マナが失われている、とかそういった世界じゃない。文明が遅れているわけでもなくて、むしろ100年単位で進んでいるぐらいだ。一般的な魔術師ならともかく僕の実力を発揮するには不足はない。だけど……」

 

「ええ、太陽の光の失われたこの世界には心が痛みます。愛し子達から希望が失われていることも。ですが慎二、貴方にとっての困難は別にあるのではないですか?」

 

 困難? この世界が終わりかけていること以外のなにがあるだろうか?

 このままでは数十年後の人類の生存も怪しい。とても強固な世界とは言えないだろう。汎人類史に成り代わるどころか、ほかの異聞帯との争いにおいても勝つことは難しい。空想樹を強く育てることも……。

 

「それです。空想樹の発達とこの世界の発展は等価だ。しかし私たちはこの片方に不可欠な要素を欠いています」

 

「片方だけ足りないって? 世界の発展……じゃないか。僕たちの能力はこの世界のブレイクスルーになりうる。今更神秘の秘匿なんか関係ないってなりふり構わずやれば、可能性くらいある」

 

 じゃあ空想樹が? しかしあれについてわかっていることは少ない。この僕が及びもつかないほどの高位の魔術師はもう()()について何らかの知見を得たのだろうか。

 

「いいえ。あなたが知っている情報の中に答えはあります。空想樹の成長に必要なのはまず潤沢なマナ、しかしこれは冬木という土地が解決している。問題は空想樹と接続する異聞帯の王です」

 

 そうだった。空想樹はクリプターや異聞帯の王と霊的につながりを持つ。そのため異聞帯の王の意向が空想樹に影響を与えるだろうといわれている。そのためクリプターは異聞帯の王と友好な関係を築く必要がある。そうでなくても異聞帯の民をまとめるものが王だ。親密になるに越したことはないだろう。

 そうか、まずは王に接触しないことにはどうしようもない。そのためにもまずは王の居場所を調べて……あれ?

 

「……この異聞帯の王ってだれだよ」

 

「私に現代の知識は汎人類史のものが多い。ですが、それから推測すると役職としての王はこの世界にはもはや存在しないでしょう。あるいはどこかの王族の血を引く人間がいるかもしれませんが、その者を異聞帯の王としても意味はないでしょう」

 

 それはわかる。きっと求められるのは歴史に名を刻まれて英霊となり、サーヴァントとして呼ばれることのあるような、そんな王だろう。

 

「霊的な素質、大衆から信仰されること、異聞帯の支配度、そして……王器。すべてが必要かはわかりませんがおおよそこのようなものでしょうか。ああ、神秘の素養は私がなんとでもできるので、それ以外を持った人物を探す必要がありますね」

 

「そうするとまずはシティの指導者を当たるのがいいかな。それでシティの主だった人物を見るなり、ほかのシティを当たるなりして探せばいい。なんだ、何とかなりそうじゃないか!」

 

「……そうですね」

 

 いや、ただの強がりにそうやって返されるともっと不安になるじゃないか。

 

「ああ、失礼しました。しかし私たちは魔術師。同じ魔術師の資質をはかることはできますが、王の資質は王のみが図れるのではないか、と思ったことがありました」

 

「ですからほかの方法を考えておく必要があるでしょう」

 

「たとえば、降り立った場所が冬木であったことは行幸ではないでしょうか」

 

 冬木で別の方法となれば、1つだろう。聖杯で王を呼び出す。あるいは作り出す。

 

「……聖杯か? でもあいにくここは僕の冬木じゃない。聖杯があったとしてもすでに失われているんじゃないか」

 

「そうでしょうか? 多くを知るあなたなら何か痕跡から有益なものを見つけられるかもしれない」

 

「それに思うのです。マキリ・ゾォルケンが子孫のために何かを残しているのではないかと。すいません慎二。私は貴方に聞いてなおマキリが外道に落ちたことが信じ切れていないのです」

 

 そういってキャスターはうつむいた。

 

「……そうだな。じゃあ軽くこの世界の間桐邸を調べてからシティの探索に移ろうか。シティのネットワークに深く潜るためにも準備に時間が必要だしな」

 

 元が正義の人だったマキリ・ゾォルケンの全盛期を知っているならばそう思うのも仕方ないかもしれない。実際は妖怪になり果てていたし、孫に向ける感情も愉悦がせいぜいだろうけど。

 でも僕の冬木と違って、第4次聖杯戦争で手に入る聖杯のかけらくらいならあるかもしれない。一度調べておくのも悪くないだろう。

 

「……いえ、慎二。どうやらその前に用事がやってきたようです」

 

「うん? なんだよ」

 

 できたではなく、やってきた? ということは周囲に怪しまれて軍に通報されでもしたか。

 なら、ここは念話で――――

 

『気取られたか』

 

「いいえ。周囲を探査中に先の集落でお世話になった天樹真昼と月夜兄妹を見つけました」

「気づかれたのはどうやらその2人のようです。我々も移動で使った……フライヤーですか? それに後をつけられています。ですが、どうもその様子がおかしい」

 

 実はシティ内部に入る資格のある人間だったのか、あるいは不法侵入できる能力があったのか。どちらにせよつなぎを維持したい人間だ。

 僕らのようにシティの内部で乗るフレイヤーは空を飛ぶ自動車といったものだが、(シティで乗り回すことが合法かはともかく)武装を積んでいることもある。魔改造してある僕たちのフライヤーなら騎乗スキルをもたないキャスターでも操縦できるだろうから……

 

「わかった、こっちのフライヤーでその方向に移動。ストーカーには僕の方でアクセスする。運転は任せたよ」

 

 そういって調べ物をしていた図書館から駆け出して、フライヤーに乗り込む。そして端末を握りフライヤーが動き出すのを横目に、魔術回路を起動する。

 

 ――――start(0);(スタート) access(all);(アクセス)

 

 ウィザードとしての動きはまずは簡単に。周囲の回線を確認する。この中に件のフライヤーにつながっているものがあればいいが……よし、回線が見つかった。

 

「深く()()から見張りも頼んだ。音声は通じてる」

 

 ――――dive(1);(ダイブ)

 

 僕の魂が霊子変換され、目の前にワイヤーフレームで出来た通路が現れる。これがフライヤーにつながる回線だ。ここを通り、フライヤーの内部構造へたどり着く。

 そこは当然ながら防壁で意図しない侵入はできないようになっているが、僕のハッキング能力と賢者の石の超多重演算によるごり押しで突破する。

 

『フライヤーには誰も載っていません。自律して行動しているものと思われます。』

 

「わかった。今から内部に突入する。真昼たちに警告送っといて」

 

 構造体の入り口に足をかける。さて中にあるのは……

 

『マスター、お気を付けて。フライヤー内部から錬金術に似た反応が……』

 

 まずフライヤーの制御関数群、これは僕に分かりやすいようにフィルタリングされているから巨大な操縦席に入ったように見える。この中から自動操縦なり遠隔操作なりの関数を探して干渉すればいい。

 いい、とそう思っていたのだが、操縦席の中央に何かが鎮座している。

 

 ……これは、天使の卵? 




活動報告とかも利用しようと思います(まだ書いてないけど)
よかったら見てやってください
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