投稿前にスマホの電源が無くなり日をまたいでしまいました。申し訳ありません。
私たちが宮沢中学に入学してから一週間が経った。
「チカちゃん、入部届っていつまでに提出だっけ?」
昼休み中ユウちゃんが入部届と睨めっこしながら聞いてきた。
「今日の放課後までよ」
「チカちゃん何処にする?」
「入りたい部活も無いし順当に考えれば兄さんの文芸部かしらね」
私たちの通う宮沢中学は部活に
「美姫ちゃんたちはもう決めた?」
ユウちゃんが入学式から仲良くなった黒髪で黄土色の瞳の少女、美姫ちゃんに話し掛ける。ユウちゃんの問いにまるでネコ科のミミのように刎ねた髪がピクッと動いたような気がした。あの髪どうなっているんだろう?
「アタシは最初から水泳部に入ることにしてるから」
「美姫ちゃん水泳してたの?」
「水泳教室に通ってたんだ」
「景友さんも?」
「兄貴はやってないよ。運動あんまり得意じゃないし」
「あれ?お兄ちゃんと同じ位強いって聞いたんだけど?」
「ん?ああ、それは兄貴は射撃と銃剣術が使えるからだよ。運動があまり好きじゃないだけで反射神経がずば抜けてるんだよ」
「のび太君かな?」
「ユウちゃん、神速の
私は入学式で仲良くなったもう2人の友達に声をかける。
「うーん、私も運動苦手だから文化系の部活に入ろうと思っているけど」
「私も決めてないな~」
ユウちゃん位の長さの赤髪をツインテールにしている紫色の瞳で凄い胸部装甲を持つ小紅ちゃんとふわふわした茶髪で青い瞳のまゆらちゃんがぼやく。
「お姉様、生徒会長だからどの部活にも所属してないし」
そう、これが私がさっき言った一部の例外で、生徒会、応援団、風紀委員会は部活動への所属を免除されている。まあ、免除されているだけなので中にはどこかの部活に参加している人もいる。
「小紅ちゃん、何か得意なことで部活を決めたら?」
ユウちゃんが提案してきた。
「私が得意なことというと料理なんだけど、この学校、料理研究部とか無いからな~」
「小紅ちゃん、料理が得意なんだ。ウチのチカちゃんも得意だよ!」
「ユウちゃん、なんか対抗しようとしてない?と言うか、私が得意なのはお菓子作りよ。料理全般なら兄さんの方が得意よ」
「へー、千景ってお菓子作れるのか。私はお菓子あんまり作ったことないんだよ。今度、色々教えてくれないか?」
「私で良ければ喜んで。なんなら明後日、日曜日に私の家で教えましょうか?」
「良いの?」
「小紅ちゃんさえ良ければ私は良いわよ?」
「じゃあ、よろしくお願いします」
と言うことで、小紅ちゃんが私の家に遊びに来ることが決まりました。………あれ?ユウちゃん以外の友達を家に喚ぶのって初めてじゃなかったかしら?
「で、遊ぶ約束は決まったが、部活は決めなくて良いのか?」
「「あ」」
私たちは美姫ちゃんの言葉で当初の目的を思い出した。
「それなら、千景の兄貴みたいに新しい部活を造ったらどうだ?さっき言ってた料理研究部とか」
美姫ちゃんが提案してきた。が、
「それは難しいと思うわ」
私は否定する。
「何でだ?」
「新しい部活を立ち上げる条件が結構厳しいからよ」
「チカちゃん、その条件誰から聞いたの?」
ユウちゃんが聞いてきたので答える。
「兄さんがどうやって部活を造ったのか気になってこの間、榛名先生に聞いたのよ」
―数日前―
「新しい部活の立ち上げ方ですか?」
「はい」
ある放課後、職員室に私の受け持つクラスの焔千景さんが訪ねてきた。訪ねてきた理由は新しい部活の立ち上げ方を知りたいとのこと。部活動の時間ということもあり、職員室には私たち以外に人はいません。
「もしかして、千景さんも徹隆君みたいに新しい部活を?」
「いえ、ウチの兄の意異名が新しい部活を立ち上げたことで付いたと聞いたので部活の立ち上げ方が気になりまして」
「ああ、そういうことでしたか」
「………先生、兄が迷惑をかけてしまって本当にすみません」
「へ?どうしたんですか?急に」
「先生の顔色が兄の話が出てくる度に悪くなっていくもので」
「え!?そ、そうですか!?」
「はい。なんか、本当にすみません」
「いやいや、そんな!先生は大丈夫ですから!」
私の顔色が悪くなるのは文芸部創立時に徹隆君に振り回されたのが少しトラウマになっているからだ。
千景さんのお兄さんである徹隆君は色々と突拍子も無いことをしでかす生徒で、一部の教員からは警戒されている。まあ、私も警戒している教員の一人だったりするが。
「兄さんには一応、O☆HA☆NA☆SIはしたんですが」
「ふふ、ありがとうございます。千景さん」
「いえ。ところで、部活の立ち上げ方は……」
「おっと、そうでした」
忘れてました。これじゃあ、ただ私の愚痴を千景さんに聞いて貰うだけになってしまうところでしたね。
「では、部活の創立方法について教えますね」
「はい」
「部活創立には『立案者含め部員6名』『部活の顧問となってくれる教員の同意』『立案者のクラスの担任と副担任の同意』『現生徒会会長と副会長及び他役員半数以上の同意』以上の4つが著名で必要です。そして、その著名を揃えて立案者自身が校長先生のところへ直接持っていき可決印を貰うことで晴れて部活となります」
「校長先生のところへ立案者本人が行かないといけないんですね」
「はい、立案者はそこまで責任を持って行わなければなりません。なので新しい部活を立ち上げようと考える人自体珍しかったりするそうですよ」
「なるほど。ん?その言い方だと先生はこの学校に赴任して短いんですか?」
「え?ああ、そうですよ。先生は去年大学を卒業して直ぐにこの学校に赴任して来ましたから」
懐かしいですね~。まだ1年ほどしか経っていないというのに。当時、徹隆君に新しい部活の顧問になって欲しいと頼まれたときは期待に胸を膨らませていたと思うのですが、どこでこうなってしまったのでしょうか?生徒に頼られていると嬉しかったのでしょうね。あれ?おかしいですね。涙が出てきました。
「あの、榛名先生、兄さん何したんですか?あ、このハンカチ使って下さい」
「ああ、ありがとうございます。徹隆君本人から聞いていないんですか?」
「なんか兄さん、このことに関しては歯切れが悪くて、いつもお茶を濁すんですよ」
「ああ、なるほど。それは多分、私が泣いてしまったからでしょうかね」
「………先生、ちょっと待っていて下さい」
「へ?」
「直ぐに兄さんの息の根を止めて来ますから」
「え!?ちょ、ちょっと待って下さい!大丈夫!先生は大丈夫ですから!!」
「『女性を泣かす男なんて万死に値する』と兄さん本人もよく言ってますし」
「それは知ってます!私が泣いた時に徹隆君本人が本気で切腹しようとして止めましたから!!」
「しかし」
「それに、私の言い方が悪かったです。私が泣いたのは徹隆君のせいではないですから」
「………まあ、そういうことなら。そもそも、兄さんは何したんですか?」
「ただ、徹隆君が文芸部を創立する時に色々やらかして、1番振り回されたと言うだけですよ。大変でした。
「著名を4日で集めた?部創立まで10日と聞いているんですけど?」
「ああ、はい。そうですよ。部費や部室、部活動としての目標やカリキュラムの編成なんかを5日で終わらして
「………兄さん」
「まあ、彼は私以上に頑張ってましたが」
「先生、それは当然ですから。それでどうして泣くなんて展開に?泣きギレでもしたんですか?」
「ん~、私の個人的な問題にもなるんですが当時私はストーカーに悩まされてまして」
「ストーカー!?」
「そのストーカーが私を振り回している徹隆君に嫉妬しまして」
「兄さんに嫉妬ですか………」
「それで何を思ったのか、放課後に学校の駐車場で『あいつのモノになる前に君を僕のモノにする』とか言って私に襲ってきまして」
「先生、よく御無事でしたね」
「ちょうどその時下校しようとしてた文芸部の皆さんが近くにいましたから、ストーカーは瞬く間にぼろ雑巾のようになりました」
「そういえば文芸部には蓮太郎さんもいるんですよね。むしろ、ストーカーよく生きてましたね」
「虫の息でしたよ。で、その時に私が怖くて泣いてしまって、それを見ていた徹隆君が『俺が先生を振り回してしまったせいです。すみません』って頭を下げてきまして、多分ですがそのことが引っかかっているから千景さんに言えなかったんじゃないですかね?」
「何と言うか、ものすごく兄さんらしいです」
「ですよね」
「…………先生、ありがとうございます」
「え?」
「先生にとっては思い出したくない出来事だったと思うから。それでも話していただいたので」
「………ふふ」
「先生?」
「いえ、やはり徹隆君の妹だな~と」
「それにこの思い出は私にとってはそこまで嫌なものではありませんから」
「そうなんですか?」
「ええ、正直言うと徹隆君に振り回されていた時の記憶の方が思い出したくありませんから」
「………………」
「あ、そろそろ文芸部に顔を出しに行かないと」
「………本当にウチの兄がすみません」
「いえいえ、それにしても千景さんも大変でしょう?あんなお兄さんがいると」
「悲しいことに私は慣れてしまいました」
ため息を吐きながら千景さんは苦笑する。
「ふふ、それじゃ、あ!」
「先生?」
2人で職員室を出たところで私は思い出した。いけないいけない、教え忘れるところでした。どうもこの条件は忘れがちになりますね。私が
「徹隆君が初めての部長会議で他の部長を煽ったって言いましたけど、そのせいで、新しい部の創立に『現部長の半数以上の同意』の著名も必要になったんですよ」
私の言葉を聞いて千景さんは片手で額を抑えて本日何度目かの台詞を呟いた。
「………兄さん」
―現在―
「失礼します。先生、入部届提出に来ました」
放課後、私はユウちゃんと小紅ちゃん、まゆらちゃんの4人で入部届を榛名先生に提出するため職員室に来た。
「はい。………皆さん、文芸部に入部するんですね。千景さんと友奈さんは何となく解りますが、小紅さんとまゆらさんもですか」
入部届を受け取った榛名先生が私たちに聞いてきた。
「はい。千景たちに誘われまして」
「私もそんな感じです」
小紅ちゃんとまゆらちゃんが答える。
「解りました。あ、知ってるとは思いますが部長は千景さんのお兄さんで顧問は私ですからね。では、月曜日の放課後から書庫室で部活が始まりますのでよろしくお願いしますね」
「「「「よろしくお願いします」」」」
私たちは先生に挨拶してから職員室を後にした。
「失礼しました」
「お、終わった?」
「ええ」
廊下で待っていてくれた美姫ちゃんが声をかけてきた。私たちは美姫ちゃんの近くに置いておいた鞄を持って昇降口に向かう。
「なあ、来週から部活だし今日これからどこか行かね?」
美姫ちゃんが提案してきた。確かに部活が始まればこうやって皆で放課後に遊ぶことは出来ないだろう。特に部活が違う美姫ちゃんは難しい。
「私は良いわよ」
だから私は賛成した。
「私も良いよ」
「「私も」」
どうやら皆同じように考えていたらしい。
「あ、千景、明後日作り方教えてくれるお菓子の材料とか遊んだ後に見に行かないか?」
「そうね~」
小紅ちゃんの提案に私は考える。本当は私の家の材料を使う予定だったのだけれど、そちらの方が楽しそうではある。
「じゃあ、そうしようかしら」
「明後日の話?」
「そうよ」
「お菓子作るんだろ?それって味見役が必要じゃないか?アタシ、日曜暇だから良いぞ?」
美姫ちゃんが味見役を買って出てきた。
「美姫ちゃん食べたいだけでしょ~?」
「まあ、そうとも言う。てかアタシが行かなかったら友奈だけが食べることになるんだぞ?まゆらだって食べたいだろ?」
「まあ確かに」
「ふふ、別にダメじゃないわ。私の作ったお菓子で良かったら食べにいらっしゃい」
「ヤッター」
日曜日は皆でウチの来ることが決まった。賑やかになりそうである。でも、ものすごく楽しみでもある。中学生になったらこんなにも早く賑やかになるとは思ってなかったわ。
「やっと見つけたわ!」
そんな私たちの背中から大きな声がかかる。何事かと私たちは一斉に後ろを振り向く。するとそこには綺麗な黒髪をボブカットにしたアクアマリン色の瞳の女の子が立っていた。
「長い黒髪の貴女が焔千景で、そっちの赤髪を1つにまとめた貴女が月城友奈ね?」
女の子が問いかけてきた。
「そうだけど、えっと、どちら様?初対面だと思うけど?ユウちゃんの知り合い?」
「ううん、知らない子」
ユウちゃんに聞いてみたがユウちゃんも初対面らしい。
「じゃあ、小紅ちゃんたちの知り合い?」
私は3人に問いかける。確率は低いがもしかしたらということもあるかも知れない。
「私は知らない」
「私も知らないかな~?」
「わからん、全然わからん」
どうやら皆知らないらしい。じゃあ、誰なのだろうと思い彼女に視線を戻すと
ビシッ!
という音が出るのではないかと思うくらい力強く私たちを、正確に言うと私とユウちゃんを敵意むき出しの視線と共に指差してきた。
「
そして、どこかの隻眼のドイツの代表候補生のような台詞を吐いてきた。
人物紹介
・入学式に仲良くなった千景と友奈の友達
・現生徒会長の妹
・かなりの胸部装甲の持ち主
・入学式に仲良くなった千景と友奈の友達
・小紅の小学校からの友達
・意外に毒舌
・入学式に仲良くなった千景と友奈の友達
・
・わからん、全然わからん
・千景たちの担任で文芸部顧問
・徹隆がトラウマファクター
・はい、先生は大丈夫です。