焔千景は日常を謳歌する   作:春囃子風

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特別編第7話です。

リアルがやばい状況なので遅れました。


Episode:7 錦上添花(きんじょうてんか)

 「……マーちゃん、今日は付き合ってくれてありがとう」

 

 秋の大型連休に私はやることが何も無かったので何となく一番誘いやすかった幼馴染みのマーちゃんこと真悟君と2人でショッピングに来ていた。何でも妹であるサクちゃんも友達のお家にお泊まりに行っていて暇してたとのことで誘ってみたら即OKが出た。……そういえば、こうしてマーちゃんと2人っきりでお出かけするのってなんだか久しぶりのような気がする。小さい頃はいつも一緒にいたけど、中学生になってからは違う部活に入って時間が合わなくなったし、お互いの友達と一緒にいる時間の方が自然に長くなっちゃったし。

 

 「ん、いや、俺もやること何も無かったし別に良いぞ。徹がいないと何となく集まらないところあるからな俺ら」

 

 「……テッちゃんと言えば、今日から四国に旅行だっけ?」

 

 「ああ、確か香川県だったかな?『うどん屋巡りじゃー!!』ってほざいてたし。それにしても紺野姉妹と明希を誘うとはな」

 

 紺野姉妹はともかく、明希ちゃんがついて行く事になったのは私たち女性陣が暗躍したからだけどね。千景ちゃんと友奈ちゃんにテッちゃんとの関係を少しでも縮められるようにサポートを頼んでいるけど上手くやってるかな?まあ、ランちゃんもいるから良くも悪くも掻き回されてるか。

 

 「アイツのことだからバカ騒ぎが出来る男友達を誘うと思ったんだが」

 

 「……マーちゃんも香川行ってうどん食べたかったの?」

 

 「え?ああ、いや、そういう訳じゃないんだけどな。まあ、旨いもん食いに行くのは好きだが」

 

 「……マーちゃんたちって結構食道楽なところあるよね」

 

 「旨いもん食ったら人生得した気分になるからな。しかし、明希と一緒か。帰ってきたら彼氏彼女の関係になってたり………徹に限ってそれは無いか」

 

 「……テッちゃん、…何で自分のことになるとあそこまで鈍感なんだろうね?」

 

 「………………………ひふみが自分から他人の恋愛ごとに首突っ込むなんて珍しいな」

 

 「……そう?」

 

 「俺らや周りのヤツらのノリに乗っかってっていうのはよくあるが、自分からってあんま無いだろ」

 

 そうかな?…言われてみたらそうかも。

 

 「……なんとなく、明希ちゃんには幸せになってほしいから…かな?」

 

 「徹と結ばれたらそれはそれで苦労しそうではあるんだが」

 

 「?……マーちゃん、なんか言った?」

 

 「いんや何も。ただの独り言だ」

 

 「…?そう」

 

 変なマーちゃん

 

 「それにしてもカップル多いな。……チッ」

 

 「……私たちも傍から見たらカップルに見えるんじゃない?」

 

 「あ、気にすんな。ただカップル見たら条件反射で舌打ちしてるだけだから」

 

 「……………………」

 

 「てか、俺らの関係って何て言えば良いんだろうな?」

 

 「……友達以上恋人未満?」

 

 「異性の親友?」

 

 「……私はこんな距離感が好きだけど」

 

 「まあ、なんやかんや言って俺も好きだけど。肩肘張らなくて良いし。……にしても、本当カップル多いな。デートスポットここ以外無いのかよ」

 

 私たちの住んでいる街で連休中のデートスポットといえばショッピングモールが挙げられる。

 

 「……田舎だからね。ここら辺、ロマンチックなデートスポットってあんまり無いから」

 

 「まあ確かに、ロマンチックな食事場所に挙げられるのが徹の両親の店以外あまり無いくらいにロマンチックという言葉を聞かない街ではあるな」

 

 「……私たちテッちゃんの知人にとっては使い辛いけどね」

 

 「使った瞬間、焔家全員の周知の事実になるからな。徹のお袋さん、そういう話好きだから」

 

 そうそう、家族で使用した場合にちょっとした会話で子供の通っている学校の名前が解って、それがもし宮沢中だったらそこから焔家に身元がばれちゃうのだ。蓼原家はそうだったって明希ちゃん言ってたな~。

 

 「……テッちゃんもテッちゃんでプレゼントを人にあげたり、サプライズが好きだからね。…明希ちゃん、誕生会をあそこで行った次の年の誕生日にテッちゃんからいきなり誕生日プレゼント貰って驚いてたっけ」

 

 「異性だろうと同姓だろうとアイツは友達に関しての行動パターンを変えないからな。ただ、お袋さんのあの性格には不満があるらしい。この間『なんで俺がどこぞの会社の専務の息子の恋愛事情やどこぞの病院の医院長の娘さんの二股を知らなきゃならん!?さらにはどこぞの子供が東大だの早稲田だの慶応だのに合格したっていう情報を何故俺に伝える!?俺の学力は平均クラスじゃ!ボケ!!』って愚痴ってた」

 

 「…あー、千景ちゃんも似たようなこと言ってたよ。『ウチの親は親バカ通り越してモンペに近いところがある』って」

 

 「まあ、アレだ。焔家は良くも悪くもぶっ飛んでる家系ってことだな」

 

 「…そうだね。あ、ぶっ飛んでると言えば、この間の部活ではやてちゃんがね」

 

 「アイツまたやらかしたのか」

 

 私たちはショッピングそっちのけでクセの強い友達の話に花を咲かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ん?あれ景友じゃね?」

 

 俺とひふみはショッピングが一段落したので昼食をとる為、フードコートにやって来たのだが、そこには1人でラーメン食ってる景友がいた。

 

 「おーい、景友」

 

 「ん?おお。真悟に滝本、お前らも来てたんだ」

 

 「まあな」

 

 「…アッちゃん、1人?」

 

 「いや、美姫と一緒」

 

 どうやら今回は1人ではなく妹と一緒だったらしい。

 

 「その美姫は?」

 

 「あっちで水泳部員同士でキャッキャウフフしてる」

 

 「言い方!?」

 

 なんだよその言い方は!?ダメだ。やはりコイツ、流石だ!

 

 「お前らは、…お揃いのブレスレット着けて、デートか?」

 

 俺が景友に戦慄を覚えていると俺らが手首に着けているブレスレットに気付いて聞いてきた。

 

 へえ、デートかよ。俺にはまだまだ地味すぎるze☆。腕にもっとたくさんのシルバー巻くとかさぁ。

 

 徹がATMのマネしながら脳内で語りかけてきた。………って語りかけてくんなよ!

 

 「デートに近い何かだ。ちなみにこのブレスレットはさっきそこで買った」

 

 「何かの記念?」

 

 「強いて言うなら久しぶりに2人で出掛けたからかな?」

 

 「熟年夫婦か?」

 

 Oh、その発想は無かったわ。………うん、隣のひふみの顔がどんどん赤くなってるな。

 

 「ブレスレット買おうって言ったの滝本の方だろ?俺らじゃそんなロマンチックなこと考えないし」

 

 「正解。2人で出掛けた記念とか可愛いよな」

 

 「ただ、お揃いの小物とかはやっぱり女の子同士の方が良いな。男女じゃただのカップルにしか見えん」

 

 …………………んー、コイツは何を言っているんだ?ダメだ、理解が追いつかない。

 

 「……アッちゃんは相変わらずだね」

 

 「そうか?」

 

 「「そうだよ」」

 

 俺とひふみの声がハモった。自覚無しかよ。………何というか、コイツは俺らのグループの中で1番の常識人に見えて1番ぶっ飛んでるところがある。何というかコイツの感性や行動は俺らの予想の遥か上を行くというか、斜め上を行くというか、コイツを一言で表すと『読めない』。そんな奴だ。いやまあ、悪い奴ではないし、優しい奴ではある。ただ、良識は有るが常識の枠には収まらない。類は友を呼ぶというが、徹も大概だが、景友もなかなかどうして良い意味で面白いヤツである。突拍子も無いという括りで言うなら行動の徹、言動の景友と言ったところか。

 

 「ところでお前ら、昼飯食いに来たんだろ?何か頼んだのか?」

 

 「あ、そうだった。ひふみ、何食う?」

 

 「……うーん、ハンバーグプレートにでもしようかな。マーちゃんはやっぱりラーメン?」

 

 「まあ、そうだな」

 

 ひふみの言うとおり最近ずっとラーメンばっかり食べてるような気がする。いやまあ、俺と景友はラーメンが好物ではあるのだが、それにしても食い過ぎのような気がしなくも無い。そういえば、徹が今向かっているうどん県の県民は三食全てうどんを食べているって聞いたことがある。まあ、うどんの聖地みたいなものだしな。…………そう考えるとラーメンの聖地って何処だ?中国?いやでも豚骨ラーメンは博多か。北海道は味噌か?んー、徹が帰ってきたら聞いてみるか。アイツ食い物に関しての知識は無駄に詳しいし。

 とりあえず俺とひふみは自分が食べたいものを購入し、景友がいるテーブルで食事を始めた。

 

 「そういえば景友、お前家族で遠出するって言ってなかったっけ?」

 

 俺は食事を終えた後、景友に聞いた。確か連休に入る前に家族旅行に行くって言ってたと思うのだが、俺の思い違いか?

 

 「ん?ああ、行くぞ。今夜から夜行バスで東京に」

 

 あ、やっぱり行くんだ。うーん、徹は妹たちや美少女3人と香川で、景友も家族で東京、蓮太郎は木更と天童の爺様のところ行くって言ってたし、由良は連休入ってすぐに連絡取れなくなった(女性陣に簀巻きで連行された)し、ディルも『妹たちと旅行だ』って言ってたな。そして、我が天使の桜も知世と一緒に桃子の家に泊まりに行ってると。

 

 「明日からの連休どうすっかな~」

 

 「予定何も無いのか?」

 

 「そうなんだよな~」

 

 いや、本当何もねえな。そして、遊ぶヤツもいねえ。

 

 「じゃあ、滝本と親睦深めれば?久々に夫婦水入らずで」

 

 「…!?ゴホッ!ゴホッ!!」

 

 あ、ひふみがむせた。というか景友さんや、アンタ本当流石だわ~。

 

 「そうだな、久々にひふみと一緒にいるか」

 

 「お泊まり?」

 

 「中3に男女でお泊まりってどうよ?小学生の時はしてたけどさあ」

 

 「風呂も一緒?」

 

 「ガキの頃はな」

 

 今一緒に入ったらヤバイだろ。ひふみ美人なんだから、複数の意味でヤバイ。

 

 「まあ、今一緒に入ったら徹が羨ましさで血の涙流すんじゃないか?」

 

 「羨ましいならアイツは明希誘え」

 

 アイツは蓮太郎並みに面倒くさい事になってるからな。まあ、俺と景友以外にばれてないからそういう気持ちを隠すのが得意なんだろうが。……そういえば、ひふみが静かだな。

 ふと思いひふみの方を見るとひふみが消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「ゑ?」」

 

 滝本が消えているのに気付いてすぐ、目の前が真っ白になったと思ったら辺り一面カラフルな根っこが張っている変な世界に飛ばされていた。隣には目の前が真っ白になる前から話していた友人の真悟がいて、この状況に驚いている。いや、俺もかなり驚いているんだけどな。

 

 「ウソダドンドコドン!」

 

 「どういう事だ!まるで意味が解らんぞ!」

 

 俺と真悟はまるで示し合わせたかのように大声でオンドゥル語とどこぞの長官のような台詞を叫んだ。

 コレは俺らの武術の師匠たちが教えてくれた対処法で、自身が置かれている状況と場所が把握出来ず、目視出来る存在が周囲にいない場合に使用する。この対処法には3つの利点があって、1つ目が大声を出す事で緊張していた身体を程よくほぐす事。入れすぎた肩の力が抜け、程よい案配になる。

 2つ目に自身に喝を入れると共に余裕を持たせるという事。こういった状況では冷静さを保っていなければズルズルと悪い方へと引っ張られてしまうからな。冷静さを保つにはネタが一番ってのは徹の案で、もしここに徹がいたらジョジョネタ辺りでも組み込んできたんじゃないか?

 で、最後にこういった状況では静かに気配を消すのがセオリーなのだが、突拍子も無い事をすると人間誰しも一瞬は気を向けてしまう。まあ、何が言いたいかと言うと

 

 「………現在、付近に大声に反応する生物及び物体無しっと」

 

周りに何かしらいるかどうかを瞬時に見極められるって訳だ。このようにこういった時にセオリー通りにしないのもかなり有効な手であると師匠に教えられたんだよな~。まあ、人外認定されている師匠の場合は考えなくても良いんだが一般ピーポーは周りに多数の敵がいた場合に瞬時に対応出来るようにしなければならない事と、対処が1人では出来ない可能性も多いにあるので味方が複数いる状態で使用した方が安全である事、そして味方がこの突拍子も無い事に理解または耐性がなければ逆に隙を作ってしまい危険だという事、この3つの注意点がある事を考えなければならないから気をつけろ。

 

 「………さて、大声でネタやって少しは落ち着いたから状況確認でもするか」

 

 真悟に提案する。

 

 「そうだな。とりあえず知りたい情報は此処が何処で、ひふみが今何処にいるかだな」

 

 「この場所の情報って言ったらあの奥で光っている巨大盆栽がかなり怪しいと思うんだけど」

 

 「…………景友、アレは盆栽と言うより枯れ木じゃね?」

 

 「枯れ木があんなに生命力溢れてるもんかな?下手したら夏休みに諏訪で見てきた御神木以上だぞ?」

 

 「その御神木以上の生命力溢れる大樹を盆栽扱いしたヤツに言われたくねえよ」

 

 そう言われてもなあ、他に思い浮かぶ例えが無かったんだよ。

 

 「あと、気になると言うと逆方向の変な気配か」

 

 「変と言うよりはきもちわるいに近いな、この気配は」

 

 確かに変と言うよりきもちわるいなこの気配は。そんな気配が光る大樹とは逆方向から此方に向かって来ている。目視出来ない遠くからでもきもちわるい事が解るってかなりだな。

 ~~~♪

 ん?着信?いったい誰が、と思いスマホの画面を確認すると相手は徹だった。

 

 「もしもし?徹か?」

 

 『あ、もしもし景友?今お前真悟と一緒?』

 

 「え?ああ、気付いたら真悟と変な場所?世界?にいる」

 

 『それってカラフルな根っこの世界?』

 

 お?俺たちのいる場所について正確に聞いてきたってことは徹はここが何処なのか、または、どのような場所なのかは知っているとみていいか。

 

 「ああ。それから、此処に来る前まで滝本と一緒だったんだけど……」

 

 『大丈夫。滝本ならこっちに居るから』

 

 「あ、そっちにいるんだ」

 

 「ひふみ、徹の近くにいるのか。なら安心か」

 

 真悟が安堵の息を吐いた。顔や態度にはっきりと出してはいなかったがやっぱり心配してたか。幼馴染みだし当たり前か。

 

 『そうそう。で、白い白玉擬きみたいな化け物いる?』

 

 「白玉擬きみたいな化け物?」

 

 「景友、あれじゃね?」

 

 真悟が光る大樹とは逆方向を指差す。見るときもちわるい気配のやつが目視出来る距離まで来ていた。あー、確かにありゃ白玉擬きの化け物だわ。

 

 「あの保坂先輩に迫る勢いできもちわるいヤツ?」

 

 『そう、そのきもちわるいヤツ』

 

 「何なんだアレ?保坂先輩ほどではないにしてもかなりきもちわるいぞ」

 

 保坂先輩に迫る勢いってかなりだぞ。

 

 『ソイツらの説明は後でするよ。取り敢えずソイツら抹殺して良いから。』

 

 「抹殺して良いって簡単に言うが、2人で武器も無しにあの数は面倒くさいぞ」

 

 やって出来ない事は無いだろうがかなり面倒くさいだろうな。かなり距離あるのに肉眼で確認出来るってそれなりにデカイってことだろうし。

 

 『ん?ああ、お前ら服装変わってね?』

 

 「服装?ああ、このコスプレみたいなの?」

 

 『そうそう、そのコスプレみたいなの。で、戦おうって意志さえ示せば自身の手に武器が出るから』

 

 「戦う意志を示せば武器が出てくるって、いったいどこのバトルマンガだよ……」 

 

 そう言いながら徹に言われた事を真悟に伝えながら一応やってみた。すると、何も無かった自身の手に武器が出現した。

 

 「「おお!?」」

 

 俺の手には銃剣、真悟の手には日本刀。カラーリングは黒。

 

 『出た?』

 

 「ああ、出たよ。しかも()()()()使()()()()()()で」

 

 そう、俺の銃剣は少々特殊で銃部分がリボルバー式で剣部分が刺突特化タイプと叩斬るのに特化したタイプの2種類を使い分ける形になっていて、つまり取り付ける剣のタイプを変えながら臨機応変に対応するようになっている。これは俺の師匠オリジナルの流派専用型なんだが、ご丁寧に出現した銃剣はその形ってことだ。

 

 「で?やっちゃって良いの?」

 

 『うん、好きに暴れて良いから』

 

 ほう、好きにねぇ。なら遠慮なくやらせてもらいますか。

 

 「おう、了解」

 

 『じゃあ、こっちの用が済んだら俺たちもそっち行くから。多分30分くらいで行けると思う。じゃ』

 

 「うん、じゃ」

 

 ピッ

 

 俺はスマホを切り真悟に徹から言われたことを伝える。

 

 「なるほど、了解した。んじゃ、やるか。景友」

 

 「おう」




錦上添花……美しいものや良いものに、さらに美しいものや良いものを加えること。
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