焔千景は日常を謳歌する   作:春囃子風

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第4話です。

すみません。日にち一日間違えてました。




思いやりの心

 「ほら、友奈ちゃん、タイ曲がってるわよ」

 

 「あ、ありがとうございます。雪菜さん」

 

 お母さんがユウちゃんの制服のタイを整える。今日は私とユウちゃんの入学式の日だ。

 

 「月城さんたちは流石に来られないけれど、写真をバンバン撮って送るんだから、身嗜みをしっかり整えないとね♪」

 

 「はい!」

 

 そう言ってお母さんはユウちゃんの身嗜みをチェックしていく。

 

 「うん。こんなモノかしらね。千景、あんたは大丈夫?」

 

 「ええ、問題ないわ。………それより、なにもランチタイムのオープン時間を1時間遅らせてまで入学式に来なくても良いのに」

 

 そう、私たちの入学式に来るためにお母さんたちはレストランのランチタイムのオープン時間を11:30から12:30にずらしたのだ。

 

 「なに言ってんの!月城さんのところと違ってウチは普通に行けるんだから、子供の晴れ舞台に行かない親なんていないよ!あんたが嫌だったとしても私たちは行くからね!」

 

 そう、今の私のお母さんとお父さんは私と兄さんの入学式も卒業式も、授業参観日さえレストランを休業日にしてまで絶対と言っていいほど来てくれていた。

 

 「………はあ、解りました。…………でも、ありがとう。お母さん

 

 私は小声でお母さんにお礼を言った。今世の私は兄さんも含め、家族に恵まれている。

 

 「良かったねチカちゃん。今世は温かい家族で」

 

 優しい笑顔でユウちゃんが私に語りかけてくれた。

 

 「ええ、そうね。………ん?ユウちゃん、『郡千景』の家族事情知ってたの?」

 

 「え?うん。私のところのグンちゃんが教えてくれたよ?」

 

 「………ずいぶん口が軽かったのね、ユウちゃんのところの郡さんは」

 

 私なら例え高嶋さんだったとしても、いいえ、高嶋さんだからこそ言わなかったと思う。………………でも、裏を返せば、ユウちゃんの方の郡さんはそれだけそちらの高嶋さんを信頼していたということかも知れない。

 

 「あれ?授業参観ってそっちでは無かった?」

 

 「授業参観?そんなイベント無かったわよ?」

 

 ユウちゃんの方ではなんでも自分の娘がどんな生活を送っているか気になった親御さんたちで授業参観のような企画が行われたらしい。そして、そこで郡家のみ父母どちらも来なくて、乃木さんが空気読まずに質問して、土居さんが予想で近い答えを言ってしまい、それに『郡千景』が反応してしまったためになし崩し的に全部話したとのこと。乃木若葉、土居球子、またあんたらか。

 

 「………ユウちゃんのところの郡さん、大変だったのね……」

 

 「うん。若葉ちゃんとタマちゃん、ものすごく謝ってた」

 

 「実際のところ、その後みんな気を遣ってくれると思うから、郡さんにとっては申し訳なかったんじゃないかしら?」

 

 「あー、それグンちゃんに相談された」

 

 「やっぱりそっちの私も気にしたか」

 

 「でも、そのことも含めて全部みんなに打ち明けたら、冗談を言い合える位には仲良くなれたよ」

 

 「ケガの功名ってヤツね。私のところでも相談してれば良かったかしらね。………でも、あの頃の私じゃあ、相談なんて絶対にしなかったかな?」

 

 「グンちゃん、優しいからね。私たちに迷惑かけないようにって黙ってたかも」

 

 「んー、優しいと言うより、友達の頼り方が解らなかったのよ」

 

 友達にどうやって頼れば良いのか、何処まで迷惑をかけて良いのか、どれも解らなかった。その加減が解ったのは今世で兄さんを相手にしてだ。兄さんと殺し合………度付き合………じゃれ合って馴れたモノなのだ。つまりは、コミュ力と言うのはコミュニケーションをしなければ手に入らないし、コミュニケーションを取らなければレベルは上がらない。しかも、私のコミュ力のレベルの上がり方はかなりシビアでゲームやなろうのように一気に上がりはしない。………はぁ~、世知辛い。

 

 「どうしたの、チカちゃん?」

 

 「あ、ううん。なんでも無いのよ。ユウちゃん」

 

 しまった。どうやら顔に出ていたらしい。何だか私は顔に色々出やすいのかしら?兄さんとバカやってきたから自分に素直になりすぎているのかも知れないわね。

 

 「ほら、2人とも、早く出ないと入学早々遅刻するわよ!」

 

 「え!?あ!ユウちゃん、急がないと!」

 

 「わわ!Dépêchons!(急ごう!)

 

 私たちは急いで玄関から飛び出した。

 

 「「行ってきまーす」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「~~~~~であるからして」

 

 ………校長先生のお話って何でいつもこんなに長いのかしら?

 私たちはただ今絶賛入学式中である。ただ、校長先生のお話が長くて入学早々船を漕ぎ出している生徒がちらほら見える。ユウちゃんは大丈夫かしら?

 私は左3人隣のユウちゃんを横目で確認した。船を漕いですらいないわね。と言うか、両隣の娘ともう仲良くなってない?小声で何だか楽しそうに話しているわ。兄さんがユウちゃんのことを『コミュ力の天使 ユウナエル』なんてふざけて呼んでたけど、強ち間違いではないのかも。ちなみに、嬉しいことにユウちゃんとは同じクラスになれたわ。これも日頃の行いが良いからね♪(どの口が言ってんだ)………ん?何か今兄さんあたりからツッコミが放たれたような?

 

 「~~~~~であり、君たちの中学生活が今後の糧となり、支えとなり、宝となることを心から祈っています。此にて西暦2019年度新入生への言葉とします。宮沢中学校校長 乃木源造」

 

 あ、校長先生のお話が終わった。と言うか、校長先生の苗字って『乃木』だったんだ。男性だから違うとは思うけど、関係あったりしないわよね?

 

 「校長先生、有難う御座いました」

 

 司会進行の教頭先生がお話をした校長先生にお礼を言う。………まさか、教頭先生の苗字『上里』じゃないわよね?後で調べてみようかしら?

 

 「続きまして、生徒会長挨拶。第83回生徒会会長『導師(どうし)夜ノ森紅緒(よのもりべにお)

 

 「はい」

 

 長くて明るい茶髪の凛とした佇まいの女性が壇上に上がる。

 へ~、あの美人さんが生徒会長なのね。やっぱり生徒会長ともなると意異名持ちかぁ。しかも『導師』なんて。それとも、歴代生徒会長は代々その意異名を貰うのかしら?あ、そういえば、蓮太郎さんが好きな人が生徒会にいるって聞いてたけどあの人なのかな?確かにあんなに美人なら惚れるわよね。

 私がそんなことを考えていると周りの新入生たちが何人かざわめきだした。

 

 「あの方が紅緒様」

 

 「歴代の会長の中で1番優秀で有らせられるとの話だ」

 

 「優秀なだけでなく、とてもお優しい方だと聞くわ。さらにあんなに美しいだなんて」

 

 「あ~、お姉様と呼ばせていただけないかしら?」

 

 歴代で1番優秀………才色兼備、天が二物を与えるってことが本当にあるのねぇ。

 

 「おい、また今年も紅緒教信者が増えたぞ」

 

 「まだ喋ってすらいない段階で6割脱落」

 

 「喋ったら片指でかぞえるくらいしかいなくなるんじゃねえか?」

 

 「また、木更さんと副会長が忙しくなるか」

 

 「忙しくってか、精神的に疲れることは間違いないな。アレでその他のスペックが化け物じみてるから困るんだよ」

 

 「「「「そーなんだよな」」」」

 

 小声でよく聞き取れないけど何だか兄さんたちが不穏なことを言っているような ?

 

 「『導師』って何なのかな?小紅(こべに)ちゃん聞いてる?」

 

 「いや、私は聞いた事が無いな~」

 

 私の隣の席の娘たちが意異名について話していた。

 

 「『導師』は意異名と言う、有名な人に付けられる、この学校特有の通り名みたいなものよ」

 

 「え?」

 

 「あ、ごめんなさい、急に」

 

 私が答えられることだったからつい口を出してしまった。

 

 「あ、いや、ありがとう。詳しいんだな」

 

 「ええ、私、一つ上に兄さんがいて、その兄さんが意異名を持っていてね、兄さんの友達が教えてくれたの」

 

 「へー、そうなのか。あ、私は夜ノ森小紅。あそこに立っている紅緒お姉様の妹だ」

 

 「私は、桃内(ももうち)まゆら。小紅ちゃんの友達だよ~」

 

 「私は、焔千景よ。よろしくね」

 

 「千景って呼んで良いか?私のことも小紅で良いから」

 

 「ええ、良いわよ。よろしくね、小紅ちゃん」

 

 「私のこともまゆらで良いからね~」

 

 「解ったわ、まゆらちゃん。ところで、小紅ちゃんの声、私の親友にそっくりね」

 

 「親友?」

 

 「ええ、同じクラスだから後で紹介するわ」

 

 「へー、小紅ちゃんとそっくりなんだ~」

 

 「声がね。見た目はそこまで似てないわ。……と言うより、その胸部装甲に匹敵する同年代なんて早々いな……一つ上にはいたわね

 

 「ん?どうかしたのか?」

 

 「いいえ、なんでもないわよ?」

 

 「千景が…千景がこんなに早く友達を作るなんて……うっ、うう」

 

 「「「「泣くなよ。過保護通り越して失礼だぞ、お前」」」」

 

 全く持ってその通りよ。バカ兄さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入学式が終わり、私とまゆら、それから入学式中に仲良くなった千景とで自分たちの教室へと向かった。向かう途中に千景が親友だと言う友奈と、友奈の方からも入学式中に仲良くなった美姫(みき)と言う娘を紹介された。千景が言うとおり私と友奈の声がそっくりだった。そして、私が生徒会長の妹だと言ったらみんなにびっくりされた。

 ああ、()()()と私は思った。あの才色兼備な姉がいると、否応なく比べられてしまう。千景がそんなこと無かったから少し期待していたんだけどね。

 でも、その後は普通に接してきて今度は私が逆にびっくりした。

 

 「なっ、何で、みんなそんな普通にしているんだ?」

 

 「え?ああ、もしかしてお姉さんが凄い人だからよく比べられていたのかしら?」

 

 「あー、解る。アタシもよく兄貴と比べられるから」

 

 「景友さん優秀そうだもんね」

 

 「羨ましいわ。ウチの兄さんはぶっ飛びすぎてるから」

 

 「良くも悪くも下の子は上の子と比べられるからね。あ、それとね、私たちは()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 「え?」

 

 「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 「確かにアタシたちは小紅のことは友達になったから少し知ったが紅緒さんのことは全然知らないからな」

 

 「何だか、今までの人たちとは全然違うね~」

 

 あまりにも違いすぎて、まゆらの言葉に私は頷くことしか出来なかった。

 そして、私たちは自分の教室に入って自分自身の席につくと、担任の先生が入ってきて自己紹介を始めた。

 

 「初めまして、皆さん。私がこのクラスの担任を勤めさせていただきます。鳴橋榛名(なるはしはるな)と言います。よろしくお願いしますね」

 

 担任になった榛名先生は長い綺麗な黒髪に黄色いカチューシャを付けた、私たちとあまり歳が離れてなさそうな若い人だ。

 

 「それじゃあ、初めてですし自己紹介をして貰いましょうか。男子は出席番号の1番から、で終わったら女子は逆に出席番号の最後の人からいってきましょうか」

 

 その先生の言葉で男子が順番に自己紹介をしていく。そして女子の自己紹介が出席番号の後ろから始まり私の番がやってきた。

 

 「夜ノ森小紅です。よろしくお願いします」

 

 「夜ノ森?」

 

 「と言うことはもしかして紅緒様の妹!」

 

 「な、なんて羨ましい!」

 

 「私もなりたかった!」

 

 「あの娘と姉妹の契りを交わせば私も紅緒様の妹に!」

 

 私の自己紹介で周りが騒ぎ出す。

 

 「はいはい、皆さん静かにして下さいね。では、次の人、自己紹介お願いしますね」

 

 榛名先生がクラスのみんなを静かにさせて次の人、まゆらに自己紹介をするように言う。

 

 「桃内まゆらです。小紅ちゃんの友達です。よろしくお願いします」

 

 「小紅さんの友達!?」

 

 「と言うことは紅緒様の妹と友達!?」

 

 「な、なんて羨ましい!」

 

 「私もなりたい!」

 

 「あの娘と仲良くなれば紅緒様の妹さんと友達に!」

 

 またクラス中が騒がしくなる。

 そう。小学校の時からいつもこうだ。私だけならまだしも、まゆらにまで迷惑がかかってしまう。私の友達と言うだけでいつもこうなるのだ。まゆらに私の友達だと言わなければ良いと言ったのだけれど、小紅ちゃんの友達であることは悪いことじゃないから堂々と言うといつものまゆらからは想像出来ないような強い口調で言われたのでそれ以来私からは何も言ってない。

 私には勿体ないくらいの良い友達なのに私は何も出来ないのが歯がゆい。

 

 「皆さん静かに。次の人お願いしますね」

 

 先生がまた、みんなを静かにさせる。今回は先生が止めてくれているから助かっている。小学校の時は先生まで騒ぐ側だったから。

 

 「()千景です」

 

 ガタッ

 

 ん?あれ?何か先生の顔色が……

 

 「ほ、焔?」

 

 「はい?どうかしました?」

 

 やっぱり、先生の顔色が悪くなっているような?て言うより、先生震えてないか!?

  

 「ち、千景さん、つ、つつつつ、つかぬことをお聞きしたいんですけど、徹隆君ってもしかして」

 

 「え?ああ、はい。徹隆は私の兄ですけど?」

 

 「ヒッ!!」

 

 先生、悲鳴上げたぞ!?千景のお兄さん、先生に何したんだ!?

 

 「?………あ、先生もしかして文芸部顧問ですか?」

 

 「ヒャッ、ヒャイッ!!………て、徹隆君が何か言ってたんですか?」

 

 「あ、いえ、兄さんは可愛い新人教師が顧問になってくれて助かったとしか言っていませんよ」

 

 「そ、そうですか」

 

 「何だかすみません。色々とぶっ飛びすぎた兄で」

 

 「あ、いえいえ、大丈夫ですから。ただちょっと、文芸部創立の時に色々振り回されて、その時の事が少しトラウマになってしまいまして」

 

 トラウマ!?今トラウマって言った!?

 

 「兄さん…………すみません、榛名先生。効くかどうかは解りませんが後で兄にはO☆HA☆NA☆SIしておきます」

 

 「ありがとう、千景さん。でも、先生は大丈夫だから無理はしないでね?」

 

 「はい。あ、自己紹介の途中でしたね。では改めて。焔千景です。先生のおっしゃった通りの破天荒でぶっ飛びすぎた兄がいますが、気にしないで下さいね。私に何かあったら兄が黙ってないとかそう言うのは…………………………………………多分ありませんから。それと、私も小紅ちゃんとまゆらちゃんの友達です。よろしくお願いします。あ、後、私も兄も他人に迷惑をかける人が嫌いですので」

 

 ((((((((((暗に迷惑かけたら黙ってないって脅してきた!))))))))))

 

 「……………千景さん、やっぱり徹隆君の妹さんですね」

 

 「いえいえ、兄さんに比べたら可愛いものです」

 

 「まあ、先生もそう思います」

 

 あ、友奈がうんうん頷いてる。そんなに凄い人なのか?千景のお兄さんって?

 

 「あ、じゃあ、次の人自己紹介お願いしますね」

 

 先生が次の人に自己紹介を促す。

 それから2人ほどは普通の自己紹介で終わり、美姫の番になった。

 

 「アタシは豹垣(ひょうがき)美姫。一応アタシにも兄貴がいるから」

 

 「豹垣と言うことは景友君の妹さんですね」

 

 どうやら先生は美姫のお兄さんのことも知ってるみたいだ。

 

 「先生、兄貴のことも知ってるんだ?」

 

 「ええ、彼は徹隆君とよく一緒にいますし、応援団として有名ですからね」

 

 へー、応援団。

 

 「じゃあ、次の人お願いしますね」

 

 そして、友奈の番になった。

 

 「Bonjour Je suis Yuuna Tsukishiro.(こんにちは、月城友奈です。)

 

 「「「「「「「「「「…………………はい?」」」」」」」」」」

 

 友奈がぶっ込んできた。

 

 「ユウちゃん、ここ日本よ」

 

 「あははっ、Je suis désolé.(ごめんなさい)改めまして、月城友奈です。先日までフランスにいました。日本語は普通に話せます。あ、後、焔徹隆は私のお兄ちゃんでもあるので、よろしくお願いします」

 

 「「「「「「「「「「イヤイヤイヤイヤ、どこから突っ込めば良いんだよ!?」」」」」」」」」」

 

 何か今日一日だけでクラスの団結力がかなり上がった気がする。

 

 「なるほど、貴女も徹隆君の妹さんですか。じゃあ、徹隆君が暴走したら千景さんと一緒に止めてくれてますか?」

 

 「止められるかどうか解りませんが、頑張ります」

 

 「良かった。徹隆君への抑止力が2人もいると心にゆとりが出来ますね」

 

 だからホント、千景のお兄さんの徹隆さんってどんな人なんだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所々で変なことになったが何とか自己紹介が終わり、帰りのHRが終わったので下校となった。

 私とユウちゃんは今日仲良くなった友達と話していた。

 

 「なあ、千景、友奈、お前たちのお兄さんってどんな人なんだ?」

 

 「ん?()()()()()()()()の?小紅ちゃん」

 

 ガタッ

 

 ん?何か物音がしたような?

 

 「いや、あそこまで話題になったら流石に気になるよ!」

 

 「と言っても、行動が破天荒なだけであとは普通の人よ?」

 

 「ん~、あそこまで話題になったらもう普通じゃないんじゃないかな~?」

 

 まゆらちゃんに言われてしまった。まゆらちゃん、もしかして結構毒吐く娘かしら?

 

 「お兄ちゃんはぶっ飛びすぎてるだけで悪い人ではないから大丈夫だよ」

 

 「ぶっ飛びすぎて『常壊者(じょうかいしゃ)』なんて意異名付けられて……」

 

 「おい!『導師』様が『常壊者』に攻撃したぞ!!」

 

 「ウチの可愛い小紅を誑かすのは貴様か!!」

 

 「あったこと無い人は誑かすことなんて出来ねーよ!!」

 

 「徹隆、俺の『色欲姫』の意異名はお前にやろう」

 

 「話ややこしくしてんじゃねーよ!」

 

 「…………………………ねえ、小紅ちゃん」

 

 「…………………………何?千景」

 

 「お互い苦労するね」

 

 「そうだな」

 

 私と小紅ちゃんは盛大に大きな溜息を吐いた。

 

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