焔千景は日常を謳歌する   作:春囃子風

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第6話中編です。

はい、中編です。前後編と言いましたがまた本編が長くなってしまい区切りました。本当に申し訳ありません。書いていて『あ、無理ですわ』と。本当にすみません。


元気な心(中編)

 「へ?や無いわ。明希ちゃんが妹ちゃんたちに失礼なこと言うたってひふみちゃんが言うとったで?だから代わりにウチが少し懲らしめといたんや」

 

 「失礼なこと………ああ、この前の」

 

 合点がいった。どうやらこの間のラインでの相談が蓼原さんが吊されている(この現実と認めたくない)光景を作り出してしまったらしい。ただ……

 

 「えっと、蓼原さんが吊されている理由は解りましたけど、それを何故貴女が行っているんですか?」

 

 ユウちゃんが八神さんに訪ねる。そうそれだ。何故当事者ではなく彼女が罰を与えているのか。

 

 「ぶっちゃけ言って、風紀委員の要らぬお節介だな」

 

 「はやては風紀委員の副委員長を勤めているからな」

 

 蓮太郎さんとイケメンさんが教えてくれた。……これは、お節介ってレベルなのかしら?

 まあ、とりあえず彼女を下ろして貰いましょうか。

 

 「あのことは私は気にしてませんから蓼原さんを下ろしてあげて下さい。ユウちゃんも良いよね?」

 

 「うん、良いよ」

 

 「ええの?この娘、かなりアレなこと君たちに言うた聞いたけど?」

 

 「そうです。言った私が言うのもあれですが、私は貴女たちに大変失礼な暴言を吐いてしまったんですよ。それなのに………」

 

 今まで黙っていた蓼原さんが私たちに言ってきた。暴言って、私たちからしたらちょっとした面倒ごとくらいにしか考えていなかったんだけどな~。

 

 「先ほども言いましたが私たちは気にしてませんから。それに、蓼原さんとまだしっかりした会話もしてませんし。ねぇ?ユウちゃん」

 

 「うん、まず蓼原さんがどんな人なのか知らない内に罰だ何だっていうのもおかしな話だと思うしね」

 

 「え?え?」

 

 蓼原さんが困惑しだした。と言うか、あれ?部室全体が変な雰囲気になってない?私たちおかしなこと言ったかな?

 

 「………部長、部長の妹ちゃんたちは天使か女神なん?」

 

 「俺の自慢の妹だからな」

 

 「ここまで器の大きい女性もいるのだな」

 

 「ディルの場合は女運が悪いだけじゃないのか?」

 

 「…………否定出来んな」

 

 「ははは、やっぱり千景と友奈は良い人だな」

 

 「そうだね~」

 

 ………思ったことを口にしただけなのだが、何故か私とユウちゃんが褒められてる。何故?

 

 「あの、とりあえず蓼原さんを下ろして貰っても?」

 

 「あ、せやったわ。…………はい、明希ちゃん」

 

 「…………あの、千景さん、友奈さん、先日はすみませんでした。貴女たちが気にしていないとしても私が失礼なことを貴女たちに言ってしまったことは事実です。本当にすみませんでした」

 

 自由になった蓼原さんは私とユウちゃんに頭を下げてきた。この人喋り方といい礼儀正しいのに先日何であんなこと言ったのかしら?魔が差したのかな?まあ、とりあえず、私とユウちゃんはそんな彼女を見た後2人で目を合わせ頷き、ユウちゃんはパンッと手を叩く。

 

 「うん、じゃあ、明希さん。これから私たちとお友達になってくれますか?」

 

 「とりあえずライン交換しましょうか。小紅ちゃんとまゆらちゃん、八神さんも一緒に」

 

 「私たちも良いの?」

 

 「私も交換する~」

 

 「お、ええなぁ!」

 

 「………ありがとうございます」

 

 そんなふうに私たちが話していると部室の扉が開いてひふみさんが入ってきた。

 

 「…………こんにちは」

 

 「あ、ひふみちゃん、久しぶり」

 

 「……久しぶり………友奈ちゃん……千景ちゃん」

 

 「ええ、久しぶり、ひふみさん」

 

 「2人はこの先輩と知り合いなの?」

 

 「春休み中に兄さん経由で知り合ったのよ」

 

 「はいはい、自己紹介は全体で今からやるから、とりあえず適当に席着いて」

 

 兄さんが部活を始めるために私たちに着席を促した。

 

 「徹隆、新入部員はこの少女たちで全員なのか?」

 

 イケメンさんが兄さんに質問する。確かに他に1年生がいない。新入部員、私たちだけなのかしら?

 

 「後3人来る予定」

 

 「……もしかして、書庫室の…場所……解んないの…かも」

 

 兄さんの答えにひふみさんが呟く。……書庫室の場所解り辛いからあり得るかも。そんなふうに考えていると部室の扉が開いた。

 

 「ああ、良かった。やっぱり千景さんたち先に来てましたね」

 

 「榛名先生」

 

 「新入部員2人が迷ってましたので連れて来ましたよ。新入部員はこれで全員来てますか?」

 

 榛名先生が男子生徒と女子生徒を連れてきた。

 

 「先生ありがとうございます。ただ、後1人足りませんね」

 

 「あら、そうですか。え~と、いないのは、D組の博斗(はくと)君ですね」

 

 「博斗!?先生!博斗って小田原(おだわら)博斗ですか!?」

 

 榛名先生がまだ来ていない新入部員の名前を言うと蓼原さんが急に大声を発して狼狽えだした。

 

 「え!?ええ、そうですけど?」

 

 「何だ蓼原?その新入部員知ってんのか?」

 

 「え!?あっ!え、え~と、はい」

 

 兄さんの質問に蓼原さんは、やってしまったと言うような顔をする。う~ん、どうやらあまり聞かれたくない話のようね。

 

 「………先生、すいませんけど、その小田原でしたっけ?探してきてもらって良いですか?こっちは今いる人だけで自己紹介始めちゃいますから」

 

 「ええ、大丈夫ですよ」

 

 そう言って先生は小田原君を探しに部室を出て行った。

 

 「あの、徹隆さん……」

 

 「よし!じゃあ、部長の俺から自己紹介始めるぞ!蓼原、お前は最後に回すから()()()()()()()()()しっかり考えとけよ」

 

 「!………はい」

 

 こうして私たちにとって初めての文芸部の部活動が始まった。

 

 「んじゃあ、自己紹介だけど、学年とクラスと名前、後は文芸部らしく好きな作品かジャンルあたりでも言っていくか。あ、好きな作家でも良いぞ」

 

 「部長。意異名は言わんでええの?」

 

 兄さんが自己紹介の項目を言ったら八神さんが提案してきた。

 

 「………意異名か~」

 

 「意異名言っといたほうがええとウチは思うで?意異名と本人が結びつかんで唐突に目の前で褒められたり、罵られたりされるかも知れへんし」

 

 うわ~、それはイヤね、褒められるならまだしも。言った人と言われた人も最悪だけど、もしいきなり、兄さんが『常懐者』だって知らない人が兄さんに向かって『常懐者』の悪口言っているのを目の当たりにしたら…………リアルに『地雷の上でタップダンス』なんて雰囲気になるわね。

 

 「…………『地雷の上でタップダンス』なんてことに成りたく無いから意異名持ってるヤツは意異名も言って」

 

 あ、兄さんが冷や汗をかきながら項目を追加したわ。どうやら同じようなこと考えてたみたい。

 

 「あの、すいません。その意異名って何ですか?」

 

 新入部員の男子が挙手をし意異名について質問してきた。

 

 「あ、新入生は意異名知らんヤツもいるか。意異名ってのはこの学校で良くも悪くも注目を集めたヤツに与えられる通り名みたいなものだ。ほら、入学式の時に生徒会長が『導師』って言われただろ?アレが意異名」

 

 兄さんが意異名について説明する。

 

 「なるほど。解りました」

 

 「他に質問は?………じゃあ、まず俺からかな。文芸部部長、2年C組、焔徹隆だ。意異名は『常壊者』。好きな作家は赤川次郎と星新一、後ジャンル的にはグルメものも好きかな」

 

 兄さんの自己紹介が終わると今度は蓮太郎さんが立ち上がり自己紹介を始めた。

 

 「同じく2年C組、里見蓮太郎。意異名は『覇拳』。好きな作品はファーブル昆虫記なんかの動物植物問わずの記録誌的な作品だ。とりあえずよろしく」

 

 「2年A組のディルム・クリューゲルだ。『輝貌(きぼう)』と言う意異名を持っている。好きなジャンルは古今東西あらゆる伝記ものだな。よろしく頼む」

 

 イケメンさん、もといディルムさんの自己紹介が終わり、ひふみさんに順番が回る。

 

 「………2年E組の…滝本……ひふみ…です。意異名は…ありません。……好きなジャンルは……近未来系の……作品です。……よ…ろしく…お願い…します」

 

 ひふみさん、頑張りました!何というかあの人は応援したくなる。

 

 「じゃあ、ウチの番やな。2年E組の八神はやて言います。気軽に名前で呼んでな~。意異名は『管理者』。好きなジャンル等は特に無くて結構色んなもの読んどります。後、風紀委員にも所属しとるから時々部活にこれへんことあるけど堪忍な」

 

 「じゃあ、副部長の蓼原はトリに持ってくから、次1年……さっき質問した男子君からいってみよう」

 

 はやてさんの自己紹介が終わり兄さんがさっき質問した藍色の短髪に藍色の瞳の男の子に自己紹介するように言う。

 

 「1年A組、有馬(ありま)はじめと言います。好きなジャンルと言いますか、ラノベをよく読みます。よろしくお願いします」

 

 「………なんか俺らの自己紹介、格好付けてたような気がする」

 

 蓮太郎さんがなんか呟いた。

 

 「じゃあ、次は隣の銀髪ちゃん、自己紹介よろしく」

 

 兄さんが今度は有馬君の隣の銀髪ツインテールで蒼い瞳のすっごい美少女に言う。

 

 「えっと、1年E組のラティナ・クリューゲルと言います。ファミリーネームで解るかも知れませんがディルムの妹です。好きなのは恋愛小説です。よろしくお願い致します」

 

 へー、ディルムさんの妹。すっごい美男美女兄妹ね。

 

 「なになに、ディル君あないなごっつう可愛い妹ちゃんおったの?何で言うてくれへんかったの?」

 

 「単に言う機会がなかっただけだ。それに改まって言う義理もない」

 

 「そりゃそうだ。………ん?俺ら妹いる率高くね?」

 

 「はいはい、そこ静かにね~。んじゃあ、次頼む」

 

 ん?あ、私の番か。

 

 「1年B組、焔千景です。部長の徹隆の妹です。SFモノやラブクラフト、TRPGのプレイものなんかを好んでよく読みます」

 

 「あれが徹隆の妹か。……思っていたより普通に()()()()だな」

 

 「なんかディルが言うと良い女性って意味の重みが違う」

 

 蓮太郎さんたちがまたなんか言ってる。そういえば、ディルムさんが女運悪いとか言っていたような?

 

 「じゃあ次、友奈頼む。ただし、日本でな」

 

 「うっ、先手打たれた。えー、1年B組の月城友奈です。チカちゃ、千景ちゃんの幼馴染みで徹隆お兄ちゃんの妹的存在です。好きなジャンルとかはありませんが、今まで読んだ作品だと『赤と黒』『美女と野獣』『八十日間世界一周』なんかが好きです」

 

 「フランス文学か」

 

 「確か友奈は中学入学前までフランスに居たんだよ」

 

 「なるほど、それで読む機会が多かった訳か」

 

 「そないなことより、あんな可愛い娘が妹的存在って、部長はどこのギャルゲーの主人公やねん」

 

 「誰がギャルゲーの主人公だ!っと、次の娘、自己紹介よろしく」

 

 はやてさんの台詞に兄さんがツッコむ。

 

 「あ、えーと、1年B組の夜ノ森小紅です。好きなジャンルは特に無くて人気になった小説なんかを読んでます。よろしくお願いします」

 

 「夜ノ森?あー、あの娘が会長の妹か」

 

 「あの会長の妹にしては、まともそうだな」

 

 「いや、あの胸部装甲のどこがまともやねん。ひふみちゃんよりあるで。アレは最早大量殺戮兵器やで」

 

 「おーい、エロオヤジ、セクハラ発言もいい加減にしろよ」

 

 「むっつり里見君に言われたないわ」

 

 「誰がむっつりだ!誰が!」

 

 「蓮太郎、うるさいぞ~。じゃあ、1年最後の娘、お願い」

 

 「はい。1年B組の桃内まゆらです。好きなジャンルや作品とかは特になくて、何となくで手に取った本を読む感じです。よろしくお願いします」

 

 「なんか、今までで1番普通って感じの娘だな」

 

 「解らんで?ああいう娘に限って1番ごっついカルマ(面白ネタ)背負っておるかも知れへん」

 

 「はやては俺たちの部活をお笑い芸人の巣窟にでもしたいのか?」

 

 「否定はせん」

 

 「否定しろよ」

 

 「さて、………蓼原、()()()()()決まったか?」

 

 兄さんが蓼原さんに聞く。

 

 「……はい」

 

 「よし!じゃあ、蓼原、自己紹介頼む」

 

 兄さんに言われ、蓼原さんが席を立つ。

 

 「2年B組、蓼原明希です。文芸部の副部長をやらせていただかせて貰ってます。意異名はありません。好きなジャンルは恋愛小説です。よろしくお願いします。……先ほどの、…………」

 

 そこで、蓼原さんは一度言い淀むが、深呼吸して話続ける。

 

 「先ほどの博斗と言うのは私の実の弟です。苗字が違うのは親が離婚したためです。そして、……皆さんには最初に謝っておきます。……私の弟、博斗はとても我が儘で、気に入らないことがあると直ぐに手を上げる性格です。だから、皆さんにはとても迷惑をかけると思います」

 

 そこまで黙って聞いていた兄さんたちがしゃべり出す。

 

 「蓼原、離婚したって、その弟とは今別々に住んでんの?」

 

 「え?いえ、今は一緒に住んでいます」

 

 「………明希ちゃん……その…弟君と…一緒に住みだしたのって、三週間前…くらいから?」

 

 「え?あ、はい」

 

 「なるほど、蓼原が暗い顔してたのはそれが理由か」

 

 「大方、自分の母親に危害が加わらないようにするために警戒してたのだろう」

 

 「自分の家でそれじゃあ神経使(つこ)うって、休む暇あらへんもんなぁ」

 

 なるほど。だんだん話が掴めてきた。その弟のせいで蓼原さんは疲れて私たちにあんな発言をしてしまったんじゃないだろうか?だって、蓼原さんはとても優しくて真面目な良い人なのだから。ほんの少ししか話していない私ですらそう思うのだ。それ以上に長い時間付き合っている兄さんたちが異変に気付かない筈が無い。

 

 「まあ、アレだ。その弟君がどう言った理由でウチの部に入部したかは知らんが、ただで卒業出来ると思うなよ?なあ、蓮太郎、ディル」

 

 「当然だ。そんな男の風上にも置けないヤツを放って置くわけないだろ?

 

 「むしろ、いつまで持つか?少しは骨のある者なら良いのだが

 

 ……なんか兄さんたち2年生男性陣から黒いものを感じるんだけど?

 

 コンコンッ

 ガチャ

 

 そんなことをしていると部室の扉からノックが聞こえ、黒眼で黒髪ロングの大和撫子と言って良いような美少女が入ってきた。………この学校、美形率高くない?

 

 「木更さん!?」

 

 入ってきた大和撫子、木更さん?に蓮太郎さんが驚く。

 

 「どうした?天童」

 

 兄さんが木更さんに用件を聞く。

 

 「焔君、1年の小田原博斗君って文芸部の新入部員よね?」

 

 「?そうだけど?」

 

 「木更さん!博斗が何かやらかしたんですか!?」

 

 木更さんの言葉に今度は蓼原さんが驚く。

 

 「え?ええ、やらかしたと言えばやらかしたわ。鳴橋先生に暴言を吐いて、手を上げようとしたのよ」

 

 「よーしお前ら、獲物の準備」

 

 「徹隆、俺は(ランサー)(セイバー)どちらで行こうか?」

 

 「剣で」

 

 「全弾擊発(アンリミテッドバースト)使って良いか?」

 

 「もちろん」

 

 「ちょっと待って!大丈夫だから!鳴橋先生は大丈夫だから!それに、近くで見ていて小田原君を止めたのは加々知(かがち)先生だから!」

 

 ピタッ

 

 兄さんたちの動きが一斉に止まった。

 




後編は明後日までに投稿予定です。

また、ラブライブ!サンシャイン!!×遊戯王のコラボ短編をこの後直ぐに投稿予定ですのでよかったら読んで下さい。
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