この息が止まるその日まで   作:りんごあめ

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大学も冬休みに入りやっとゆっくり書く時間が取れました…

メリークリスマス。
まあ、今年もクリスマス全然関係ない話だしもうすぐ終わりそうなんですけどね…

第二十八話よろしくお願いします。


第二十八話 「いっしょに」

たまたま流れているのを発見したラジオ。そこで言っていた場所で出会ったその女性、名前は霧島涼音。髪は美紀より少し長いボブカットで服装や表情からは自分達より年齢は少し上かと思わせる大人びた印象を与える、おまけに美人。そんな容姿をしている人だった。

 

車で1人待っていた悠里も合流しひとまず互いに自己紹介をしようということになり学園生活部から始めた。5人がそれぞれ話し終わると彼女、霧島涼音はうん。と大きく頷くと明るい声で自己紹介を始めた。

 

「じゃあ次はワタシの番だね!名前は霧島涼音。年は21でみんなよりちょっと年上だね。まあでもそんなの気にしないで仲良くしてくれると嬉しいな〜今日は会いに来てくれてほんとにありがとう!お菓子もジュースもあるし楽しくおしゃべりしよう!ってな感じでよろしく〜」

 

「よろしくお願いします!え、えーと霧島さんは…」

 

「涼音でいいよ。えと…由紀ちゃんだよね?気を遣わなくて大丈夫だよ、タメ口で気楽に話そ?」

 

緊張しているのかぎごちなく話す由紀にそう優しく笑いかける。それを見て由紀もほっとしたような顔をしてほほ笑んだ。

 

「じゃあ…涼音さん!涼音さんはずっとここで暮らしてたの?」

 

「ううん、住んでた家もここじゃないしあれが起こった時もここにいた訳じゃないよ」

 

「じゃあどうしてここにいるんですか?」

 

光がそう尋ねると涼音は神妙な面持ちをして答えた。

 

「お父さんがね何か困ったことがあったら、それも命に関わるようなことだったらここに逃げなさいって前から教えられてたの。もしかしてこうなるってわかってたのかな…。なんてね!そんなことはないと思うけど。」

 

「「「「え!」」」」

 

最後にそう言って笑う涼音だったが由紀以外の4人が突然大きな声を上げ驚いたようにビクッと肩を震わせ目を丸くする。

 

「え?なになにみんな急にどうしたの?」

 

「そのことについて私たちちょっと心当たりがあって…。涼音さんのお父さんってどこでお仕事をされてたんですか?」

 

悠里がそう言うと涼音はうーんと、思い出すように上を向く。

 

「たしか……ランダルコーポレーションってとこだったかな。そこで薬かなんかの研究をしてるって言ってたと思う」

 

「やっぱり……」

 

悠里はリュックから避難マニュアルを取りだし涼音に渡しこれに書かれていること、自分達がどうやって生きてきたのか話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「うそ…!じゃあもしかしてお父さんは最初から知ってたってこと…?これに書いてあることがほんとならそういうことだよね……。」

 

「あの、お父さんはいまどこにいるんですか?」

 

「わからない。親には何回も連絡しようとしたけど全く繋がらなくて…」

 

美紀の問いかけに涼音は片手を額に当てうつむく。

 

「みんなのいた高校もランダルコーポレーションが関わってたから設備も整ってて生活できてたってことなんだね。ちょっと心の整理がつかないや……。」

 

「まぁあたしたちも最初はすごいショック受けてどうしようってなったよ。でもただじっとしてるだけじゃどうしようもないしそれでこれに書いてあるもう1つの避難先の聖イシドロス大学に行ってみようと思ってるんだ。」

 

 

 

「たしかにこのままじゃ何も変わらないもんね………よし決めた!」

 

何かを決心したように力強く立ち上がって涼音は光達を見ながら言った。

 

「お父さんを探さなきゃ!これに書いてあることが本当なのか確かめたい。きっとお父さんは知っている筈だから…直接会って確かめたい。お願い、ワタシも一緒に連れてって!」

 

彼女からしたら断れられるのではと不安だったのだろう、不安げにこちらを見ながら頭を下げた。しかし、もちろんそんな心配は必要なく…

 

「もちろん!大歓声だよ、みんなもいいよね!」

 

「もちろんあたしは構わないよ」

 

「そりゃな。もちろん父親探すのも手伝うさ」

 

胡桃がそう答えると光達も3人も笑顔で頷く。涼音はそれを見てほっとしたように、そしてなにより目に涙をうかべ嬉しそうな笑顔になる。

 

「…っ、みんな…ありがと、本当にありがとう!」

 

「ふふっ、これからよろしくね涼音さん!」

 

「決まりだな。それでどうする?もうすぐに出発するか?」

 

「あの、というか…」

 

「みーくんどうしたの?」

 

「車もう私たち5人でぎゅうぎゅうなんですけどどうしましょうか…」

 

「「「「……。」」」」

 

 

 

 

 

「言われてみれば確かにそうね」

 

「足が速いくるみちゃんが車にしがみついて走ればいいんじゃない?」

 

「よし、ゆきちょっと表出ろあたしが運転してそれができるかおまえで試してやる」

「痛たたたたごめんなさい冗談だよぉ!」

 

ちょっとは真面目に考えろ。と言いたいような目で光はため息をつく。

 

そんな彼女らをおもしろがってクスクスと笑う涼音が机からある物をつまみ上げ言った。

 

「ぷっ、あははは!キミ達ほんと面白いね。そのことなら心配ご無用!ワタシの車なら全員乗れるよ」

 

「本当ですか!?あれ、でも外に車なんてなかったと思うんですけど」

 

「あーそっかシャッター閉めてたもんね。見せてあげる」

 

そう言うと彼女は部屋の奥のドアを開け中から手招きをする。

 

「光くん、それにみんなも!着いてきてここから下に降りられるからー」

 

 

 

 

 

 

 

涼音の後に続き部屋に入ると中には下へと階段があった。下へと降りると広いガレージになっていた。そしてそこにあったのは…

 

 

 

「わーすっごーい!これキャンプの車だあ!」

 

「ゆき先輩せめてキャンピングカーって言ってください」

 

「そ!どうみんな?これが霧島家自慢のキャンピングカーだよ!」

 

「確かにこれなら全員乗っても大丈夫そうですね」

 

「涼音さん中見させてもらってもいいですか?」

 

「もちろんだよりーさん!さぁみんなも入って入って〜」

 

涼音に急かされぞろぞろと車内に入っていく。そして中を見回し皆が感嘆の声を上げた。

 

「すごく広いですね…!これならなんの問題もなさそうです」

 

中は想像以上に広い造りになっていた。全員が余裕で座れるテーブルと椅子、その上にはエアコン。二段ベッドが3つあり6人全員が眠ることができ水洗のトイレまである。そして小さなシンクにコンロ、冷蔵庫に電子レンジもあった。

 

「いや、完璧すぎません?これがあればどこにでも行けるじゃん」

 

美紀と光の言葉に満足そうに笑みをうかべて涼音は頷く。

 

「ね?これならみんな一緒に行けるでしょ?ベッドもちょっと狭いかもしないけど光くんでも足伸ばして寝られるだろうしトイレとかコンロとかもあるから生活するにはそんなに困らないと思うよ。まぁ時々水を汲みに行かないとだけどその辺に川とか結構あるしなんとかなるよ」

 

「なるほどな、じゃあとりあえずこれに乗り換えるとして…出発は明日にしないか?もう昼過ぎてるし涼音さんも準備しなきゃいけないだろうしな」

 

「胡桃ちゃんの言うように明日出発ってことにしてくれるとありがたいかな。上に布団もあるし今日はウチに泊まればいいよ」

 

「そうですね。じゃあ今日は泊めさせてもらいましょうか」

 

「はーい!それじゃ今日は夜までパーティーしよう!」

 

「夜更かしはだめよゆきちゃん?ちゃんと寝なきゃ、ね?」

 

「は、はーい……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

出発を明日に決めた一行は元いた部屋に戻り夕食を摂っていた。

 

「さっきの部屋似てたな」

 

「…え、似てたって何にだ?」

 

突然つぶやいた光にレトルトのカレーを頬張りながら胡桃が聞き返す。

 

「さっきの部屋と学校の地下だよ。中身とかあのコンテナとかさ、すごい似てるなあと思ったんだよ」

 

「それ私も思いました。やっぱり似てましたよね…」

 

キャンピングカーを見てしばらくしてから、夕食を摂ることなり涼音が何か取ってくると言い別の部屋へと言った際、自分達も手伝うと後に続いたのだがその部屋があまりにも学校の避難区画と似ていたのだ。医薬品や食料などまるで初めから立てこもることができるようにしているかのようであった。涼音に聞いたが彼女も理由は知らなかったそうだ。

 

「やっぱりお父さんは知ってたんだろうね、キャンピングカーだってほんとはこういう時のために用意してたのかも…」

 

「涼音さん、キャンピングカーってずっとここにあったの?」

 

由紀の問いに彼女は首を横に振る。

 

「ううん、元々住んでた家にあったのをワタシが運転してきたの。お母さんもいなかったから置き手紙を書いてここに来たんだけど来ないってことは、まぁ、ね?」

 

「だいじょうぶだよ!きっと2人とも無事だよ!…あ、そうだ!キャンピングカーがあるってことはやっぱりキャンプ行ったことあるの?」

 

「ふふ、ありがとね由紀ちゃん。キャンプ何回も行ったことあるよ〜。山梨の富士山が見えるキャンプ場に行ったことあるんだけどね、あそこはすごいキレイで感動したなぁ!…また行きたいなーなんて」

 

笑みをうかべながら彼女は思い出にふけるように目をふせる。かと思うとすぐにパッと目を開く。

 

「まっ、でもみんなとこれから旅に出るのもすごく楽しみだよ?みんなすごく面白いし一緒にいて退屈しなさそうだもん」

 

「ふふ、ありがとうございます。私たちも楽しみです、新しい車もありますし」

 

「ウチの車気に入ってもらえたようで嬉しいよ。」

 

「はい、本当にありがとうございます。でも…………」

 

涼音に優しい笑みを見せる悠里。しかし彼女はでも、と前置いた。

そして言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…でも、めぐねえ気にしてなきゃいいけど……。」

 

「え?」

 

彼女の言った意味が分からず涼音は思わず首をかしげる。しかしそれは他の4人も同じで怪訝そうな顔をしていた。

 

「…あ〜、だ、大丈夫だよな?ゆき」

 

「う、うんうん!大丈夫だってよ!」

 

「そうか、ならいいけど…」

 

「え?え?どういうこと…?」

 

光がすかさず由紀に言うと後ろを振り返ってから彼女は答えた。すると悠里はハッとしたように辺りを見回す。涼音はますます訳がわからないといったように首をかしげていた。

 

「ご、ごめんなさい。なんでもないわ…」

 

「そっか……。あ〜ご馳走さま、食べ終わったし先にシャワー浴びさせてもらってもいいですか?」

 

「ね、ねえ、さっきのってどういう…」

「それは今度話しますから」

 

「そ、そっか…どうぞ〜、ごゆっくり……。」

 

半ば強引に話を遮り彼は部屋を後にした。

 

 

 

 

「ふぅ……シャワーなんて久しぶりだな」

 

皆より早く夕食を済ませシャワーを浴びる光は数日振りに浴びるシャワーに心地よさそうに目を細める。そんな中、彼は以前自分で言ったことを思い出す。

 

生存者を会ってもすぐに信用せず警戒を怠らないこと。今のところ霧島涼音は悪い人間ではないように思える。しかしまだ完全に信用はしない。これから先もしも自分達に危害を加えてきたら、その時は容赦なく排除する。

 

それに悠里の先ほどの発言。あれも明らかに彼女の様子が不自然だった。彼女のことも少し気にかけなればならないかもしれない。

今一度気を引き締めるように両手で軽くパンと頬をたたく。シャワーを止めジャージに着替えると彼女らが待つ部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日、荷物を移し替え忘れ物がないか確認し車に乗り込む。

 

「よし、じゃあみんな忘れ物はないな?そろそろ出発するぞー」

 

「そういうひかるくんこそ忘れ物があったり……」

「しない」

 

「だよねー」

 

「みんなーシャッター開けたからいつでも出られるよ!」

 

「ありがと涼音さん!いよいよ出発だね!」

 

「だな!ひかる、安全運転で頼むぞ」

 

「安心しろ間違いなくお前より安全運転しているから。じゃ、行くぞー」

 

 

 

 

こうして彼らは新たな仲間と車を手に入れ改めて大学を目指し走り出した。

 




読んでいただきありがとうございました!

ワンワン放送局のお姉さん、勝手に名前付けたりとオリジナル設定乗せまくりですが仲間に加わることとなりました〜( ˆᴗˆ )

オリ主にも彼女にも魅力を感じてもらえるようなお話を作れるようこれからもがんばります

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

今年中にもう1話投稿できるか微妙なのであらかじめ言っときます。
今年もありがとうございました!
良いお年を〜!
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