第二十七話よろしくお願いします。
「ここ、ですよね?」
「多分な、言ってたとおりのとこに来たわけだし」
「とりあえず行ってみようぜ。いなかったらそんときはそんときだ。」
「みんな気をつけてね。もしもってことがあるかもしれないから」
「うん!じゃありーさんいってきまーす!」
そう言って4人は手を振った。
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『ねぇねぇ、誰か聞いてる?
こちらは巡々丘ワンワン放送局!
この世の終わりを生きてるみんな元気かーい?
今日も元気にはっじめるよー!』
由紀がCDで音楽を流そうとボタンを押すと突然聞こえてきた女性の声。その声に一同は驚き目を見開いた。
光は由紀の持つCDのジャケットを見る。どうみてもそれは洋楽のCDでラジオではないはず、なのだが……。
『それじゃ今日もゴキゲンなナンバーいってみよー!まずはダスベスの【天より降り来るもの・第三】から、【戦いは終わらない】をどうぞ!」
聞こえてくるのは活発な雰囲気を感じさせる女性の声だった。
「これもしかして本当に放送されてるラジオなんじゃ…」
美紀が何かに気づいたように指を指す。それからすぐにあっ、と何かに気づいたように悠里が声を上げた。
「みて!これFMってなってるわ!」
「ほんとだ!ってことはやっぱりどっかから放送してるってことか」
車の画面にFMの文字が出ている。どうやら由紀がボタンを押し間違えてこのラジオを受信したらしい。それに胡桃と由紀も気づいたようで5人は顔を見合わせるとパッと明るい笑顔を見せた。
「やっぱりあたしたち以外にもいたんだ!」
「ねぇ!会いに行ってみようよ、この人のとこに!」
「そうね、私も会ってみたいわ」
「そうですね。でも…」
自分達の他にも生存者がいた、そのことに喜ぶ彼女達だったが美紀の一言、
「どこにいるか分からないですよね。」
………。
その一言で3人は黙りこくった。
「そこなんだよなぁ…せっかく俺達以外にも人がいるって早速わかったんだし俺も会いたい気持ちはわかるけどさ、どこにいるのかねぇ…」
黙りこんだ3人に変わり光が口を開く。うーんとうなりながら黙る4人。ラジオからは2曲目の曲が流されていた。
『ご清聴ありがとう!いやー本当静かだよね。というか静かすぎだよもうちょっと騒ごうよみんな〜…静かすぎてワタシは退屈だよ……そうだ!これ聞いてるリスナーのみんなよかったら会いに来てよ』
どうやって会いにいくか、その方法が思いつかず車内には2曲目も終わりラジオの女性の残念そうな声だけが流れていた。
「まったく、こっちだってそうしたいよ…」
会いに来てほしいという声に対し恨めしそうにつぶやく胡桃。そんな彼女に同意するように苦笑して光達は頷く。それを見た由紀がスピーカーの方に両手を口元にそえて話しかけた。
「もしもーし!おねえさんはどこにいるんですかー?」
「電話じゃないんだしそんなことやっても意味ないだ……」
『あ!会いに来てよとか言っといて住所言い忘れてたね、えっと住所はね〜………」
「は?」
由紀の思わぬ行動にツッコミをいれようとした光だったがその直後、本当にラジオから住所を読み上げる声が聞こえ間抜けな声が出た。後ろを見ると、胡桃達も驚いたように目を丸くしていた。
『…はい!今言ったとこからラジオやってるからよかったら遊びにきてねー!お茶とお菓子もあるからおもてなししちゃうよ〜?いつでも待ってるからね!
こちらはワンワン放送局、それじゃあみんなまた明日!バイバーイ!』
これで放送は終わりのようでそれからは何も聞こえなかった。そして少しの沈黙の後、
「……住所聞けちゃったね」
「通じた!?」
「いやいやいや、ゆうり先輩たまたまですって…」
「今言ってたとこそんな遠くないしあたしたちの方から会いにいってやるかー」
「俺達リスナー歴1日だけどだいじょぶだろうか」
「いや、そこはそんなに大事じゃないと思うけど…」
ラジオの女性の居場所があっさりと分かり思い思いに口を開く5人だったがとりあえず彼女の元に会いに行くということで話は決まった。
「地図を見る限り明日には着きそうね」
「そうだなーゆき、ちゃんとナビしてくれよ〜」
「まっかせてー!くるみちゃんでもあるまいし迷ったりなんかしないよ」
「おい、おまえはいつもひと言余計なんだよ……」
「わぁー!痛たたた、くるみちゃん頭グリグリしないでぇー!」
助手席に座る由紀の頭を後ろから胡桃が両手で拳を作り押し当てる。そんな2人のやり取りに苦笑しながら光が言う。
「仲がよくて結構だが次どっちに曲がりゃいいの?………ちょっ、おい聞いてる?」
「痛たたた…み、右です!」
「……りょかい」
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「もう、くるみちゃんってばすぐいじわるしてくるんだから〜」
「おまえが余計なこと言ってくるからだろ!」
「2人とも仲が良すぎですよ。狭いんですからもう少し大人しくしてください」
「「はい、すみません」」
「後輩にそんなこと言われてお前ら悲しくないの…?」
その日の夜、道の端に車を停め5人は簡単な夕食をとっていた。由紀が胡桃をおちょくることを言いそれに胡桃が応え反撃する、という流れが何度も続いた。それに呆れた美紀が2人を窘めている、というのが今の状況である。
「そうね。私は見ててちょっと楽しかったけど2人共もう少し静かにした方がいいかもね」
悠里からもそう言われ胡桃はバツの悪そうな顔をする。そんな彼女を見て由紀はニヤリと笑って、
「くるみちゃんうるさくしたらダメじゃない、まったくもー」
「おまえが余計なこと言わなきゃいいだけなんだよ!」
そう吠えて由紀に手を伸ばそうとした時、悠里がサッとその手を掴み笑みを浮かべる。
「もう少し静かにした方がいいって言ったわよね?ゆきちゃん?くるみ?」
「「は、はい……」」
変わらず笑みを浮かべる悠里の背後に黒い何かが見えた………気がした。そんな彼女の圧力に屈し2人はあっという間に黙りこんだ。
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「寝る前にちょっと外の空気吸ってくる」
「わかりました、気をつけてくださいね」
「おう。」
運転席のドアを空け外に出る。ドアを閉めその場で腕をまっすぐ上げ思いきり伸びをする。ふぅ、と息を吐き歩き出すと背後からドアの開く音がして振り返る。そしてそのまま自分の元に歩み寄ってくる彼女に首をかしげながら声をかけた。
「ん、どうした?りーさん」
「私も一緒に行っていいかしら?」
そう言って悠里は後ろで手を組みながら光の横を歩きだした。
「めずらしいな、りーさんがこういうのに着いてくるなんてさ。危険なことはいつも避けるのに」
そう言うと彼女はふむ、と少し考えるように目を細める。
「ちょっと話がしたくなってね…」
「そうか。ちょうどあそこにベンチもあるし座って話そうか」
光がベンチを指さすと悠里もそうね。と頷いた。街灯などは点いてるはずもなくあるのはライトの光とうっすらと照らす月明かりのみ。持っているライトで辺りを照らしかれらが近くにはいないことを確認してからそれを消し2人はベンチに腰かけた。
「やっぱりラジオの人のことが気になるんだろ?」
「ええ。私たちの他にも生存者がいたのは嬉しいけどいざ会うとなると少し怖くて。悪い人だったらどうしようって」
そう言って下を向く悠里の顔は強ばっており不安や緊張の色が簡単に見てとれた。それを聞いた光はうーん。と考えるような声を出すと
「まあ俺達なら大丈夫じゃないか?」
と明るい声で言った。
「そりゃこんな世界だし生きてるやつの中には悪いやつもいるだろうけどさ、俺達ならなんとかできる気がするんだよ。たったの5人で結構長いこと上手くやっていけてたし人1人にどうにかされるくらいなら今頃とっくに死んでるって」
そう言って悠里の肩にぽんと手を置いて優しく笑いかける。
「だから大丈夫。もしなにかあっても俺がどうにかするから。適当すぎるって思うかもしれないけど少しは気楽にいこう。な?」
光の言葉に悠里はそっと頷き笑みをみせる。
「そうよね、私たちならきっと大丈夫、よね?………めぐねえ」
「え?」
「あ…ううん何でもないわ。そうよね心配ばかりしていてもなにも始まらなものね」
そう言うと彼女はすっと立ち上がり彼の方を見る。
「さ、遅くなってもみんなを心配させちゃうしそろそろ戻りましょ」
「……そだな、戻るか」
彼女の笑みがどこか影のあるぎこちない笑みだったことが気がかりだったがそれ以上は何も言わず車に戻った。
車に戻ると3人は既に眠っていた。そんな彼女達を起こさぬようそっとドアを開けると小さな声でおやすみとだけ交わし2人も眠りについた。
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そうして今5人はラジオで言われていた住所の場所へたどり着き話は冒頭の場面に戻る。
もしもという時に備え1人が待機し残りの4人で中に入るということになった。ラジオが発信されていた場所は放送局などではなかった。そこにあったのは1軒の家である。しかし普通の家とは異なる部分がある。それは、
「入口どこだろう?」
「ぐるっと周ってみるか」
入口となるドアが見当たらないのである。その壁は白く目の前は大きなシャッター閉ざされていて入れそうにない、そんな長方形の形をした家だった。
入口を探して家の周りを半周ほどした時だった。ふと上を見上げた光があるものをみつけた。すぐに3人を呼び止めて上を指さす。
「あそこ、ハシゴがある。もしかしたら上から入れるのかも」
「おおー!ほんとだ、ひかるくんお手柄だね!」
「どうも、先に俺が登って上の様子見てくる」
そう言うとハシゴに手を伸ばしすいすいと登っていく。梯子は地面までは伸びていなかったが由紀でも手の届く高さにあったため彼女達も楽に登ってこれるだろう、そんなことを考えているうちに屋上に着く。誰もいないことを確認し下で待つ由紀達に手を振り登ってくるよう促した。
全員が来るまで彼は辺りを見回していた。
「足跡がある……!」
自分のいる所から屋上に足跡が続いていることに気づきそれを消さないように辿っていく。すると大きなハンドルのような物がついた蓋のような物をみつけた。見たところ他には何もないしここが入口とみて間違いないだろう。ハンドルを握り回そうと試みる、しかし
「……重すぎる!おいみんなちょっと手伝ってくれ!」
思っていたよりも固く1人では難しいと判断し梯子ちょうど登り終えていた3人を呼びよせた。
「なるほどここから中に入れそうですね」
「よし、せーので回すぞゆきいいな?」
「わかってるでばーくるみちゃんこそちゃんと回してよ?」
「じゃ回すぞー。せーの!」
ハンドルを一回転させると蓋が持ち上がった。中を覗き込むとまた梯子がかかっており何もない部屋に繋がっていた。梯子の降りるとそこは矢印の書かれた扉が1つあるだけ。4人は互いに顔を見合わせると決心したように頷きドアに手を掛けゆっくりと矢印の方向に引いた。
「誰もいないね」
ドアの先には大きな机と座りやすそうな椅子が1つずつ。その上にラジオで使うと思われるマイクやスピーカーなどの機材。そして向かい側には大量のCDが敷きつめられた棚があるだけ。その部屋には誰もいなかった。
「そうだな…ドアが2つあるし他の部屋も一応見てみるか」
もしかしたらもう既に、と諦めの色を見せた胡桃が歩きだそうとした時、ガチャリとドアが開かれた。
その人は眠たそうにあくびをすると目の前にいる者たちに気づき目が合う。きょとんとした顔で彼らを見ていたその女性はやがてパッと顔を輝かせこちらへ向かってきた。
「あの…」
「え……え!うそ、ホントにきた、ホントに来てくれた!!やったぁああ!」
その女性は大きな声でそう叫んだかと思うと口元を両手で覆い今度は飛び跳ねた。
「えっと……あの、ここワンワン放送局で合ってます…?」
自分達に目もくれず暴れだしたその女性に光が恐る恐る声をかける。するとようやく自分以外に人がいることを思い出したようでぱたりと動きを止めこちらに向き直る。
「あはは〜ごめんね!本当に来てくれるなんて思ってなくて嬉しくてつい1人ではしゃいじゃった。そうだよ、キミたちはワタシの放送聞いてくれたリスナーさんってことでいいのかな?」
「まあ、はい。1回だけですけど…」
「1回でも十分だよ!回数なんて関係ないない!こうして来てくれたんだもん!すっごく嬉しいよ!」
そう言うと彼女は光の手をとりブンブンと凄まじい勢いで振った。
「は、はいそりゃよかったです!てか痛いです、落ち着いてください!」
「あっ!いっけない、ワタシってばまた1人で!もう本当にごめんね!そろそろ落ち着きます!」
「なんかこう、いろいろすごいな、ゆきみたいだ」
「え!?私っていつもあんな感じなの?」
「そうですね、ゆき先輩が2人に増えたみたいです」
鼻息荒く言う彼女に押されながら3人は苦笑いで頷く。そんな彼らを一瞥するとぱんと手を叩き自分の方に注意を向かせる。
「よし!それじゃ遊びに来てくれたリスナーさん、ラジオで言ってた通りおもてなししちゃうよ!4人だね、すぐお菓子とか持ってくるからその辺に座ってて!」
そう言ってドアを開けようとする彼女を慌てて由紀が呼び止める。
「あ、あの!外でもう1人友達が待ってるから連れてきていいですか!」
「もちろん!仲間はずれにしちゃかわいそうだもん!すぐ連れてきて!」
「ら、らじゃー!」
そう言われた由紀はバタバタと忙しなく部屋を後にする。
「ちょっ、待てゆき!あたしも一緒にいく!あ〜2人とも悪いけどここで待っててくれ。りーさん連れてくるから」
そう言って駆け出して行った胡桃を見送り部屋には光と美紀の2人だけになり、はきほどまであんなに騒がしかった部屋が突然静まりかえる。
「急に静かになったな…」
「私たち以外みんな元気な人でしたからね…」
たった数分の間にどっと疲れが増えた、そんな気がして2人は「はあー」とため息をつく。すると両手にお菓子やジュースなどをどっさりと抱え
さきほどの女性が戻ってきた。それをテーブルに置くと恥ずかしそうにそして申し訳なさそうに2人に笑みをみせた。
「さっきは取り乱しちゃってホントごめんね!久しぶりに人に会えたのが嬉しくて嬉しくて」
「大丈夫です、気にしないでください。私たちも嬉しかったですし」
美紀がそう答えると安心したように息を吐くとまた元気な笑顔に戻った。
「そう言ってもらえて嬉しいよ、ありがと!ワタシは
読んでいただきありがとうございました!
今回は新キャラを登場させました。原作でも出てきますが名前も出ず出会うこともできなかったキャラですので勝手に名前付けてこのお話では登場させることにしました。元気な人っていうイメージで書いたのですがどうだったでしょうか笑
次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
そしてがっこうぐらしの原作が最終回を迎えましたね。
読んだのですがこれはいい終わり方だなと僕は思いましたね(T_T)
アニメの2期はあるのだろうか…笑