待ってくれている人がいるかどうか解りませんが遅くなり申し訳ありません。
予想以上に長く成ってしまったので前後編に分けさせていただきます。
人物紹介等は後編の後書きにのせる予定です。
※ダク更新しました。
「街の案内?」
ユウちゃんが家に来た次の日、朝食を食べながらお母さんが提案してきた。
「そう。友奈ちゃんがこっちに居たのは4年も前のことだし、まだ小学生だったから行動範囲も狭かっただろうしね。お昼食べたら2人で行ってきなさいな」
「うん、解ったわ」
確かに4年も経てば色々変わってるか。中学校に通い始めたら勉強やら部活やらで忙しく成るだろうし、今の内によく行くお店とかの場所教えとくべきかもね。
あ、そういえば新しいイオンが出来てまだ一度も行ってなかったわ。この際だからユウちゃんと一緒に行こうかしら?…………それにしても『イオン』なのよねぇ。
「タカキも頑張ってたし」
「え?急にどうしたの?兄さん」
「イヤ、なんか言わなきゃいけないような気がして」
「?…………そういえば、兄さんも一緒に来る?」
「今日もこれから部長会議。それ終わったら友達と約束あるし、今回はパス」
「友達って、
「ああ、あいつらもいるぞ。……ん?てかお前、あいつらに会ったことあったっけ?」
「いいえ、でも兄さんの口からよく名前を聞くから。と言うか、あいつら
「イヤ、普通にいるから!」
「え?私の兄さんのクセに?」
「ちょっと待て千景、その台詞は俺をディスってんの?それとも自分自身をディスってんの?」
「私はユウちゃん以外友達いないのよねぇ」
「自分で言ってて悲しくなってこない?それ」
「友達100人いるより大切な友達1人いれば良いのよ」
「エア友達とか言いだしたら家族会議待った無しだからやめてくれよ?」
「私の場合大切な友達どころか恋人みたいなものだから勝ち組になるんじゃないかしら?」
「ヤバい、俺の妹の思考回路がかっとビングすぎる。………まあとりあえず、今回は2人で行ってこい」
「ええ、そうさせて貰うわ」
部長会議か~。春休みなのにご苦労様です。とりあえず、私とユウちゃんだけということになったわ。………ん?これってデートかしら?
「ん~。この煮付け美味しい~」
「友奈、ご飯茶碗空だけどおかわりいる?」
「え、えっと~、良い?」
「おう、俺もちょうど空だからな。一緒に持ってくるよ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
兄さんが自分とユウちゃんの分の茶碗を持って台所まで歩いて行く。ユウちゃんが話に参加してないと思ったらご飯食べるのに夢中だったのね。と言うか、上目遣いで恥ずかしながらの『良い?』は反則ね。破壊力が半端ないわ!直接喰らっていないのにこの威力か!よく兄さん無事ね?あ、足震えてる。結構ダメージ受けてたか。
「それにしても、すごいね。品数豊富な上にどれも美味しいし!これ全部お兄ちゃんが作ったんでしょ?」
「ええ、兄さんが朝食担当になってからもう5年位かしら?毎日作っているからメキメキ上達しているわ。品数が多いのは『朝こそ沢山食べるべき』って言うのが兄さんの持論だからよ」
「へ~。そういえば、チカちゃんも料理出来るんだよね?」
「私はお菓子しか作れないわ」
「そうなの?でも凄いよ!」
「ふふふ、ありがとう。今日は出掛けるから無理だけど、明日の3時のおやつは期待しててね」
「本当!?ワーイ、やったー!ありがとうチカちゃん!!」
そう言ってユウちゃんは私に抱き付いてきた。ここまで喜んでくれるなら作る人冥利に尽きるわね。それにしてもユウちゃんは天使かしら?それとも笑顔の女神?はたまた私に幸せを運んでくれる福の神?いいえ、そんな当たり前なモノじゃないわ!ユウちゃんは『可愛い』とか『尊い』とかの事象を具象化したモノよ!!
午前中にユウちゃんと一緒に中学の勉強の予習をやって、お昼にお父さんの作ってくれた特製ランチプレートを食べてから、私たちは街へと繰り出した。最初は私がよく行く書店とゲームショップに行ってから新しく出来たイオンへと向かった。
「北岡市にはイオンが2つあるんだね~」
「ええ、まあ、こっちは新しく出来たのだけれど」
「東北で同じ市に2つもイオンがあるって珍しくない?」
「どうだろう?他の県って修学旅行以外で行ったことないのよね」
「ん~。ならさ、今度一緒に何処か旅行に行こうよ!」
「旅行?ユウちゃんと?」
「そう!2人だけで!」
「ふっ、2人だけで!?」
「うん、そう!きっと楽しいよ!」
「………中学最後の春休みに卒業旅行みたいな感じ?」
「あ、それ良いかも!」
「でも、中学で卒業旅行ってあまり聞かなくない?」
「ん~。………あ!ならさ、中学の時はお兄ちゃんを連れていって、婚前旅行は高校卒業後に行こうよ!」
「こっ、婚前旅行!?」
「そうそう、何処が良いかな?」
「熱海で温泉とか良いかもね」
「それ良いかも!………お兄ちゃんと一緒だと覗かれそうだし……ラッキースケベで………」
「………否定出来ない……」
そんなとりとめの無い会話をしながらイオンへとたどり着いた私たちは最初にゲームセンターへ行った。
「さてと、ユウちゃん何かやりたいゲームある?」
「う~ん、あ!パンチングマシーンはやりたいかも」
「なら行ってみましょうか」
そんな訳で私たちはパンチングマシーンへと向かった。マシーンの所には人がいなかったので直ぐに始められた。
「よーし、いっくぞー!」
そう言ってユウちゃんは一度大きく息を吐きながら右拳を引き左拳を緩く前に出し半身になる。それから2回呼吸を整えたら上半身をひねり引いてた拳に回転を加え一気に貫き放つ!
「
ユウちゃんのパンチを受けたマシーンに得点が表示され、トータルランキングへと移行される。
「トータルランキング2位!流石ユウちゃん!」
かなりの高得点に私がはしゃいでいると周りのギャラリーも一緒になって歓声を上げた。ユウちゃんみたいな可愛い娘が良いスコアを叩き出したから尚更だろうしね。
「チカちゃんもやってみる?」
「う~ん、じゃあ、1回だけ」
私も武術をやってるしそこまでヒドい結果にはならないだろう。まあ、武器と合気が基本だから無手主体のユウちゃんには敵わないだろうけど。
私はユウちゃんのように右拳を引き左拳を緩く前に出し半身になる。ただ、私の場合は拳は握っておらず親指以外の四指を曲げた、底掌の構えを取る。そして、水平ではなく若干斜め下から掬い上げるように振り抜く!
「お~!ランキング4位だって!凄いよチカちゃん!」
思った以上に上位にランクインしたわね。でも、それならユウちゃんの下の3位が良かったな~。
そんな事を考えていると周りのギャラリーが盛り上がっていた。私たちみたいな女の子がランキング上位になればやはり目立つか。ただ、ちらほらとギャラリーから「俺も殴って貰いたい」とか「俺は蹴って貰いたい」とか「踏んでほしい」とか「お姉様って呼ばせて下さい」とか「私の妹にならない?」とか聞こえたような気がするけど、気のせいよね。うんうん、聞こえない聞こえない。私はなーんも聞こえない。
私とユウちゃんはギャラリーに向かって一度礼をしてその場を後にした。
余談ではあるが、その後女の子のパンチングマシーンの利用者が増えたらしい。
「ユウちゃん、次は何やる?」
「う~ん、ん?ねぇチカちゃん、あそこ盛り上がってるみたいだけどなんだろう?」
「え?う~んと、あれはダンシングゲームじゃないかしら?」
ユウちゃんの指差す方向を見るとダンシングゲームに人が集まっていた。近くに寄って見てみると赤髪ポニーテールの女の子と高校生くらいの男子が対戦をしていた。画面のスコアを見ると女の子の方が圧倒的だ。
「わ~。あの人上手だね!」
「そうね。身体全体でしっかりリズムを取ってる。あの人あのゲームかなりやり込んでると見た!」
「終わったら私たちもやってみる?」
「私はパス。ユウちゃんはジーパンだけど、私スカートだし」
「あ!そっか。ごめんね」
「ううん、大丈夫」
「………お兄ちゃんがいたら、無言でスパッツとか渡してきそう」
「………兄さんなら普通にズボン渡してくるんじゃない?『たとえスパッツだろうと妹のスカートの中は俺が死守する!』とかほざいて」
「………簡単に想像出来た」
兄さんはいつもはまともなのだけれど、はっちゃけるとかなり変人になる。本人曰く変人な方が素らしいのだが、兄妹である私たちにもよく解っていない。そんな事をユウちゃんと話ていると対戦が終了していた。
「さて、ギャラリーの中で次にアタシと勝負したいヤツはいるかい?」
赤髪の女の子が対戦相手を募っている。
「ユウちゃん行ってみたら?」
「う~ん、そうだね。ちょっと行ってくるよ。はいは~い!私やります!」
「お!今度の相手はあんたか。プレイ料金はあんたが払う形になるけど良いかい?」
「うん。良いですよ!」
「曲はどうする?」
「私このゲーム初めてだから決めて貰って良いですか?」
「良いけど、そうするとアタシの得意なのになるけど良いの?」
「うん」
「………へぇ~」
ユウちゃんはそんなつもり無いのだろうけど相手は煽ってきていると思ったみたいね。かなり難しそうな曲を選んできたわ。
そして曲が流れ2人のダンシングバトルが始まった。得意と言うだけあって女の子はどんどんスコアを上げていく。が、ユウちゃんも負けておらず同スコアを叩き出している。
「へぇ~、やるじゃん!あんた!」
「楽しいね、これ!」
「……あはは!そうかい。そりゃあ良かった!さあ、こっからもっと難しくなるよ。アタシに付いてこれるかな?」
「頑張る!」
そう言って2人はすごく楽しそうに笑顔で踊りきる。
曲が終わって画面を見ると2人とも同ハイスコアとなっていた。
「はぁ…はぁ……同点か~。アタシの十八番の曲だったんだけどな~」
「はぁ…はぁ……すっごい楽しかったね!」
ユウちゃんが女の子に笑顔を向ける。
「………あはは!あんた面白いな!これ食うかい?」
そう言って女の子はポケットから棒キャンディーを取り出してユウちゃんに差し出す。ユウちゃんはそれを受け取ってお礼を言う。
「
「え!?な、何?」
「あ、ご、ごめんなさい。私ついこの前までフランスで生活してたから、たまにフランス語が出ちゃって」
「へぇ~、なんかますます面白いな!アタシは
「うん。私は月城友奈。友奈って呼んでね。杏子ちゃん」
そう言って2人は握手を交わす。それと同時に周りで見ていたギャラリーが拍手を送ってきた。恥ずかしくなったのか2人は頬を染めながらそそくさと少し離れた場所に移動した。私はそんな2人を追って声をかける。
「おつかれ、ユウちゃん」
「おつかれ、杏子」
私の言葉はもう1人の声と被る。被った声の主を見るとその人もこちらを見ていた。
「ありゃ、ごめんね。声被っちゃった」
「あ、いえ。こちらこそごめんなさい」
水色の短めの髪の制服を着た女の子が謝ってきたのでこちらも謝り返す。
「あ、チカちゃん!」
そんな私たちにユウちゃんが声をかけてきた。
「さやか。どうよ。アタシのダンス」
「はいはい、上手い上手い。っと、アタシは
「おい!一応ってなんだよ!」
「あ、私は月城友奈です。こっちは親友のチカちゃん」
「あっちは親友なのにこっちは一応って付いてて悲しくなってきた」
「ユウちゃんの親友の焔千景です」
「おい!何で今親友強調した?これ当て付けか?当て付けなのか?」
「まあまあ、杏子。………それにしても『ほむら』ねぇ~。黒髪だし眼鏡だし」
そう言いながら美樹さんは私の顔を観察してきた。どうかしたのかしら?あ、よく見たら美樹さんの制服、宮沢中の制服ね。もしかして、兄さんを知っているのかな?兄さんも黒髪で眼鏡かけてるし。
「えっと~、つかぬことをお伺いしますが、お二人は同年代ですか?」
私が見られている理由を考えていると隣のユウちゃんがおずおずと美樹さんに質問してきた。
「ん?そうだよ」
「
「え?え!?」
「ユウちゃん、またフランス語になってる。それにどうしたの?急に謝りだして」
「え?今のフランス語だったの?」
「そうそう、なんでも友奈は先日までフランスに居たからたまにフランス語が出ちまうんだと。てか、何で謝ってんだ?」
「私たち、お二人の1年後輩で、それなのにさっき杏子さんのこと杏子ちゃんって呼んじゃって、しかもタメ口でしたし……」
「はあ?そんなことで謝ったのかよ?別に気にしてないから。呼び方もタメ口もそのままで良いぞ」
「杏子の言うとおり。アタシにもタメ口で良いし、さやかって呼んで良いから」
「
「お~い、またフランス語になってるぞ。ほむら、今友奈なんて言ったの?」
「『良いの?』って。あと私のことも千景で良いですよ」
「そっか、じゃあアタシのことも杏子で。あと、タメ口で普通に良いからな、千景」
「解ったわ。杏子ちゃん」
「………う~ん、このコミュ力は『ほむら』では無いかな?隣にいるのも
「?」
「ああ、ごめんね。こっちの話。アタシのこともさやかで良いよ、千景」
「うん、さやかちゃん」
どうやらさやかちゃんが私の顔を見ていたのは私の考えていた理由ではなかったらしい。誰かと間違えていたのかな?それにしては変な間違え方のような気がするけど。
「………さやかちゃん、杏子ちゃん」
私たちが話ていると黒髪を赤いリボンでポニーテールにした女の子が話かけてきた。
「ん?どうした、ひふみ?」
「決着が付きそうだから呼びに来たの。………そっちの人たちは?」
「さっき知り合った友奈と千景」
「初めまして、月城友奈です」
「焔千景です」
「
なんだろう。さやかちゃんたちと普通に話ていて制服だから年上だと思うんだけど、小動物的にものすごく可愛い人ね。………あ、雰囲気が伊予島さんに似てるかも。ただ……
「ねぇチカちゃん、ヒナちゃんくらいあるかな?」
「もしかしたら、それ以上かも」
私とユウちゃんは小声で話し合った。何処がとは言わないが土居さんがいたら確実にモグ対象だったでしょうね。
「………焔……あの……千景……さん?」
「あ、呼び捨てで構いませんよ?先輩でしょうし」
「じゃあ、千景ちゃんで」
「はい」
「千景ちゃんって、もしかして徹隆君の妹かな?」
そう言ってひふみさんは格闘ゲームコーナーの一角を指差す。そこには………
「あ、まさかの切腹喰らった」
「
「この人でなし!」
「5人で挑んで、もぎ取れたのは二本だけか」
「『
「ヤッター!今日も五連勝!ボクの
兄さんが鉄拳で負けていた。
後編は4日以内に投稿予定