「はぁ、はぁ、、くるみはまだか…」
柱の裏に隠れ息を切らしながら光は呟く。そして同じように少し先の柱に隠れている悠里と由紀の様子をうかがう。
彼らは今校舎の中にいるのではない。校舎の外へ出ているのだ。
なぜ彼らがこんなことをしているのか、時を少し遡ってみる。
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『2日前』
光と悠里が先に起きて朝食の準備をする。人数分の茶碗にご飯をよそっていく。
部室の扉が開き由紀と胡桃が入ってくる。
「あ!ごはんだ!!」
由紀は机の上に並ぶ朝食に目を輝かせる。
悠里はそんな由紀に挨拶をしてどの缶詰めを食べたいか問う。
「おはよ、ゆきちゃんどれにする?」
机の上の缶詰めをひとつひとつ見比べある缶詰めを見つけ手に取る。
「あ、大和煮まだあったんだ〜朝から牛!ぜ、贅沢ぅ〜!」
大和煮の缶詰めを開けながら喜ぶ由紀。どうやら由紀は大和煮が好きらしい。
その様子を見て苦笑いを浮かべて胡桃も缶詰めを手に取る。
「昭和かよ…あ、鮭もらうぜ〜」
「んじゃ俺はサバ缶で」
それぞれ好きな缶詰めを選び席につく。そしていつも通りみんなで声を合わせ食べはじめる。
「「いただきまーす」」
選んだサバ缶に舌鼓を打っているとなにやら向かいの席に座っている由紀が楽しそうに鼻歌を歌いながら食べていることに気づいた。気になったので声を掛けてみる。
「朝からずいぶん機嫌がいいな。どうしたんだ?」
光の問いかけに対してご飯を美味しそうに頬張りながら由紀は答える。
「うん。いいこと思いついたからね」
たしかにそんなことを言って胡桃と騒いでいたな。と光は昨日の夜のことを思い出す。続けてその内容を問い掛ける。
「そういやそんなこと言ってたな。どんなのだ?」
その言葉を待っていた、と言わんばかりにニヤリと笑い由紀は立ち上がって答える。
「遠足行こう!!遠足!」
思ってもいなかったことを言われたようで悠里はおもわず聞き返す。
「うん?遠足?」
「そろそろ遠足の季節じゃない?」
「…それはそうね。」
光と胡桃もわけがよく分からずポカーンと由紀を見上げる。
…がここからさらにわけの分からないことを由紀が言い始める。
「ふっふっふーわたしきづいたんだ〜
学校を出ないで暮らすのが学園生活部。でも!
学校行事なら出たことにならない!」
「………………………」
勝ち誇ったようにドヤ顔で言う由紀だったがそれに対して誰も何も言わずに静まりかえる部室…
さすがにその空気に由紀も耐えられなくなったようでひとりひとりに改めて問い掛ける。
「よね?」
「……」
何も言わず由紀のことを見つめる悠里。
「…よね?」
「……」
そっぽをむく胡桃。
「……よね?」
「………ズズズ」
何事もなかったかのように味噌汁をすすり始める光。
静まりかえった部室の中でようやく口を開く者が現れる。胡桃だ。
「…いやいやおかしいだろ、遠足って部でやるもんじゃないだろ」
そんな的確な胡桃のツッコミに対して由紀は迷いなく言い放つ。
「くるみちゃんは頭が固いね!わたしたちの後に道はできるんだよ!」
ぬうっ…と胡桃が唸る。そんな由紀の言い分を聞き今度は悠里が口を開く。
「…それなら提出用の文書を作りましょ?めぐねえに見てもらわないと」
その言葉を待っていた!と言わんばかりに由紀はまたもやニヤリと笑い今度は1枚の紙を取り出す。
「じゃーん!」
その紙を受け取り目を通す。遠足に行くために提出用の文書だった。
「んー…」
一応文書にはなっているが小学生が書くような内容だなと心の中で呟く。胡桃と悠里にも紙を回す。胡桃も微妙な反応だったが悠里はとりあえず大丈夫だと思ったのだろう、由紀にめぐねえに見てもらったらどうかと伝える。
それを聞くと由紀はあっという間に部室を飛び出していった。
「さてどうしましょうか」
「めぐねえ待ちだなゆきに任せようぜ」
「あら、ずいぶん積極的になったわね」
「ああ由紀も調子いいみたいだしな」
「あとは足だけど…お前ら運転できたりする?」
「ゲームならなぁ…」
「だよなあ…」
部室に残った3人はこれからどうするかを考える。やはり1番の問題は車の奪取とその運転だ。結局そこではまあ何とかなるだろで話が終わった。
しばらくすると由紀が嬉しそうに帰ってきた。どうやら了承を得たようだ。その後空き教室を使い悠里、胡桃、光の3人で作戦会議が行われた。
「んじゃ玄関からは無理そうだな。そうすると3階からってことか。」
「3階からまっすぐ降りれば駐車場まで150mだけどシャベル背負って全力疾走よ?」
「なあ、ほんとにお前1人でいくのか?足なら俺も十分早いと思うんだけど」
作戦会議の前に胡桃から自分が車を取りに行くと言われた。光も胡桃も陸上部だったため足は速いし当然光の方が速い。しかし胡桃は自分1人で行くと譲らなかった。
「うん、光にはりーさん達のことを守っててほしいんだよ。車を待ってる時にやつらが襲ってくるかもしれないしさ。」
「まあ、それはそうなんだけどさ…」
「あたしなら大丈夫だって。さっきタイムも測ってきたし任せとけ!」
自信満々な様子で胡桃が笑う。そこまで言うならと光もしぶしぶ胡桃に任せることにした。
「じゃあ気をつけてね…」
そう言って悠里は胡桃に車の鍵を手渡した。
それからは物資を入れるためのリュックや怪我をした時の為の医療品を準備したりと購買部や保健室などを回り遠足のための準備に追われた。そうしてあっという間に遠足当日を迎え今に至る。
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胡桃が出た後に3人で1階まで降り玄関の柱に隠れて待っていた。
その際に何度かかれらに気づかれたがその度に光ができるだけ他のかれらに気づきかれないように素早く倒す。倒したのはまだ5体ほどだったがいつどこから現れるか警戒していなければならないために必要以上に疲れてしまっていた。すると悠里が慌てたように声を上げる。
「ひかるくん!後ろからきてるわ!」
すぐに後ろを振り返ると10mほど先に1体こちらに向かってきているかれらがいた。
「くそっ、またかよ!」
すぐに走り出してかれの頭にゴルフクラブを振り下ろす。一撃で仕留めたらしくそのまま倒れ動かなくなる。
そろそろまずいと光は心の中で呟く。これ以上戦っていても体力を消耗するだけだがかれらは次々に襲いかかってくる。このままでは全員無事ではいられない、と焦りが生まれてくる。
ふと校庭を見るとまた1体こちらに向かってきていた。こちらに引き付けてから今度は横殴りにゴルフクラブを振る。またもや頭に直撃し一撃で仕留める。すると遠くからブロロロという音が聞こえこちらに近づいてくる。そして玄関の横にピタリと止まる。
「早く乗れっ!」
運転席の窓から胡桃が顔を出す。
そうして3人は車に乗り込んでいく。
「ずいぶん遅かったな。待ちくたびれたぞ…」
光は助手席に乗り込みながら胡桃にぼやく。
「やつらの数が多かったしめぐねえの車がどれかわかんなくて手こずっちゃってさ。よし全員乗ったな」
全員が車に乗ったことを確認するとすぐにハンドルを切り校庭を突き抜けていく。途中をかれらを2体ほど轢いた。
「あ、今轢いたな…」
「そんなこと気にしてる場合じゃないし避けるほどの技術もないんだよ!」
胡桃はあまり気にしていないらしく、車の運転で手一杯ようだ。
そんなことをしてるうちにあっという間に校門へたどり着いた。
「それじゃぁ遠足に」
「「しゅっぱあつ!」」
4人で声を揃えて学校を飛びだす。学校を出るまでいろいろと苦労はあったが4人とも笑顔だった。いままで苦労よりこれからのことの方が楽しみだからだろう。
この日彼らは初めて外の世界へ飛び出した
読んでいただきありがとうございました!
ということでここからえんそくのお話となります。
えんそくは2話〜3話に分けて書こうと思っています
次回もよろしくお願いします
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