この息が止まるその日まで   作:りんごあめ

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不定期更新になると思いますがができるだけ間隔を開けずに投稿できるように頑張ります(^_^;

第三話よろしくお願いします。


第三話 「おはなし」

「ただいま〜見回り無事完了しましたぁ〜。」

おどけた口調で見回りが完了したことを報告する。

 

「おかえりなさい。見回りお疲れ様、今日も何事もなかったのよね?」

悠里が光のことを労い改めて見回りのことを確認する。

 

「ああ。バリケードは今日も無事だったよ、まあそうそう壊れることはないだろうけどなー。」

 

わざわざかれらを倒したことなど伝える必要はないと考えバリケードの状況についてだけを伝え椅子に腰掛ける。仮に伝えたとしても心配されて軽くお説教を受けるだけだしめんどうだ。幸い悠里は疑う様子もなくお茶をいれている。よかった、これならバレてはいないだろう。ほっと息をついたのも束の間、胡桃が口を開く。

 

 

「本当にバリケードを見てきただけか?それにしては随分と帰ってくるのが遅かったな。」

 

「え、あ〜まあそうだな……」

余計なこと言うなよ、という気持ちで光は胡桃を睨む…が本人はまったく気にしていないようで窓の外に広がる空を眺めはじめる。

 

「ちょっと光くん、どういうことかしら?もしかしてかれらと戦ってきたの?」

悠里はいつも通りの笑顔でいる、だがしかし笑っていない。無言の圧力に光は屈する。仕方ない、正直に話そう。

 

「バリケードの確認した後に1体だけね、こっちに気づいてなかったし狙いやすいところにいたからさ。」

 

「もう…バリケードの様子を確認してくるだけでいいっていつも言ってるじゃない…そんなに無理して戦わなくていいのに。」

悠里は困ったように彼に語りかける。どうやら今回はお説教をされずに済みそうだ。そう思い光は話を逸らすために口を開く。

 

「わかったよ、ごめんって。そういやゆきがいないけどどこ行ったの?」

 

「由紀ちゃんなら授業に行ったわよ。今日もめぐねえの授業が楽しみだって言っていたわ…」

 

「そっか、もうそんな時間だったか。」

そう呟き時計を見る。時刻は既に9時を少し過ぎたくらい、1時間目の授業が始まっているころだ。

 

「今日はいい天気だな、りーさん俺洗濯してくるよ。使ったタオルとか持ってくぞ。」

 

そう言ってタオルを持って出ていこうとする光を悠里が引き止める。

 

「ひかるくん見回りから帰ってきたばかりじゃない。休んでていいわよ、洗濯なら私がやっておくわ。」

 

悠里は自分が洗濯をすると彼に伝えるが光はそれを拒む。

「まぁ確かにそうなんだけどさ〜なんか今日は体を動かしたい気分なんだよ。気にしないで」

 

そう言って光は教室を出る。屋上へ行く前に由紀の様子を少し見に行ってみる。

 

 

「そうそう!それでね〜昨日もくるみちゃんがさぁ〜」

由紀は楽しそうに話していた。話すと言っても誰もいない教室で1人で話しているだけなのだが。由紀には今も何事もなかった頃の学校が見えている。いきなりそんなふうになったため最初こそ驚いたが元気になった由紀を見ているとこのままの方がいいかもしれないということになり由紀に話を合わせてやることになっている。

 

由紀の様子を確認できたため光は屋上へ行き洗濯をしていく。今日は雲ひとつない快晴である。これならよく乾きそうだ、そんなふうに考えながら洗った物を干していく。しばらくすると屋上の扉が開く。現れたのは胡桃だった。

 

 

「よっ、暇だから洗濯手伝いにきたぞ。」

 

 

 

2人で洗濯をしているためさきほどよりも早いペースで洗っていく。

光は手を止めず胡桃に部室でのことを問いかける。

 

「変な心配かけないために言わないでおいたのになんであんなこと言ったんだよ。危うくりーさんのお説教が始まるとこだったじゃん…」

 

胡桃は少し考えるように上を見上げてからニヤリと笑い答える。

「思ったままのことを言っただけだよ。お前最近1人で無理してる感じあったしさ、お説教されといたほうがよかったんじゃないかー?」

 

「やだよ、りーさんのお説教長いしめんどくさい…まぁ1人でいろいろやろうと無理してたのは認めるし悪かったよ。」

 

「わかればよろしい。よし、これで洗濯物終わりだな。案外早く終わっちまったな。」

 

 

そうだな。と相槌を打つと胡桃がゴルフクラブをじっと見つめていたのでどうしたのかと問いかけてみる。

 

 

 

「いや〜お前も変わってるなーって思って。普通ゴルフクラブなんか武器にするかよ、ってな。」

 

「シャベルを武器にしてるお前にだけには言われたくねーよ。シャベルの方が変わってんだろ。」

すかさず光は反論する。

 

「これが1番使いやすからこれにしてんだよ。それにたまたま近くに落ちていたっていうある意味運命的な出会いをした相棒なんだよ。」

 

「だったら俺もこいつとは運命的な出会いをしたってことになるな。」

 

「そうだっけか、それどこで拾ったんだっけ?」

どうやら胡桃は覚えていないらしく光に尋ねる。

 

「こいつをひろったのは確かみんなで校長室に行った時だったなぁ…」

 

そうぼんやりと呟き光は愛用しているゴルフクラブと出会った時のことを思い浮かべる。

 




会話させるって難しいなって思いました^^;
いいタイトルが思いつかなくて今回は会話している所を多めに書いたので「おはなし」というふうにしてみました。

次のお話ではゴルフクラブを拾った時のことを書いてみようと思います。

次回もよろしくお願いしますm(_ _)m

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