体調を崩してしまいなかなか執筆が進みませんでした。しかも今回いつもより短いです。本当に申し訳ありません。
『体育祭。それは生徒同士ぶつかり合う仁義なき戦い。青春の1ページの中で1番泥臭く、汗臭く、血生臭い。そして、彼らは手にする。友情を。努力して。勝利を勝ち取るために!』
「体育祭がジャンプ漫画に1番適しているとでも言いたいのかしら?この校内新聞」
「ずいぶんと内容が凄い校内新聞だな」
昼休み、教室の掲示板に貼られている校内新聞を読みながら私と小紅ちゃんが苦笑を漏らす。この校内新聞は新聞部が発行しており、その内容も記事の匙加減も全て新聞部に決定権があるらしい。そのかわり、生徒会役員に最低でも1人は着かないといけないらしく、もし役員になれる人が新聞部からでなかった場合は役員が出るまでは書いた記事を随一生徒会に検閲してもらってからの発行となるらしい。生徒会に抜擢される位生徒の模範になる人物であれば発行される新聞の記事も酷いものにはならないだろうとの考えなのだろう。まあ、今の新聞部は2年に生徒会に所属している人がいるそうなので、結構自由に記事を書いているとか。
「記事の著者は、
記事を読んでいた美姫ちゃんが訪ねてきた。確かに小紅ちゃんのお姉さんは生徒会長だし、副会長はその会長の親友兼幼馴染みだとか。ならこの河原さんについて何か聞いているかも知れない。
「んー、実はお姉様、私にあまり生徒会のことは話さないんだ。まあ、私が聞けば答えてくれるとは思うけど」
「紅緒さん昔からそんな感じでね、小紅ちゃんの話は聞くけど自分の話はあんまり話さないんだよね~」
「自分のことはあまり話たがらないのかな?」
小紅ちゃんとまゆらちゃんの言葉にユウちゃんが疑問を投げかける。んー、多分だけど
「お姉さんが自分のことを話さないのは自分のことより小紅ちゃんの話が聞きたいからじゃない?」
「私の話?」
「そう、自分自身のことを話すより小紅ちゃんのことを聞きたいのよ。もしくは自分から話さないようにして少しでも多く妹と話す機会を得ようとしているか」
「なるほど。なかなかの分析能力、流石あの人の妹なだけはありますね」
「ええ。でもまあ、私の推測に過ぎないのだけれどね。………………ん?」
横から普通に会話してきたから普通に答えてしまったけど、ユウちゃんたちの誰の声でもなかったので疑問に思って声の方を見る。とそこには色素の薄い髪を短めのポニーテールにした青色の瞳の少女がいた。
「えーと、どちら様?」
「え?あ、すいません。いきなり声をかけてしまって。私は生徒会書記兼新聞部副部長の河原青葉と言います」
彼女が申し訳なさそうに自己紹介をしてきた。
「あなたが河原さんですか」
「はい。あ、青葉と名前で呼んでいただいて構いませんので。あと、皆さんは自己紹介しなくても大丈夫ですよ。皆さんのことはだいたい知っていますからね。………で、皆さんにお願いがあるのですけども」
「お願いですか?」
「はい。皆さんにインタビューさせていただきたいのです!」
ランさんの自己紹介から早いもので体育祭まで後3日となっていた。その間、3年B組と2年B組の先輩方と共に応援合戦や、行進の練習、男子は騎馬戦と棒倒し、女子は綱引きと球入れの練習と作戦会議などを行ってきた。宮沢中学では男子の特別競技が騎馬戦と棒倒しで、女子の特別競技が綱引きと球入れだ。元々は騎馬戦と棒倒しは男女別ではあったものの他2つも含め、全て男女共同参加だったらしい。何故男女別の特別競技になったかと言うと、綱引きは腕力の強い男子が有利なため、綱を引く前に相手側の男子を伸してしまおうという作戦に全てのグループの男子が行き着き、綱そっちの気で男子が大乱闘を繰り広げてしまい。球入れの場合は男子は球を籠ではなくこれまた相手側の男子にドッチボールの如く投げだしたために。女子の場合は騎馬戦や棒倒しは男子よりケガが多かったかららしい。相手の髪を引っ張るのは当たり前、つけ爪が常備武装にまでなっていたとか。…………血の気多!!
「いいかお前ら!本番まで後3日だ!気ぃ引き締めていくぞ!!」
「「「「「「「「「「おお!」」」」」」」」」」
合同で練習するために集まった全学年のB組全員の音頭を取っているのは3年の
「前々から思っていたけどこの学校の生徒ってノリが良いよな」
団長の掛け声に乗って声を騰げているB組全員を見ながら美姫ちゃんが呟く。
「ウチの学校は昔から『この学校に入るための必須項目にノリの良さがある』なんて言われてますからねぇ。…………ところでランちゃん?いつまで美姫ちゃんの耳?髪?を触っているんですか?美姫ちゃんも嫌だったら嫌って言っちゃって良いですからねぇ?」
明希さんが美姫ちゃんの呟きに答えながら、さっきからずーっと美姫ちゃんの耳のようにはねた髪を後ろから触っているランさんに訪ねる。
「アタシは気にしてないから良いですよ」
「ごめんね、美姫ちゃん。この耳髪さわり心地が良くて」
「いえいえ、好きなだけ触って良いですから」
美姫ちゃんは申し訳なさそうに謝りながらも耳髪をモフモフしてくるランさんに笑いながら許している。聖女かな?
カシャッ
と私が考えていると何処からかシャッター音が聞こえたので音の方に顔を向けるとそこには青葉さんがいた。あれ?青葉さんは兄さんたちと同じC組だったと思うのだけれど?
「おや、青葉ちゃん。新聞用の写真ですか?」
「こんにちは明希さん。ええ、体育祭前日に発行するんですよ」
「この間発行したのにまた新しいのを発行するんですか?大変じゃありません?体育祭の練習もあるのに」
ユウちゃんが聞いてきた。確かに3日前くらいに発行されている。
「いえいえ、文章の方はだいたいできていますからね。後は練習風景の写真をいくつか見繕うだけですので、そこまで大変ではないですよ。後、自分の体育祭の練習もしっかりやってますよ」
青葉さんが自慢気に言ってきた。へえ、上手くこなしているんだ。青葉さんってかなり要領が良くてタフなのね。
「へえ、でもよく書く事柄が無くならないわね?」
モフりながらランさんが会話に参加してきた。
「…………ランさん。………まあ、千景さんたちがインタビューに協力してくれたからなんですがね」
「へえ、小紅がインタビューにねぇ」
「撫子さん!」
私たちが話していると生徒会副会長の
「恥ずかしがり屋の貴女がよくOKしたわね?」
どうやら幼馴染みなだけあって副会長さんは小紅ちゃんのことをよく知っているらしい。
「ええ、まあ、私1人なら受けなかったと思うけど千景たちも一緒だったから」
「ああ、なるほど」
そう言って副会長さんは私たちの方を向く。
「そういえばちゃんと自己紹介していなかったわね。生徒会副会長の鹿島撫子よ。よろしくね」
「初めまして、焔千景です」
「へえ、貴女が」
そう言って鹿島さんは考え出した。あら?どうしたのかしら?
「あ、もしかして、思ってたより普通だとか思ってます?」
「ええ、失礼だけどもあの焔君の妹って聞いてたから」
「皆さん大抵そう言うので気にしなくて良いですよ」
「ありがとね。あ、私のことは名前で呼んで良いから」
「解りました。撫子さん」
私と撫子さんが握手を交わしているとユウちゃんが話に参加してきて
「
いつものようにユウちゃんがフランス語で挨拶した。
「………
「!」
まさかの撫子さんもフランス語で返してきた。
「
「
撫子さんは少しはにかみながら言ってきた。いや、少しでも凄いですよ。
「凄いですね。私と兄さんは話せませんから」
「「「「「「「え!」」」」」」」
私の発言にユウちゃん以外の皆が驚く。
「千景ちゃん、話せないんですか!?と言うか、徹隆さんも話せないって」
明希さんが訪ねてきた。
「ええ、兄さんも私も聞き取りは出来るけど話すことは出来ないのよ」
「え!?で、でも、徹隆さんがフランス語で遊戯王ネタを話すって私は聞いてるんですけど?」
「ああ、アレはね、その例文と主語を変えた派生形しか言えないわ」
「え!?ゆ、友奈ちゃんはこのことは知ってたんですか!?」
「うん、知ってたよ。いや~、再会したときにフランス語で返されたから普通に喋れるものだと思っていたら、後からその時に使った4文以外話せないって聞いて驚いたよ」
「「「「「「「……………」」」」」」」
ユウちゃんの言葉を聞いていた皆が驚いているのか呆れているのか絶句した。
「は~。やっぱり私の小紅は可愛いわ」
紅緒が先ほど発行された校内新聞を読みながら人様にお見せできない顔をしている。生徒会長であり私の幼馴染みの夜ノ森紅緒は簡単に言うと『シスコンの変態』だ。それなのに容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群と絵に描いたような完璧超人なためか生徒の約8割から絶大な支持と尊敬を会得している。それはもう過剰な程。焔君たちのような紅緒への考え方の念頭に変態を置いて考えている人たちにとっては『ハイスペックなのは解るのだが、あまりにもカルト過ぎて正に紅緒教としか言えない』とのこと。確かに完璧超人と言うフィルター越しに見て自分たちの良いように解釈する姿は言い得て妙ではあるが。まあ何にせよ、私にとって夜ノ森紅緒とは『尊敬を崇拝へと変えてしまう程のスペックを持っているってだけの只のシスコンの幼馴染み』なのだけれどね。
「ただ、もう少し小紅のインタビュー記事を多くしても良いんじゃない?」
校内新聞を読みながらだらけきった紅緒が言ってきた。
「無茶言わないの。そういうのは平等にするものなのよ」
「それはそうだろうけど。まあ、とりあえずハサミ取ってくれない?撫子」
「それにしても河原、よく小紅にインタビューを受けさせることが出来たわね?」
ハサミを紅緒に渡しながら、この校内新聞を書いた河原に訪ねる。小紅はかなり内気で恥ずかしがり屋だ。いくら友達の千景さんたちが一緒だったからと言ってもインタビューを受けたことには少し驚いている。
「最初は渋っていましたが千景さんたちも軽い気持ちで一回だけやってみたらって助け船を出してくれたので。ただ、変な記事書いたら只じゃおかないと脅されましたけどね」
河原の顔色少々悪くなってきている。………普通の子だと思っていたけど、やっぱり焔君の妹ね。
「ふーん、あの焔君の妹ねー。なかなか可愛らしいじゃないの」
「紅緒、貴女の場合は妹なら誰でも可愛いのでしょう?」
「ええ、もちろんよ。なんてったって私は職業姉なのだから!」
「はいはい」
紅緒は平常運転のようで。私は紅緒への返事もそれなりに校内新聞に目を通す。今回の内容は有名な2、3年生の弟や妹のインタビューと体育祭への意気込みが書かれている。中でも目を引くのはやはりと言うべきか紅緒の妹である小紅や焔君の妹の千景さん、ディルム君の妹のラティナさんなんかの意異名持ちの弟、妹たちかしら。あれ?そういえば
「月城さんはインタビュー受けてないのね?」
確かあの子、焔君の妹的存在って聞いていたのだけれども?
「ええ、私はしようと思っていたのですが本人が本当の妹じゃないからと」
「もしかしたら、まゆらちゃんが1人だけインタビューを受けないのを気にしたのかも」
生徒会室にいたもう1人、天童が呟いた。
「そういえば、天童は彼女たちとそれなりに仲が良いのよね?」
天童に訪ねた。
「ええ、まあ、蓮太郎君経由ですけどね」
「貴女から見て彼女たちはどう?」
「そうですねー、千景ちゃんは焔君を常識的にしたような感じで、友奈ちゃんは結構周りにさり気なく気を遣うタイプですかね。あ、後、2人ともかなりの仲良しです。焔君曰く『もうあれは恋人関係』だそうです」
「かなり仲が良いのね」
「あ、それは私も取材していて思いました。あの2人、隙あらばイチャイチャし出すんですもん。見ているこっちが恥ずかしくなってきましたよ」
「へー、そこまでなのね」
「…………その2人に感化されれば小紅ももっと私にイチャイチャしてくれるかしら?」
「「「………………………」」」
紅緒がとち狂ったことを言っているような気がするけど、まあ、いつも通りね。
「………ところで紅緒、明日の体育祭の選手宣誓は誰がすることになったの?」
「ああ、それなら
「「「え?」」」
波瀾万丈の体育祭が今始まる。
体調を整えしだい次話を投稿しようと思います。