皆様、あけましておめでとうございます。今年もほそぼそと小説を書いていこうと思います。
友奈『
千景『今年もよろしくお願いするわ』
「早く早く、チカちゃん!」
「うふふ、待ってユウちゃん」
「おっと、ボクが1番に天守閣に行くよ!友奈ちゃんには負けない!」
「ちょっと、待ちなさい!ユウキ!」
香川に着いた次の日私たちは丸亀城に来ています。……で、丸亀城に着いたと同時に友奈ちゃんとユウキちゃんが走り出し、千景ちゃんとランちゃんがそれを追いかけて行きました。そして、この場に残ったのは私と徹隆さんだけになりました。
…………………………ええ、
―前日の夜―
「と言う訳で明希さんには明日、出来る限り兄さんと2人っきりになって貰います!」
千景ちゃんが明日の計画と
「ふ、2人っきりですか……」
「ええ。ぶっちゃけて言うと恋人繋ぎとか、腕を組むとか、ハグとかして貰いたいんだけどね」
「む、むむむ無理です無理です!絶対無理です!!」
そんなこと出来る度胸があればここまでこじらせていませんって!………なんでしょう。言ってて自分で悲しくなってきましたよ?
「まあ、失礼だけど明希さんにそこまで出来るとは思ってないわ」
「……残念ながら言い返せませんねぇ」
はあ~、言い返せない自分が情けないですねぇ。
「と、まあ、そこで雰囲気に助けて貰おうかなと」
「雰囲気にですか?」
「ええ、2人っきりになっていれば黙っていても良いムードになってくれるし、後は兄さんが天然で何かしらしでかしてくれる筈だから」
「あ~、あの天然タラシ行動ですか」
「ええ」
ホントなんなんでしょうねぇ?あの行動は。………ふと思ったのですが、私の周りってこの行動を起こす男子、多くありませんかねぇ?特に蓮太郎さんとディルさん、あの人たちは1日に1人は恋に落としているような気がします。まあ、徹隆さんと真悟さん、景友さんも2日に1人は落としてそうですが。え?由良さん?あの人のは天然ではなく計算尽くです。
「まあ、そういうことで明日はバンバン2人っきりにしていくわ!」
「していくって、具体的にはどうするんですか?」
「はいはーい、そこは私とユウキちゃんの出番です!」
元気よく友奈ちゃんが手をあげています。元気いっぱい可愛らしいですねぇ。徹隆さんがシスコン気味なのも仕方がないと思える可愛らしさです!そう言えばこの間、3年生女性陣で誰が千景ちゃんと友奈ちゃんを妹にするかの大会第13回目が行われましたねぇ。その度に皆さんが『徹隆はいらない』って言ってました。そんなにいりませんかねぇ?
「明希ちゃん、聞いてる?」
「は!!すいません。友奈ちゃんの可愛らしさを考えてたら思考があらぬ方向に」
「それは仕方が無いわね!なんたって真理だから!!」
「………で、友奈ちゃんとユウキちゃんの出番ですか?」
「うん!私とユウキちゃんがことある毎にはしゃいで皆から離れるの!」
「で、その2人を追いかける形で私とランさんが離れるから、そうすれば自然とその場に残るのは兄さんと明希さんだけよ」
「あれ?おじさんたちは?」
「
「私と兄さんで考えてたのよ。この旅行中は夫婦で楽しんで貰おうって」
なるほど、そうだったんですねぇ。
「と言うことで、明日はこの作戦で行くわよ」
「そう上手く行きますかねぇ?」
「行くわ。明希さんが私たちを追わなければ、絶対に兄さんは明希さんと一緒にいるはずだから」
―現在―
「アイツらはしゃぎ過ぎたろ」
昨日千景ちゃんが言った通り、徹隆さんは私と一緒にいました。
「徹隆さんは行かないんですか?」
「ん?あの2人が追いかけてるから大丈夫だろう。あ、もしかして1人で楽しみたかったか?」
「い、いえいえ!大丈夫です!!」
「そうか?じゃあ、一緒に行こうぜ」
「は、はい」
私と徹隆さんはゆっくり天守閣に向けて坂を登って行きます。
「それにしても、ユウキはともかく、友奈があそこまではしゃぐとはなぁ」
「やっぱり、特別だったからじゃないですかねぇ?」
「………
「徹隆さん?どうかしましたか?」
徹隆さんがとても悲しそうな寂しそうな目をしているのに気付きました。……この目を私は知っています。1年前、弟と不仲だった時の私と弟の目と、肉親に対して申し訳なく思っている者の目です。
「………徹隆さん、博斗のこと、ありがとうございます」
「え?」
「1年前、徹隆さんがあの子の高くなった天狗の鼻をへし折ってくれて、『素直になれ』って言ってくれて、おかげで私は博斗としっかり眼を見て話すことが出来ました」
「……………」
「
「………そっか」
「はい」
「……俺さ、アイツらの記憶が戻ったとき、アイツらにお前らは『焔千景』と『月城友奈』だろって言ったんだ」
「その話、昨日の夜お二人に聞きましたよ。その言葉のおかげで
「ははは、そっか。でもさ、あの言葉、実は俺がとっても怖かったから言ったんだ。アイツらが別人に成っちまうんじゃないかってさ。酷い話だろう?アイツらはその言葉で励まされたって言っていて、言った本人はそう感じるように言っておきながらその実、自分の妹を信じてやれなかったて言うんだから」
「…………なんだ、いつもの徹隆さんじゃないですか」
なにを心配しているのかと思えば、しんみりした雰囲気で聞いて損しちゃいましたねぇ。
「は?」
「千景ちゃんと友奈ちゃんのこととなると我を忘れる、シスコン気味で過保護ないつもの徹隆さんです」
「シスコン気味って……」
「いきなりしんみりしだしたからいったいどんな暗い話するのかと思ったら。前に景友さんが『徹隆の周りのシリアスさんは5秒で死ぬ』って言っていましたが、本当ですねぇ」
「お前なぁ」
「だって」
「ん?」
「だって、徹隆さんがどんな気持ちで彼女たちに言葉を送ったとしても、その言葉で彼女たちは決意したんです。どんなふうに言葉を送ろうと捉え方は彼女たちだけのものですから、徹隆さんがあーだこーだ悩んでいても彼女たちは歩んで行きますよ。
「………そっか」
「そうです」
「……ははは、そっかそっか」
そう言って笑う徹隆さんの雰囲気はいつものちょっとおちゃらけた緩いものに戻りました。やっぱり私はこの雰囲気の徹隆さんが好きですねぇ。
そう考えてたら徹隆さんが私の頭を撫でてきました。へ?
「ははは、明希、お前本当良いヤツだな」
「ちょっ、て、徹…隆さん」
「ん?あ、悪い悪い。千景や友奈を相手にしてる感覚だった」
や、やられました。まさかここでタラシ行動が来るとは!くっ!このままでは私の
「なあ、明希」
「ひゃっ、ひゃいっ!?」
自我を保つ為に変なボケを心でしていたので不意を突かれました。
「実はさ、この旅行で俺は少しでも『郡千景』と『高嶋友奈』のことを知りたいと思ってるんだ。協力してくれね?」
徹隆さんは香川に行けたらもしかしたら前世の彼女たちのことが少しでも解るのではないかとずっと考えていたとのことでした。
「………やっぱりシスコン気味ですねぇ」
「そうか?」
「そうです」
「そっか………ん?」
「どうかしましたか?」
「なあ、明希。俺の目がおかしいのか?葉っぱが浮いてるように見えるんだが?」
私は徹隆さんが見ている方向に目を向けます。するとそこには
「………徹隆さんの目がおかしくなった訳ではないと思いますよ?私にもそう見えますもん」
葉っぱが数枚浮いていました。と言うか
「なんか静か過ぎません?」
「……まだ夕方じゃないんだがなぁ?」
「次に聞こえるのはブレーキ音と銃声でしょうか?」
「そして流れるフリージア」
希望の華~
「と、冗談はこれくらいにして千景たちと合流した方が良いな。こいつは明らかに異常だ」
「はい」
私たちは千景ちゃんたちと合流する為に天守閣まで走って行きました。
「姉ちゃん、これって!?」
「どうなっているのよ、これ!?」
ユウキさんとランさんが周りの状況を確認して狼狽える。私たちの周りはまるで時間が止まってしまったように全てのものが動きを止め、静かになっていた。いや、
「ねえ、チカちゃん!
「ええ、考えたくないけど
私とユウちゃんはこの現象に酷似した事態を知っていた。でも認めたくなかった。何故なら
「皆!無事か!?」
そんな時、兄さんと明希さんが私たちの元に走ってきた。良かった、兄さんと明希さんは無事みたいね。
「ここに来るまでに何組かの観光客とすれ違いましたが、皆さん時間が止まったように固まってました!」
「………皆は全員動けるようだな?」
「ええ」
「くっ!1人でも止まっていれば顔に落書きし放題だったのに!」
「「「「「…………………」」」」」
ドコッ!!
「グフッ!!」
私は兄さんに無言の腹パンを喰らわす。
「冗談言う場面じゃないでしょ?兄さん」
「…ケホッケホッ……わ、悪い悪い。でも、少しは落ち着いただろ?」
「!……はぁ~、全くウチの兄さんは」
「ははは、さて。千景、この現象ってもしかして」
兄さんがさっきまでのおちゃらけた雰囲気を消して真剣な表情で聞いてきた。
「ええ、1番可能性が高いわ。でも……」
「それの場合、お兄ちゃんが動けてるのが不思議なんだよね?」
ユウちゃんが私の考えていた疑問を代弁してくれた。そう、もしこの現象が私たちの知っているものと同じなら男性である兄さんが動けることが疑問なのだ。
「え?まさかの俺、お姉ちゃん説!?」
「無いわね。由良さんの方が信憑性有るわよ」
「じゃあ、生前女性だったとかどうよ?」
「あ、それならあり得そうね」
実際のところはどうしてなのか解らないけど、ただ、兄さんのお陰で心に余裕が持てるわね。戦力としても申し分ないし。
「ねえ徹、話からして徹たちはこの現象を知ってるんだよね?」
「ああ。まあ、正確には1番可能性が高いってことだが、この現象は千景と友奈が前世で経験しているらしい」
「千景ちゃんと友奈ちゃんが前世で……」
「で、この後、強い光に飲み込まれれば確定だよな?」
「ええ、そうよ」
「あの~、その強い光ってアレですかねぇ?」
明希さんが指差す方向を見ると瀬戸内海側から強い光が迫ってきていた。
「確定だね、チカちゃん」
「確定ね、ユウちゃん」
「はいはい、確定だそうだから、皆この後カラフルな根っこが広がる異世界に飛ばされるそうなのでビックリしないようにな~」
「「カラフルな根っこ?」」
「カラフルな根っこ」
「と、言ってる間に既に目の前に光が迫ってきましたねぇ」
「「「「「「うわ!眩しっ!!」」」」」」
こうして兄さんたちは生まれて初めて、私とユウちゃんは生まれ変わって初めて、前世では考えられない緩さで樹海化の光に飲み込まれた。
「「「「カラフルな根っこだ~」」」」
兄さんたちが樹海に足を踏み入れて言った一言目です。うん、緩いわ~。前世では絶対考えられない緩さだわ~。取りあえず見える範囲でバーテックスはいないわね。まあ、兄さんとユウキさんがいるから不意を突かれることは無いでしょ。あの2人の気配察知はかなり凄いし。あれ?バーテックスって気配あるのかしら?
「ねえチカちゃん、私の記憶の樹海に比べて根っこが占める比率が高いような気がするんだけど?」
「ええ、私もそう思うわ。しかも、心なしか根っこが太い気がする」
私とユウちゃんは辺りを見渡し違和感を覚える。どうも私たちの記憶の中の樹海と違うように思う。それとも十数年ぶりだからそう感じるだけかしら?
「ねえ、もしかしてこの異世界は千景ちゃんと友奈ちゃんがいた時代より未来にあるんじゃないかしら?」
ランさんが私たちの話を聞いて予想を立てる。
「私たちの時代より未来?この樹海が?」
「この異世界、樹海って言うのね。うん、多分だけど根っこの占める比率が上がって根っこ自体が太くなっているなら成長したって考えられない?」
「なるほど」
「でも、神様って成長するの?」
私がランさんの意見に納得しているとユウちゃんが呟いた。あ、そういえばそうよね。神様って成長するのかしら?
「神様?」
「ああ、この樹海は神樹って言う神様が作った世界なんだそうだ」
「で、その神樹様があの奥で光っているあれだよ」
ユウちゃんが神樹様を指差す。
「え!あれ神様なの!?」
ランさんが神樹様を見てビックリしている。想像していた神様とは似ても似つかぬ為だろう。
「………ねえ、てことはこの根っこは神様の根っこなの?」
「え?ええ、そうなるわね」
ユウキさんが根っこをじーっと見ながら聞いてきた。
「………こういう根っこってゲームだとかなりのレア度の採取アイテムだったりするよね?」
「!?確かに!!」
そうよね!神様の根っこなんだもの!なんで前世では気付かなかったのかしら!?
「そういう場合、根っこより枝じゃね?」
「いや、根っこも在りそうだとボクは思うな~」
「ん~、俺なら根っこよりは近くに生えてる茸とかの方が考えられるな~。『
「あ、それも在りそう」
「あなたたち!神様相手に失礼も程があるでしょう!?」
兄さんとユウキさんがランさんに怒られた。それにしてもなんで前世では思いも寄らなかったのかしら?私ならちょっとは考えそうなものだけど。……やっぱり心に余裕が無かったのかしらね?
「あの~、今まで誰もツッコんでませんけど、
今まで黙っていた明希さんが言ってきた。
「あ、そういやそうだな。千景、このコスプレ衣装が勇者装備ってヤツなのか?」
兄さんが聞いてきた。コスプレ衣装って、まあ、初めて見たらそう見えなくもないのかな?
「勇者装備!!格好いい!!」
ユウキさんが喜んでいる。なんか
「ええ、そうよ。それぞれ花がモチーフになっているの。自身の花のモチーフは自分のスマホの画面にレリーフが浮かんでいる筈だからそれで確認出来るわ」
私とユウちゃんの勇者装備って前世のと変わってるのよね。ユウちゃんのカラーリングは変わってないけど私のカラーリングが黄色になっているのよね~。モチーフの花が変わってるのかしら?そう思い、確かめてみようとスマホをホルスターから取ろうとするがそもそもホルスターが無くなっていた。
「あら?ホルスターが無い?」
「うわ!」
ホルスターを探していたら横からユウちゃんの悲鳴が聞こえた。
「どうしたの!?ユウちゃん!!」
「あ、ごめんね。ホルスターが無いからスマホ何処かなって考えてたらスマホが急に手の中に出てきたからビックリしちゃって」
「……え?」
手の中に急に出てくるなんてあるのかしら?半信半疑でスマホよ出ろと考えたら……………出て来たわ。花弁が集まったと思ったら手品みたいにこうパッと。どうなっているのかしら?コレ。
…………まあ自分の花のモチーフでも見ておきましょうか。
曇華一現……稀にしかない珍しい機会の例え
Episode:3は明日投稿予定です。