この息が止まるその日まで   作:りんごあめ

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第三十二話よろしくお願いします。


第三十二話 「ちょうはつ」

「まぁ、水は消費も早いし多少は多めにあった方がいいよな」

 

「そうだよねーでも参ったねぇここも水なさそうだよ」

 

「そこそこ大きめのスーパーだし残ってるかもって思ったんですけどね…。棚には並んでないし倉庫の方に行ってみましょう、まだ在庫があるかもしれませんし」

 

 

 

 

彼らは食料調達のためスーパーへ訪れていた。食料というよりは主に水の確保のためである。しかし他の人々が同じように調達来ていたのか既に水などは無くなっていた、ということが続き今訪れているので3つ目だったのだが…。ここでも店頭に並んでいたのは消費期限が切れた物など収穫は無く品出し前の商品が置いてあるであろう倉庫へと足を踏み入れた。

 

「う〜ん暗くて周りがよく見えないね、ライトつけよ」

 

「そうだな。気をつけて進もう」

 

「ゆき先輩たちの方は大丈夫でしょうか」

 

「くるみもいるし大丈夫だろうよ」

 

「まぁ、そうですよね…。」

 

先日のことで胡桃のことが気がかりになっているようで美紀は腑に落ちないように頷く。

光達が訪れたスーパーの向かいにコンビニがあったため二手に分かれて探索をしようと話が決まりスーパーを光、美紀、涼音が

コンビニの方を由紀、胡桃、悠里といったように分かれていた。

 

「まぁ、コンビニなんてすぐ探し終わるだろうしそろそろこっちに合流してくるかもな」

 

そんな話をしながら倉庫に入ってすぐのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあああああ!!くるなっ!……くそっ、なんで……こんなとこで死にたくない!」

 

叫び声が聞こえた。姿は見えずともその切羽詰まった声で危険な状態にいることが分かった。

 

「ちょっ!この声生きてる人だよね、どうする助けに行く?」

 

「襲われてるみたいですし助けましょう!先輩…」

 

「わかってるって、ほら行くぞ!どれくらいいるかもわかんねえし俺からあんまり離れるなよ」

 

 

すぐに助けに行くことを決め3人は声のする方へ走った。積まれたダンボールの間にできた細い道を縫うように進むと腰を抜かして怯える少年と彼に向かってジリジリと距離を詰めていくかれらが1体。

周りを見回し近くにはその2人以外はいないと判断すると美紀達にここにいるようにと目配せで伝えると背を向けるかれらに気づかれないように足音を立てないように近づく。そしてゴルフクラブを頭上までおおきく振りかぶって一撃。

 

 

バタンと力なく倒れたかれらを見下ろしながら顔に浴びた返り血を拭う。

 

「無事か?噛まれたりしてないか?」

 

左手に持つライトで照らしながら腰を抜かす少年に手を差し出す……が

 

「ひぃっ!」

 

少年は手を取ることなくぎょっとしたように後ずさった。理由が分からず首をかしげるが後ろから美紀達に声をかけられ振りむく。

 

「間に合ったみたいですね…ってうわっ!先輩血が……」

 

美紀からそう言われ自分の体を見回す。服にも返り血がかなり付いていることに気づく。

 

「ん、あー思ったより血がついちゃってんのか、なるほどそれでびびったわけね…」

 

ほんの少し呆れたように頷くともう一度少年方に向き直る。

 

「わりぃ、脅かしちゃったか。とりあえず外に出ようぜ?外の空気吸って落ち着こう」

 

「……。」

光がそう言うと少年は何も答えることなくすたすたと1人で倉庫を後にした。

 

「………なぁ、俺にらまれてなかった?」

 

「そー…だね、ちょっとにらんでたような気が…なんでだろうね?」

 

「とりあえず俺らもこの辺見たら外出るか。さっきのやつのこともちょっと心配だし」

 

「そうしましょうか。見た感じ私たちと同じぐらい歳でしたよね」

 

「たしかにー、高校生くらいだったよね!仲良くできるといいね?」

 

「仲良く、ね………」

 

涼音の言葉に苦笑いで答えながら彼らも少年の後追い店の外へ出た。

 

 

 

 

 

 

外に出ると入口の近くで由紀が1人で立っていた。こちらに気づくとパッと顔を輝かせ駆け寄ってくる。

 

「あっ、出てきた!みんなおかえりー」

 

「あれ、由紀ちゃんどうしてこんなとこに?」

 

「みんなが来るの待ってたの!早く戻ろ!みんなびっくりすると思うよ〜?」

 

そう言うと早くしろと言わんばかりに足早に車に向かっていく。何があるのかはわからないがとりあえず由紀の後に続いた。

 

「ただいまー」

 

ドアを開けると悠里が出迎えてくれた。

 

「おかえりなさい、どうだった?こっちはあまりいい物は見つからなかったのだけど……」

 

「コンビニならしょうがないな、俺らの方はなかなか悪くなかったよ、水もあったしいろいろあったから後でもう1回行ってくる」

 

「ひかるくーん!後で私も一緒に行きたいなー」

 

「ん、じゃあみんなで行くか。結構広かったし」

 

「うん!あ、そんなことよりみんなこっち来てー」

 

先に車内に入っていった由紀がひょこっと顔を覗かし光達を呼んだ。由紀に言われるまま車内に入るとそこには黒髪の短髪で少し鋭い目付きをした少年が座っていた。

 

「あれ、キミさっきの!」

 

最初に口を開いたのは涼音だった。指をさされながらそう言われた彼は小さく笑みを浮かべると立ちあがった。

 

「どうも、先ほどは助けてくれてありがとう。礼を言うよ。」

 

「え、ええ。あのどうしてここに?」

 

美紀が少し驚いたように訊ねると彼はうん、と小さく頷いた。

 

「君達より先にあそこを出たら彼女、由紀ちゃんに会ってね、君達に助けられたことを伝えたら一緒に来ないかと言ってくれてね。とりあえず君達が来るのをここで待たせてもらってたんだ。」

 

「なるほどね!キミのこと気になってたからとりあえずよかったよー」

 

そう涼音が朗らかに笑っているとベッドのカーテンが開かれ胡桃があくびをしながらのそのそと這い出てきた。

 

「ふあぁ〜。ひかる達帰ってきたのかおかえり〜」

 

「ただいま。いないと思ったらなんだ、寝てたのか」

 

「おう、ちょっと疲れちゃってな〜」

 

「起こしてしまったかな?騒がしくしてすまない」

 

「ん……あぁさっきの人ね。んや別に?…ちょっと寝違えたかな、そのへん散歩してくる」

 

そっけなく返すとシャベルを持ち早々に車を出ていった。そんな胡桃見て彼は首をかしげ問う。

 

「俺が何か気に障ることをしてしまったのかな?追いかけなくていいのかい?」

 

「くるみちゃんなら大丈夫だよ、たまにああやって散歩行っちゃうから。あ、もしかたら恥ずかしいのかも!くるみちゃん照れ屋さんだから!」

 

「…そうか、なら大丈夫ということなのかな」

 

「てかまだお互い名前も名乗ってなかったな。また涼音さんの時みたいに自己紹介でもするか?」

 

「お、いいね!光くんの言う通り自己紹介しちゃおうか、胡桃ちゃんが戻ってきたらやろっか!」

 

涼音が元気な声でそう頷く。

 

「そんじゃいまから始めるかー、自己紹介」

 

「あれくるみちゃん!?!?ついさっき出てったばっかりじゃん!」

 

「んー、気が変わったんだよ。ほらやるんだろ?自己紹介。さっさとやっちまおうぜ」

 

パンパンと手を叩き気だるげに言う。胡桃に流されすぐに自己紹介をすることになった。

 

 

年上だからと言う理由で涼音が最初に名を乗りテンション高めに回していく。そうして学園生活部5人も名乗り終え最後に少年が名乗る番になった。

 

 

「俺は草加(くさか)航平(こうへい)、高校3年生だった18歳だ。…よろしく」

 

そう言うと彼は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

「へ〜じゃあ草加くんはいろんなとこを回ってるんだー」

 

自己紹介の後は草加のこれまでの話を聞いていた

 

「ああ。俺がいた所もあいつらがたくさんいてね。他の街に行けば安全なんじゃないかと思ったけど今のところどこも同じみたいだね」

 

「あいつらって外にいる人達のことよね?」

 

「ああそうだ。まったく、どこに行ってもいるから気が滅入るよ…あのバケモノどもめ…!」

 

「バケモノか……お前はあいつらのことが憎いか?」

 

草加がかれらのことをバケモノと呼んだことに眉をしかめ問いかけた。

 

「憎いかって…そんなの当然だろ。俺の友人も何人も襲われ二度と会うことも出来なくなった…!あんな薄汚いバケモノ、1匹残らず死んでほしいよ」

 

「っ、そうか……」

 

草加が机の上で拳にぎゅっと力を込めているのを見て胡桃は悲しげな顔でぼんやりと返した。どうやら自分に対してもそう言われていると思ってショックを受けているらしい。後で気にするなと声をかけてやろう、と考えているとふいに涼音が声をかけてくる。

 

「光くーん、さっきから静かだけど大丈夫?」

 

「ん?あぁ…大丈夫。ぼーっとしてた、ちょっと疲れてんのかもしんない」

 

「無理しない方がいいですよ先輩、さっきの店の探索には私たちだけで行ってきますからゆっくり休んでてください」

 

「でもさ…」

「いいからおまえは休んどけって、あたし行くから大丈夫だって!」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行ってくるわね」

 

「ちゃーんとおとなしくしてなきゃだめだよ?」

 

「おう……気ぃつけてなー」

 

自分も行く気でいたが結局押し切られて光は留守番をしていることになった。

 

「彼のことは俺が見ておくから君達も安心して行ってきてくれ」

 

「……はい、よろしくお願いします」

 

草加も少し疲れていて休みたいと言い同じく車に残ることになりそれ以外の由紀達5人で行くことになった。

 

彼女達を見送り椅子に座る。すると草加の方から声をかけられた。

「疲れてるんだろ?ベッドで横になっていた方がいいんじゃないかな?」

 

「いや?言うほど疲れちゃいなしこのままで十分だ。そんなことよりせっかく2人きりで話せるしちょうどいい」

 

「何か聞きたいことでも?いいだろう聞こうじゃないか」

 

そう言うと草加は光の机を挟んで向かい側の椅子に座り直し腕を組む。

 

 

 

 

「お前ずいぶんと冷静だな。襲われて叫んでいた時とはまるで別人みたいだ」

 

少し冷たく言ってみると草加は途端にさきほどまでとは違い鋭い視線を送りながら答える。

 

「そりゃ死ぬと思ったからね、恐怖を感じてしまったし仕方ないだろ?」

 

「そ、ぼんやりお前の話聞いてたけどずっと戦うことなくここまで来たんだってな。やつらに囲まれたこともないって言ってたし運が良かったんだな」

 

あえて挑発するようにな言い方をしてみると彼は露骨に苛立ちを見せはじめた。

 

「ハァ!?もしかして君は僕のことが嫌いなのか?運なわけあるか、俺の力が優れていたからに決まってる。そもそもあんな動きの遅いやつらに囲まれる方が理解できないよ。そんなことも回避できないほど馬鹿なのかってね?」

 

「あっそ。お前店の中で俺がを助けた時にらんでしたろ?それがなんでか気になっただけさ。嫌な言い方して悪かったな別にお前が嫌いなわけじゃないから安心し……」

「気に食わなかったんだよ……お前のあの顔が…!」

 

光が言い終わる前に草加がぼそりと呟いた。

 

「は?」

 

そう声をもらすと草加は強く光をにらみつけ続ける。

 

「俺を見下したような顔で手を差し出してきただろ!なんで俺がそんな憐れみの目で見下されなきゃいけないんだ、なんで俺がお前らみたいな集まらなきゃ生きていけないやつらに助けられなきゃいけないんだ…!」

 

低い声で憎悪の目を向けながら声を荒げ怒りをあらわにする草加に少し驚きながら見ていると彼は見下したような笑みを浮かべ話を続けた。

 

「あいつらから話は聞いたよ、学校でびくびくと立てこもりくだらない現実逃避をし続けていたってねぇ。俺が毎日いろんなものを利用して上手く生きてていた間にそんなことしていた馬鹿がいたなんて驚きだよ。くだらなすぎて笑えもしないよ!俺はね1人じゃ何もできないようなお前らみたいなやつらが大嫌いなんだよ」

 

 

 

 

「おい……くだらないってのは聞き捨てならないな」

 

くだらない、自分達のこれまでのことをそんな一言で否定してきたことに苛立ちをおぼえ光もにらみ返す。

 

「お前に無理にわかってもらおうとは思わない、けどこっちだって死に物狂いで生きてきたんだ苦しい思いをしてきたんだ、それを勝手にお前の価値観でくだらないなんて決めつけんなよ、他人を見下して自分だけがすごいんだなんて勘違いしているやつに俺達のことをとやかく言うんじゃねえ…!」

 

「嫌いなやつを見下して何が悪い?俺はお前らみたいなやつらとは違う!だからちょっと遊んでやろうと思ったんだよ、お前らの仲バラバラにして1人でいた方がよかったんじゃないのって笑ってやろうと思ってたけど……その前に」

 

そう言うと草加は立ちあがり光を見下して笑う。

 

「その前にお前だけ追い出してやるよ。ついムカついちゃって全部話しちゃったし邪魔なお前をこっから追い出させるように仕向けてやるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…思ってた以上にしょうもないこと考えてたんだな、お前友達いないだろ?ガキみたいなこと言っちゃってさ?

…前言撤回、俺やっぱお前のこと嫌いだわ。そんな馬鹿なやつだとは思ってなかった」

 

「ハァ?」

 

彼のやろうとしていたこと聞き光は呆れてため息をつき笑った。身勝手な子どもじみたその考えに返す言葉も見つからないと言いたいところだが光も立ちあがり真っ直ぐに彼をみる。

 

「やれるもんならやってみろ。そんなこと本気でできると思ってんならな?」

 

そう光は笑ってみせた。




読んでいただきありがとうございました!

新たな仲間(?)草加くんを拾ってしまった学園生活部。彼らはこの馬鹿と仲良くしていくことはできるのでしょうか…。

こういうヤツ書くの初めてで予定より幼稚なこと言うヤツになってしまった…もっと上手く書けるようにがんばらなければ(^^;

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m
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